ポケットモンスター~WORLD TOUR~ 作:ゼクスバーナー
僕達が先を急いで階段を駆け上がっていると、黒い服を着た人……、おつきみ山でナツキさんが戦ったあの人が立っていた。
「ん、あれ?君達って確かおつきみ山で邪魔をしてくれた……」
「ロケット団……さっきの爆発もお前たちの仕業か!」
僕はランスさんに言い放つ。
「正確には俺は関係ないかなー。さしずめ、最上階で探し物をしてるラムダさんがポケモンにじばく使わせてドンパチやってるんじゃない?」
「だったらそこを……」
「んー、嫌だね」
僕が言い切る前にランスさんは拒否した。
「そこをどけって言いたいんだろ?これでも一応組織の人間だからね作戦通り動いていないと後でこわーいお姉さんに怒られちゃうからね。でもまぁ……」
ランスさんはボールを出して言葉を続ける。
「見回りも暇だし1人で2人も足止めすんのもメンドーだからさ、どっちかかかってきなよ。そしたらもう片方は通してあげるよ」
ランスさんとの勝負に僕が名乗り出ようとした時だった。僕を抑えてナツキさんが前に出た。
「ランスさん、私と勝負してください。おつきみ山でのリベンジです」
「ちょっ、ナツキさん!?」
「ここは私に任せてよ。どのみち上に行ったらもう1人はいるわけだし、ラムダって人に一度ハルトくんは勝ってるしお願いしていい?」
……。確かにナツキさんの言う通りだ。
「じゃあナツキさん、ここは任せたよ」
「うん、任せちゃって!」
「んじゃ、俺の相手はこないだの女の子ってことでもう片方の君は通っていいよ」
ランスさんが道をあけてくれたので僕はこの場をナツキさんに任せて最上階へと階段を駆け上がって向かった。
「じゃあリベンジマッチ……になるかどうかは分からないけど始めますか……。ルールは使用ポケモン1体のシングルバトル。出てこい!ゴルバット!」
「今度こそ勝ちますよ!ニョロゾ、GO!」
ナツキside……
「へぇ、今度はニョロゾかぁ。見た所少しは鍛えてあるっぽいじゃん」
「あまり舐めない方が良いですよ」
フィールドは少し広めの踊場、公式戦で使うフィールドより狭いけど小型のポケモンなら十分の場所で私はランスって人と対峙している。
ハルトくんを先に行かせたのはこの人におつきみ山でのリベンジをしたいのと最上階に居るラムダっていう人に一度勝っているハルトくんを戦わせればいいと思ったってのもあるけど、なによりカスミさんとの特訓で強くなったっていうのをこの人に勝って証明したい。
「レディーファーストでそっちからどうぞ」
「舐めない方が良いですよって言いましたけど、そういうことなら喜んで!ニョロゾ、あまごい!!」
指示をするとニョロゾは両手を上に上げて雨雲を作り雨を降らせた。
「へー、自分に有利な環境にしたわけか。けどその程度なら大したことないね。ゴルバット、エアカッター!!」
ゴルバットが翼を羽ばたかせて空気の刃を作って攻撃してきた。……けど、大丈夫!!
「ニョロゾ、かわしてバブルこうせん!!」
ニョロゾは迫りくるエアカッターへ突っ込んだ。
「一直線に突っ込んで避けきれるとでも……」
「思ってるよ!」
次の瞬間、ニョロゾは一気に速度を上げてゴルバットの背後を取りバブルこうせんを命中させた。
「何!?ゴルバット負けるな!つばさでうつだ!」
ニョロゾの攻撃に耐えたゴルバットは体制を立て直してニョロゾに攻撃をしかけるも、ニョロゾは素早く避けてみずでっぽうで迎撃する。
「くっ、なんでだ!なんでこっちの攻撃が当たらない!」
「それはあなたが油断してるから……ってのは嘘ですけどちゃんとカラクリはありますよ?教えませんけどね」
「ちぃ!ゴルバット、スピードスター!!」
「ニョロゾ、攻撃食らうの覚悟でのしかかり!」
お互いの指示が飛んだあと、ポケモンも攻撃モーションに入った。ニョロゾはとあるカラクリで素早く動くも必中技の為少し攻撃を食らった。けどゴルバットにトドメの一撃を入れるためにゴルバットの頭上に飛び、のしかかりをおみまいした。
