【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
さて。
もう1つの準決勝は、
ナギが『瞬動勁』の1発目をもらったのは、完全な油断だそうです。
本来重要な『入り』と『抜き』の静粛性を無視して、速度に特化した瞬動術は、見切るのも難しいのですよ。
そして発勁は、接触状態からの純粋物理攻撃。
一発の威力も桁違い。
最初の一発をもらえば、衝撃で頭が揺れている隙に、後からの連打が倒れるまで続くという、即死コンボです。
弱点は、最初の一発をカス当たりにするなりして凌げば、隙だらけになるところ。
だ、そうです。
『入り』と『抜き』を無視している技ですから、瞬動術を使用したと思ったら既に密着状態で、そこから竜族を沈めうる一撃がコンマ1秒かからずに撃たれるのです。
それは避け切るのはもちろん、凌ぐのも難しいのですよ。
弱点が分かったところで、そこを突くには物凄い動体視力と、反射神経が必要です。
一応タカミチなら、一発目をもらった後に後出し『無音拳』連打で圧し返せるようですけれども。
まあ、普通はできません。
私も
「やっぱり、ラカンさんは脅威だね。
『神衣・光輝』でも、勝てるかどうかはわからないよ」
アンディは呟きました。
「弱音は聞きませんよ?」
「うん、これはボクが一人前と認めてもらうための戦いなんだ。
全力でぶつかる」
良い返事です。
「では、勝利のために何が足りないかもわかりますね?」
「火力と、完成までの時間稼ぎ、だね」
「はい」
私は微笑みました。
「大きくなりましたねえ、本当に。
半年前までは、やんちゃなだけのお子様でしたのに」
「ネギからすればみんなが子供だよ」
「3-Aを侮ってはいけませんよ。
彼女らの中で、本当にお子様なのは極僅かしかいません」
まあ、だからどうだと言うつもりはありませんよ。
実年齢がまだまだ子供なのですから、今すぐに大人になれと急かしては、歪みを生むだけです。
そういう意味では、アンディの成長促進には細心の注意を払いました。
子供の成長には、まだまだ解明されていないことも多いですからね。
そこで威力を発揮したのはネカネお姉ちゃんです。
元々原作からして母性の強い人ですからね。
休みにネカネお姉ちゃんが住む実家へ帰れば、アンディは悩みを打ち明けるのです。
私はネカネお姉ちゃんの話を聞いて、私は6年かけてアンディの強化計画を作りました。
ネカネお姉ちゃんも、世界を救った功労者の1人なのです。
しかし。
思えば遠くまで来たものですねえ……。
「それでは、また『
「タイムリミットは明日の午後3時。
間に合わせてみせるよ」
アンディも、本当に良い目をするようになりました。
ちなみに、『
幻想空間内蔵型の巻物、つまり魔法具ですね。
内外の最大時差は72倍、ずっと篭っていれば、最大2ヶ月は魔法の開発や魔力の運用効率改善などと言ったことができるのです。
夜に体を休める時間を取りましても、1ヶ月半は堅いでしょう。
本来、これは罠として作られたものですので、1人用なのですが。
エヴァさんが改造して、5人ほどが内部に入って精神体で対戦できるようになっています。
内部でダメージを受けても、痛みはあれども怪我はしないのですけれどもね。
相手はラカンさんとナギの最強コンビですからね。
これくらいのものがなければ、あの2人に勝つのは難しいでしょう。
私とアンディは、最後の仕上げに入りました。
古来、どのような民族にも、成人の儀式というものが存在しました。
それは刺青だったり、獲物を仕留めることだったり、バンジージャンプだったり。
アンディによる、ラカンさんへの挑戦です。
ありとあらゆる戦術を模索し、その中から実現可能で、より現実に即したものを選択、内部時間1ヶ月半の時をかけて開発し、完成させました。
『神衣・光輝』の『
それをお見せしましょう。
開幕、早速『神衣・光輝』の準備のために、アンディが詠唱に入りました。
逆に私は前に出て、『砂の矢』を1000本から、『石の槍』を1000本ずつ乱射します。
もちろん、時間稼ぎのためです。
