ポケットモンスター~WORLD TOUR~ 作:ゼクスバーナー
「ラフレシア、にほんばれ!」
エリカさんの指示のあとラフレシアが何かを歌い、ジムの窓から日が差し込んできた。
「くさタイプに有利な状況にしたわけですね……。ブイ、でんこうせっかで撹乱だ!」
「そうはいきませんわ!ラフレシア、ソーラービーム!!」
ブイが攻撃を仕掛けに行った直後にラフレシアは図太いビームを発射しブイに直撃した。
「ブイ!!」
爆風が晴れるとそこにはなんとか持ちこたえているブイがいた。かなり危ないな……そしてにほんばれでチャージしなくても発射できるソーラービームはかなり厄介だ……。
「今のを耐えますか……よく育っていますわね。ですが……次は無いですわよ、ラフレシアもう一回ソーラービーム!!」
「ブイみきりで避けてでんこうせっかで移動しつつすなかけで撹乱!!」
ブイは指示通りみきりを使ってソーラービームを避け、でんこうせっかで移動しつつすなかけで命中率を下げながら撹乱していく。
「一度に沢山言われた指示もきちんとこなせるのもよく育っている証拠ですわね。ですが……素早さなら負けませんわよ?」
エリカさんがニコッと笑ったかと思えばラフレシアの動きがかなり俊敏になった。なんでだ……!?
「特性……ようりょくそですわ。天候が晴れ……日差しが強い場合素早さが2倍になるという特性。先程のソーラービームは日差しが強いことによって速射出来ただけでなく、この特性が相まって相手より早く行動出来るのです。バトルにおいて素早さはかなり重要なのですよ」
「なるほど……けどトリックさえ分かればそこまで気にする程じゃない。ブイ、とっておき!」
ブイは白い光を纏いラフレシアに突っ込んだ。
ズドーンと大きな音が鳴り、辺りは衝突したときの煙で見えなかった。
「中々の威力の技でしたが……、わたくしのラフレシアはそこまでやわじゃありませんわよ?」
煙が晴れるとブイの攻撃を防いで耐えているラフレシアの姿があった。ブイはラフレシアに完全に捕まっている。
「耐えた……!?」
いや……。草原のフィールドには押されて出来た跡がある……。パワーでねじ込んだけど耐えきったのか!
「そろそろ日差しも弱まってきましたわね……。ならトドメはこの技で決めましょう。ラフレシア、はなびらのまい!!」
「ブイ逃げろ!!」
僕はそう叫ぶが、今までのダメージが溜まってラフレシアに掴まれている状態から抜け出すことが出来なかった。一方ラフレシアは身体の周りに花びらを出現させ、それをブイに命中させた。
「確かに……バトルにおいて、命中率も重要ですが……。捕まえている状況ではずしはしませんわ」
はなびらのまいが命中したブイは吹き飛ばされ、倒れてしまった。
「イーブイ戦闘不能!ラフレシアの勝利!!」
審判役の方がそう宣言し、僕はブイにお疲れと言ってボールに戻した。
「これで残るは1体ですわね……」
「ふぅ……。まさかここまで追い込まれるとは」
今までも残り1VS1の状況のジム戦やバトルはやってきたけど、このジム戦程自分の考える作戦が見破られたり、予想外な戦略で攻められることがなかったからなぁ……。
(正直に思う……この人は強い。タケシさんやカスミさん。……マチスさんはジム戦ってわけじゃなかったけど……それぞれバッジの数で手加減したり、きっちり育て上げたポケモンを使ってきた。けど、この人はそれを更に活かせる作戦を2重3重と用意している。けど……。)
「それでも負けるわけにはいかない!最後の1体は君だ!!フッシー!!」
僕はボールを投げてフッシーを繰り出す。
「その子も昨日のフシギソウですわね」
「えぇ……。ブイと同じでマサラを旅立つ時からずっと一緒の仲間です。彼も僕の相棒ですよ」
「ふふっ、くさタイプは見るだけでどんな子かはすぐ分かりますけどその子もしっかり育っているようですわね。そしてハルトさんを1番信頼している……そんな気がしますわ」
エリカさんはまたニコッと笑って口を開いた。
「では、最後の勝負です!」
「望むところですよ!」
僕とエリカさんは同時に指示を出した。
「ラフレシア、はなびらのまい!!」
「フッシー、パワーウィップ!!」
2体のポケモンの技は同時にぶつかり爆発した。
「中々やりますわね」
「そっちもですよ」
ラフレシアはブイの最後の一撃を防いだとはいえ多少のダメージは受けている。フッシーの持ってる力を使って全力でぶつかれば勝てない相手じゃない!!
