【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
蚊ァーッ!!
107 英雄の休息
「なっさけねえなー。
このくらいのことで寝てなきゃいけねえなんてよー」
病院で点滴を受けながら、ナギは言いました。
「無茶はいけませんよ。
もう若いとも言えないのですし」
「わーってるって」
ぶっきらぼうですが、やはり体の調子が戻らないのでしょう。
魔力の回復具合も半分程度と言ったところだそうです。
自分で自分を封印していましたので、肉体の成長は止まっていました。
30代半ばと言ったところです。
エヴァさん曰く、石化魔法でもこういうことは結構あることだそうで。
問題は、彼を英雄たらしめていた、膨大な魔力が失われてしまったことです。
『
こちらに関しましては、
この問題に対処する義務を負うとすれば、それは『
そして、『
もう、往年のナギの、馬鹿げた強さをすべて取り戻す方法はないのです。
ただ、それでも彼は世界最強クラスです。
魔力量の上限が5分の4くらいに減った程度のことは、些細なこと。
幼少期より培ってきた経験とセンスは、半年ほどのリハビリで取り戻せるでしょう。
「リハビリと言えば、私もですね」
「そうだなー。
契約系を全部やり直しで、属性まで変わっちまったんだっけ?
なんかすまねえな。
色々と押し付けちまってたみてえでよ」
「まあ、人生のやり直しができる代償と思えば、安い方ではないでしょうかね?」
私はさらりと言いました。
「それに、私の真骨頂は政治の分野なのです。
妖精さんやマキナもいますし、働くために急いで戦闘力を取り戻す必要はないのですよ」
「へー、すげえな。俺は政治のことなんてちっとも分んなかったぜ?」
「ふふふ、魔法学校中退ですものね」
「おうよ!」
なぜかナギは自慢げです。
実は私もあまり人のことは言えないのですけれどもね。
前世の高校時代に登校拒否して引き篭もっていた時期があり、出席日数が足りなくなりましたから。
まあ、今となっては良い思い出です。
「しっかし、これからは政治の時代か……。
俺の隠居も近いのかもしれねえな……」
ナギは感慨深げに言いました。
「まさか。外交とは、武力と情報力が物を言うのです。
あと20年はその力をアテにさせていただきますよ、
私は笑顔で返します。
「色々と世話になっちまったのは確かだしなぁ……」
彼は頭を掻きました。
天然とはいえ、この返しはなかなかお見事ですね。
大抵の人は私の黒い笑顔にビビるのですけれども。
お馬鹿さんとはいえ、英雄と言われるだけはあるのかもしれません。
「ま、俺が力になれることなら気軽に声かけてくれよ」
「まずは半年間、しっかりと休養をお願いしますね。
「お、おう」
さすがに娘さんのことを出されると弱いですね。
私も人のことは言えませんけれども。
知識の吸収が物凄いので、色々と教えるのが楽しいのですよ。
ですので、ついつい甘やかしてしまいます。
子供を育てた経験がないものでして。
変化した私の属性について、説明しておきましょう。
『土』と『闇』です。
以前の『風』と『光』とは、真逆になりました。
戦術も修行もほぼ一からやり直しなのです。
ただ幸いにして、効率を度外視すれば以前の属性の魔法も使用できます。
得意属性以外の魔法も、練習すれば使えないことはありませんからね。
原作でエヴァさんも『風』属性の魔法を使っていましたし。
1年ほど頑張れば、以前と同等の水準、つまり最上位精霊の召喚使役も可能となるでしょう。
そこまで修行し直すのも、結局面倒なお話なのですけれども。
ちなみに『土』は『砂』や『石』といった派生があり、精霊の性質は強度と物理干渉力の高さです。
強度の高い『影』の劣化版とも言えますが、こちらは重さを操作できますから、単純に劣化版とも言い切れません。
具体的には、なんちゃって『無限の剣製』ができるということです。
原作でも出てきた黒曜石らしき刃物を並べる魔法、『
また、錬金術を併せることで、様々な金属や合金を作り出すことが可能となります。
あくまで魔力で編むということになりますが。
窮めれば、『風』の速度にも十分対抗できるのはできるのですよ。
ただ、
あの子も、特に私の肉体や
