私用も無事に終わったのでどうにか続きが出せました。
完結まで良いペースで駆け抜けて行ければと思います。
◆◆◆◆◆
前回の緊急の柱合会議からまだ一ヶ月半も経っていないが、事が事だけに再び緊急の柱合会議が開かれる事になった。
議題は、上弦の鬼たちと鬼舞辻無惨の事、そして刀鍛冶の隠れ里への襲撃以降不気味な程に鬼の動向が静かなものになっている事などだ。
「しっかし、羨ましい事だぜぇ。
俺の担当区域が隠れ里に近かったら、俺も上弦と戦えたんだろうになあ」
基本的に鬼殺への想いが誰よりも強い柱たちの中に在っても、更により一層と言っても良い程に鬼に対する殺意と怒りを抱えている不死川はそう言葉にする。
上弦の鬼たちが尋常な強さでは無い事は誰もが承知の事実ではあるが、それでも尚上弦の鬼と戦いそれを討つ機会を欲するのが柱の常である。
例え柱であっても上弦の鬼と戦って生き残れる可能性は低いが、そもそもの話歴代の多くの柱たちは上弦の鬼に相対する事も叶わず志半ばに斃れるか或いは一線を退かざるを得なくなる事が殆どであった
そう言う意味で言えば、かつて上弦の参と戦い、そして今回の里への襲撃に於いては上弦の壱と参を同時に相手取る事になったのは、柱としての責務と本懐を果たしていると言えるのかもしれない。
「元々の担当区域が近かった甘露寺だけでなく、俺と宇髄もあの場に間に合ったのは偏にお館様の『先見の明』によるものだな」
どうしてお館様が俺と宇髄を選んでそこに配置していたのかは分からない。
何か深い理由があるのかもしれないが、俺たちにとって重要なのはその理由では無く、戦いの場に間に合い里を守り切る事が出来たと言うその「結果」が全てである。
そしてそもそもの話をすれば。あの夜の里に時透が居た事、鳴上少年が居た事、竈門少年たちが居た事、里の近くが甘露寺の警備の担当区域であった事。
そう言った条件の積み重ねがなければ、「間に合う」事すら叶わなかっただろう。
上弦の肆と上弦の伍の能力を後から話に聞いただけでも、隠れ里を跡形も無く滅ぼし切るのにはその二体だけでも十分どころか過剰とすらも言える程の戦力であったと分かってしまう。
配下の化生を大量に放って広範囲を一気に殲滅する事に長けた上弦の伍も、その血鬼術のカラクリに気付けなければ勝つ方法の無い上弦の肆も、そのどちらも、経験を多く積んだ隊士たちですら相手取る事が難しい。
甘露寺と宇髄に若手の中でも特に有望な竈門少年たちと言う、鬼殺隊全体で見ても動員出来る戦力としてはかなり高い総勢七名全員で死力を尽くして、それでどうにか討ち取れた上弦の肆も。
鳴上少年と共に力を合わせた時透がその頸を落とした上弦の伍も。
その場に居合わせた者が別の者であれば、もっと被害が拡大していたかもしれない。
上弦の伍が奥の手として放って来たと言うその血鬼術も、鳴上少年のお陰で何の問題も無く切り抜ける事が出来たが、それに触れるだけでも日輪刀その物を無力化し得るかもしれなかったと言うものであるらしいのだから、普通に戦っていれば全滅していた可能性すらある相手であったのだろう。
そんな鬼たちを相手にして、里に被害らしい被害を殆どと言って良い程に出さなかったのは、「快挙」と呼ぶ他に評価する言葉が無いだろう。
上弦の伍を斃した後に現れた上弦の壱と参に対しても、戦場となった山には大きな被害が出たが里の人々自体には被害を出さなかった事も、特筆するべき結果である。
……そして。上弦の伍の討伐、上弦の壱と参の撃退。更には、里が襲撃された直後の初動の対応。
それら全てに関わり、あの夜の里の防衛に於いて最も大きな役割を果たしたのは、疑いようも無く鳴上少年であるのだろう。
……彼の果たした役割は、余りにも大き過ぎる。
直接その手で上弦の鬼を討ち滅ぼした訳では無いとは言え、今回の里での働きは尋常なものでは無いし、そもそも上弦の陸を討った戦いに於いても鳴上少年が居なければその場に居た者は全員命を落としている可能性も高い。
……ただ、それは。
「里を襲撃してきた上弦の肆と伍に加えて、壱と参をも相手取って、誰一人欠ける事なく上弦を二体も斃す事が出来たのは尊い事だ……」
「あの場に居合わせた皆が全員で頑張ったからね!
でも本当に厄介な鬼だったわ……」
対峙した鬼との、あまりにも往生際の悪いその戦いを思い出してか。甘露寺は珍しく少し渋い顔をする。
「派手な血鬼術の割には、卑怯と臆病を煮詰めた様な地味で厄介な奴だったからなあ……。
遊郭で戦った妓夫太郎の方が、攻撃の厄介さは抜きにするなら戦いやすかったな」
宇髄も辟易した様な顔をしているので、上弦の肆は余程の相手だったのだろう。話に聞いただけでも嫌になる相手ではあったが。
「時透は確か上弦の伍の血鬼術を受けたのだったな。
体の方はどうだ?」
「悠が癒してくれたから大丈夫」
伊黒に身を案じられた時透がそう返すと。鳴上少年の名に、伊黒と不死川が微かに反応する。
「鳴上かぁ、俺はアイツの事はあまり知らねぇんだが、実際の所どうなんだ?
