ポケットモンスター~WORLD TOUR~ 作:ゼクスバーナー
「なっ……」
目の前に広がる風景に僕は言葉を失った。噴火による衝撃で建物などが崩れ、窓ガラスは飛び散っている。そして山から物凄い勢いで溶岩流が流れ込み街の一部を飲み込み始めていた。
「依然として山から流れてくる溶岩流の速度は落ちていない……。このままだと避難しても飲み込まれる……!」
「溶岩流……私が食い止めます!」
カツラさんがそう言うとナツキさんが名乗りを上げた。
「ナツキちゃん!?無謀だ!」
「いえ!やります!!」
レッドさんが反対するもナツキさんは譲らず1つのボールを取り出した。……ハイパーボール?もしかして!
「力を貸してフリーザー!」
ナツキさんは空高くボールを投げフリーザーを出した。これにはレッドさんやカツラさんも面食らったようだった。
「フリーザーの冷気なら溶岩流を冷やし固められると思います!」
レッドさんとカツラさんはお互いの顔を見合わせて頷いた。
「じゃあナツキちゃんは溶岩流を食い止めて!カツラさんは街の人々の救助を!ハルトくんは俺と空から取り残された人やポケモンの救助に行くぞ!」
レッドさんが指示するとナツキさんはフリーザーと共に溶岩流を食い止めに、カツラさんは自分のポケモンをボールからありったけ出し、救助へ向った。
「ところでレッドさん空から云々と言いましたがどうやって?」
ナツキさんやカツラさんの遠ざかる背を見ながら僕はレッドさんに尋ねた。
「言ったまんまだな。俺はリザードンに乗るからお前も空を飛ぶんだ」
「いやいやいや、僕人間ですよ!?レッ○ブルでも飲んで翼を授けられろとでも!?」
「なにをアホなこと言ってんだ?研究所でコハク渡してただろ?」
「そうですけど……急いで飛び出してきたから復元されたかどうか分かりませんよ?」
コハクを渡した研究員の方も避難したようで研究所内は完全に無人。コハクがどうなっているのか今は分からない……。
しかし、僕のそんな疑問は研究所の天井諸共吹き飛んだ。
ズドォォォォォォン!!
噴火した時とはまた違った音が研究所の方からして振り向くと研究所の一角から青白い光が空へと昇っていた。
光が消えると研究所から何かが飛び僕の前に姿を現した。
「プテラ……?」
「コハクから復元されるって言ったらこいつくらいしか思いつかないからな」
僕達の目の前に降り立ったプテラはカズマさんが連れているプテラと何か雰囲気が違う……。
カズマさんのプテラは右目に傷を負っているのに対して目の前にいるプテラは左頬に斜めに大きな2本の傷……まるで爪か何かで引っかかれたような傷がある。
そしてカズマさんのプテラは獰猛、凶暴、荒々しいという言葉が似合うけど目の前にいるプテラはどこか落ち着いていて例えるなら歴戦の勇者……?堂々としててカッコいい。
「お前が俺の主か……?」
色々と考えているとプテラが僕に話しかけてきた。
「え?あ、うん」
そう答えるとプテラは目を閉じてそうかと答えた。
「まさか目を覚ましたらこんな地獄絵図みたいな世界とは思わなかったな……。主よ俺をどうする?」
「……。力を貸してほしい。そして出来る事なら君と旅をしたい」
するとプテラはいいだろうと呟いた。
「主よ、名は?」
「ハルト。よろしくね……えーっと……レイ!!」
「レイか……悪くはないな」
レイは目を開きニヤッとして僕を見つめる。僕はボールを取り出してレイをボールに入れ、もう一度外に出す。
「どうやら話は終わったようだな」
レッドさんがニヤニヤしながら僕を見てくるので僕ははいと答えた。
「んじゃま、行こうか!出てこいリザードン」
レッドさんはリザードンをボールから出して背中に乗る。それを見た僕はレイに話しかけた。
「流石に背中には乗れないよね……?」
「乗れなくはないと思うが……こっちの方が楽だな」
「……え?」
レイは足で僕の肩を掴んで飛翔した……ってちょっと待てぇぇぇぇぇ!!
