【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
「うーん……やはりバリアが展開されていますね」
私は
もちろん、『タイムバナナ』で調査自体をなかったことにします。
「コチラでもバリア状の高エネルギー反応を確認したヨ」
『今でしたら、駆逐艦の装甲で強行突破できそうですわ』
「しかし、私達が動くのは1週間後です」
『では、やはりバリアの穴を潜って入るしかありませんわね』
「予定を早めるワケにはいかないカ?」
「無理です。エヴァさんの『別荘』を使用しての修行ですから、早めた分の時間は、相当に大きなものとなるでしょう」
原作通りでしたら、バリアの頂点部分に隙間があって、そこから入り込むことが可能なはずですが……。
この平行世界では、フェイト少年がこちら側です。
『デュナミス』さんも、その辺の弱点は知られているものとして、対策を考えてくるでしょう。
実際、フェイトさんからバリアについての情報がいただけましたし。
だからこそ見に来た、という面もあります。
ま、
情報なしで突入という、行き当たりばったりのことが、私には怖くてできないのです。
特に今回は、世界の命運がかかっていますしね。
臆病なくらいに、慎重に事を進めるべきなのですよ。
「マキナ、分厚さの予測はできるカナ?」
『はい、一週間後と仮定しますと、最大は
大体原作通り、と見るべきでしょうね。
ちなみに赤道部、というのは、要するに真横の部分です。
地球の緯度に例えているわけですね。
「ということは、やはり『敵』が罠を張って待ち構えている場所に、突入する必要があるということですか」
「普通のやり方ならば、ネ」
「そうですね」
普通でないやり方でしたら、割とどうとでもなります。
「せっかくですし、まずは威力偵察いってみましょうか」
言ってから、私は呪文詠唱を始めました。
最上位精霊の召喚です。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
例によって、古代ラテン語の和訳辞書なんて持っていませんので、原作に出てきていないところは省略させていただきます。
アンディとの模擬戦の時に使用した、
「“ラ・テル・マ・キル・マギス、
『
『魔法の槍』3500本分の魔力を、分身体に注ぎ込みます。
もちろん、一度の詠唱で、ではありませんが、省略させていただきました。
『魔法の槍』の利点は、一度の詠唱で並べられる本数、貫通力威力の他に、魔法自体の負担の軽さが挙げられます。
その分、高度な魔力制御が要求されますが、『千の雷』などに比べますと、肉体への負荷は格段に低いのです。
要するに、元から効率の良い魔法ということですね。
この辺は『魔法の矢』も同じことが言えます。
どちらも数を並べるという性質上、効率が良い必要のある魔法ですし。
都合、『千の雷』2発分足らずです。
現在の私が用意できる精霊戦力の最高値でもあります。
『アーウェルンクス』1体分程度。
これを何度か繰り返せば、どういう対応をしてくるのか、おおよそ把握できるでしょう。
5時間後。
いえ、旧オスティア王宮島の捜索を含めて3時間前ですか。
もちろん、『タイムバナナ』を使用しました。
私は別荘に戻って、エヴァさんや
主な議題はバリアについてです。
情報を整理します。
まず、第一関門として、バリアがあります。
これは現時点で原作ほど強力ではないものの、1週間後には弱点からしか突破できなくなっているでしょう。
その弱点も、フェイトさんが知っているということは、『デュナミス』さんも気付いているはずです。
そこに罠を張って待ち構えている可能性が高い。
「ただ、そこを塞ぐ別のバリアというのは難しそうですね。
魔力流が強過ぎて、その場所に滞空させることも、展開させ続けることもできないと思います。
メインのバリアが強過ぎるからこそ生まれた弱点のようです」
「ということは、その弱点を罠で対応してくる可能性が高いということか」
「そいつは逆にマズイな……」
ラカンさんは深刻な顔をし、私も頷きました。
「はい、船ごと吹き飛ばす、極大魔法の儀式が準備されているのを確認しました」
侵入経路がそこしかないのですから、そこに罠を張るのは常識です。
実際、1回目の威力偵察では、それにやられました。
「となると……やはりここの連絡艇を借りることになるな」
「はい」
私は頷きました。
連絡艇、というのは、アレです。
原作で『グレートパル様号』として使用されていた、金魚型の魔導船です。
アレは、魔力消失環境でも使用できるように、エンジン部分に処理が施されているのです。
本来、魔法世界の物質は、旧世界へは持って行くことができません。
魔法世界そのものに、魔力で編まれた物質を保持しやすい術式が組み込まれているためで、これによって魔法世界人は存在することが出来ています。
処理というのは、それを旧世界へ持って行くことができるようにするというものです。
具体的には、物質の存在力を引き上げるために、精霊エンジンからエネルギーを供給、私達が使う魔法のように、魔力によって旧世界でも存在できる物質として安定させるのです。
分かりやすく言えば、それそのものを1つのアーティファクトにしてしまうのですね。
あれも、根本的には魔力で編まれた品物ですから。
と。
まあ、原作の描写から作者なりに考えた、独自解釈です。
『グレートパル様号』は、高密度の魔力環境下とはいえ、旧世界に不時着して消えませんでしたからね。
それ以降も旧世界の宇宙で用いられていたようですし。
その仕組みを解釈すると、このような仮説が立つわけです。
少なくともこの平行世界では、この解釈で行かせていただきます。
で。
なぜこのような説明をしたのか。
勘の良い読者の方々でしたら、もうお分かりですよね?