「ゴルバット!」
ランスさんがゴルバットを呼ぶがゴルバットはニョロゾの下敷きになって目を回して倒れていた。
「ニョロゾ!やったね!!」
ゴルバットが戦闘不能になったのを確認するとニョロゾは私の所に駆け寄ってきてハイタッチをした。
「お疲れ、ニョロゾ」
私はそう言ってニョロゾをボールに戻すとランスさんもゴルバットをボールに戻していた。
「ふぅ……今回は完敗だよ。こないだよりも強くなってるし、それにカラクリってなんすか?」
両手をあげて降参した素振を見せたランスさんに私は解説した。
「まず、ニョロゾの特性が普通のニョロゾの特性とは違うんですよ。夢特性って知ってます?これはハナダジムのジムリーダーさんに教わったんですけど、ニョロゾの夢特性はすいすい、天候が雨の時に素早さが2倍になるんです。そしてあまごいのおかげでみずタイプの技も強化されるので全体的に強化されるって寸法です」
「なるほどね……夢特性か。……ほら、さっきの彼を追いかけな。そんで次に会った時今度は俺が勝つよ」
ランスさんは道をあけてハルトくんを追いかけるように言ってくれた。
「今回手も足も出なかった人には負けませんよ。また挑んで来たら今度は返り討ちにしてあげます」
私はそれだけ言ってハルトくんを追いかけるべく最上階へと向かった。
ハルトside……
階段を駆け上がり、やっとこさ最上階へと到着した。
「はぁ……はぁ……」
さすがに1階からほぼノンストップで駆け上がると息切れを起こすね……。けど……。
「そこまでだロケット団!!」
僕は目の前で何かを探し続けている紫色の髪をした男……ラムダさんに向かって叫んだ。
「あぁ?……ってお前は確かおつきみ山の!!」
僕に気が付いたラムダさんは言葉を続ける。
「ちぃ、さっきの爆発で騒ぎを起こしたから来たってのか……。けど探し物するのに墓は邪魔だしなぁ……。ドガース、じばくだ」
ラムダさんが指示をした瞬間最上階の壁が吹き飛び爆風が晴れると外から最上階の様子が丸わかりの状態になった。そして墓の多くが粉々にされていた。
「ふぃ~。これで探し物もはかどるかね~……ってなんだポケモンいんじゃねぇか」
ラムダさんの視線の先にはここを住処にしていたゴースが慌てふためいていた。
「ゴース!!」
僕がゴースを呼ぶとゴースは僕に気づいて急いで僕のところへやってきた。
「なんだ?お前のポケモンか?」
「いや……まだ僕のポケモンではないけど。墓を粉々にするなんて何を考えているんですか」
僕はラムダさんを睨みつけて言うが、ラムダさんはまったく気にしていなかった。
「とっくに死んでるポケモンの墓なんかどーだっていいだろ。どうせ改築してラジオ塔になるんだし墓の撤去が早くなっただけって思えばいい。そもそもなんでこんなとこにレポートなんて隠しとくかなぁ……探すのめんどくせぇんだけど」
ラムダさんのこの発言に僕はカチンときた。
「あなた達は……本当に身勝手ですね……。自分達の都合で墓を荒らし、今は眠ってる存在でも確かに生きていたポケモンとそのポケモンと過ごしたかけがえのない時間と思い出を持った人達をあなたは侮辱した!!」
「お?なんだなんだ??何をムキになっちゃってんの?お前のポケモン死んだわけじゃねぇだろ?」
「ここでずっとひとりぼっちで過ごしていたゴースと死んだポケモンとその親だった人達に謝ってもらう」
「嫌だと言ったら?」
「ここであなたを……ぶちのめす!」
「上等だ!こないだの俺と一緒にすんなよ!!出てこいマタドガス、ドガース!」
ラムダさんは2つボールを投げてポケモンを繰り出してきた。
恐らくポケモンハウスで見えた爆発で使われたのもドガースかマタドガスのはずならあれで1体。そしてさっきの爆発でドガース3体……ということは残りのポケモンは今出ている2体だけ!