教師として学校の授業を頑張る傍ら、いつもにまして修行に励むようになりましたし。
アレに追い付くのは数年はかかりそうなのです。
えーと、ついでに『闇』についても説明しておきましょう。
『破壊』の属性である『光』に対して、『闇』は『融合』です。
『魔法の矢』の場合、対象に魔力を溶け込ませ、分解することで威力を発揮するのです。
同じ『破壊』でも、石をぶつけて破壊する方式である『光』とは、やり方が異なるのですよ。
その点、結構面倒臭い属性でもあります。
生物に対しては加減が難しいですからね。
相手に障壁や気の防御がなければ、『闇の矢』ならすぐに殺せてしまいますから。
まさしく、自分の心の闇と向き合わされる属性と言えますね。
精霊とした場合、マリスさんと同じように無差別魔力吸収状態にできます。
吸収量自体は、最上位精霊でもマリスさんの半分以下です。
吸収する分長持ちしますから、魔力の消費が少ないのは助かりますけれども。
やっぱり不安定になりがちなので、他の属性に比べて制御が難しいのがネックですかね。
『精霊解放』なんてやってしまえば、周囲の物質が分解されて、一定範囲が削り取られてしまいます。
『ジョジョの奇妙な冒険』の第三部で猛威を振った『ヴァニラ・アイス』のスタンド、『クリーム』のような削れ方をするのです。
中位精霊で試してみて、心の底から震えたものですよ。
中位精霊を爆弾のように使い捨てれば、かなり凶悪な殺人魔法になりえるのですから。
無差別魔力吸収があるおかげで、『精霊解放』の効果範囲を見誤りやすいですし、上位精霊以上の『精霊解放』は、実戦ではまず使用しないでしょうね。
まだ説明しておくことがあります。
契約関係がすべてやり直しになったわけですから。
当然、『
特に急いでやり直す必要はなくなったのですから、一通り説明して、以前の従者の中で希望する人は再契約という流れになりました。
割と日常的にアーティファクトを使用する
千雨さんは、プライベートでもオタク仲間ですからね。
結構私とは信頼関係があるのですよ。
ハッキングだけでなく、雑多な情報の中から重要なものを抜き出すセンスがあり、非常に頼りになりますし。
今までは色々と制約があって、情報を開示できなかったこともあったのですが、これからは千雨さんには隠し事をせず、すべて話していくつもりです。
私の
ちなみに。
マキナは相変わらず私の従者です。
まあ、アリカに変なことを教え込まれるのも嫌ですし、ありがたいと言えば有難いことです。
そうそう、私の体質についてですが。
一番の問題だった、1人で眠ると悪夢を見るのは、幾らか改善しました。
それは私の魂の方の問題でしたから、まだ体に悪夢の感覚が残っているのが原因と思われます。
精神的な問題ですから、時間をかけて解決するしかありません。
次は夜更かしができない体質ですが。
肉体の年齢的な問題だったようで、ある時間になりますと、スイッチを切ったように眠り込んでしまいます。
大体今まで通りですね。
これも時間が解決してくれるでしょう。
最後は、脳が強い信号を受け取ると、すぐに気絶してしまうことについて、です。
これは乖離症状の一部だったようで、『肉体再創造』後の乖離症状が収まると、ある程度は改善しました。
今度は肉体的に防衛反応が出ているようです。
肉体が大人になるにつれて、これも改善していくというお話です。
変更点と言いますか、修業のやり直しになる部分ですが。
まずは属性の変更に伴う、詠唱の短縮や魔力効率の向上、特に1万回の呪文詠唱の速度がかなり落ちました。
終了まで1時間近くかかるようになりましたから、以前の水準、10分台に戻すまで時間がかかりそうです。
また、肉体が変更されましたから、魔力の癖も変わっているのですよね。
これに慣れるのにもひと苦労です。
以前より肉体への負担が減ったのは嬉しい変更点ですけれども。
とりあえず、緊急の強化計画は必要がありませんからね。
時間をかけて、一つ一つ問題を解決していきましょう。
喫緊の課題はほぼすべて終了し、後に残るのはグダグダな青春だけです。
まあ、ネギ少女の場合はやはりまた政界の問題に首を突っ込むでしょうね。
特に魔法世界では、影響力が大きいですし。