麦わらの一味『占い師』マチカネフクキタル   作:赤葉忍

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フクキタル以外のウマ娘も書きたいな~と思いまして、閑話という形であのウマ娘が登場です。この子たちの物語は、今回と同じように閑話という形で時々挟んでいこうと思っております。


閑話:ローグタウンの看板娘

 どーも、ナイスネイチャで~す。私はここ、ローグタウンの食堂で店員として住み込みで働いているウマ娘。今日は久々の休日ってことで、ぶらぶらと歩きながらショッピングでもする予定。

 

 ローグタウンって町は位置的にも海賊が頻繁にやって来たりして、お世辞にもあまり治安がいいとは言えない。でも私は、この町の活発な雰囲気を気に入っている。

 

「おいっす~。魚屋のおじさん、元気してた? あ、自慢してたエレファント・ホンマグロ売れてんじゃん」

 

「おー、ネイチャちゃんか! それが気前のいい兄ちゃんが丸ごと買っていってくれてよぉ! 俺も釣ったかいがあるってもんだぜ」

 

「それはよかったね~。あ、この魚安い。1つちょーだい!」

 

「へい、まいどぉ! 今気分がいいからこっちの魚もサービスしちゃうぜ!!」

 

 ありがたいことに、おじさんはただで魚を一匹サービスしてくれた。その気前のいい兄ちゃんに感謝しないといけないな~こりゃ。

 

 おじさんにお礼を言って、私は次の目的地に向かう。お魚はたまたま安かったから買ったけれど、本命は洋服だ。昨日の嵐で1着ダメになったから、新しいものを買っとかないといけないのだ。

 

「あれ、ここに居た占い屋の子、どこにいったんだろ? 店の看板はそのままだけれど⋯⋯」

 

 途中、路地裏に視線を向けると、いつもはそこにひっそりと店を構えているはずの女の子の姿がない。まだちゃんと話したことはなかったけれど、同じウマ娘として気にかけてはいたから、昨日の嵐で怪我とかしていないか、ちょっと心配だ。

 

「誰かあの子のこと知っている人いないかなぁ。この辺に知り合いは~っと⋯⋯あ、みっけ!」

 

 ぐるりとあたりを見渡してみると、ちょうど店先を掃除している知り合いのおじさん、武器屋のいっぽんマツさんを見つけた。あの人、ま~た奥さんに怒られたのかな?

 

「おいっす、いっぽんマツさん。昼時からせっせとお掃除とは、せいが出ますなぁ。また奥さんに怒られたの?」

 

「またってなんだまたって! ⋯⋯まあ、怒られたのは事実だが、俺は今回に関しては後悔してねぇよ。なんせ、男が男に夢を託したんだからな! 女には分からねぇ話さ」

 

「はいはい、どーせ私みたいな小娘には分かりませんよ~。ところで、あそこに居た占い師の子知らない? この時間にはいつも居るはずなのに居ないから、気になってさ」

 

「ん? そういや確かに今日は見かけねぇなぁ。いつもはこっちに聞こえるぐらい騒がしい声で叫んでいるんだが⋯⋯」

 

 いっぽんマツさんと2人、うーんと首を傾げていると、店の奥からいっぽんマツさんの奥さん、いっぽんウメさんが出てきた。

 

 あ、奥から奥さん⋯⋯ちょ、ちょっと面白いかも。

 

「こら、あんた何サボって⋯⋯って、あら、ネイチャちゃんじゃないかい? どうしたんだい、何だかお腹抱えているみたいだけれど」

 

「ちょ、ちょっとツボに入っただけなので、お気になさらず⋯⋯ところでウメさん、あそこに居た占い師の子、どこに居るか知らない?」

 

「あー、あの明るい色の髪の毛した、元気な子かい? そういえば昨日処刑台の方に走っていったのを見たような⋯⋯」

 

「え、処刑台って昨日海賊達が騒ぎ起こしていた場所じゃん! あの子、大丈夫かなぁ⋯⋯」

 

 武器屋夫婦と別れた後も、何人かにあの子のことを聞いてみたけれど、ウメさん以上に詳しい情報を知っている人は1人も居なかった。

 