隊士たちの間でも、隠たちの間でも、色々と話題には上っている様だがなァ……」
不死川が言う『話題』とは、……恐らくは鳴上少年について色々と噂されている件についての事だろう。
上弦の弐の撃退に始まり、上弦の陸の討伐に大きく貢献した者としても知られ、更には今回の隠れ里の防衛戦での戦いの事もあり、鳴上少年の事は鬼殺隊全体で何かと話題に上る事も多くなっている。
具体的に鳴上少年がどうやって戦い、何をしていたのかを詳しく知る者は、柱を除けば竈門少年など彼と特に親しい極僅かの者たちだけに留まってはいるのだが。
しかし、その戦いの痕跡を見た隠たちや、或いは彼が蝶屋敷で傷を癒した隊士たちや、又は救援要請を受けて駆け付けて来た彼によって救われた者たちなど。
鳴上少年個人との交流こそ無くとも、何かしら彼に関わった者たちの噂話などを通して、隊士や隠たちの間に、鳴上少年の事が尾鰭が付くどころか彼の実像からかなり離れた様な人物像で一人歩きしつつあった。
……まあ確かに、鳴上少年の力は余りにも「異質」だ。それは揺るぎようも無い事実である。
死者を甦らせるにも等しい程の助かる見込みなどある筈も無い者をも救い、上弦の鬼を相手にしようとも傷一つ付かず、天変地異の如き力を揮い、「神」をもこの現世に呼び出せる。
それは確かに、人が己の常識で量れるそれを遥かに超えている。
鬼と言う超常の存在を知る鬼殺隊の者たちにとってすら、鳴上少年のそれは余りにも「異質」であるのだろう。
……だからこそ、鳴上少年にある種の「超常の存在」を見てしまう事自体は、誰が悪いなどと言う訳ではなく、ある意味当然の帰結であるのかもしれないが……。
しかし、その力の「異質さ」とは相反すると言っても良い程に、鳴上少年自身は良心的で善性に満ちているだけの「普通」の『人間』だ。
そんな鳴上少年に対し、彼を『人間』とは異なる「超常の存在」……神仏の化身か何かの様に扱ったり或いはそう言った視線を向ける事は、果たして正しい事であるのだろうかと、そう思ってしまう。
とは言え、上弦の鬼たちの様に鳴上少年を『化け物』だとかと罵っている訳では無い……寧ろ逆の感情を向ける者たちを咎める事も出来ないのだが。
「悠くんは……そうですね……説明は難しいですが。
しかし、隊士の間で噂になっている様な存在ではありませんよ」
不死川の言葉に、鳴上少年と一番長く接している胡蝶はそう答えて。
「悠の奴は……悩むし迷う事もある、『普通』の奴ではあるな。
ま、あいつが『仲間』だって事は何があろうと変わんねーよ」
上弦の陸との戦いを共にした宇髄はそう言いながら微かに頷く様に首を動かす。
「悠くんは、すっごく良い子よ!」
「悠はお人好しな位に親切で面倒見が良いです」
「悠の心根が善きものである事は確かだろう……」
鳴上少年と関わった事のある甘露寺に時透、そして悲鳴嶼さんがそう答える。
そして。
「鳴上少年は、自分では無い誰かの為に戦う事の出来る者だ。
それだけは間違いが無い」
そう俺が答えると。不死川はガシガシとその頭を掻いて微かに唸る。
「いや、俺が聞きたいのはそう言う事じゃ無くてだなァ。
まあ、性格とかの部分しかハッキリと言える事が無ぇのか……」
「里の者たちが血鬼術の化け物どもに襲われた際には里全体に無数に散らばった化け物たちを一瞬で殺し尽くし、更には負傷した里の者たちのほぼ全員の傷を一瞬で癒し。上弦の壱と参との戦いでは山の大半を吹き飛ばしたらしいが、それは本当なのか?」
あの夜の戦いに関して出された報告書を読んだ伊黒は、信じ難いとでも言いた気な顔で、あの夜の戦いの場に居た俺たちに訊ねる。
里が襲撃された直後の状況は、後から救援に駆け付けた俺たちには分からないが。最初から戦い抜いた時透は静かに頷く。
時透も里が襲撃された直後に鳴上少年がどう動いていたのかに関しては詳しくは知らない様だが、里の者たちの証言と鳴上少年の報告は何一つとして矛盾しなかったので確かなのだろう。
そして、上弦の鬼たちとの戦いの中で、鳴上少年が天変地異の如き暴風を巻き起こして上弦の鬼たちごと山を削ったのも間違い様の無い事実である。
「……凄まじい話だな」
ポツリと、それ以上の言葉は見付からないとでも言わんばかりに、伊黒はそう呟く。
言葉にすると「現実味」と言うものが全く存在しなくなる事ではあるが、紛れも無く現実に起きた事だ。
「俺としては上弦の壱と参が突然錯乱して同士討ちを始めたってぇのも気になるんだが、報告書を読んでもよく分からなくってな」
「正直、あれに関しては僕たちも何が何だか分からないんです。
恐らくは、悠にしか分からない事だと」