「では、3方奇襲作戦を少し変えて、例の駆逐艦には罠を引き付けていただく方向で行きましょう」
「あえて罠に乗った振りをするということか」
「はい。あの質量を一撃で吹き飛ばすレベルの大魔法の発動中、まともに探知が働くとはとても思えません。
その隙に、麻帆良と
これが私が考えた作戦です。
火星表面から『
また、麻帆良へ奇襲をかけようとすると、逆に奇襲を仕掛け返されるなどということも、想定出来っこありません。
彼らに想定出来るのは、駆逐艦によるバリアの弱点からの強行突入だけなのです。
「ただ、懸念が1つだけあります」
「懸念?」
「ええ、先程行った威力偵察の際、私はマリスさんと交戦しました」
「ほう?」
エヴァさんは興味深そうに訊き返してきました。
「フェイトさんが、エヴァさんでも負けるかもしれないと言っていた意味がわかりましたよ」
「へー?」
こちらはラカンさん。
「マリスさんが使う『
「『闇』だと?」
魔法には、風火土水の錬金系四大属性に加えて、『光』と『闇』の合計6つの属性があります。
「『闇』ってのはどういうことなんだ?」
「元来、『
エヴァさんは言います。
「『闇』に『闇』を溶かして吸収するという真似は、実現できればかなり強力だ。
術者自身を無差別魔力吸収状態にできるからな。
敵の攻撃魔法の魔力も吸収し、威力を半減できる。
正直、敵に回れば厄介窮まりないだろう。
特に生かして捕えるとなると、な」
「なんか、俺の方が相性良さそうじゃね?」
ラカンさんが首を傾げました。
「無差別魔力吸収がある。元々の魔力量が低ければ、触れただけで死ぬぞ。
魔法世界人などには効果は覿面だ」
「実際、最上位精霊も3回ほど触られただけで崩壊しましたからね。
術式の維持に使用していた魔力が、根こそぎ持って行かれました。
上位精霊などは1発アウトです」
私は渋い顔で話します。
あれを殺さず完封するのは多分、エヴァさんでは厳しいと思ったので。
その確認のために、私はエヴァさんに会いに来たのです。
「『闇』の『術式兵装』、おそらく術者にとっても他に比べて相当にリスクが高いのではありませんか?」
「気付いたか。その通りだ」
エヴァさんは頷きました。
「『闇』に『闇』を溶かし、自身の肉体に充填するというのは、自身の存在をより不安定化させるということでもある。
ちゃんとした手続きで解除しなければ、精霊化した細胞が戻らなくなり、死ぬ。
そんなリスクを抱えているからこそ、『闇』には他にはない強さがあるということだ。
正直言って、実用化できているのなら、他の属性の『術式兵装』よりも強い。
特に、相手を殺さないように戦いたい私達にとっては、致命的とも言える。
より不安定化させて肉体を崩壊させ、死に至らしめる術などいくらでもあるからな。
それを避けて戦うとなると、私でも厳しい」
「やはりそうでしたか……」
私は呟きます。
勝てなくはなかったのです。
実用化しているとはいえ、動きそのものはアンディの『雷天大壮』に比べれば遅く、隙もそれなりに見えました。
その大半は誘いでしたが、大魔法を狙って当てられなくはないというのは致命的です。
大魔法でなくとも、『精霊解放』という手段があれば、不安定化を促進させるには十分なのですからね。
しかしそれは、彼女を殺してしまうということ。
「できれば、彼女とは正面からやり合いたかったのですけれどもね……」
私は難しい顔で深々と溜息を吐きました。
やることは――決まっています。
読者の皆様には謝らなければならないかもしれません。
手に汗握る死闘も激戦も、ありはしません。
相手を納得させるのはいいとして、その結果新たな火種を生んでしまっては、意味がないのです。
ゆえに――今回は
はい、大体いつものことですが。
本日の成果
威力偵察を敢行!
敵戦力について情報を把握。
以上。
つづく
バリアについての説明と、『闇の魔法』についての解釈が主ですね。
マリスは、多分原作ネギ少年でも負けるくらいの強さですが、こっちのネギ少女は色々と酷いので、ダイジェストで勝負がつきます。