ポケットモンスター~WORLD TOUR~   作:ゼクスバーナー

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(割と?)オリジナル展開。バトルはないよ。


26章 海底ドーム!進化の石を手に入れろ!!

 翌日、僕はポケモンの入れ替えを行ってポケセンのエントランスでナツキさんを待っていた。

 

 にしても……起きたらナツキさんが抱きついて寝てるからびっくりしたよ……僕を抱き枕かなんかだと思ったのかな……?

 

 あれこれ考えているとナツキさんがやってきた。

 

「ハルトくん、ごめん!」

 

「大丈夫だよ。別に置いてったりはしないさ」

 

 そう言うと、ナツキさんは辺りをきょろきょろと見回して何かを探していた。

 

「あれ?そういえばレッドさんやカツラさんは?」

 

「あぁ、あの2人は今回の件で色んな街やポケモン協会の方と話をしてくるってことで朝早くからあちこち行ってるらしいよ」

 

「街を出発する前に少し挨拶したかったね」

 

「そうだね」

 

 僕達は少し話をして朝食をとり、ポケセンを出た。

 

「よし、じゃあ行こうか!」

 

「うん!」

 

 僕はボールからプテラのレイを、そしてナツキさんはフリーザーを出した。

 

「「クチバシティまで!」」

 

 僕達がそう言うとレイは僕の肩を足で掴み、フリーザーは背中にナツキさんを乗せ飛んだ。

 

「おぉ~。綺麗な景色ー」

 

「景色に見とれて落ちないようにね?」

 

 ナツキさんはにっこり笑顔ではーいと返事をした。完全復活のようでなによりだ。

 

「よし!出発!!」

 

 僕達はクチバシティに向けて出発した。

 

 

 グレンタウンを出発して数時間が経ち、僕達はクチバ湾の上空に来ていた。

 

「歩いたら何日もかかるのにポケモン力を借りればこんなに早く来れるんだね」

 

 そう言うナツキさんはフリーザーに捕まりつつカメラで上空からの景色を撮っていた。

 

「そうだね。……えーっと、そろそろかな?」

 

 僕は図鑑を取り出してカツラさんに移してもらった海底ドームに関する情報を見ていた。

 

「地図の感じだと……この真下らへんかな?」

 

 レイに肩を掴まれている状態で僕は眼下に広がる海を見つめるがそれらしきものは見当たらない。

 

「海底ドームって言うぐらいだから水中の中にあるんだろうけど……どのくらい深い場所にあるのか見当がつかないしなぁ……」

 

「けど、潜ってみないとわかんないよね?」

 

「そうなんだよね……。んー、とりあえず……レイ、もっと水面ギリギリまで寄ってくれるかな」

 

 レイは黙って頷いて水面ギリギリまで近寄った。それにつられてフリーザーもついてくる。

 

「近付いてもやっぱ見えないか……。しょうがない……キャン出ておいで!」

 

 僕はボールを取り出してキャンを出した。手持ちは6体までしか持てないという制限があった(グレンの災害時は異例でレイが7体目だった)からレイの代わりにラウスをパソコンに預けた為、今なみのりが使えるのがキャンだけになっている。

 

「……ニョロゾ、ミニリュウ出てきて!」

 

 キャンを出した僕を見てナツキさんもなみのりが使えるポケモンをボールから出した。

 

「着衣水泳は苦手だけどやるしかないよね……」

 

 僕がそう言うとミニリュウに乗り換えたナツキさんが僕を手招きしながら呼んだ。

 

「……?」

 

「ミニリュウに乗りなよ、しんぴのまもりを使えば水中でも呼吸が出来るから」

 

「そんな使い方出来るの?」

 

「ミニリュウが教えてくれたんだー」

 

 ナツキさんってポケモンと話せたっけ……?あぁ、フリーザーによって目覚めた能力か……なるほどなるほど。

 

 僕はお言葉に甘えてミニリュウに、ナツキさんの後ろに乗り、僕達はレイとフリーザーをボールに戻した。

 

「よし、じゃあ海底ドームへ出発!!ミニリュウ、しんぴのまもり!」

 

 ミニリュウは白い光を放って僕達を包み込み、海底ドームを目指して海に潜った。キャンとニョロゾもそれに続く。

 

「ハルトくん、海底ドームの位置は?」

 

「移してもらった地図と現在の地図との若干の差はあるけどこの辺のはずだよ」

 

 しんぴのまもりによって水中に居るにもかかわらず呼吸や電子機器を扱える。にしても海底ドームはどこだ……?