時透がそう答えた様に。あの謎の同士討ちが起きた理由と言うのは正直な所全くよく分からなかった。
鳴上少年が何らかの手段で鬼たちを錯乱させたのは確かなのだろうけれども。
具体的に何をどうやればあそこまで狂乱したかの様に殺し合う事になるのかはさっぱり分からない。
「上弦同士で殺し合ってくれれば手間が省けるんだが、まあそう上手くはいかねぇか。
……しかし、鳴上は一体何者なんだ?」
不死川の言葉に、鳴上少年に関りがある者も無い者も、その誰もが沈黙した。
鳴上少年が一体『何者』であるのか。その答えを正しく知る者はこの場には居ない。
鳴上少年自身にしか分からない事であるのかもしれないし、或いは彼自身にすら分からない事なのかもしれない。
この世の理を大きく逸脱しているとしか思えない程に「異質」なまでのその力の根源やその力自体の「底」も、全く分からない。
鳴上少年が間違いなく心優しく性根から善き人である事以外は、何も分からない。
しかし、鳴上少年に関して分からない事ばかりでも、彼が心から信頼するに足りる者である事には変わらない。
「……鳴上が何者であろうとも、鬼殺の力になっているのなら、俺たちにとっては大きな問題では無いだろう。
万が一にも問題か何かがあるのなら、それも含めてお館様からお話がある筈だ」
今の今まで何も言葉を発する事無く静かに話を聞いていた冨岡がその重たい口を開き言葉を発し終えたのとほぼ同時に。襖が静かに開かれた。
「大変お待たせ致しました」
先に入って来た奥方様が、そう言って静かに頭を下げて。
そして、その後にご息女様方に導かれる様にその手を静かに引かれながらお館様が姿を現した。
前の柱合会議の際に鳴上少年がその力を以て癒したからか、以前よりもずっとその体調は良いのであろう。
しかし、瀕死の者すらをも癒しきる事の出来る彼の力を以てしても、お館様のそのお身体の全てを治しきる事は叶わず。
そして、その身を蝕み続ける呪いの如き病魔の全てを祓い切れた訳でも無い。
それでも、もう動く事も儘ならぬ程に進行していた病は確実に快方へと向かった事は確かだ。
不死川の挨拶の口上に静かに頷いたお館様は、変わらぬ穏やかな声を上げる。
「よく来てくれたね、私の可愛い
前回の柱合会議からそう間は空いていないけれど、変わらぬ顔触れが揃う事が出来た事を嬉しく思う。
さて……皆も知っての通り、上弦の陸に引き続き、上弦の伍と肆を討ち滅ぼす事が叶った。
そして……鬼たちの活動が不自然な程に鎮まり返っている事も知っての通りだ」
鬼の被害が皆無になった訳では無いが、刀鍛冶の里への襲撃が起きたあの日以来、鬼殺隊の下に寄せられる「鬼の手による可能性がある事件」の情報などが不自然な程に激減していた。
日々の巡回の際にも、鬼に遭遇する事もその気配を感じる事も無い。
嵐の前の静けさ、としか言えない程に不気味な程にその動向は大人しい。
「肆以下の上弦の鬼が完全に欠けた事。
壱と参が一時的にせよ同士討ちを行う程に錯乱した事。
その根城となる異空間が完全に消し飛ばされた事。
千年もの間求め続けていた物を餌に脅された事。
それらの全てが一度に積み重なった今の鬼舞辻は、かつて無い程に追い詰められ焦っている事だろう」
そしてお館様は、後六ヶ月もしない内にかつて無い程に大規模の……文字通りの総力戦となる戦いが起こると予見した。
その言葉に、場の緊張が一気に高まる。
千年近くもの間誰にもその痕跡をろくに辿らせなかった鬼舞辻が、ここに来てそれ程までに追い詰められ、更には隠遁するのではなく攻勢に打って出てくると言う。
鬼舞辻無惨討滅と言う、数百年以上にも渡る鬼殺隊の悲願の成就の可能性がここまで明確に見えて来たのは、やはり鳴上少年の存在が大きく関係しているのだろうか。
「お館様。失礼ながら、根城が完全に消し飛ばされた……とは?」
俄には信じ難く、そして何故そうだと断言出来るのかと。
そう問いたげな顔と声音で不死川がお館様に訊ねる。
「上弦の壱と参と同時に戦った際、鬼たちが撤退するその間際に、悠は鬼たちが身を潜めようとしたその異空間自体を完全に破壊したそうだ」
「同日未明、東京郊外のとある森が完全に消失する事例が発生しました。
人里から遠く離れた場所であった為人々の生活への被害はありませんでしたが、恐らくは鳴上様の攻撃の影響によるものと思われます」
お館様の言葉を補足するかの様な奥方様の言葉に、その場が騒めく。
どの程度の規模の森が消失したのかは分からないが、それが街中で起きていたらどうなっていた事かと懸念を示す者。
前回の柱合会議の時から最大の懸念事項として挙げられていた鬼舞辻の根城が、既に崩壊した事に驚きを隠せない者。
