アイルー憑依希変物語   作:ラン乱

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夢の中の現実

〜遺跡平原【崖下の洞窟】〜

 

夜が明け、空は灰色から薄い橙へと染まり始めていた。

 

アクアはまだ目を覚まさぬまま、ミレイの隣で静かに寝息を立てていた。

 

その横顔をじっと見つめながら、アクアは心の中で思索を巡らせていた。

 

アクア(こうして見ると中々めごい顔をしておるのう。本当にアイルーなのが勿体ない位じゃ…)

 

小さく息を吐く。アクアの目は、いつも以上に優しさを帯びていた。

 

アクア(主は何故この世界に来たのじゃろうか。主の表情から察するに望んで来たのではないのは分かってはおるが……)

 

(それでも足掻き、戦い、そして生きようとする姿に妾は感服したのじゃ。最後まで、見届けさせてもらうのじゃ……)

 

その想いを胸に抱えながら、アクアはそっと体を岩肌に預け、まぶたを閉じた。

 

――夜が明けた。

 

微かな光が洞窟の隙間から差し込み、壁に揺れる影を落としていた。

 

ミレイ「……」

 

目を覚ましたミレイは、隣で眠るアクアにそっと目をやり、その寝顔を確認する。

 

その顔は、昨日までの喧騒が嘘のように穏やかだった。

 

(……寝てる時はまともなんだけどなぁ)

 

ため息をつきつつも、ミレイはアクアを起こさぬよう音を立てずに洞窟の外へ向かう。

 

洞窟の出入口に差し掛かると、そこには壁に寄り掛かって眠るトールとアクセルの姿があった。

 

アクセル「アニキ〜zzz…」

 

ミレイ(アクセル……)

 

アクセル「ニャブブ…ニャヘヘ…ソコはダメニャ〜w」

 

ミレイ「……どんな夢見てんだ」

 

ぺしっ、と軽く平手で叩くとアクセルが目を覚ます。

 

アクセル「痛いニャ!? あれ、朝かニャ?」

 

ミレイ「起きたか。……で、どんな夢だった?」

 

アクセル「え、それは……その〜……ニャヘヘ」

 

ミレイ「平手打ちされたい?」

 

アクセル「そ、それは勘弁だニャ!」

 

トール『うるっせぇな、さっきから何なんだ……って、兄弟!?』

 

ミレイ「はい、僕です」

 

トール『軽く答えるなよ……まぁ、いい。戻って来てくれただけマシか』

 

ミレイ「今回"も"だよな」

 

トール「!!」

 

俯きながらも、しっかりと反省の色を見せる。

 

ミレイ「……まぁ、僕もほっとけなかったしな。それにあのハンターから多少なりとも“闇ギルド”のことを聞けた」

 

アクセル「それってなんですかニャ?」

 

ミレイ「まだ断片的だけど……分かったらお前にも教える。今後についても話したい事があるけど……アクアが起きてからな」

 

トール『そりゃそうだな』

 

ミレイは再び洞窟の奥へと戻っていった。

 

トール『失望しちまっただろうな……』

 

アクセル「やっちゃったもんは仕方ないニャ。

そんニャに落ち込む事は……」

 

トールの表情を読み感じたのか、慰めようとした時、洞窟の奥からミレイの怒号とアクアの叫び声が響き渡って来た。

 

ミレイ「起きろてめえーー!!!」

 

アクア『あぎゃーーー!!??』

 

急な大声に驚く2匹。

 

アクセル「な、何ニャ!?」

 

トール『行って早々何なん?』

 

 

〜数分後〜

 

アクア『聞くのじゃトールや! 妾ったら寝ておっただけなのに、主様が突然殴って起こしてきたのじゃ!酷いと思わんか!?』

 

トール『いや、殴られて当然だろ』

 

アクア『辛辣!?』

 

トールが当然のように返す中、ミレイは神妙な面持ちで口を開いた。

 

ミレイ「……アクアが寝言で言ってた内容がね、僕にとってはおぞましかったんだよ」

 

トール『お、おぞましい……?』

 

アクセル「な、なんて言ってたのニャ?」

 

ミレイは深く息を吐き、震える声で語り始めた。

 

 

1分前の回想――

 

アクアはまだ熟睡中だった。

 

ミレイ「……おい、起きろ」

 

声をかけても反応はない。しかも何やら寝言を言っているようで――

 

アクア『主や〜…』

 

ミレイ「(まだ寝てるな)おい、起き…」

 

アクア『あ/// 駄目じゃ主よ……そんな積極的に〇〇と〇〇〇はさせんどくれ!妾とて心の準備が…!主よ!? そのようなナリでこのふと…』

 

ミレイ「!!??」(うわあああ!?)

 

背筋に冷気が走る。今にも何かが起きそうな気がして、ミレイは即座に拳を振りかざし――

 

ミレイ「起きろてめえーー!!!」ドゴォ!

 

アクア『あぎゃーーー!!!?』

 

 

~現在~

 

ミレイ「……ってことがあった」

 

トール『な、なっ!?』

 

アクセル「恥ずかしいのニャ……///」

 

アクア『そんな事を言っておったかの? 覚えておらんのは惜しいのう』

 

トール『黙れ変態!! 危険だ! 色んな意味で危険だ!!』

 

アクア『夢なら仕方あるまい? 主よ、そうは思わんか?ん?』

 

その瞬間、ミレイの背後で太古の剣が変形を始めた。

 

アクア『何の真似じゃ!? 妾は変な事など――』

 

トール『それ本気で言ってんのか!?』

 

ミレイ「3、2〜…」

 

アクア『待て!ほんの悪ふざけだったのじゃ!!』

 

ミレイ「ふ〜ん…その割には謝ってるようには見えないな、なぁ?」

 

アクア『そ、そんな…そうじゃ、主よ! 次からは妾がちゃんとしたご奉仕とやらを――』

 

ミレイ「はい駄目」

 

ズドン!

 

巨大ハンマーがアクアの頭に直撃した。

 

アクア『ぎゃああああ!!!』

 

ミレイ「こんなんが続く様じゃ、身がもたねぇよ…

トールの方が、まだマシだな」

 

アクセル「ニャはは……」

 

トールは小声で呟いた。

 

トール『オレハユルサレタ……』

 

そのつぶやきに、静かに朝の空気が混じる――

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