 

 僕達はキョロキョロ辺りを見渡すがそれっぽいものはまったく見当たらない。

 

「んー、もう無くなってたりするのかなぁ?」

 

 ナツキさんが溜息交じりにそう言った時だった。僕達から少し離れた場所で海底ドームを探しているキャンが僕を呼んだ。

 

「ハルト!なんか光るものが見える!」

 

 そう言うキャンの元に僕達は急いで向かった。

 

「光るもの……?」

 

 キャンの元へ着いた僕達はキャンが指し示す方向を見る。

 

「「……あっ!?」」

 

 僕とナツキさんは同時に声を出して驚いた。

 

「ドームって言うから岩かなにかで覆われているものだと思ったけど……」

 

 僕達が思い描いていた海底ドームとは違ったがそれは確かにあった。

 

 白く輝く光がドーム状になっていて、よく見てみるとそのドームの中に台座らしきものが見受けられた。

 

「ハルトくん……!」

 

「多分……というか間違いなくあれだね。行こう!!」

 

 ナツキさんはうん!と答え僕達は海底ドームへと向かった。

 

 

 ドンッ!!

 

「いてっ!」

「いったぁ~……」

 

 海底ドームの光を潜り抜けた途端、僕達はミニリュウに乗ったまま海底に落ちた。

 

「いてて……ってあれ!?」

 

 僕は立ち上がるのと同時にあることに気が付いた。

 

「水がない……?」

 

 僕がそう言うとナツキさんも立ち上がって確認していた。

 

「ねぇ……もしかしてあの光が水を弾いているのかな?」

 

 ナツキさんに言われ僕達がドームに入ってきた方向を見てみると確かに光がバリアになっているのか海水が弾かれていた。

 

「天井からも水が降ってこないしそうだろうね。なみのりで入ってきたはいいけどドーム内は水が無いから地面に落とされたってことかな?」

 

「それに空気があるからしんぴのまもりがなくても呼吸が出来るね」

 

 ナツキさんはそう言ってスーハースーハーと深呼吸してみせた。

 

「不思議なとこだね……」

 

 僕はそう呟いてキャンをボールに戻し、それを見たナツキさんもミニリュウとニョロゾをボールに戻した。

 

「よし、台座のとこへ行こうか」

 

 今度はブイを出し、頷くナツキさんと一緒にドームの中央に鎮座する台座に向けて歩き出した。

 

 

「これが……使ってもなくならない進化の石……」

 

「私が持ってるのと比べると……なんか輝き方が違うと言うかなんというか……」

 

 僕達は台座の前まで行き、そこにある4つの石に見とれていた。

 

「2人とも見とれすぎ……。うっ……!」

 

 僕の足元で溜息交じりでそう呟いたブイがいきなり苦しみだした。と思えば間髪入れずに光り輝きだした。

 

「ブイ!?」

 

「ハルトくん!進化の石が!!」

 

 ブイを心配してそっちに目がいっていたが、ナツキさんに言われ進化の石に目をやると3つの石がブイと同じように輝いていた。

 

「何が起きているんだ……!?」

 

 すると、3つの石は台座から離れブイの周りを円を描くように飛び回り、何周かした後に僕に向かって飛んできた。

 

「なっ!?」

 

「ハルトくん!」

 

 3つの石は1つの光となって僕の右手首に命中し僕達は大きな光に包み込まれた。

 

「ん……」

 

 光が静かに消えるとそこには今までと変わらず目の前にナツキさんが居て、僕の足元にはブイが無事にそこに立っていた。

 

「ブイ!よかった、無事だったんだね!?」

 

「うん、なんとか。けど……」

 

「けど?」

 

 ブイが心配そうな顔で僕を見つめる。そしてナツキさんがブイに続けて話す。

 

「ハルトくん……右手首のそれ、なに……?」

 

 右手首……?石が光になって当たった場所だよね。僕は右手に視線を向ける。

 

「……なんだこれ……?」

 

 右手首には横に3列、3色のラインが入ったブレスレットが装着されていた。

 