或いは、微かに憂う様にその眼差しを静かに伏せる者。
……その反応は実に様々であるが、殆どの者に何かしら感じるものはあった様だ。
そしてお館様は、鬼舞辻の根城が消し飛んだ事は確かではあるが、その異空間を維持していた鬼や上弦の壱から参はまだ生きていると仮定して今後も動く事などを伝えた。
更に、此処からが本題だとばかりに、見えてはいないその眼を真っ直ぐに俺たちへと向ける。
「来る総力戦の際には、鬼舞辻無惨本人との交戦も予期される。
鬼舞辻無惨についてその殆どが未だ謎に包まれていたが、此度極めて有用な情報が鬼殺隊に幾つも齎された」
お館様のその言葉に、俺も含めた全員の目の色が変わった。
その前身となった組織も含めれば千年近くもの間、どれ程に渇望し奔走しても何一つとして鬼殺隊が得る事の出来なかった……出来たとしても幾度もの大規模な襲撃の中で喪われてしまった、鬼たちの始祖であり全ての元凶たる鬼舞辻無惨の、それに関する情報なのだ。
例えそれが「容姿」の様な、直接的に戦闘に関わる訳では無い物ですら値千金と言っても良いものであるのに。
一体どんな情報が齎されたのかと、全員が固唾を飲んでお館様の言葉の続きを待つ。
そしてお館様が語ったのは。
この場の誰も想像などしていなかった程の、最早鬼舞辻無惨の手の内を丸裸にしたのではないかと思う程に、鬼舞辻無惨の討滅を何よりも補強する情報の数々だった。
日輪刀で頸を落としても死なない為、殺すには陽光を直接当てるしか無い事。
その身体には脳が五つ心臓が七つ形成されそれらを絶えず移動させている事。
余りにも再生速度が速い為に斬っても切れない様な状態にすらなる事。
腕を自在に伸縮させる他に『人』の形に何の執着もないが故にかその形状は瞬時に『人』を逸脱したものになる事。
基本的な戦い方は伸縮自在の腕を振り回して周囲を切り刻む事であるが、その速さと威力が尋常では無い為に武術の技量など無くても必殺にも等しい攻撃である事。
追い詰めたとしても今度は千数百もの肉塊になって弾け飛び、僅かにでも逃せばそこから復活出来る事。
それらの内の一つでもそれを得る為に柱程度の実力がある者が何十人と命を賭してもそれでも得られるかどうか分からない程の情報の数々が、何の惜しみも無く一気に齎された。
鬼舞辻無惨と言う存在の規格外さに、誰もが言葉を失ってしまうが。しかし、こうして事前にその情報が共有されたのであればそれを基に対策を練る事も出来る。
そうすれば、確実に鬼舞辻を討滅する為に大きく前進出来るだろう。
相手の情報など事前に知る事が叶わない事の方が大半である鬼殺隊にとって、その情報の価値は計り知れない程に大きい。
そして、事前に対策を打てるのは鬼舞辻だけでは無い。
上弦の壱から参までの全員に、一定以上の対策を予め講じる事が出来る。
上弦の弐に関しては、鳴上少年が撃退したその時よりも確実に強くなっている為完全な事前の対策は不可能だが。
しかし、上弦の壱と参に関しては、既にその奥の手や攻撃方法など、ほぼ全てが明らかになっているのだ。
上弦の壱も参も、何も知らぬままに会敵すれば柱であってもどれ程の数を揃えていても全滅する可能性を否めない程に次元の違う強さを持っているが。
何も対策出来ず、半ば出たところ任せの様に戦うしかないよりは確実に被害を出さず、かつより確実に討てるだろう。
情報の価値は計り知れない程に大きい。
そしてだからこそ、それが「正しいもの」であるかは何よりも重要だ。
「それらの情報は一体何処からのものであるのでしょうか」
お館様がこうして俺たちに伝えたと言う事は、その情報を齎した相手は信頼出来る者であり、かつその情報は「正しい」のであるだろうが。
ここまで重要な情報を鬼殺隊に齎したのは「誰」であるのかは、この場の誰もが気になっている所である。
……尤も、恐らくこの場の全員の脳裏に「もしかして」と過ぎっている者に心当たりはあるが。
「これらの情報を掴んだのは、悠と炭治郎だ。
ただ二人とも、これらの情報を鬼殺隊に齎したのは自分たちではなく、何時かの未来に鬼舞辻が討たれる事を信じてそれを託した、遠い過去に生きた鬼殺の剣士だと言っていたよ。
そして、その剣士が繋げたものを、偶然今を生きる自分たちが受け取る事になっただけなのだ、とも」
悲鳴嶼さんの言葉にお館様が挙げたその名に、鳴上少年の名は恐らく全員が思い浮かべていたからかあまり驚きは無かった様だが。そこに竈門少年の名も在った事には、その場の全員が様々な反応を示した。
凪いだ湖面の様にお館様の言葉を聞いていた冨岡も、驚いたのかその表情に微かに感情が宿り。
不死川と伊黒はどう反応するべきかと言わんばかりの顔をして。
