【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
汗の処理が面倒になってきました。
自分、汗っかきなので。
ややこしいお話に移る前に、私は『別荘』で乖離症状の期間を過ごします。
その間に、アルさん達が準備を済ませてくれるそうです。
また魔法儀式の準備ですが、元々半分ほど準備していましたから、30分ほどで終わります。
しかし、丁度夜になる時間帯ですし、儀式を行うのは翌朝ということになりました。
その間に、私の新しい肉体について説明しておきましょう。
顔や体格はほぼそのままですが、髪の毛が金髪になっていました。
肌の色も若干白めです。
「なんだか、2Pカラーになっちゃったわねー」
「2Pカラーはやめてください」
私と妹さんを見比べた明日菜さんの感想に、私は抗議の声を上げます。
「あーうー?」
妹さん、アリカと名付けられたアンディの妹が首を傾げました。
大方の予想通り、知識的には赤ん坊スタートです。
今はお兄さんのアンディにベタベタと引っ付いている状態。
言葉はまだ話せないものの、物凄い勢いで知識を吸収しています。
下っ端天使さんのお話によりますと、元々の資質に加え、私が何かと脳を酷使していたおかげで、記憶容量や回転速度が物凄いことになっているとか。
魔法に関しましては、勉強すればかなり早い段階で、以前の私と同等の使い手になれるそうです。
ただ、もしかすると精霊使いにはならないかもしれないとのこと。
私は魂の方が運動音痴ですので、魂の変化に伴ってそれが解消されたのでしたら、進路が異なるのは当然です。
ただ、術式の組み方は一から学ぶ必要があり、使い物になるまでに多少は時間がかかるかもしれません。
一方で私ですが、魔力量が若干落ち、始動キーの設定からやり直さなければならないのと、最上位精霊の召喚に再挑戦しておかなければ、いざという時に最上位精霊を召喚できなくなるそうです。
つまり、契約系の儀式のやり直しですね。
それだけでしたらまだいいのですが。
誕生日系の属性が変更されていますので、魔法の属性も特性もかなり変更されるとか。
もう、言ってしまえば別キャラです。
2Pどころではありません。
殺意の波動に目覚めたくらいの違いがあります。
ただ、転生特典は魂に設定されていることですので、妖精さんの召喚能力や魔力、体力、資質へのボーナスは私が持ったままとのこと。
この辺は救いといえば救いですね。
マキナは私の方についてきてくれるようですし。
マキナのチートっぷりは、以前に説明した通りです。
精霊召喚の要領でマキナに魔力を与えれば、『ぼくのかんがえたさいきょうのキャラクター』でも、なんでも再現出来てしまうのです。
さすがに『
――まあ、もうその辺の武力は必要ではないのですけれどもね。
計画最後の厄介事というのも、私の口先で解決できる類のことですし。
翌日。
私の乖離症状も治った後、『別荘』を出て、私の計画の中では最後となる魔法儀式を見届けます。
最後とは言いましても、あくまで私達が準備する魔法儀式では最後になるという意味ですが。
いえ、計画の最終到達地点はここでした。
この儀式を達成し、その後も穏便に済ませるために、私は色々と寄り道をしてきたのです。
『まさか、このような形で我が封印が解かれるとはな……』
「お初、お目にかかります。
『
私は声をかけました。
主な仕事が時間稼ぎとはいえ、ある意味で世界を救った功労者でもあるのです。
忘れ去られたまま放っておくことなどしませんよ。
もう1人の『
『私を消滅させる算段でも付いたのかね?』
「戦う理由そのものを消滅させていただきました」
『何?』
顔は見えませんが、その声に怪訝さが含まれています。
現時点で顔はナギですが。
「
『武の英雄では見つからなかった、滅びを回避させる方法を見つけたというのか?』
「施工済みです。
既に魔力の生産量が消費量を上回り、なおも増えつつあります」
主に
『……
「は、え……?」
『
その声は、本来計画には含まれていなかった人物、つまり下っ端天使さんに向けられていました。
この、言葉の指向性と言いますか、多分、これに関しては『
下っ端天使さんに向けた言葉であると。
多分ですが、こういうちょっとしたことに気軽に魔法を使う癖があるからこそ、逆に外交感覚が損なわれてしまったのではないでしょうか?