「ブレスレットみたいだけど……さっきの石がこうなったのかな?」

 

 僕はブレスレットを眺めながら呟いた。すると、

 

『その通りだ』

 

 僕達はいきなり聞こえた声に驚き、声が聞こえた方を向いた。そこには台座に残された最後の石、リーフのいしが台座から離れ宙に浮いていた。

 

「……石が喋った……?」

 

 僕はナツキさんと顔を見合わせてもう一度石を見る。

 

『あぁ、私だ』

 

 間違いなく目の前に浮かぶそれは声を発していた。ただ、フリーザーの時みたいに頭に直接語りかけるのではなく耳から聞こえる。石に口があるわけでもないのにどういう理屈でこうなるのか気になるけど今はそれを考えている暇はなかった。

 

『遂に現れたか……すべての進化形に自由に進化が出来、尚且つ自由に退化が出来るイーブイとそのパートナーのトレーナーが』

 

 石は続けて話す。

 

『不安定すぎる遺伝子をもつイーブイよ。どうやら過去に1度そのトレーナーの想いに反応して自力での進化をしているようだな』

 

「「「!!??」」」

 

 ブイだけでなく僕達も驚いた。石が言っているのはハナダジムでのカスミさんとのバトルで起きたことだろう……なんでそれを知っているんだ?

 

『どうやらお前たちは知らないことが多そうだ……。私が知っている範囲内の知識をを教えてやろう』

 

 そう言って、石は続ける。

 

『まずは……なぜそのイーブイは自由に進化と退化が出来るのかを教えた方がいいのだろうか……。理由は単純明快、そのイーブイは通常のイーブイよりも遺伝子が不安定。イーブイの時は色違いでも進化したら通常色なのはそのせいだ』

 

「たったそれだけ?」

 

 ナツキさんが石に問うと石はそれだけだと答え、話を続ける。

 

『進化と退化の条件だが……残念ながらすべては分からない』

 

「すべて……?」

 

 石はあぁと言い、話を続ける。

 

『残念ながら石を用いた3種類の進化形への進化と退化しか分からない。だがどの進化形態になるにせよ進化の必須となる条件はトレーナーとイーブイの心が強くリンクしたとき……早い話、なついているかどうかという話だろう。そして退化の条件はトレーナーと進化した状態のイーブイが元に戻ろうと思えば戻れる。結論、以心伝心できれば進化も退化も自由に出来る』

 

 なるほど……。ん?けどカスミさんとのバトルの進化はどうやって……?

 

『トレーナーよ、今お前が思っていることの件だが進化の石で進化したポケモンと戦わなかったか?』

 

 心の中読めるのかよ!とツッコんでみたかったけど、ここはひとまずカスミさんとのバトルを思い出す……確かあの時は……。

 

「そうだ!確かスターミーと戦った!!」

 

 それを聞いた石はまた話し始めた。

 

『そうか……。となると恐らく石で進化したポケモンの攻撃を受け、そのエネルギーと心が強くリンクしたことによって、イーブイ自身が体力を削って一時的に進化したと思われる。退化したのは進化した時のタイムリミットをオーバーしたからだろう。相手がみずのいしを使ったスターミーだったからイーブイはシャワーズへと進化したのだろう』

 

 ここまでを整理すると……、

 

 1、ブイが進化と退化が自由に出来るのは遺伝子が普通のイーブイよりも不安定すぎるから。イーブイの時は色違いでも進化したら通常色なのはそのせい。

 

 2、どの進化形に進化するにせよ必須の条件はお互いの心が強く結びついている事(要はなついていること)。退化する場合はお互いが元の姿(イーブイ)に戻ろうと思えば可能。

 

 3、ハナダジム戦時の進化は、石で進化しているスターミーの攻撃を受けた際にそのエネルギーが身体についていたのとお互いの心が結びついたことによりブイが自身の体力を使って一時的な進化を遂げた。しかしタイムリミットがあり、過ぎれば自動的に退化される。

 

『そういうことだ』

 

 ……また心の中を読まれた……。

 

『さて、ここからが本題だ。進化や退化の際の条件は分かったがどうやって進化先を決めて自由に進化できるかだ。この時に必要になるのが右手首に装着されているブレスレットだ』

 

「これが……!?」

 

 僕は今一度自分の右手首に装着されているブレスレットを見つめる。

 

