もと大どろぼうホッツェンプロッツ四たびあらわる 作:へびのあし
ホッツェンプロッツは、ピンクの花模様のエプロンとコック帽という格好のまま、ほおを一発なぐられたかのようなマヌケな顔でつっ立っていました。
「ポ、ポニーだと……?」
「そうよ。キャラメル色の体に、コーヒー色のたてがみのとってもきれいなポニーだったのよ。」
エリーがそういったしゅんかん、ホッツェンプロッツはしまった!という表情でかたまりました。
そのようすを見て、ゼッペルがあきれたように言いました。
「ホッツェンプロッツさん、それは本当なんですか?ぬすんだ馬を、まだ返していなかったんですか?」
その答えは、ホッツェンプロッツの顔を見ればすぐにわかりました。
「それで?そのヴァラ・リーナとかいう馬はどこにいるんですか?」
カスパールが聞くと、ホッツェンプロッツは悲しげに首をふりました。
「もしかして、どこにもいないんですか?」
ホッツェンプロッツはゼッペルの答えにも、首をふりました。
「いるのかいないのか、一体どっちなんですか?」
もう一度カスパールが聞くと、ホッツェンプロッツはためらって、六回いじょうも口を開いたり閉めたりしてから、ようやくゆっくりと重い返事をしました。
「………売っちまったんだよ、カラシをひとたると交換にだ。であるから、くにじゅうのどこにいるのか、はたまたいないのか…俺にもさっぱりわからない。」
それをじっと聞いていたエリーは、ふいに彼女の青く澄んだ目になみだをあふれさせると、両手で顔をおおってくるりとうしろをむきました。そして、「カラシひとたる!返してくれないんだったら、ぜったいにゆるさないわ!」と小さく叫んで走りさってしまいました。
「ああ!」とホッツェンプロッツがなさけない声をあげましたが、すべてはおそすぎました。
大きな体をしゅんとしぼめて、ホッツェンプロッツは言いました。
「ああ、おれがどろぼうであったことを後悔する日がくるとは…!まったくもって…心からの後悔だ!」
カスパールとゼッペルは、もちろんホッツェンプロッツをなぐさめようと努力しました。しかし、それはたいへん難しいことでした。
なぜなら、そのためにはエリーのポニーを取り返さなければなりません。しかし、たよりになりそうなシュロッターベック夫人の水晶玉も、見とおせるのは52キロ以内まで、しかも戸外に限る、という条件がついていました。犬のバスティの鼻も、嗅いだことのない匂いをたどっていくのは無理というものです。せかいじゅうのどこにいるか分からないポニーを、どうやってとり返すというのでしょう?
「大丈夫ですよ、ホッツェンプロッツさん!ディンペルモーザー警部にたのんでみましょう。警察から捜索願いをだしてくれるかもしれないじゃないですか。」
しかし、すっかり落ち込んでしまったホッツェンプロッツは、ただ何度もため息をつくばかりなのでした。
荒々しいもと大どろぼう。意気消沈させていいのか随分悩みました…。
ただ、原作の描写を見る限り、根は人間らしいいい奴であることは確かです。