麦わらの一味『占い師』マチカネフクキタル   作:赤葉忍

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どうやら一瞬だけ日刊ランキングに載っていたようで、大変ありがたいことでございます。拙いところの多い作品ですが、皆さんが楽しめるような物語をこれからも届けていけたらと思っております。

そんなわけで、感謝の連日投稿です。


『カラーズトラップ』

「ととと、とりあえず、“八卦(はっけ)”よーい!!」

 

「何もさせんガネ! “キャンドルロック”!!」

 

 自ら敵地へと駆け込む形となってしまったフクキタルは、慌てて戦闘態勢に入ろうとするが、そうはさせまいとMr.3は“ろう”を放ち、フクキタルの足を封じ込もうとする。 

「間一髪回避! ありがとうございますシラオキ様ぁ!!」

 

 しかし、咄嗟に発動させていた“八卦”の陣のおかげか、幸運にも回避に成功したフクキタルは、壁を蹴って反撃へとうつる。

 

「おんみょー! よんしょー! “タイ・キョク・ケン”!!」

 

 独特なかけ声と共に、フクキタルはリズム良く跳びはねながら、拳を当てにいく。その拳はMr.3がろうの壁を出したことで止められてしまったが、攻撃を止めたはずのMr.3は苦い顔をしている。

 

「くっ! ウマ娘の機動力を侮ったガネ。この狭い室内ではかえって不利! 一旦ろうを解除するガネ!!」

 

「えっ!?」

 

 Mr.3は、壁に手を付いて、解除を宣言する。すると、それまで固まっていたろうがドルっと溶け出し、ちょうど足を壁に付けていたフクキタルは、足場を無くして宙に放り出される。

 

「“キャンドルロック”!!」

 

「ぎゃー!? 手がろうで固められてしまいましたぁ!? 大大大ピンチです!!」

 

 そして、その大きな隙を見逃さず、Mr.3はキャンドルロックでフクキタルの両手を封じ込める。

 

「フハハハ!! 足はまだ封じていないが、お前の攻撃手段は先程の動きを見るに主に拳! それを封じた以上最早お前に勝ち目はな⋯⋯」

 

「ええいままよ!! なんとかなれー!!」

 

「ガネェ!!?」

 

 両手を封じられたフクキタルは、がむしゃらに両手を振り抜き、ろうの塊をハンマーのようにして勝ち誇るMr.3の顔面をぶっ叩いた。

 

「え、まさかMr.3はやられちゃった⋯⋯ってこと!?」

 

「そんなわけあるかミス・バレンタインデー! Mr.5もぼけっとしていないで、さっさと私に加勢するガネ!!」

 

 流石オフィサーエージェントと言うべきか、一発でノックダウンはしなかったようで、鼻血を流しつつもMr.5とミス・バレンタインデーに指示を送る。

 

「言われなくてもやるつもりだ! “鼻空想砲(ノーズファンシーキャノン)”!!」

 

「ふぎゃー!? 鼻くそ飛ばすなんてばっちいですよ! えんがちょです、えんがちょ!!」

 

 ボムボムの実を食べた“爆弾人間”であるMr.5が飛ばす鼻くそは、ただの鼻くそではなく、爆発する恐ろしい鼻くそだ。

 

 そうとは知らずにばっちいからという理由で全力で鼻くそを回避したフクキタルは、背後で聞こえる爆発音を置き去りに、瞬時に距離を詰め、ろうの塊でMr.5をぶん殴る。

 

 フクキタル本人は全く意図せずほぼ無意識にとっていた行動であったが、Mr.5に触れたことで爆発が起こり、フクキタルはろうの拘束から解除された。しかも、爆発の余波はフクキタル本人にはさほど影響なく、ダメージを受けて吹っ飛んだのはMr.5だけである。

 

「なんか爆発しましたが、怪我はしなかったので大吉です! むっふー!! 幸運が来てますよぉ!!」

 

「う、ウマ娘の身体能力がここまでのものとは、予想外だガネ!?」

 

 4対1の理想的な状況から一転、幸運と身体能力のごり押しで形勢逆転を果たしたフクキタルを見て、Mr.3の余裕が完全に崩れる。

 

 しかしながら、フクキタルの幸運は、パリッという乾いた音によって突然消え去ってしまう。

 

「“カラーズトラップ”、『笑いの黄色』。⋯⋯折角お昼寝してたのに、起こすなんて酷いじゃない」

 

「あは、アハハハハハ!! な、なんだか急に笑いが止まりません~!! アハハハハハ!!」

 

「⋯⋯ふう、流石私が見込んだ『写実画家』。こういう脳筋バカほど、暗示にはよくかかるものだガネ」

 

 フクキタルの動きを封じたのは、それまで呑気にせんべいをかじりながら戦闘の様子を見ていた、ミス・ゴールデンウィークであった。

 

 ミス・ゴールデンウィークは、悪魔の実の能力者ではない。しかしながら、彼女の洗練された色彩のイメージは、絵の具を伝って他人の心に暗示をかけることを可能とする。

 

 勿論、暗示のかかりやすさなどは人にもよるだろうが、占いや迷信を信じるフクキタルはこういった暗示の類いには人一倍弱かった。

 

「あははは、あは、ひぃ、わ、笑いが止まらな、アハハハ!! お、お腹が苦しいです⋯⋯アハハハ!!」

 

 ついにはお腹を抱えて笑い出したフクキタルは、最早立つことすらままならない。完全に無力化されたフクキタルを見て、Mr.3はほっと安堵の息を吐き、ミス・ゴールデンウィークは、もう一押しとばかりに筆を構える。

 

「さあ、私はもう休みたいから、貴女はもう少し役に立ってね。⋯⋯ “カラーズトラップ”、『誘惑のピンク』」

 

 ミス・ゴールデンウィークは、先程の黄色の絵の具を上書きするように、ピンクの色で独特の模様をフクキタルの背中に描く。

 

 すると、それまで目に涙を浮かべて笑っていたフクキタルの動きがピタッと止まる。そして、まばたきを数回繰り返したフクキタルの瞳には、大きなハートマークが浮かんでいたのであった。

 




ミス・ゴールデンウィークの能力、ワンピの中でも屈指の謎能力だと思う。
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