私にはそう思えて仕方がありません。
ただ、この言葉の指向性のようなものも、この平行世界の独自設定ですが。
「手を出したと言えば出したことになるわね」
下っ端天使さんが答えます。
「ただし、私が意図してたのは、他の平行世界への被害を食い止めるってところまでよ。
ここまで綺麗に収めてくれたのは、この子の力だから。
そこんとこは勘違いしないでね?」
『フフフ、承知した』
どうも、お2人は以前から知り合いだったようです。
しかも、割と親しげ。
「どういう、ことなのですか?」
私は尋ねました。
『彼女は、我々の魔法の祖だよ。
元々魔法とは、彼女の因果をねじ曲げる力の痕跡を利用したものなのだ。
彼女自身は、その力の強大さゆえに、世界を去ったがな。
たまに
あまり我々にとって不利益になるようなことはせんし、したとしても誰にも止められんがね』
「え、でも前に『天使』の力を振った世界はダメになるとか言ってませんでしたっけ?」
「最初の1回目だけは、影響を計算できるからオッケー。
2回目からは計算が煩雑になり過ぎちゃうからアウト」
私の質問に、
要約すると、『面倒臭いから』だそうです。
「むしろ、ここみたいに平行世界の分岐が多いような世界は、そうしないと魔法そのものがなくなっちゃうことだってあるわ。
時間移動がある世界って、管理する側も大変なのよね」
彼女はやれやれと肩を竦めて見せました。
「それって、別の『天使』に任せたりしないのですか?
確か、死者の魂を管理するのが役職でしたよね?」
「そんな、役職ごとに別の人が出てくるほど、私達の数は多くないわよ?
私も上役を含めても5、6人くらいしか知らないし。
その人数で5万とかの平行世界を管理してるわ。
死者の管理は確かに結構忙しいけど、逆に言えばそれ以外の仕事ってほとんどないのよ。
ここは神託しなきゃいけないような世界じゃないし。
他人に召喚されなきゃいけないわけでもないし」
「そういえば、『天使』というのも私が適当に付けた通称でしたっけ……」
どうやら、アブラハム系の宗教のような、無数の天使が世界を管理しているというのとは、かなり違うようです。
私は盛大に勘違いしていました。
『それで、私を復活させたというのは、
「それもありますが、もう1つ、『デュナミス』さんについてです」
『――やはりあれは暴走したのか……』
「はい。その際にウェスペルタティア王族の生き残り、マリスさんを洗脳教育し、手駒にしました。
今、彼女は眠らせて『
『なるほど……『闇』か』
「はい」
さすがに、私の話だけで事態を察したようです。
自身が祖である技法ですので、詳しいのですよ。
『君らでは『デュナミス』の暴走は厄介だったろうに、止めてくれた礼も兼ねて、引き受けよう。
洗脳を解除し、教育し直せばよいのだな?』
「はい、ありがとうございます」
私はぺこりと頭を下げました。
その後、アルさんの指示で妖精さんに調整していただいていた、魔改造版田中さんに、『
無機能ですが頑強さはマキナと同等、もちろん魔法も制限なく使用可能という、素体としてはかなり良いものです。
いや、機能を付けても良かったのですが、下手に機能を付けて『
そのおかげで妖精さんのモチベーションがダダ下がりしてしまいまして……。
いえ、これはどうでもいいですね。
ナギは解放され、10年間の長い封印の間に身体はボロボロになっていましたが、寄って集って回復魔法を使ったおかげで、アルさんに肩を借りながらも立ち上がることが出来ていました。
父親としての意地もあったようですが。
『
魔力溜まりのせいで麻帆良と魔法世界が繋がっていましたので、魔法世界へ向かったのでしょう。
そのお姿は――。
おそらく妖精さんの最後の抵抗でしょう、なぜか『カンフーマン』でした。
2D格闘ゲームツクールのフリーソフト『MUGEN』で、デフォルトで入っているキャラクターです。
『MUGENの主人公』とも呼ばれ、他のキャラクターに負けないくらいの多数の派生キャラが作り出されています。
はい、オチですね。
笑ってやってください。
本日の成果
計画最終目的達成!
ナギ救出完了。
計画完遂に伴い、経過報告終了。
以上。
つづく
安心と信頼の妖精さん。
タイトルの主人公は、MUGENの主人公『カンフーマン』でしたとさ。