一本目の航海
「あいつらは、我々の待ち望んだ海賊達だろうか⋯⋯。何とも不思議な空気を持つ男だ。なァ⋯⋯ロジャーよ」
双子岬から
さらに続けて、クロッカスはふっと笑みを浮かべ、懐から小さな紙切れを取り出した。
「ふっ、それにあの『ウマ娘』⋯⋯。お前は今も自由に生きているんだろう? あいつの義娘だから当然か。久しぶりに会いたいものだ」
クロッカスの掌で僅かに動く紙切れ。そこには、『ゴール・D・シップ』と記されていたのであった。
〇〇〇〇〇
場所は変わり、双子岬を出た船は、謎の2人組、Mr.9とミス・ウェンズデーの住んでいるという町、ウイスキーピークを目指し海を進む。
そんな旅路の天候は、冬。時々⋯⋯春。
「できた! 空から降ってきた男、“雪だるさん”だァ!!」
「はっはっは! 見よおれ様の魂の雪の芸術っ! “スノウクイーン”!!」
「なんと!! ルフィさんもウソップさんも凄いですねぇ~! でも、私だって負けていられません!! こちら、“白雪のシラユキ様”です!!」
「⋯⋯この寒いのに、なんであいつらあんなに元気なの? フクもすっかり馴染んでるし」
雪ではしゃぐルフィ、ウソップ、フクキタルの三人を見て、信じられないといった様子で、船内で少しでも暖を取ろうとするナミ。
「ねえ、さっきからずっと舵を取っていないけれど大丈夫?」
「え、ついさっき方角は確認して⋯⋯あーーっ!?」
ミス・ウェンズデーの指摘に方角を確認したナミは、船がいつの間にか反転し、進路から逆走していたことに気づいた。そして、ナミの声に何事かと集まってきたクルー達(居眠りしているゾロを除く)に、慌てて指示を出す。
「ブレイスヤード右舷から風を受けて! 左へ180度船を回す! ウソップうしろを。サンジくん舵取って!!」
「ナミさん、私は何をすればいいでしょうか!? 占いだとこの先天候が酷く変化すると⋯⋯」
「知ってる! フクはウソップの手伝いお願い!!」
「承知しましたぁ!!」
慌ただしく動くクルー達を見て、毛布にくるまったままのMr.9とミス・ウェンズデーはどこか他人事のようにつぶやく。
「波に遊ばれてるな」
「あなた本当に航海士?」
「偉そうにウダってないでさっさと手伝え!」
しかし、そんな二人もナミに蹴られて動くこととなり、ゾロを除いた全員が“偉大なる航路”の洗礼を受けることになるのであった。
「おい待て風が変わったぞ!」
「「春一番だ」」
「何で!!?」
「おい、向こうで今イルカがはねたぞ。行ってみよう!」
「あんたは黙って!!」
「うぅ、船に慣れていないので気分が悪く⋯⋯吐き気がしますぅ」
「ごめん、それは慣れて!!」
「がびーん!! 殺生な⋯⋯うっ、おろろろろ」
「ぎゃーー!?」
「波が高くなってきた!! 十時の方角に氷山発見!!」
「ナミさん霧だ!!」
「⋯⋯何なのよこの海はァ!!!」
ナミの心からの叫びが響く中、一同は氷山を何とか突破し、帆が裂けそうになったのを食い止め(帆に関しては青い顔をしたフクが頑張ったおかげで乗り切ることができた)、そしてようやく⋯⋯。
「ん~、あー、よく寝た。⋯⋯おいおい、いくら気候がいいからって全員だらけすぎだぜ? ちゃんと進路はとれてんだろうな」
あれだけ皆が走り回っていたにも関わらずに、ぐっすり寝ていたゾロ。彼の言う通りに、ようやく気候は落ち着き、皆ぐったりと疲れ果てていたところだ。そして、全員がゾロの言葉にこう思った。
(お前が言うな⋯⋯!!)
なお、ゾロは怒れるナミに拳骨を叩き込まれた模様。さもありなん。
ゾロの頭にできた大きなたんこぶを見て、フクキタルは絶対にナミには逆らわないことを誓ったのであった。とりあえずゾロのたんこぶが治ることだけは祈っておく。南無、ほうれん草!
「気を抜かないでみんな!! 今やっとこの海の恐さが、
「大丈夫かよおい」
「大丈夫よ! その証拠に⋯⋯ホラ!! 一本目の航海が終わった!!」
そう言ってナミが指さす先には、サボテンのような島。ルフィたちは、無事一本目の航海の目的地へと到着することが出来たのであった。
次はようやくフクキタルの戦闘シーンを書けるかもです。