「ゴース、お前の住処を荒らした奴だ。許せないと思うなら一緒に戦ってくれ」
僕がゴースの方に向き、頼むとゴースはもちろん!と答え前へ出た。もう1体だけど……。
「ボス、頼むよ!!」
ボールをグラグラ揺らして俺を出せと言わんばかりにアピールするボスを出した。
ナツキside……
(はぁ……はぁ……。そろそろ最上階だよね、ハルトくん大丈夫かな)
息を切らしながら私は階段を登り、そろそろ最上階に着くというところで大きな音が聞こえた。そういえばさっき、また爆発音が聞こえたから心配だな。
「急がなきゃ……」
私は更に急いで最上階に向かい、到着すると見るも無残な光景があった。
ハルトside……
「……えーっと、これはどういったことで?」
後ろから声がしたので振り返るとナツキさんが居た。
「見ての通りかな……、ボスが大暴れしてラムダさんのポケモンとラムダさんボッコボコにしちゃった」
2VS2のバトルのハズだったのだが、ボスがラムダさんの話を聞いて堪忍袋の緒が切れたらしく、ゴースを置いてまずはドガースをワンパンで倒し、マタドガスを殴り飛ばしたのちにラムダさんの胸倉掴んでフルボッコ……。というわけだ。
「ハルト、終わったぞ」
「ボス……やりすぎ」
「すまん」
僕はボスをボールに戻しため息をついた。ボスがボコボコにしてるの見て逆に気分がスカッとしてる自分が恐ろしい。
「あーあ、ラムダさん派手にやられちゃって。結局レポートも見つからなかった感じっすね」
「「!?」」
どこから声がしたかと思い辺りを見回したら、どこからともなくランスさんが現れラムダさんの腰からボールを取り出し倒れているポケモンを素早く戻した。
「今回も君たちのおかげで任務失敗だね。今日のところは引き上げるとするよ」
すると、ランスさんはじゃあねと最後に言い、煙玉を放ってラムダさん共々どこかへ消えてしまった。
その後、フジさんとフジさんが通報してやってきたジュンサーさん達がやってきて僕達は一度ポケモンハウスに戻り今回の件について色々と聴取された。
「なるほど……色々と教えてくれてありがとう」
ジュンサーさん達はひとしきり聞くこと聞いて帰って行った。
「……すみません。ゴースは助けて来ましたけどお墓を……」
僕は下を向きながら申し訳ないとフジさんに謝った。
「いいんだよ……。というかあのフロアはタワーに住み着くポケモン達の為に作ってあるフロアだからね、あそこで眠ってるポケモンはいないよ」
「「はぃ?」」
僕とナツキさんは同時に聞き返した。
「最上階は君が連れ帰ってきたゴースをはじめ、他のゴーストタイプのポケモンが住処として使ってたフロアでわたしはそこに時々行くんだけどそこには誰の墓もないんだよ。ただ単にゴーストタイプのポケモン達が住みやすくするために置いてあるだけなんだよ」
……。今さっきまでの怒りや沈んだ気持ちの時間を返してくれ……。
「あ、でもロケット団の連中が言ってたレポートってのはなんなんですか?」
フジさんはあぁ……と答えるとそれならゴースが持ってるよと僕の後ろをふわふわ漂っているゴースを指さした。
すると、ゴースはこれ?と舌に1つのディスクを乗せて身体から取り出した。
「おそらくこれのことだと思うよ。なんのレポートかは知らないけどずっとゴースが持ってるみたいだったね。ポケモン関連ならグレンタウンの研究所へ行けば何か分かるんじゃないかな?」
ふむ……これでまた1つグレンタウンへ行く用事が増えたな。にしてもなんでこのディスク……レポートとやらをロケット団は探していたのだろうか。
「ところで、ハルトくん。もうゴースは捕まえたのかな?」
「あ、まだです」
「じゃあ早くボールに入れてあげるといい、住処は壊されちゃったし外の世界を見せてあげるにもずっと外にだしっぱという訳にもいかないだろうしね」
僕はフジさんの言う通りゴースにボールを当てた。ゴースは大人しくボールに入り僕に捕まえられたことになった。
シオンタウンでのロケット団騒動から2日後の朝、僕とナツキさんはタマムシシティへ向うべくシオンタウンの西にある8番道路の手前に居た。
「それじゃあ僕達はそろそろ行きますね」
「フジさんお元気で!」
「うん。ハルトくん、ゴースをよろしくね。あ、あとナツキさんに渡すの忘れてたんだけどこれをあげるよ」
そう言ってナツキさんに手渡したのはリコーダーみたいな笛だった。
「これはポケモンのふえ。眠ってるポケモンが居たらこれを吹けば起こすことが出来るよ。まぁ何かで必要になった時の為にあげます」
「ありがとうございます!大切に使いますね!」
ふえを貰ったナツキさんはとても嬉しそうだった。にしても……、カズマさんの時といい、今回といいナツキさんだけレアなもの貰ってる……いいなぁ。いや、別にコハクが不服とか新しい仲間が嫌なわけじゃないけどね。
「じゃあ2人とも元気でね」
「「はい!!」」
僕達はフジさんと握手をしてシオンタウンを旅立った。
予想外に後編が長かった件←
次の章では遂にあの人が……!!