『そうだな……言うよりも試した方が早いだろう。イーブイが石で進化する3形態のどれかを想像してみろ』

 

「……?」

 

 僕は言われるがまま想像してみた。そうだな……サンダースなんてどうだろうか。

 

 するとブレスレットは黄色の光を纏い、光が消えると黄色、水色、赤の3色で3列のラインが入っていたブレスレットは黄色一色になった。

 

『よし、それをイーブイの方へ向けるんだ』

 

「こうかな?」

 

 右腕をブイの方へ向けるとブレスレットが黄色く光り輝き、その光がブイに放たれ包み込んでいく。

 

 バチバチと音が鳴り、光が消えるとブイはサンダースへと進化した。

 

「おー!!ブイがサンダースになった!」

 

 ナツキさんはブイの横でしゃがんで撫でてあげた。

 

『今度はイーブイの姿に戻そうと思うんだ』

 

「OK、ブイ元の姿に戻ろう!」

 

 ブイが頷いたのを確認してから僕は頭の中でイーブイの姿を想像してみた。

 

 そして案の定ブレスレットは光り輝き元の状態に戻った。そしてそれとほぼ同じ速さでブイが白い光に包み込まれて元のイーブイの姿に戻った。

 

『同様にブースターやシャワーズを想像すればそれらに進化出来るし退化も出来る。だが……ここで注意をしなくてはいけないのが並行的な姿の変化は出来ないことだ』

 

「並行的……?」

 

 ナツキさんがなんだそれ?と言わんばかりに首を傾げて呟くと石は説明を付け加えた。

 

『要はブースターからシャワーズやサンダースへ直接姿を変えられないということだな。もちろんそれはシャワーズであろうとサンダースであろうと変わらない。別の進化形態へ姿を変えたければ一度イーブイへと退化しなくてはいけないから覚えておくことだ』

 

「なるほど」

 

 ゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

「「!?」」

 

 いきなり大きな音がドーム内に鳴り響いて僕達は驚いた。

 

『そろそろ時間か……』

 

「時間?」

 

 僕はなんのことだと問いかけた。

 

『このドームは4つの石の力で支え、石を手にするにふさわしい者が現れるのをずっと待っていた。そしてそれは叶い、3つの石はお前の手首に姿を変えて力を貸すため台座から離れた。もうここで石が眠ることもない……。ドームは崩壊する』

 

「「!!??」」

 

『早く行くといい。もう私だけでは支えきれない』

 

 そう言う石は徐々にひびが入り始め、もうすぐ砕け散りそうだった。

 

「どうにかして留める方法は……」

 

『ない』

 

 ナツキさんはそんな……と言って俯いた。

 

「……ありがとう。これだけは言っとくよ」

 

『……元気でな』

 

 石に更にひびが入りドームの壁から水が入り込んできた。

 

「ナツキさん、行こう!」

 

「……うん!」

 

 ナツキさんは顔をあげてミニリュウをボールから出して僕達は急いでミニリュウの背に乗った。

 

「ミニリュウ、しんぴのまもり!全速力で逃げるよ!」

 

 ナツキさんがそう言うとミニリュウはしんぴのまもりで僕達を守り、消えつつあるドームの壁に向かってジャンプしドームから脱出。そしてクチバに全速力で向かった。

 

 

 

『役目は果たしたぞ……』

 

 石は木端微塵に砕け散り、海底ドームはその姿を失った……。

 

 

 あの後無事にクチバシティに到着した僕達はポケセンでしっかり休み、ヤマブキのゲートが封鎖されていることもあり翌日からブレスレットを上手く使いこなす為の特訓を始めた。

 

 それにはナツキさんにも協力してもらい模擬バトルを行いつつしっかり運用出来るようにと特訓のメニューに加えて励んだ。

 

 2日や3日もやれば使いこなせるかなぁと思ったけどそう上手くいかず1週間程してやっと実用レベルまでに使いこなせるようになった。

 

 

 そして特訓を終えてポケセンに戻った僕達を待っていたのは最悪のニュースだった。

 

 

 

『ヤマブキシティは我々ロケット団が占拠した』




この章でひとまず一応の転載作業をストップします。(FC2の方に追いついたので)

続きが気になる方はFC2の『ポケットモンスター~WT 【カントー後編】~』へ!(ステマ乙)

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