【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
夏ぅーっ!!
「すっかり存在を忘れられているであろう、『錬金秘術書』の出番です」
私は言いました。
修行ペースはかなり減速しましたが、今は『童話の地2』を部屋の中でなら大っぴらに使えますし、あまり時間を気にせず修行したり遊んだりできます。
『別荘』と同じように、内部での時間経過が肉体に反映されますから、あまり多用もできませんけれども。
そして『錬金秘術書』。
似たような名前の魔道書がゴマンとある、その中の1つです。
春休みの始めに私が受けた魔法生徒としての試練の際に、入手してコピーしておいたものですが。
覚えている人、いますかね?
一応、内容を説明します。
錬金――石ころを金に変える、本当の錬金術について書かれた本ですね。
大まかな仕組みは、石ころの存在力を、魔力で編んだ金に注入するというものです。
それによって、金を現実の物質として固定するわけですね。
まあ、肝心の加工ができない、欠陥品ですけれども。
形が変化すると術式が壊れて、全体が崩壊しますから。
魔法世界の物質やアーティファクトに近い感じですね。
ただし、物質の魔力での編み方は参考になります。
以前も説明しましたが、一般的な攻撃魔法というのは、『火』や『風』といったあやふやなものを魔力で編んで創り出すという、錬金術が基礎となっているのです。
これは逆に、『地』の属性でなければ、ちゃんとした物質を魔力で編むのは難しいということでもあるのですよ。
『地』属性は、教本では精々が『ゴーレム創造』までです。
錬金術、100以上の元素を再現して利用するようなところにまでは踏み込んでいません。
そもそも、元素を編み上げるのも上級者向けですしね。
魔法使いは科学的なことは敬遠する傾向がありますから、元素利用は研究されていないそうです。
やっているとしましても、鉄とか銀とか、利用している元素の数がかなり少ないようです。
つまり、『錬金秘術書』にある元素の編み方というのは、上級者以上には有用な参考書ということなのですね。
『ですが、それにはまず上級者になる必要がありますが』
「むうううぅぅ!」
マキナが茶々を入れてくれました。
『何も言い返せずに煩悶とするご主人様、萌え、ですわ』
「ふんぬ」
『あふん』
とりあえず紅潮した笑顔を蹴っ飛ばします。
自己魔力供給による身体強化が雑になっていますから、前みたいに5メートルとかぶっ飛ばすことはできませんが。
夏休みも終わりました。
世界を救う大元の計画が終わりましたから、後はほぼ消化試合です。
世界に問題がないわけではありませんが、『デュナミス』さんのような緊急性の高い問題は、今のところないということですね。
時間があるって素晴らしいのです。
宇宙開発も、旧世界の各国から予算が出てくる来年度以降のお話ですし。
魔法世界も、私の存在についての発表は来年の選挙前の予定です。
それまでにやらなければならないことは山積みですが、発表前に私があちらに姿を見せたりしますと、要らない混乱を起こしかねません。
何より、ナギの息子と娘という噂が流布されるには、実物がいない方が良いのです。
人の口に戸は立てられません。
噂を広めることはできますけれどもね。
その大きな要因は、想像力です。
想像力をかき立てるには、実物はない方が良いのです。
というわけで、今私は
来月には体育祭が控えていますし、そのお手伝いをする感じでしょうか。
クラスの出し物はありませんから、主に『
体育祭に関しましては、
何か手を出す必要もありません。
精々死人が出ないように注意するくらいでしょうか。
競技ですが。
あんまり出ません。
身体強化のレベルが学園祭前くらいまで落ちてますし。
そもそも身体強化がなければ10歳の子供ですし。
本気で勝ちを拾いに行く必要もありませんし。
まあ、私自身は、ですが。
3-Aのクラスメイトは、なぜか総合優勝のために、びっくりするほどの情熱を注いでいるのです。
私と周囲の温度差が物凄いことになっています。
主にスケジュール調整を。
3-Aは普通に
魔法なしでも大学生相手に勝てるのです。
後は、それぞれの得意分野を上手く割り振るだけです。
なぜか、私のところに相談に来るのは変わらないのですけれども。
問題はやはり全体イベントでしょうか。
『教師借り物競走』。
主に魔法先生達から、適当に決めた何かを借りて行くというものです。
まあ、アンディも魔法先生に入るわけで。
クラスのためにとか言って、
命懸けの戦争ではないのですから、不公平はいけません。
学園祭では勝敗操作をしていたって?
あれは計画には必要なことでしたから。
命懸けで、世界の命運が懸かっていたのです。
今はそんなこともありません。
肩の力を抜いて、楽に行きましょう。
なぜそんなにのんびりできるのかって?