甘露寺や宇隨などは純粋に驚いている。
悲鳴嶼さんは「南無……」と静かに手を合わせ。
時透は何かを考える様にその目を少し伏せて。
胡蝶は静かに微笑む。
俺としても竈門少年の名も挙がった事には驚いたが、しかし最終選別を終えてまだ一年も経っていないのに既に多くの十二鬼月と戦って五体満足に生き残るなど、ある種の「引き」やら「ツキ」とでも言うべきものを持っている様な気もする少年だ。
鳴上少年とはまた別の意味で、竈門少年も濁流の様に動き始めた物事のその大渦の中心に近い場所に居るのだろう。
ならば、二人の下にそう言った巡り合わせが訪れても、そう不思議では無いのかもしれない。
何にしろ、そうやって鬼舞辻の手の内を予め暴く事が出来た事よりも重要な事は無い。
「……しかし、お館様。鬼舞辻がそれ程までに『慎重』……もとい『臆病』であるのなら、例えこの先の戦いが我々にとっては総力戦になるのだとしても、そこに鬼舞辻自身が現れる事は有り得るのでしょうか?」
憂う様な胡蝶の言葉に、何人かが同意する様に頷く。
不利を悟れば爆散して肉片となってでもその場から逃走し、最悪此方の寿命が尽きるまで隠遁する事を躊躇なく選ぶ様な奴だ。
己の身の安全が脅かされるかもしれない様な状況にそう易々と己の身を投じるとは思えないし、鬼舞辻がそんな「馬鹿」ならもっと早くにその痕跡を掴めていただろう。
……例え『人間』相手では「無敵」と言っても良い程に隔絶した強さを持っているのだとしても。どれ程呼吸を極め鬼と戦う力を磨いても『人間』である事には変わらない鬼殺隊の剣士たちが例え束になっても僅かな時間足止めする事すら叶うかどうか分からない程の存在であり、鬼舞辻自身がそれをよく理解しているのだとしても。
だが、鬼舞辻の討滅を狙っているのは鬼殺隊の剣士だけではない。
鳴上少年も、鬼舞辻を滅ぼす為に戦っている。
……鬼舞辻にとっては、数百年以上も自分を追い続けていた鬼殺の剣士よりも、鳴上少年一人の方が驚異的であるのだろう。
鳴上少年一人に鬼舞辻との戦いの負担を押し付けたい訳では無いのだが、しかしそれは覆し様の無い事実である。
体力が尽きない鬼たちとは違って、鳴上少年は無限に戦い続けられる訳では無いのだけれど。鬼舞辻ですら足元に及ばないだろう程の力を揮う事が出来る存在なのだ。そんな相手が存在している状況で、『臆病』と言って良い程に自身の保全を最優先にする鬼舞辻が果たして現れるのかと言うそれは、当然の疑問である。
だが、お館様は何かを思案する様にその視線を僅かに伏せながらも頷いた。
「無惨は……必ず我々の前に姿を現すだろうね。
奴を逃さない為に、悠が己の身を囮にしている。
無惨にとっては、千年求め続けたものを目先の餌としてぶら下げられた状態なんだ。
『臆病』で『慎重』であっても、だからこそ無惨は前に出て来る他に無い」
鳴上少年が自分自身を囮に? と。大半の者たちにはその事情が分からず困惑した様な表情を浮かべているが。
俺と、そして時透にはその事に心当たりがあった。
「お館様……。それは、『青い彼岸花』などと言う言葉と関係があるものなのでしょうか?」
上弦の壱と参が姿を消すその直前、鳴上少年が彼等に……そして鬼舞辻に向けて放ったその言葉を思い出す。
あの時は一体何の事なのか分からなかったし、訊ねてみようにも鳴上少年は激戦に力尽きて眠ってしまったので分からずじまいであったのだが。
しかし、その『青い彼岸花』とやらと鬼舞辻に何らかの関係がある事は確かであり、そしてそれが鬼舞辻がわざわざ前に出て来る可能性がある事に繋がっているのではないだろうか。
そして、お館様は俺の言葉に静かに頷く。
「ああ。『青い彼岸花』は、無惨が千年以上もの間探し求め続けている物の一つであるらしい。
無惨が探し続けているもう一つのものが『陽光を克服した鬼』である事を考えると、その『青い彼岸花』とやらも無惨が陽光を克服する為に必要な何かであるのかもしれないね。
そしてその事を偶然知った悠は、無惨を引き摺り出す為に、『青い彼岸花』の情報を基に無惨を脅した」
臆病で慎重で。しかし同時に傲慢で短気であるとも予想されている鬼舞辻は、長きに渡り探し求めたそれを目の前に差し出されては、幾ら未知の脅威がそこに待ち構えているのだとしてもそれを無視する事など出来ず、また裏切りなどを臆病であるが故に過度に警戒している為、幾ら完全に支配下に置いた鬼たちであっても、それを奪われて自身にとっての脅威になる可能性が存在する以上はその大役を任せる事が出来無いだろう、と。そうお館様は言い切る。
