麦わらの一味『占い師』マチカネフクキタル   作:赤葉忍

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リトルガーデン編
謎の女、ミス・オールサンデー


「ビビ王女、無事に⋯⋯祖国で会いましょう」

 

 そう告げて、ビビになりすまし一足先に船を出したアラバスタの護衛隊長、イガラム。そんな彼の乗った船がたった今、目の前で爆撃され、炎上している。

 

 唖然とその光景を見ていた一同だったが、既に追っ手が迫っているというならばぐずぐずしている暇はない。

 

「立派だった!!」

 

 ルフィはイガラムの覚悟を讃え、炎上する船から背を向ける。ゾロやナミも、そんなルフィに続き、自分たちの船が泊めてある場所へと急ぐ。

 

「ビビ、急いで! 私達が見つかったら水の泡でしょ!? フクもショックなのは分かるけれど、立ち止まっている暇はないわよ!?」

 

 フクキタルは、ナミの言葉にはっと我に返る。あまりにもショッキングな出来事に、すっかり動揺していた。

 

(そ、そうです。あの人の無事を占っておかねば!!)

 

 フクキタルは不安になった時の癖で、いつものように水晶玉を取り出そうとする。しかし、その途中で、ビビの顔を見てそれを止めた。

 

 ビビは、血が出る程力強く自分の唇を噛みしめていた。きっと、イガラムはビビにとって大切な人だったのだろう。それでも、泣き叫んだり助けに行こうと駆け出したりしないのは、彼女に祖国を救うという使命があり、イガラムはそのために自ら囮を選んだからだ。

 

 フクキタルが占いをして、良い結果が出ればいい。しかし、もし悪い結果が出てしまったら⋯⋯? その時のことを思うと、フクキタルはイガラムの安否を占うことは出来なかったのであった。

 

 

 

〇〇〇〇〇

 

 

 あれから、まだ眠っていたウソップとサンジを文字通り引っ張って、急ぎウイスキーピークから出航したルフィたち一行。そんなルフィ達の下に、予期せぬ来客が訪れる。

 

「船を岩場にぶつけないように気をつけなきゃね。あー、追手から逃げられてよかった♡」

 

「なんであんたがこんな所にいるの!? ミス・オールサンデー!!!」

 

 手すりの上に座り、頬杖をつきながら薄く笑みを浮かべる美女。彼女の正体を知るビビは、その名を叫ぶ。

 

 ミス・オールサンデーは、ボスであるMr.0、つまり“王下八武海”、クロコダイルのパートナー。ビビは、彼女を尾行することでボスの正体を知ることが出来た。

 

 ただ、それはミス・オールサンデーがわざと尾行させていたからであり、ビビ達がボスの正体を知ったことを告げたのも彼女であったわけなのだが⋯⋯。

 

「あんたの目的は一体何なの!?」

 

「さぁね。あなた達が真剣だったから、つい協力しちゃったのよ。本気でバロックワークスを敵に回して国を救おうとしている王女様が⋯⋯あまりにバカバカしくてね」

 

「⋯⋯!! ナメんじゃないわよ!!」

 

 馬鹿にしたようにくすりと笑みを浮かべたミス・オールサンデーに、激昂して叫ぶビビ。しかし、ビビがミス・オールサンデーに手を出すより先に、ルフィ以外の全員が武器を向けていた。

 

 ウソップはパチンコを、ゾロは刀を。そしてナミは棒を構え、あのサンジでさえ銃を向けている。

 

 そんな中、武器らしい武器を持っていないフクキタルは水晶玉をバーンと前に掲げているので絵面は少しふざけた感じだが、本人の表情はいたって真剣そのものであった。

 

「⋯⋯そういう物騒なもの、私に向けないでくれる?」

 

 ため息まじりにミス・オールサンデーがそう言ったかと思えば、サンジとウソップは何かに引っ張られるように手すりから甲板へと落とされ、ゾロとナミの持っていた武器も落とされる。

 

 そして、フクキタルの持っていた水晶玉も叩き落とされ⋯⋯甲板の上に落ちた水晶玉は、パリィンと音を立てて綺麗に割れた。

 

「ふんぎゃーー!!? 私の水晶玉(10万ベリー)がぁぁぁ!?」

 

「おいお前! 帽子返せ! ケンカ売ってんじゃねぇかこのやろー!!」

 

 水晶玉を割られたフクキタルの嘆きの叫びと、麦わら帽子を取られたルフィの怒りの声が響く中、ミス・オールサンデーは全く動じる様子を見せず、帽子をルフィに返し、それと同時にビビにあるものを投げた。

 

「あなた達の記録指針(ログ・ポース)の進路を辿った先にある土地の名は、“リトルガーデン”。おそらく私たちが手を下さなくても、あなた達はそこで全滅するわ。だから、その永久指針(エターナルポース)をあげる。その指針が示すのはアラバスタ一つ手前の“何もない島”だから、追手も来ない」

 

 永久指針(エターナルポース)とは、記録指針(ログポース)とは異なり、特定の一つの島の磁力を記録し、永久にその島のみを指し続けるもの。もし、ミス・オールサンデーの言葉が真実ならば、記録(ログ)を辿るよりも安全に航海することが可能となる。

 

 しかし、当然ながら敵組織の実質ナンバー2とも呼べる存在の相手からの親切を、素直に受け取れるはずはない。ゾロなんかは、はっきりと「どうせ罠だろ⋯⋯」と口に出している。

 

「そ、そうだフク! こんな時こそお前の占いの出番じゃねぇか!?」

 

「た、確かに!! いいことを言いますねウソップさん!! ちょっとこの背中の“にゃーさん”から予備の水晶を出しますので、しばしお待ちを⋯⋯」

 

「いや、その必要はねぇぞ、フク」

 

 背負っている猫型のカバンから水晶玉を取り出そうとしたフクキタルを止めたのは、ルフィであった。ルフィは、フクキタルの前を通り過ぎ、ビビに近づくと、その手から永久指針(エターナルポース)を奪い、力いっぱい握りつぶした。

 

「あのなぁ! この船の進路を、お前が決めるなよ!!」

 

「⋯⋯そう、残念。私は威勢のいい奴は嫌いじゃないわ。生きていたらまた逢いましょう」

 

「いや」

 

 また逢おうというミス・オールサンデーに対し、ルフィの返答はあまりにもそっけないものだったが、ミス・オールサンデーは怒った様子もなく、大きな亀に乗って去っていった。

 

「⋯⋯⋯⋯?」

 

 その去り際、ミス・オールサンデーはちらりとフクキタルの方を見たが、特に何か言うわけでもなく、視線だけを向けられたフクキタルは、不思議そうに首を傾げるのであった。

 

 

 

「⋯⋯モンキー・D・ルフィに、“ウマ娘”。何故、“D”と“ウマ娘”は、いつも時代の渦の中心にいるのかしら」

 

 ミス・オールサンデーが握りしめる新聞の一面。そこにデカデカと載るのは、王冠を被ったウマ娘の写真と、こんな見出しであった。

 

『“覇王海賊団”、聖地マリージョアにて前代未聞の8時間ぶっ通しオペラ公演。大将“黄猿”が出動するも確保には至らず』

 

 

「⋯⋯さて、まずは“リトルガーデン”。見物ね」

 

 そう呟くミス・オールサンデーの表情からは、やはり何を考えているかは読み取れないのであった。

 




イガラムさん、これで何で生きてるんだろうね。ペルも生きていたしアラバスタ民耐久高過ぎ。なおツメゲリ部隊。
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