麦わらの一味『占い師』マチカネフクキタル   作:赤葉忍

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うまよんの封入特典の四コマ漫画ブックレット、いろんなキャラが出てくるのでかなり助かる。特典ガチャは微妙な結果だったけれどこれは買って正解でしたわ。


情けは人の為ならず

「待ァてェい!! 小僧よくもこのおれに無礼の数々を働いてくれたな!!」

 

 目的地であるえんとつ山へと向かう道の半ばで、ルフィとフクキタルの前に立ちふさがったのは、海でメリー号を襲ってきたワポルであった。

 

「どけよ!!」

 

「まははははは! カバじゃなーい? どく訳なかろうが!! 背負われている二人はどうやら死にかけのようだな!!」

 

「な!? ナミさんとサンジさんに何かするつもりですか!?」

 

 フクキタルは、ワポルの視線からナミを隠すように身をよじる。

 

「フク、この喧嘩は買ってる暇ねぇぞ。早く行こう」

 

「は、はい!!」

 

 ルフィもまた、ワポルを睨みつけていたが、立ち止まることはなくその横を通り過ぎ、そんなルフィを見てフクキタルもその後に続いた。

 

「⋯⋯おおそうだ。新しい法律を思いついたぞ。『王を無視した人惨殺』!! まずは、一番ムシしてやがるその病人とケガ人から殺してやれお前達っ!!」

 

「「そのように!!」」

 

 ルフィ達に無視されたことで癪に障ったらしいワポル。彼は、部下のチェスとクロマーリモに命じて、あろうことかナミとサンジを狙い始めた。

 

「ちょ、やめてください!! 弱っている人を狙うなんて鬼畜の所業、シラオキ様が許しませんよ!!」

 

「まはははは!! シラオキ様だかシラタキ様だか知らねぇが、おれ様の方が偉いのだ!!」

 

「フク、戦ったらダメだ! お前らもうついてくんな!!」

 

 ルフィとフクキタルは人を背負いながらでも戦うことは出来るが、戦いの衝撃が背負っているナミやサンジに響いてはいけない。チェスが放つ矢や、クロマーリモのパンチをかわしながら、2人は全力で逃走する。

 

「雪国名物、『雪化粧』!!」

 

 しかし、雪国での戦いは相手が一枚上手であった。雪に隠れていつの間にか姿を隠していたワポル達が、背中のナミとサンジを狙う。

 

「「チェックメート!!」」

 

「な、やめろぉーー!!」

 

「ああああ!?」

 

 回避が間に合わないタイミングでの奇襲に、ルフィとフクキタルは思わず悲鳴を上げる。

 

「ガル!!」

 

 まさに絶体絶命の状況。それを打破したのは、鳴き声と共に颯爽と現れたラパーンであった。絶対に人にはなつかない動物だと言われているラパーンが、ルフィ達を守るようにして、チェスとクロマーリモを殴り飛ばしたことに、驚くワポル達。

 

 ルフィとフクキタルも、思わぬ助太刀に目を丸くしていたが、見覚えのある子どものラパーンを背負ったラパーンが、『ここは任せろ』とでも言いたげにぐっと力こぶを作ったのを見て、先に進む決意をした。

 

「ありがとう!! 助かった!!」

 

「情けは人のためならず、ですね!! やはりあなた達は幸運を呼ぶうさぎさんでした!!」

 

 

 ラパーン達のおかげでワポルの襲撃からの逃走に成功した二人であったが、目的地はまだ遠い。それでも、背負った仲間の命を助けるために進み続け、ようやく目指していた山の麓についた時には、2人とも息を切らしていた。

 

「はあ、はあ⋯⋯。てっぺん見えねぇや。フク、登れそうか?」

 

「⋯⋯はい! なんて言ったって、今日の私たちの運勢は大吉です!! 登れない山なんてありませんとも!!」

 

「ししし! その意気だ。あ、登る前にサンジが落ちないよう縛っといてくれ」

 

 そう言って、ルフィがフクキタルに差し出したのは、ルフィの羽織っていたコートであった。コートの下は半そでであり、そのあまりに寒そうな格好にフクキタルは一瞬躊躇したものの、自分を見つめるルフィの瞳に強い意志を感じ、フクキタルはこくりと頷いてコートを受け取った。

 

「⋯⋯よし! じゃあ行くぞ!!」

 

「はい!!」

 

 コートでしっかりとサンジの身体を落ちないよう縛ったのを確認し、ルフィとフクキタルの二人は、ほぼ垂直な山の壁面に手をかける。

 

 手をひっかけるための凹凸はわずかなもので、それを頼りに登るにはかなりの握力が必要だった。

 

ルフィもフクキタルも、登りやすいように手袋を外したため、刺すような冷たさが手を襲う。さらに、高さを増すごとに、吹き付ける風も強くなり、徐々に手足の感覚がなくなっていく。

 

「はぁ、はぁ⋯⋯!!」

 

 普段は騒がしいフクキタルも、今は呼吸をするので精一杯で、叫ぶ余裕すらなかった。既に爪が割れ、手には血が滲んでいる。それでも力を緩めることなく、がっしと溝に手をかけ、ゆっくりと、しかし着実に上へ上へと登っていく。

 

 ようやく半分より上へと差し掛かった段階で、意識がもうろうとし始めることが増えたが、そんな時は少し先を行く麦わら帽子を見て、何とか意識を保つことが出来ていた。

 

 一方、ルフィの方も、フクキタルを心配して声をかける余裕はない。しかし、一緒に登る仲間がいるという事実は、ルフィの心を奮い立て、さらには背中に感じる重みが、必ず助けるという強い意志に結びついていた。

 

 それから、どれくらい時間がたっただろうか。ただただ仲間を救いたい一心で登り続けた2人は、ついに頂上の淵を視界に捉えた。

 

「こ、これで、ナミさんと、サンジさんは助かりますね⋯⋯。占い、的中です⋯⋯!」

 

 頂上が見えた安心感からか、フクキタルは震える声でそう呟いたかと思うと、ふっと意識を失ってしまう。

 

「⋯⋯うっし、よくやったな。フク」

 

 落下しそうになったフクキタルの腕を、一足先に頂上に登っていたルフィが掴み、そのまま引っ張り上げる。しかし、ルフィの体力もここで限界がきた。

 

「早く、フクも一緒に診てもらわねぇと⋯⋯。医者⋯⋯」

 

 そう言って、ばたりと雪の上に倒れこんだルフィ。その衝撃で、雪がぼこっと音を立てて崩れ、倒れたルフィやフクキタルも一緒に地面へと落下しそうになる。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 しかし、その直前でフクキタルとルフィは腕を掴まれて助けられる。2人を無言で助けた謎の人物は、なんとも奇妙な毛むくじゃらの雪男のような姿をしていたのであった。

 

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