『青い彼岸花』とやらが一体何なのかは、お館様にも分からず、そしてそれで鬼舞辻に脅しをかけた鳴上少年自身も分からないものであるらしい。要はハッタリで脅しただけなのだが、鬼舞辻の側に鳴上少年の言葉のその真偽を確かめる術など無い為そのハッタリは有効だろうとお館様は言う。
「しかしお館様。鬼舞辻がその『青い彼岸花』を求めているのは分かりましたが、鬼舞辻の狙いが『陽光を克服した鬼』である可能性は無いのですか?」
不死川の言葉が「誰」を指しているのか分からぬ者はこの場には居ない。
竈門少年が連れ歩いている鬼の妹が陽光を克服した鬼となった事は、この場に集った者たちにとっては周知の事実であるからだ。
とは言え、事が事だけに、その事実を知る者は未だ鬼殺隊の者たちの中でも、柱とあの場に居合わせていた者たちなどの極一部に留まっているが。
あの妹が『陽光を克服した鬼』になったからこそ、鬼舞辻の活動が鎮まったのではないかと考えていた柱も多かったかもしれない。
「禰豆子の事に関してはこれからも可能な限り秘匿しておくべきではあるけれど、しかし現時点では無惨が禰豆子が陽光を克服している事を知る術は無いからね。
現時点では、無惨の狙いは悠と『青い彼岸花』であるのだろう」
だから、鬼舞辻に奪われない為に何処か遠い場所に隔離したりする必要は無いだろう、と。そうお館様は言った。
何かを必要以上に隠そうとする事自体が、そこに「知られてはいけない秘密」がある事を知らせる事にもなりかねないのだから、と。
確かにそれは真理であるのだろう。無論、大っぴらにして良い事では無いが、今までと同じ様に行動していれば、誰もあの妹が陽光を克服しているとは思わないだろう。
それ程までに、鬼が陽光を克服すると言う事は「有り得ない」事に等しいものだったのだ。
丁度、竈門少年たちが滞在している蝶屋敷は、鬼の出現がほぼ止んだ事もあって療養中の負傷者の数は極めて少なく、「秘密」を守る為にはうってつけの環境である事も大きく、無理にそこから引き離す必要が無いのは確かである。
「さて、悠と炭治郎が手にした情報はそれだけでは無いよ。
一部の者はもう既に知っているかもしれないけれど、鬼との……引いては鬼舞辻との戦いの中で極めて有用であろうものも見付けたんだ」
そう言ってお館様が説明した『赫刀』と『透き通る世界』に関して、『透き通る世界』は分からなかったが、『赫刀』に関しては思い当たるものがあった。
上弦の壱と参と戦う際に、日輪刀の色が変化したあの現象の事なのだろう。
確か、握る力を意識して、との事だったが……。
『赫刀』に関しては、あの里に滞在している最中に鳴上少年と共に確かめた甘露寺と時透は、「あの事か」とばかりに頷いていたが。それを見た事の無い他の者も、その状態で斬れば上弦の鬼相手でも再生速度を格段に遅らせる事が出来ると言うそれに目の色を変える。
そして、それを発現させる為に必要なものが、日輪刀を想像を絶する力で握り込む事であると判明している事に驚いていた。
お館様の説明に、実際にそれの実験の場に立ち会っていた甘露寺が、その方法で日輪刀をその状態にするには基本的に単独では無理で、鳴上少年の力を借りてやっと成せるかどうかであると付け加える。
鳴上少年が、周囲の者の力を引き上げる様に高める事が出来る事を初めて知った不死川や伊黒などは驚いた様な顔をしていた。
「私の日輪刀の場合、鎖の部分を握り締めれば良いのだろうか……」
柱どころか現在鬼殺隊に籍を置く剣士の中でも群を抜いて特殊な形状の日輪刀を扱う悲鳴嶼さんが思案する様に呟く。
そんな悲鳴嶼さんにお館様は、日輪刀を『赫刀』の状態にする方法は握力以外にもあるのかもしれないと、鳴上少年自身が言及していた事を話した。
思い返せば確かに、上弦の参の頸を落とそうとしたその時に、俺の日輪刀に時透の日輪刀が押し込む様に叩き付けられた時には、日輪刀を染める色が更に濃くなっていた様な気がする。
他に方法があるのかもしれないし、そうでなくても鬼の凶悪さの一つである尋常ならざる再生能力を封じる事が出来るのは間違いなく「有用」なんて言葉では片付けられない程の、「必殺」にも近い力だ。
陽光で焼く以外では殺す事の出来ない鬼舞辻を日の当たる場所に足止めする際にも、これ以上に無い程に有用であろう。
そして、鳴上少年と竈門少年が見付けたのだと言うもう一つの大きな「力」。
『透き通る世界』に関しては、この場でそれを理解しているのは時透だけであった。
そして時透が語ったそれの内容は凄まじいものである。
上弦の鬼を相手にしてすらその動きを完全に見切り予測する事すら可能になると言うその「力」は、鳴上少年の手を借りずとも発揮する事が可能であるのだ。