「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!っぷ……」
いきなり空を飛んだかと思えば今度はいきなり空中で停止した……気持ちわるぅ……もうちょっと丁寧に飛んで貰おう……。
「おー、ハルト無事……じゃなさそうだな」
リザードンに乗って僕とレイに追いついたレッドさんは僕の様子を見て笑っている……。
「いや、でも背中に翼が生えてるみたいでかっこいいと思うぞ、うん」
「もういいですから早く救助の方に行きましょうよ」
僕がそう言うとまだ笑い続けながらそうだなとレッドさんは答え、僕達は溶岩流が流れ出してきている火山へ向った。
そして数時間後……。
「やっと止まったぁ……」
『ナツキよ、よく頑張った』
「「おーい!」」
疲れ切って地面に座り込むナツキさんとその近くで飛んでいるフリーザーの元へ向かい、僕とレッドさんは降り立った。
「おぉ、ハルトくんにレッドくん。そちらはどうだ?」
「逃げ遅れた人もポケモンもなんとか救助出来ましたよ。けど……」
カツラさんの問いにレッドさんは答え、その途中で街を見つめ、言葉を続けた。
「街の殆どが飲み込まれましたね……」
ナツキさんとフリーザーが冷気で溶岩流をなんとか押しとどめようと頑張ってくれたが勢いは止まらず、結果グレンタウンの南側……ポケモンセンターと少しの陸地を残してすべてが溶岩流に飲み込まれてしまった。
「ごめんなさい……私にもう少し力があれば……」
そう言うナツキさんは俯いていた。
「そんなことないよ。ナツキさんが居なかったら僕達は救助に専念出来なかったし、もしかしたら街が全部溶岩流で飲み込まれてたかもしれない。誰もナツキさんを責めたりしないよ」
僕がそう言うとナツキさんはありがとうと答えた。
「で、これからどうしますカツラさん。これじゃあグレンに人は住めないですよね」
「うむ……マサラとセキチクにお世話になるだろうな……」
レッドさんの問いにカツラさんが答えたところで僕はカツラさんに尋ねた。
「あの……こんな時に言うのもどうかとは思うんですけどジムはどうなりますかね……?」
「しばらく休業だな……ふたごじまの一角にでも新しく作って……と言っても当分無理だな」
ですよねー……。僕が溜息をつくとカツラさんはなにやらポケットから物を取り出して僕とナツキさんに手渡した。
「え……?」
「これって……!」
僕とナツキさんは手渡されたものを見て驚いた。なんと渡されたものはクリムゾンバッジだった。
「今日のお礼と言ってはなんだが受け取ってくれ」
カツラさんはニカッと笑ってそう言った。
その日の夜、僕達は難を逃れたグレンタウンのポケセンで休むことした。街の人々も使用するため狭い1人部屋を僕とナツキさんの2人で使うことになった。
「これでバッジ6個目か……。なんか今まで貰ってきたバッジの中で一番重みを感じる」
僕はソファーに座りながらバッジケースを眺めて呟いた。ちなみにナツキさんはベッドに座ってそれを聞いている。
「私は初めてのジムバッジだけどハルトくんが言っていることなんとなく分かる気がする」
ナツキさんがそう言って暫く部屋は静まるもナツキさんが話し始める。
「明日からどうする?レッドさんやカツラさんは旅を続けてくれって言ってたけど手伝った方がいいのかな?」
「んー……。けど今回はいつかのジムを半壊させた時とはまるで比べものにならない規模の事件でしょ?下手に首突っ込むと邪魔になると思う」
僕がそう言うとナツキさんはそっか、そうだよねと言いまた暫く部屋が静まった。んー……。
僕は立ち上がってナツキさんの目の前まで行き一息つく。
「いぃぃぃぃよいしょぉぉぉぉ!!!!」
バチーン!!
「いったぁー!!いきなり両方のほっぺ叩かないでよ!!」
そういうナツキさんの頬は若干赤くなり、目には涙を浮かべていた。
「いつもの元気なナツキさんはどこいったの?街の事……気にするなと言っても無理だろうけど後のことはレッドさんやカツラさんに任せて切り替えよ?ナツキさんがしょんぼりしてるとポケモン達も心配するよ」
「……。うん、そうだね。よーし!」
どうやらナツキさんは少し元気になっ……バチーン!!
「いったぁ!!」
「へへっ、お返しだよハルトくん♪」
僕がやったことをそのままやり返したナツキさんは舌を少しだしてベーッと言った。こりゃ少しじゃないな殆ど復活してるね……。元気になったからいいけどさ。
「で、明日からどうしよっか?」
まだ痛む頬を手で押さえる僕をよそにナツキさんは今までのように予定をどうするか尋ねてきた。
「いてて……。そうだなぁ、カツラさんに聞いたけどまだヤマブキのゲートは封鎖されてるみたいだから……。そうだ!海底ドーム!!」
「それって確かクチバ湾のどっかにあるっていう今日みたレポートのあれだよね?」
「うん。行き方は図鑑の方にデータを移してもらったから大丈夫だし、なによりブイの進化や退化について何か分かるかも!」
僕がそう言うとナツキさんは賛成!!と言ってくれた。
「じゃあ今日はもう寝よう!ナツキさんベッドで寝ていいよ、僕はソファーに寝転がるから」
「それはハルトくんになんか悪いよ。それにソファーだと身体痛くならない?」
僕は気にしなくていいよと言ったがナツキさんはいいからいいからと僕の手を掴んでベッドに押し倒した。
「ちょっ!」
「ほら抵抗しない!」
なんとか起き上がろうとするもナツキさんにのしかかりを食らいあっけなくダウンした。
「さぁ観念しろー!」
「ぐぬぬ……」
結局僕はギブアップして2人でベッドで寝ることにした。
「ねぇ、ハルトくん」
「なに?」
ナツキさんは天井を見上げながらナツキさんに背を向けてる僕に尋ねてきた。
「んー……。やっぱなんでもない!おやすみ~♪」
「……?おやすみ」
一体なんだったんだろうと思いつつも返事をして僕は眠りについた。
ナツキside……
(……。ハルトくん寝たかな……?)
私は少し身体の向きを変えてハルトくんが寝たかどうかを確認する。
(……うん、寝てる寝てる。ハルトくん……さっきはありがとね。ちょっと痛かったけど元気出たよ)
私は心の中でそう言ってハルトくんに抱きついた。
(……。トキワの森でもそうだったけどハルトくんには助けられてばっかりだよね。頼りなくてごめんね)
私はハルトくんに抱きつく腕に少し力を入れる。今から言おうとする言葉に少し心臓がバクバクしてきた。
(いつか面と向かって話すね……?)
私は深呼吸をして覚悟を決める。
「……ハルトくんのことが好きです」
私はきっと真っ赤になっている顔をハルトくんの背中にうずめて眠った。
ちょっと位ヒロインっぽいフラグを立てないと……ねぇ?
次の章を投稿したらFC2の方の更新をせねば……(もうじき転載作業が終わる)