麦わらの一味『占い師』マチカネフクキタル   作:赤葉忍

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金曜ロードショーが千と千尋なので最新話投稿します。


怒涛の出会い

「あの店はやけに騒がしいな⋯⋯。何があった」

 

 葉巻を吸いながら部下にそう尋ねるのは、海軍大佐、スモーカーだ。彼はローグタウンで捕まえ損ねた麦わらのルフィを捕まえるべく、部下のたしぎらと共にこのアラバスタまでやって来ていたのであった。

 

「た、大変ですスモーカー大佐!! 大変な奴らがこの町に⋯⋯!!」

 

「何だって⋯⋯!?」

 

 しかし、部下から告げられたその海賊たちの名前は、ルフィを追っているスモーカーでも無視できないものだった。

 

 

〇〇〇〇

 

 

「あのー、そういえばなんで、変装しているのに私がメイショウドトウだって分かったんですか⋯⋯? 耳と尻尾も隠しているので、ウマ娘ってこともぱっと見じゃバレないはずですが⋯⋯」

 

「あー、ちょいと個人的な理由でな。ウマ娘が近くに居ると分かるんだ。腕に鳥肌が立つ。うちの傘下にもウマ娘がいるから治したいところなんだが、どうにもならねぇもんだな」

 

「お噂は聞いていますぅ。白ひげ海賊団傘下に、私たちと同じようにウマ娘のみで構成された少数精鋭の海賊がいると⋯⋯。オペラオーさんも一度会ってみたいと言ってました」

 

 スモーカーが部下から報告を受けているちょうどその頃、エースとドトウの2人はまだ会話を続けていた。その話題はドトウの正体が分かった理由から白ひげ海賊団に所属するウマ娘たちへと移り、そして途中でちらりと語られたエースの体質へと戻っていく。

 

「ところで⋯⋯エースさんの個人的な理由とは、もしかして義理のお姉さんが関係していたりするのでしょうかぁ?」

 

「⋯⋯!! てめぇ、どうしてそのことを知ってやがる!!」

 

 ドトウが『義理のお姉さん』と言った途端、それまでのどこか飄々とした態度を一瞬で捨て去り、剣呑な表情を浮かべて立ち上がるエース。その感情の高ぶりを表すかのように、先程まで座っていた椅子は突然燃え出し、周囲で様子をうかがっていた野次馬たちの悲鳴が飛び交う。

 

「す、すいません! そこまで反応するとは思いませんでした。私がエースさんのお姉さんのことを知っていたのは、仲間にウマ娘の情報にやたら詳しい子がいるせいでしてぇ⋯⋯。というか実はその子と一緒にこの国に来ていたのですが、途中ではぐれてしまって⋯⋯」

 

「⋯⋯いいか、アイツはおれの姉じゃねえし、おれの親父は白ひげだ。次その話題を出したら、問答無用でぶん殴る」

 

「うう、救いはないのですかぁ⋯⋯?」

 

 一気に殺伐とした空気と化した状況に、涙目を浮かべるドトウ。しかし、救いの手は差し伸べられることはなく、追い打ちをかけるかのようにさらなるもめ事が襲い来る。

 

「おいおい、“白ひげ海賊団”の二番隊隊長と、“覇王海賊団”の副船長が2人揃ってなんでこんなところに居るんだ。この国に一体何の用だ?」

 

 野次馬を掻き分け、エースとドトウの前に姿を現したのは、先程部下から報告を聞き急ぎ駆け付けたスモーカーだった。

 

報告を聞いた時は半信半疑だったスモーカーだったが、本当にエースとドトウが居ることに実は驚いていた。しかし、その驚きを顔には出さずに、すっと背中の十手に手を置く。

 

「⋯⋯わりぃな。海軍の兄ちゃん。今おれはちょっと機嫌が悪いんだ。話ならそっちのウマ娘にしてくれ」

 

「ええ!? わ、私ですかぁ!? うう、アヤベさんにも海軍には見つかるなって注意されていたのに⋯⋯。やっぱりついてないですぅ」

 

「話なら檻の中でいくらでもできる。とりあえず、お前達2人とも大人しく捕まるんだな」

 

 そう言って、スモーカーは拳を握りしめる。“モクモクの実”の煙人間であるスモーカーの腕はモクモクと臨戦態勢を整えており、3人の様子を遠巻きに見ていた野次馬達の間にも緊張が走った。

 

「却下。そりゃごめんだ。⋯⋯ただ、このウマ娘さんの戦う姿は見てみたい気持ちもあるな。なあ、アンタはどうする?」

 

「わ、私も捕まるのは嫌です⋯⋯。それに、私手加減が苦手でして⋯⋯医術の心得もないので、怪我しても手当できないですよぉ?」

 

 ドトウの上目遣いの視線は、自分の方に向けられていて、それにスモーカーは僅かに身震いした。

 

 その視線から感じられる“心配”の感情は、自分が敗北することは一切考えていない、傲慢さすら感じられる強者の余裕。おどおどした態度とは正反対のその言葉は、スモーカーのみならず、この場に居る全員に、“覇王海賊団”にまつわるある噂を想起させた。

 

 曰く、“覇王海賊団”副船長、メイショウドトウは一瞬にして大陸の形を変えることすらできる能力者である⋯⋯。

 

 しかしながら、その噂が真実であるかを確かめることは出来なかった。何故ならば、3人の居るこの店の食べ物の臭いを嗅ぎつけ、猛スピードで海岸から突っ込んできた人物が居たからだ。

 

「ゴムゴムの~ロケットォー!!」

 

「ぐあァ!!」

 

「を!?」

 

「ひええええええ!?」

 

 ゴムゴムのロケットで店に突っ込んできたルフィは、スモーカーにぶつかり、その直線状にいたエース共々店の外へと吹き飛ばす。ドトウは間一髪その衝突は避けられたものの、突然現れたルフィに情けない悲鳴を上げてしまう。

 

「うわ、あの時のケムリ!! なんでここに居るんだ!! ⋯⋯どうもごちそうさまでした!!」

 

「待て、麦わらァ!!」

 

「おい、待てよルフィ!!」

 

 ルフィは短時間で口に詰められるだけ料理を詰めた後、スモーカーが居ることに驚き、慌てて逃げていく。そしてそんなルフィを追いかけ、スモーカーとエースも店から去っていった。

 

「な、なにが起こったんでしょう⋯⋯?」

 

 あっという間にいなくなってしまった3人の姿を、呆然と見つめるドトウ。その視線の先に、3人と入れ替わるようにして店に近づいてくる少女がいた。

 

「ふぅ、いきなり飛んでいくなんてルフィさんは流石ですね。⋯⋯む? むむむむむ??」

 

 ルフィを追いかけて遅れてやって来たフクキタル。その視線の先には、先程のごたごたでフードが取れ、耳が露になったドトウが居た。

 

「その耳⋯⋯。まさかこんなところで私と同じウマ娘に出会えるなんて!! これはきっとシラオキ様のお導きに違いありません!! 運命のウマ娘さん、あなたのお名前をうかがっても!?」

 

「は、はぃ!! メイショウドトウといいますぅ!! えーっと、あなたの名前は⋯⋯?」

 

 フクキタルの勢いに押されてつい名乗ってしまったドトウは、反射的に名前を尋ねていた。その問いかけに、フクキタルはむっふーと上機嫌そうに身体を揺らし、元気よくこう答えたのであった。

 

「はい、私、麦わらの一味“占い師”、マチカネフクキタルです!! 以後お見知りおきを、ドトウさん!!」

 




フクドト、いいよね
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