最初にその「感覚」を掴む際に鳴上少年の力を借りる方が早いかもしれないが、鳴上少年がその場に居なくても、その『透き通る世界』とやらに達する事が出来れば上弦の鬼との戦いの中でも少しでも有利に戦えるだろう事は間違いが無い。
その「感覚」を掴んでも、尋常では無い集中力を要する為に実戦の場で狙った通りにその『透き通る世界』に入れるかどうかはまだ分からないらしいが。
しかし、その力があったからこそ、厄介極まりない特性で逃げ回り続けていた上弦の肆を竈門少年が討つ事が出来たとあっては、その有用性に疑いの余地は無い。
今後の事に関しても少し話し合った後で、お館様はその場を後にする。
そしてその場に残った柱全員で、今後の動きについて詳しく詰める事になった。
以前なら、柱としての任務や日々の業務が圧迫していた事や、最大の目標である鬼舞辻の情報どころか上弦の鬼たちについても何の手掛かりも得られない事が大半であった為、活動方針を話し合ってもそれが進展する事は中々無かったのだが。
しかし、最大の目標であった鬼舞辻や残っている上弦の鬼たちの事は鳴上少年たちの尽力もあってかなりの部分が明らかになっている。
更には、鬼の活動が極めて少なくなった事もあって、柱としての任務もかつてとは比べ物にならぬ程に少なくなり、今までは時間を費やす事の出来なかった事にも余力を割ける様になっている。
最終決戦とでも呼ぶべき総力戦が六か月以内に迫る中で、少しでもそれに備える必要があるのだ。
その為、今日の柱合会議での今後の活動方針は極めて重要なものになる。
「……しっかし、『赫刀』にしろ『透き通る世界』とやらにしろ、先ずは鳴上に会って確かめてみない事にはどうにもならねぇな。
で、今その鳴上は何処に居るんだ?」
「悠くんでしたら、療養中の隊士ももう殆ど居ませんし任務が暫く入りそうにないからと、友人の隊士に誘われて、彼の育手の所へと出掛けていますね。
数日もしない内に蝶屋敷に帰って来るとは思いますが」
「ふむ……なら鳴上が蝶屋敷に帰って来る頃合いを見て、そちらに赴くべきか?
一度鳴上から話を聞いてみたい事もあるからな。
鳴上が戦った上弦の壱と参の事も、奴らがまだ生き残っていてまた戦う事もあるのであれば、もっと詳しく聞くべきだと俺は思うのだが」
「そうね! 私も悠くんに色々とお話を聞いてみたいわ!」
「悠自身はあまり気が進まない様だったけれど、頼めば上弦の壱や弐とかの攻撃を少し再現して手合わせしてくれると思うから、壊したり暴れたりしても問題が無い広い場所の方が良いと思う。
実際、里の方でそうやって手合わせして感覚を掴んでいたから、上弦の鬼とも戦えた部分は大きかったし」
「何と、その様な事も可能なのか……。
それは是非とも悠に協力して貰いたい所だ。
上弦たちがどの様な攻撃をしてくるのかを予め実際に体感する事が出来るのなら、今後の戦いに間違いなく力になるだろう」
「悠は上弦の壱から参まで全員と戦っている訳だからな。
だが、悠本人はあまり気が進まないって言うなら、無理強いにならない程度にしなきゃな」
「まあ、先ずは鳴上少年に直接頼むのが筋だな」
今後の行動方針などについて膝を詰めて話し合っていると、一人静かに話を聞いていた冨岡が徐に立ち上がる。
「俺はここで失礼する」
そう言って本当にその場を退席しそうになったのを、不死川が咎めた。
「おい待てェ、失礼するんじゃねぇ。
それぞれの今後の立ち回りも決めねぇとならねぇだろうが」
「俺には関係がない。鳴上の事も八人で話し合えばいい」
「関係ないとはどういう事だ。貴様には柱としての自覚が足りぬ。
今は鬼舞辻との戦いに向けて備えるべきだと何故分からない。
それとも、一人だけ鍛錬を始めるつもりか? 会議にも参加せず」
不死川と伊黒に咎められても、冨岡はそのまま立ち去ろうとする。
流石にこのままでは、と。俺と胡蝶と甘露寺も止めようとするが、冨岡は止まる気配はない。
何故その様な事を? と言う胡蝶の問い掛けには、「俺はお前たちとは違う」としか冨岡は答えない。
最早場の雰囲気は最悪と言っても良い程になった。
それに憤激した様に立ち上がった不死川が冨岡に殴り掛かりかけたその時。
混沌としかけたその場を、己の手を打ち鳴らした悲鳴嶼さんが一瞬で鎮めた。
部屋どころか邸自体を震わせる程のその音に、冨岡も不死川もその動きを止める。
「座れ……話を進める……。一つ、提案がある……──」
悲鳴嶼さんのその言葉に逆らって争う者は、この場には居なかった。
◆◆◆◆◆
【煉獄杏寿郎】
悠の事はかなり気に掛けているし、鬼殺隊の隊士達の悠への認知の歪みを認識している。