 こんなことになるなら、せめて名前くらいは聞いておけば良かったなぁ。まあ、今更な話だけれど。⋯⋯とりあえず、無事であることを祈っておこう。

 

「⋯⋯よし、買い物終わり! 今日はもう帰ろっかな」

 

 いつの間にか、随分時間が経っていたみたいで、すっかり夕暮れ時だ。帰り際にもう一度あの路地裏をちらっと見たけれどやっぱりあの子の姿はなくて、私はなんかモヤモヤした気持ちを抱えたまま、食堂へと帰る。

 

 すると、何だか食堂の方が騒がしい。もしかしたら何かトラブルでもあったのかと思って慌てて入り口の方へ駆け寄ると、その騒がしさの原因の1人は、どうやら私の知り合いのようだった。

 

「もうほんっと凄かったよね! ドゴーンで、ピカーンで、ドーン!! って感じで!! ターボすっごくドキドキした!!」

 

「んだんだ、その通りだべ。おれが受けたあの時の衝撃は、まさにそんな感じだったべ。さっすが、おれの盟友は話が分かるべ!」

 

 ⋯⋯うん、1人は知り合いだ。それは間違いない。あの目に痛いほどカラフルな髪の色をしたウマ娘は知っている限り1人しか居ないし。アレは私の友達のツインターボだ。間違いない。

 

 でも、隣にいるいかにも怖そうな顔したヤバい男だれ? え、なんでターボあんなのと仲良く話しているの?

 

「あ、ネイチャだ! おーい、ネイチャネイチャー! こっち来て一緒に話そーよー!!」

 

 しかも何か私呼んできたしぃ!? え、これ行かないと行けない流れ? ここで無視とかしちゃダメかな⋯⋯?

 

⋯⋯ま、無視したらターボ傷つくだろうし、そんなことはしないけれどね。隣の奴は正直すっごく怖いけれど! 今すぐ逃げ出したいけれど!!

 

「え、えーっと。ターボ、とりあえず久しぶり。ところで、その隣に居る男の人は⋯⋯?」

 

 ターボの隣の椅子に座った私は、おそるおそるそう尋ねてみることにした。すると、2人は同時に顔を見合わせ、首を傾げる。

 

「あれ、そういえば名前聞いてなかった! ねぇねぇ、名前なんていうの?」

 

「おれぁバルトロメオっつー名前だべ。そーいうおめーは⋯⋯んっと、ツインジェットでいいだべか?」

 

「ツインジェットじゃなくてツインターボ!」

 

 いやいや、名前も知らなかったのにあんなに仲良く話してたんかい。

 

 そうツッコミたいのをこらえた私は偉い。だって、私この人の名前聞いたことある。確か、マフィアのボスとかが同じ名前だった気がする。絶対に怒らせるようなことをしちゃいけない。

 

 ⋯⋯え、なんでターボはそんなヤバい奴と仲良くなってるの? え、全然分からない。頭パンクしそう。

 

「バルトロメオって長いね~。ロメ男でいい?」

 

「ああ、あの人に感銘を受けた同士であるおめーさんにそう呼ばれるなら大歓迎だべ。他の巫山戯た奴らなら許さねぇけんども」

 

「じゃーロメ男! さっき言ってた話、ネイチャがぴったりだと思うんだ! 仲間に加えてもいいかな?」

 

「ん~? そうなんだべか? まあ、おれぁあんましそういうのは得意じゃないから、ターボに任せるべ」

 

「え、ちょい待ち。仲間に加える加えないって、一体何の話?」

 

 なんか、いきなり私の名前が出てきたから一旦話を止める。何だか猛烈に嫌な予感がするのは、気のせいだろうか。いや、気のせいだと信じたい。

 

「ネイチャ! ターボ達と一緒に、海賊やろうよ!!」

 

「だべ!!」

 

 しかし、私の願いも虚しく、ターボの口から飛び出したのは、到底信じられないようなお願いで⋯⋯それからしばらく、ターボとバルトロメオが海賊団の名前で言い争っているのを、半ば呆然としながら聞くことしか出来なかったのであった。

 




次回は、再び本編に戻ります。
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