ロリオグリかわいい。あと私服マーベラスまじマーベラス。
”ブリキのワポル”
「一刻も早くナミさんの病気を治して、そしてアラバスタへ!! それがこの船の“最高速度”でしょう?」
アラバスタの国王軍兵士30万人が反乱軍へと寝返った⋯⋯。そんな最悪な情報を、新聞を読んで知ったビビ。
一刻も早くアラバスタへと戻らなければ多くの国民が命を落とすことになる。しかし、ビビは病気のナミを見捨てて先を急ぐ選択肢はとらず、ナミを救う航路を選択した。
「そぉーさっ! それ以上スピードは出ねぇ!!」
ビビの言葉を聞き、満足そうににっと笑みを浮かべたルフィ。そして、ナミの病気を治すため、一旦アラバスタの進路から外れ、“最高速度”で船は進む⋯⋯。
「おいフク、この方向に絶対医者はいるんだな?」
「はい、ゾロさん!! 私の『クジクジの実』の能力で産みだした『棒みくじ』、その倒れた方向に探し人、探し物は必ずあります!! メリー号を見つけて乗り込むことが出来たのもこの能力のおかげですし。ハッピーはお墨付きです!!」
「いまいち信用できねぇんだよなぁ⋯⋯。ん、ありゃあ何だ?」
見張り台で双眼鏡を覗き、フクが示した方向を見ていたゾロは、海の上におかしなものを見つけ、1度双眼鏡を外す。そしてもう一度覗き、それが見間違いではないことを確認したところで、甲板にいるルフィ達に声をかけた。
「おい、お前ら⋯⋯。海に、人が立てると思うか?」
「おいおいゾロ、何言ってんだ。人が海の上に立てるわけねぇだろ」
「そうですよ! たとえ運勢が大吉でも海の上に立つなんて不可能です!!」
「じゃあ、ありゃ何なんだ」
ゾロが、双眼鏡をくいっと動かして前方を指し示す。その方向を見ると、そこには確かに、弓を背負った奇妙な格好の人物が海の上に立っていた。
そのあり得ない光景にルフィ達が目をごしごしと擦っていると、その人物はこちらに向かって唐突に話しかけてきた。
「よう、冷えるな今日は」
「⋯⋯うん、冷えるよな今日は」
「あ、ああ、冷える冷える。すげぇ冷えるよ今日は」
「は、はい。すっごく冷えますよね、今日は」
「そうか?」
「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」」
自分で「冷えるな」と話しかけておいて、同意すれば意外そうな態度を示す謎の人物のせいで、何とも言えない微妙な空気になる。
「浮力上げろぉ~~~っ!!!」
そんな微妙な空気を打ち破り、何者かの声が響く。そして、その声を合図にして、海中から巨大な海賊船が姿を現した。
「おい、どうした!」
突然の大きな揺れに、ナミの容体を心配して船内に居たサンジが甲板に飛び出してくる。
「襲われてんだ今この船」
「⋯⋯まあ、そんなことじゃねえかと思ったけどな。見た感じ⋯⋯」
そんなサンジを待ち構えていたのは、銃を構えた男数人。見るからに敵船の襲撃だと分かる状況で、逆に冷静になったサンジは煙草に火を付ける。
「フム、これで5人か⋯⋯。たった5人ということはあるめぇ」
全体的に丸いフォルムの男性が、ナイフに刺した肉をむしゃむしゃと頬張りながらそう呟く。この男こそ、今海中から現れた海賊船、『ブリキング海賊団』の船長、ワポルであった。
ワポルは、あーんと口を開けて、手に持った肉をナイフごと口の中に入れる。そして、一切の躊躇なくそのナイフをバリバリと噛み砕いた。
「ぎゃーー!? あの人、ナイフごと食べましたよ!? どういうことですかぁ!?」
「えエェ。見てるだけで痛ぇっ!!」
ルフィ達はナイフごと食べたワポルにどん引きしているが、銃を構えた男達は全く動じていないことから、おそらくこれが日常なのであろうことが分かる。ワポルは、ぽいっと残ったナイフの柄を口の中に放り込んでから、ルフィ達にこう尋ねた。
「おれ達は『ドラム王国』へ行きたいのだ。『
「持ってねぇし、そういう国の名を聞いたこともねぇ」
「ほら用済んだろ。帰れお前ら」
サンジがワポルの問いかけに冷静に答え、ルフィがしっしっとワポル達に帰るよう促す。しかしながら、ワポルは自分の船には戻ろうとはせず、それどころかとんでもない暴挙に出た。
「はーあー、そう急ぐな人生を⋯⋯。持ってねぇならこの船とお宝を貰う。だが、ちょっと待て。小腹が空いてどうも⋯⋯」
ワポルはそう言うと、おもむろに大口を開け、舷縁をガブッと囓り取った。
「ふんぎゃあぁぁ!? メリーちゃんがカバみたいな人に食べられちゃいますよぉぉ!?」
「おいお前、俺達の船を食うな!!」
フクキタルはショックで叫び、ルフィは船を食べられた怒りで声を上げる。それでもなお、ワポルは船を食べる手を止めようとはしない。
「あの“海喰”は海ごと船を丸呑みするという噂があるくらいだ。それに比べたらおれ様の食事は可愛いものだろう。⋯⋯おお、錨綱もあるな」
「やめろって言ってんだろ!!」
ルフィは我慢できずにワポルへと向かって行き、それを見たワポルの部下達が銃を撃とうと構える。
「お、何だ、やっていいのか?」
「始めからこうすりゃよかったんだ」
「わ、私も頑張りますよぉー!!」
しかし、これまで無駄な争いになるのを避けて動かなかったサンジやゾロ、そしてフクキタルもルフィに続いて動き出したことで、特に強くもない部下達は軽々と一掃される。
「いや待て、話せばわかり合える!!」
唯一逃げ回るウソップも、マストに隠れてなんとか銃弾を避け、事なきを得ていた。
「お前、いい加減にしろ!」
「ふん! ならばお前ごと食ってやるわ!!」
そして、まだ食事を止めないワポルの傍へとようやく近づけたルフィであったが、ワポルは「食ってやる」という言葉通りに、大きく口を開けルフィを丸呑みしてしまう。
「るるる、ルフィさんが食べられちゃいましたぁ!?」
「バカ。よく見ろ。ルフィは大丈夫だ」
慌てるフクキタルに対し、ゾロは冷静に指摘し、刀を鞘へと収める。その行動が意味するには、既にこの戦場での戦いに決着が着いたということであった。
「吹き飛べぇーーー!!」
ゴム人間であるルフィは、ワポルに咀嚼されてもダメージはなく、口から伸ばしていた腕を一気に戻して、そのままワポルを空高く吹き飛ばした。
「「「「ワポル様ぁーーー!!?」」」」
ワポルの部下達は、吹き飛んだワポルを追いかけるようにして慌てて船を出す。
「あの人は⋯⋯!!」
ちょうどその直前で甲板に出ていたビビは、ワポルの姿を見て記憶の中のとある人物が頭に浮かぶ。
何故あの人がこんな場所に居るのか。ビビは、予期せぬ再会に、何となく嫌な予感を覚えたのであった。