凄い力があるのは事実だけど、それ以前に『普通』の感性を持つ心優しい青年である事を分かっているので、実像と乖離し過ぎた羨望や期待が悠に押し付けられる事には強く引っ掛かりを感じている。
【胡蝶しのぶ】
悠の事は弟の様にも思っているし、何処か最愛の姉にも似ていると思っている為、物凄く気に掛けている。
お館様の意向もあるけれど、悠が必要以上に面倒な事に巻き込まれない様にしっかり守っている。
尚、悠が自分の身を囮にして無惨を釣り出そうとしている事には、そうするのが最善である事は分かっている反面、もっと自分を大事にしろとちょっと怒っている。
【宇髄天元】
悠の事は派手に気に掛けている。
『神様』や『化け物』は悠には向いてない事を直感的にも理解しているので、一般隊士たちの悠に対する『神様』扱いは、これ以上変な方向に行く前に何処かで止めてやった方が良いかもしれないとは考えている。
【時透無一郎】
記憶を取り戻す切っ掛けにもなった事から、悠の事は特別に大事に思っているし気に掛けている。
基本的に動じない性格もあって、悠の事をありのままに受け止めている。
刀鍛冶の里で炭治郎たちと行っていた「柱稽古(仮)」の成果もあって、今回の柱稽古に繋がる事になった模様。
【甘露寺蜜璃】
悠の事は「物凄く良い子!」と言う認識だし、それが覆ったり変わる事は今後とも無い。
『神様』扱いに関しては、「え、そうかな?」と首を傾げるだけで終わる。
【悲鳴嶼行冥】
悠の人間性は信頼している。
そして悠の事以上に、上弦の肆との戦いに貢献した者の中に居た『獪岳』の事が気になって仕方が無い。まさか、あの『獪岳』なのか……?と、考えている。
玄弥から話を聞いても、今一つ確信出来ないまま。
【伊黒小芭内】
悠の人間性に関しては間違いなく「善人」であろうとは思っている。
一般隊士たちが悠の事を『神様』の様に扱い始めているのは、鬼を奉り阿って悍ましい繁栄を貪った果てに最終的に滅んだ伊黒家の顛末を思い出して何となく嫌。
【不死川実弥】
刀鍛冶の里での戦いの報告書によって、そこで初めて悠と玄弥の交流を知る。
悠の事はその為人の部分はほぼ何も知らず、報告書として回ってくるその戦果や、常軌を逸した規格外の力の事しか分からない。
悪いヤツでは無いのだろう……とは思うけれども、そんな悠と親しくしているらしい玄弥の事で気が気では無い。が、そこで簡単に素直にはなれないのも実弥クオリティ。
隊士たちの言う『神様』と言う評価に関してはちょっとよく分からない。
祈れば自分達を助けてくれる「都合の良い『神様』」なんてこの世の何処にも存在しないだろうと思っている。
【冨岡義勇】
自分に話し掛けてくれるだけで「嫌われてない」と思っている、言葉が絶望的に足りない人。ある意味ここまで来てしまうと逆にポジティブなのかもしれない……。
悠の事は炭治郎がマメに送ってくる手紙を通して知っている。
炭治郎が悠に関する事で手紙に書いているのは大体日常的な事なので、悠の力の事に関しては報告書に書いてあるもの以外は分かっていないが、悠が折り紙で鶴を作るのが上手いだとか和食も洋食も作れるだとかはとてもよく知っている。柱の中ではしのぶさんの次位に、日常の中での悠のことを知っているのかもしれない。
一般隊士と積極的に関わる機会がほぼ無いので、鬼殺隊の中での悠の扱いをあまり分かってない。
『神様』がもし本当に存在したとしても、自分を助けてくれる訳では無いと思っている。
【産屋敷耀哉】
悠がその存在を知られると厄介な事になる相手(軍や政府機関など)に知られない様にと、隠たちを総動員する他に産屋敷家の権力なども使って確りと守っている。
悠がある意味で物凄く「都合の良い『神様』」である事は事実だが、そう言う扱いをしてはいけない事も直感で分かっている事も大きい。
この時代(WWⅠ真っ只中)の軍などが若干きな臭くなっている事もあって、その隠し方はかなり念入り。
しかし、童磨が民間に広めようとしているそれは、現時点では草の根活動的な布教活動に少し毛が生えた程度であるので、その存在自体に気付けていない。
悠が単騎で無惨(弱体化無し)を殺せる存在なのだろうとは、薄々察している。
【鳴上悠】
万が一にもその存在(とその力)が鬼殺隊以外の者に知られると非常に危険な事になり、本人の意思などとは全く関係無く最悪世界滅亡の秒読みが始まる、歩くニュクスアバターの如き存在。自覚は無いし、そしてこの世の誰もそれを知らないが。
お館様が物凄く自分の事を守ってくれている事には、その具体的な全容までは分からなくても割と気が付いている。
善逸と獪岳と一緒に桑島さんの所へ訪問中。