そういえばこの時期、原作のネギ少年は超忙しそうでしたものね。
その理由は、魔法世界の崩壊を食い止める計画、つまり
明日菜さんの時間を犠牲にすることで100年ほど延命し、その間に
魔法科学統合技術を勘案しましても、200年は欲しい大事業ですよ。
それを半分に短縮しようというのですから、最初から最後まで過密スケジュールになるのは当然です。
急いだ分、世界の歪みも大きくなるでしょう。
元々世界というのは、少なからず歪んでいるものですけれどもね。
まあそういうことですよ。
この平行世界では、既に妖精さんの力で
宇宙開発を急ぐ必要はありません。
明日菜さんを特殊な儀式で封印する必要もありません。
山積みの問題も、ゆっくりと解決していけばいいのです。
うん。
現実逃避、というわけではありませんが。
とても重要なお知らせがあります。
私、『雷の暴風』が撃てます。
ええっと、どういうことかと言いますと。
魔法世界などでの修行で、私は最上位精霊の召喚術式の効率化を重点的に行っていました。
『雷の暴風』は、『
例の、一日一万回の呪文詠唱で。
最終的には8時間43分32秒まで短縮できました。
もちろん、途中で魔力切れを起こし、休憩を挟んで、ですが。
まあ要するに、普通あり得ないほどのレベルで効率化した魔法は、少しこちらの肉体に慣れるだけで、使えるようになるのですよ。
もちろん、『光の矢』や『雷の投擲』なども使えます。
ええ、『風』や『光』の上位精霊も召喚できますよ。
さすがに効率はかなり落ちますし、複数体を維持しつつ戦闘ということはできませんけれども。
朗報と言えば朗報ですよね。
使用可能な属性が増えていると言えるのです。
もしかすると、戦術の幅がむしろ増えたのかもしれません。
「神は言いました『
「出やがりましたね、
私が『童話の地2』で色々と実験している最中、未だに現世に残ってフラフラしている下っ端管理職さんがやってきました。
今は麻帆良近辺で遊んでいるようです。
「お、錬金術に手を出しちゃうの?」
私が持っている本を見て、彼女は聞いてきます。
「属性が『土』に変化しましたし、戦術の幅を広げる意味でもいいかと思いまして」
「あー、石ころを金に変えちゃうのはやらないんだ?」
「お金が欲しければ、商売的な意味で錬金しますって」
「あー、それもそっかー」
「もしかして何か、神様的な秘術があったりするのですか?」
「そりゃあるわよ」
彼女はあっさりと肯定しました。
「錬金術は魔素をこねくり回して物質に変えたり、逆に物質を魔素に変換したりするのが奥儀よ。
それを極限まで簡略化したのがアーティファクトカードってわけ」
「……えーっと、アーティファクトを作れと?」
「話は違うんだけどね、この魔素を事象に変えれば、妖精の力になるの」
「途中すっ飛ばしましたね」
「説明してたらそれだけで年単位かかっちゃうわよ」
「『日が暮れる』を超えましたね」
私が表現に感心していますと、彼女は本題を告げます。
「要するに、錬金術なら妖精が術式を弄れるってことね」
「……マジデスカ?」
「マジですとも。
もっとも、それやっちゃうと本気で人間辞めちゃうことになるけどね」
「人間を辞める?」
首を傾げて聞き返します。
「私みたいになるってことよ。
事象も因果も自由自在、当然、姿形も寿命も好きにできるわ。
うっかり因果を操れば、世界が滅茶苦茶になるかもしれないけどね。
逆に言えば、『リセット』から逃れられるってことよ。
頑張れば、私みたいに物語の外にも出られるし」
「それ、『ブラックボックス』で神様になるのと何が違うんですか?」
「何も違わないわ」
「そんなのは御免です」
ばっさりです。
何度も言いますが、私は人間として天寿を全うしたいのですよ。
病室で孫やひ孫に看取られながら、老衰で死にたいのです。
「ていうか、ガイアさんって実は元人間なのですか?」
「魔法世界人と『アーウェルンクス』と、ほぼ同じ関係よ。
元が魔法世界人みたいなもんって言えば分かる?」
もしかすると、知らなくてもいい世界の秘密なのかもしれません。
「この世界って、小説とかと同じ、物語の世界なんですねー」
私は感慨深げに言いました。
何を今更、と思うかもしれませんね。
元々、この世界は『ネギま!』という原作が存在する、平行世界なのですから。
「それはそれですが、錬金術と妖精さんの組み合わせって、特大の落とし穴ですね」
私は言います。
言われなければ気付かずに試していたかもしれません。
「そう?前に聞いたけど、その内送還するつもりだったんでしょ?」
もちろん、妖精さん達のことでしょう。
「ええ、まあ。それはそうですけれども。
全部送還するには時間がかかると思いますし。
それまでに錬金術の術式改造を試すきっかけがあれば、やったと思うのです」
私は政治家脳ですから、出来ることはすべてやって、少しでも手札や情報を多く持っておきたいと考える人間です。
だからこそ、ふと思いついたことでも、危険性を認識していなければやってしまうことがあるのです。
それまでに考え抜きはしますけどね。
「自分のことがよく分かってるのねー」
「前世も含めますと、
「アラフォーがピッチピチの幼女に転生って、超ラッキーよね?」
「しかも将来美人さんになることが約束されていますしね」
女主人公補正と言いますか、私は顔は母に似ているそうです。
母は美貌の王女でしたから。
将来そう育つのだと思います。
だからナギ似のアンディとはあんまり似ていないのでしょうね。
主に錬金術についてのあれこれです。
いろいろと小難しい話をしていますが、結局はネギ少女が望む方向性とは違ったっていう…。
まあ、世の中何でもかんでも上手くいくわけではありませんからねぇ。