「パワーは互角なら素早さで圧倒します!ラフレシア、もう一度にほんばれ!」
またジムに日差しが差し込み、ラフレシアの素早さが上がった。
「ラフレシア、ソーラービーム!!」
「フッシー、ダメージ覚悟でもう一度パワーウィップ!!」
日差しが強いためまたチャージすることなくソーラービームは発射されフッシーに直撃した。しかし、フッシーはそれを耐えラフレシアに技を命中させた。
「お互いくさとどくの複合タイプ。くさタイプの技では本来与えられるダメージの4分の1程度にしかなりませんわね」
「えぇ。だから勝敗を決めるのはいかにトレーナーが良い指示をだすかどうか……。」
「わたくし、負けませんわよ?」
「こっちも負ける気はないです!フッシー、やどりぎのタネを地面に植えてラフレシアにはっぱカッター!」
指示通りフッシーはフィールドの隅々に種を植えていき、ラフレシアに牽制で攻撃する。
「その程度……!ソーラービーム!!」
はっぱカッターはビームによって消滅しフッシーに直撃した。
「フッシー、せいちょうだ!!」
「なるほど……そちらも天候を活かして能力を上げるのですね。だったら上がりきる前に倒します!!くさタイプの技がダメならどくです!ラフレシア、ようかいえき!!」
ラフレシアはフッシーがせいちょうを使って能力を上げて動けないうちに畳み掛けてきた。数発放たれたようかいえきは2発ほど受けてしまったがそれ以外はブイのすなかけで下げられた命中率のおかげではずした。
「さぁ能力を上げきったところで逆襲といこうかフッシー」
僕がフッシーに話しかけるとフッシーは頷きながらうん!と答えた。
「何をしようとするか分かりませんけど能力を上げた所でわたくしのラフレシアには勝てませんわよ!」
エリカさんがラフレシアに指示を出そうとした時だった。
「フッシー!植えておいたタネを発芽してラフレシアの動きを封じるんだ!!」
「なっ!?」
植えておいたタネは草原のフィールドと日差しが強いことも相まってか、今までで一番急速にそしてとてつもなく大きく育ち、ラフレシアを閉じ込める檻になった。
これにはエリカさんも驚き、そして関心していた。
「なるほど……やどりぎのタネをこういう風に使うとは……。くさタイプには効かない技をうまく使ったわけですわね」
「えぇ……。それにどうやら良い時間稼ぎになりそうですね」
「時間稼ぎ……?」
「ラフレシアが檻を壊すまでに最高の一撃を用意することが出来そうです」
「……まさか!?」
「そのまさかですよ。フッシー、ソーラービームだ」
僕がフッシーに指示を出すと、フッシーは速射出来るはずのビームのエネルギーを溜め始めた。
「放てるのにあえて放たないでパワーを溜めているのですね」
まだにほんばれの効果は続いており、ラフレシアはようかいえきで素早く檻を壊そうとしているし、ソーラービームも溜め無しで放てる。
「理由は4分の1にダメージが減るからせいちょうの効果と極力チャージしたビームを放ちたいといったところでしょうか……。それならこちらだって応戦させてもらいますわ!ラフレシア、ようかいえきで溶けた部分にソーラービーム!!」
ラフレシアは溜め無しのソーラービームをようかいえきで檻の一部分が溶けて脆くなった場所をぶち破り、フッシー目掛けて放った。
そしてソーラービームはフッシーに直撃した。
……はずだった。
「まさか……!?」
直撃したかと思われたビームはフッシーによって吸収されフッシーは最高点まで溜めきった。
「さぁフッシー!倍返しといこうじゃないか!ぶっ放せ!ソーラービーム!!!」
フッシーから放たれたビームはとても眩しく輝いていた。そして大きな爆発音がバトルの終わりを告げた。
ズドォォォォォォン!!!!
