【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
「ワハハハハ、なかなか良い試合だったぜ!」
控室ではラカンさんが大声で笑います。
お互い選手ですから、鍛錬する場所こそ違いますが、殺し合いをするような敵ではありませんから、試合後の休憩時間はこうして普通に語り合えるのです。
アンディの
「ああ、あっちもなかなかのもんだった。
最初、アンディが手を出してなかったら、押し切られてたかもしれねえな」
これはナギです。
眠る妹アリカに膝を貸していました。
「あそこからネギに
アンディも同意しています。
ま、私もトサカさんチームは評価していますが。
「つーか、上位精霊9体並べといて、まだ前の強さの半分にも達してないって、どんだけだよ?」
「ナギにだけは言われたくありませんよ」
私は返します。
私の全盛時でも、ラカンさんが油断しているという前提でなければ、勝率は2割を超えないのです。
私とアンディで組んで挑んだ時の勝率ですね。
火力は、こちらの『千の雷』と、単なる右ストレート(本気)が交換できるレベル。
いや、『ドラゴンボール』じゃないんですから。
『千の雷』10発当てたら倒れてくださいよ。
そんなだから、最上位精霊の『精霊解放』を直撃させたくなるのです。
ナギの全盛時は、そんなラカンさんと同等だったのですよ。
いえ、この世界風に言うならバグですか。
「何言ってんだ、まだ『精霊解放』使ってねえじゃん」
「おお、『精霊解放』なぁ……何度か見たけど、ありゃ中々厄介だぜ」
「『土』では相手の動きに追い付けませんし、『闇』では殺してしまいますけれどもね」
私は2人に言いました。
『土』と『闇』という組み合わせは、少々使い勝手が悪いのです。
「あれ、『土』の上位精霊に機動性を持たせる目途が付いたって言ってなかったっけ?」
「目途は付きましたが、修行計画はこの大会に間に合わせるものではありませんよ。
学校生活に比重を置いていますし、夏の決戦の時のような追い込みはやっていませんからね?」
ちなみに。
『土蜘蛛少女』と『巨大鬼娘』の弱点は、皆分かっています。
魔力糸で動きを封じて、『巨大鬼娘』の質量弾をぶつける。
戦術として確立していると思いますか?
楽に岩塊を破壊できるレベルの人に、あんな戦法は通じません。
タカミチは言わずもがな、斬撃連打が得意な
というか、魔力糸が通じなければ、そもそも成立しないのです。
魔力糸対策をしておくだけで、あれは誰にでも破ることができる、下策になり果てます。
そんな戦術に頼り切るほど、私は馬鹿ではありませんよ。
準備に手間がかかり過ぎますし、あの戦術はもう二度と使わないでしょう。
元々、『土蜘蛛少女』はガチ戦闘用ではありませんし。
魔力糸をバラ撒いて敵を足止めしたり、あの機動性を生かして私自身が移動したりするためです。
では、なぜそんなものを投入したのかって?
決まっています。
素人目にも分かりやすい、ロマン溢れる派手な戦術だからですよ。
要するにファンサービスです。
その後、私とアンディは控室を出て、新オスティア郊外の岩場にやってきました。
そこには、巨大な破壊の爪痕があります。
私とアンディが魔法の実験をした痕です。
アンディは『
私は最上位精霊の調整を。
『融合魔法』は、原作でもネギ少年が使っていたもので、『雷の投擲』との融合が主でした。
『巨人ころし』と『暴風の螺旋槍』です。
しかし、今
『
四大各属性の最上位魔法は、『千の雷』、『燃える天空』、『引き裂く大地』、『終わる世界』。
しかし、皆さん覚えていますでしょうか。
エヴァさんは、それとは別な魔法を『術式兵装』に使用しているのですよ。
あれは、エヴァさんが『
アンディが『千の雷』の二重装填などという真似をして、なおかつ余裕でそれを上回ったのは、エヴァさんが『
アンディがやろうとしているのも、それと同じような魔法の調整です。
『術式装填』用の魔法を、自分で作り上げようとしているのですよ。
それが実現できれば、確かに強力です。
エヴァさんと同等の力を手に入れるということなのですからね。
ただし、それが私の最上位精霊とどう繋がるのか。
それはわかりません。
原作でラカンさん打倒のカギを握っていた、『太陰道』の実用化に関して、私は話を聞いていませんし。
実は今、私はアンディの指示通りに、最上位精霊の付与術式を開発しているのです。
アンディが求めているのは、火力。
機動力や防御性能、詠唱速度を度外視してでも、という注文付きです。
最上位精霊は、
それを攻撃に割り振れば、それはもう物凄いことになるでしょう。
鬼神兵も一撃で倒せると思います。
ただ、一発の威力では『精霊解放』を超えることは不可能なのです。
全エネルギーを一点に集中させた自爆。
それに勝る威力はありません。
ラカンさんがその一撃に当たってくれるわけもありませんし。
ただ、なんとなくですが、やりたいことはわかってきました。
おおっと、これ以上はネタバレですので、この辺で口を噤んでおきましょうか。
私は今回は脇役なのです。
最上位精霊を火力特化に調整して、可能な限り早く召喚するのがお仕事です。
ここから先は実戦で詠唱速度の実験を行いつつ、最上位精霊を微調整、詠唱速度のさらなる向上を目指すのみです。
翌日、決勝トーナメント1回戦。
色々な意味で大注目の、歴史的な大会となりました。
伝説の英雄タッグ、その娘と息子の兄妹タッグ。
それらに匹敵する圧倒的な強さを見せつける、2組のタッグ。
方や高レベルの魔法を駆使する『
方や魔族だろうが竜族だろうが、その圧倒的な火力で沈めてきた2人。
運営側も、さすがにトーナメント表の四ブロックに分散させているほどです。
準決勝で誰かと当たる計算ですね。
というか、私達はしっかり決勝でラカンさん&ナギのペアと当たるようです。
ここより先に弱者はいません。
私も、この先を1対2で確実に勝ち進む自信はありません。
少なくとも、以前と同レベルの戦闘力を取り戻せない内は。
4組は問題なく勝ち進み、前回大会の優勝者をアンディがあっさり下したところで、準決勝です。
私達のお相手はフェイト少年&エナのペア。
原作でラカンさんに敗れたとはいえ、最強状態のネギ少年と互角に戦った人と、経験値は少ないものの、私の人格と能力を再現した実験体。
アンディだけでは勝てないかもしれない、強敵です。
しかも、私がリハビリ中で完全ではないため、戦力的には不利なのです。
この2人を突破できなければ、アンディは決勝でラカンさん達と戦えません。
「どうするのです?」
私はアンディに尋ねます。
「注文通り、最上位精霊召喚の詠唱速度は3分以内に縮めました」
「うーん……」
彼は顎に手をやって唸りました。
「それじゃあ予定より早いけど、ボクが考えた、打倒ラカンさんの秘策を話すよ」
さすがに、あの最強タッグほどではないにせよ、全力を出さなければならない相手であることは理解していたようです。
ゆえに、アンディは話してくれました。
大体、私が想像していた通りのことを。
詳しくは次話にて説明しますが……。
出来ればもっと早く話してほしかったものですね。
結局実験と調整が必要ですので、今日は徹夜です。
私はアンディの頭を1発シバいておきました。
確かに、これはアンディの勝負ですから、私は口を出しませんでしたけれども。
まあ、今更ですね。
ヒントを言いますと、何度も計算してのこととはいえ、結構無茶なことなのですよ。
その情報を与えれば対戦相手が潰しに来るのは明白で、その圧力を少しでも減らすために、この子は私にさえ情報を制限していたのです。
逆に言えば、それは実現してしまえば、確かにラカンさんを倒しうるほどの力となります。
いえ、ラカンさん1人だけでなく、ナギと2対1でも、倒してしまえるだけの力なのです。
なぜバレるのかって?
逆に聞きますが、なぜバレないと思うのです?
相手はラカンさんにナギ。
しかも、準備には最上位精霊を召喚します。
最上位精霊の召喚には膨大な魔力が必要で、それだけでも潰しに来るのは明白です。
要するに、情報制限に意味などないのですよ。
実戦では準備を始めれば速攻でバレるのですから。
そこだけはアンディのミスでした。
やらかしてくれました、さすがはアンディです。
この戦い、生き死にがかかっていないので若干気が緩んでいるという設定です。