大きな爆発音のあと、煙が晴れるといつかみた光景が広がっていた。
「じ、ジムが……」
「「「「消し飛んだぁ!!??」」」」
これにはさすがに僕もエリカさんだけでなく観客席で見ていたナツキさんやジムトレーナーの方々も驚きを隠せなかった。
フッシーから放たれたソーラービームはラフレシアを飲み込みエリカさんの遥か後方へ。あまりの威力と衝撃でジムの壁が半壊。フィールドもほとんど焼野原。当然ラフレシアは戦闘不能となった。
(いやー……うん、まさかここまでなるとは思わなかったなぁ)
何故ここまでの大事になったかと言うと……。
「ハルトさんとフッシー?でしたっけ。お二方にはびっくりさせられましたわ。まさか進化するなんて」
そう。フッシーはあの超土壇場にて進化したのだ。……ざっくり簡単に言うならばこの通りなのだが、詳しく言うとこうなる。
せいちょう使用で能力UP。速射せずに限界までソーラービームのエネルギーを溜める。ラフレシアから放たれたソーラービームを吸収するも限界点以上のエネルギーでダメージを受けて特性のしんりょくが発動。おまけに過剰なエネルギーのせいで土壇場で進化、そして進化の際に現れたエネルギーもろともビームとして発射。フシギバナとしての能力も相まってジムを半壊させる威力となった。
……つまる話、オーバーキル。
(というか……これだけあって半壊で済むジムの強度も中々なものが気がする……。あれだね、カズマさんのプテラに近いとこまでいったね、これ)
フッシーはフッシーでなんか清々しい顔してるけど……まぁいっかと心の中に留めた。
その後ジムを半壊させたことによりジュンサーさん達がやってきて事情を説明したりなんやかんやで解放されたのはその日の夜だった。
「ハルトくん色々とお疲れ様!」
「ホント色々と疲れたよ……」
解放された僕達は噴水の近くのベンチに座っていた。そして実はまだバッジを貰っていない。エリカさんがジムリーダーとして色々と話してくれているみたいで僕達は先に解放されたのだが、エリカさんはまだ当分忙しそうだ。
「フッシーが進化してフシギバナになったのもびっくりだけど。今回結構手強かったんじゃない?」
「うん、そうだね。土壇場で進化するにしてもまさかあそことは思わなかったし……。けど、やっぱり今回は苦戦したね。カスミさんとの特訓で強くなってる自信はあったんだけどそれでもやっぱりエリカさんは強かった。まだまだ未熟だよ僕は」
言い切ってため息を吐くとナツキさんが口を開いた。
「じゃあこれからもっともっと強くならなきゃね!」
「うん……。今まで以上にもっと強くならなきゃ!!」
そう宣言した時、誰かに名前を呼ばれた。そしてその方向を見るとついさっきまで戦っていたあの人が居た。
「エリカさん!」
「すいません、色々と話をしてて遅くなりましたわ」
「いや、むしろジムを壊してしまってすみませんでした!!」
僕が謝って頭を下げるとエリカさんは大丈夫ですわよと答え、頭を上げてくださいと言ってくれた。
「はい、こちらがレインボーバッジですわ」
そう言ってエリカさんは僕の手を掴んでバッジを渡してくれた。
「いいんですか?」
「何がです?わたくしに勝ちましたしハルトさんとポケモンの絆や思いやりの力を見ることが出来たので差し上げますわ」
エリカさんはニコッと笑い、おめでとう!と言ってくれた。ナツキさんも同時におめでとう!と言ってくれた。
「で、本題に入りたいのですがよろしいですか?」
「「本題?」」
エリカさんに思わず僕達2人とも聞き返してしまった。本題って……。
「ジムの件ですわ」
「「ですよねー……」」
「ジムの修理費等々はバトルでポケモン達が力を競って起きたことなのでタマムシジムやカントーのポケモン協会側が出すので気にしないでください」
ほっ……よかった。馬鹿でかい金額を請求されるもんだと思ってた……。
「ですが、工事作業をするのに現在ヤマブキシティの4つのゲートすべてが封鎖されており、みなさんセキチク経由で大回りでタマムシまで来るため、工事作業が遅れジム再開まで長い時間がかかってしまいます」
「……手伝えってことですね?」
「はい、その通りですわ」
僕はナツキさんの方を向いてごめんと謝るとナツキさんはまぁしょうがないよと答えた。
「ですが、ただ手伝うだけではあれなので……ジム再開出来るまで工事の手伝いとは別で、わたくしが特訓の指導をさせてもらいますわ。もちろんお二方共指導しますわ」
「「!!??」」
「指導が嫌なら断ってくださっても構いませんけど、工事が終わるまではタマムシ近辺から出ることは出来ませんよ?」
「ハルトくん……」
「ナツキさん……」
僕達はお互い顔を見合って、やろう!と言った。
「はい、了解しましたわ。では本日はどうもありがとうございました。また明日の朝ここに集まってください。それでは……」
「いえ、こちらこそありがとうございました!」
僕達はエリカさんと挨拶をして、ポケセンへと帰りじっくり休んだ。明日から忙しくなりそうだな……。
次の章でFC2に投稿してある『ポケットモンスター~WORLD TOUR~』の内容は終わりです。
その更に続きが早く読みたいという方は『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』をご覧ください!!