いきなり最初から、ラカンさんが『ラカンインパクト』を撃ってくるなんてことはありえませんし、ナギが『千の雷』を撃ってくるなどということもあり得ません。
なぜならば、これはアンディの実力を知りたい2人のワガママでもあるからです。
ならば、私が物量で圧せば、迎撃のために手を止めるでしょう。
残念ながら、6分20秒もかかってしまいますが、それだけ準備時間があれば、アンディには可能なのです。
すなわち、
可能なのですよ。
今のアンディの基礎魔法力は、夏休みに属性が変化する直前の私に匹敵するのですから。
冗談のような、膨大な魔力量、そして私の隣で行ってきた、1日1万回の呪文詠唱。
もちろん、AIを仕込んで戦わせたり、属性自弾吸収の術式を活用したり、パラメータを弄ったりということはできません。
私のように始動キーを2つ用意しているわけでもありませんしね。
しかしたった1種類、既に調整された1種類の最上位精霊に搾り、その召喚方法を私が教えれば、可能なのです。
そして、アンディは『千の雷』を17発撃てます。
最上位精霊は約10発分の魔力を消費しますから、2発分必要な『万雷』との両立は可能。
要するに、アンディは単独で『
もしかすると、原作ネギ少年以上のバケモノですよ。
もう1つ、こちらはよくない結論なのですが。
言ってしまいますと、ナギとラカンさんの最強コンビを相手に、2人して準備しつつ時間稼ぎというのは、1分でも不可能です。
フェイト少年とエナさんとは、経験が違い過ぎるのですよ。
全力で妨害に来るでしょう。
侮ったりもしません。
それを乗り越えてこそ、一人前ということなのでしょう。
だからこそ、私が捨て石役、時間稼ぎを買って出たのですね。
そしてそれは決して間違いではありません。
私は砲台型の魔法使いで、接近戦が苦手ですので。
それは接近してくる相手への対処が得意ということでもあるのです。
主に、時間稼ぎが。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
契約により我に従え、奈落の王、
地割り来たれ、千丈舐め尽す灼熱の奔流、
滾れ、滾れ、赫灼たる滅びの地神、
『
これが『土』属性の最大魔法です。
ドロドロに融けたマグマを召喚し、敵にぶつけ、呑み込む魔法。
破壊範囲と効果時間は『千の雷』をも凌駕する、極大魔法です。
ただし、その分威力が分散しやすく、『手続き』に時間がかかるという欠点がありますが――。
私にそんな常識は通用しません。
地形を変える力を持ったこの魔法は、戦闘以外でも活用法がありますから、以前から練習していたのですよ。
そして今も、効果時間の長さがそのまま時間稼ぎには有利です。
ラカンさんにもナギにも、生半可な魔法は通用しませんからね。
普通の魔法使いなら原形を留めないほどになっている威力ですが、時間稼ぎ、あるいは牽制にしか役に立ちません。
ならば、最初から
それが可能な程度には、効率を高めていますからね。
「末恐ろしいじゃねえか。これで戦士タイプじゃねえってんだぜ?俺の娘は……」
「超ウゼェ、イチイチ親バカ披露してんじゃねえっつーの!」
分かっていたことですが。
闘技場の地面がマグマの海になっても、お2人はピンピンしていました。
冗談まで言い合う始末。
「まさかとは思いますが……」
言いました。
「私が時間稼ぎしている限り、『雷神化』までは完成しないと思っているわけではありませんよね?」
「まー、そうだなぁ……」
ラカンさんは返します。
「このまま嬢ちゃんとやり合ってるのも結構面白くてな。
何より、
こりゃ待ってるしかねえだろ」
「!――ばれてましたか」
背後で呪文詠唱をしていたアンディの姿が、
「『
それに
つまり、このマグマの下だ。
探そうとすりゃ、ネギが妨害する。
エヴァも言ってたけどよ、マジでよく考えてやがる。
俺とジャックの2人がかりなのに膠着状態に持ち込むとか、さすがに予想外だわ。
なぁ?――
今度こそ、驚きます。
「“まさか、ナギに見破られるとは思っていませんでした”」
私の姿から色が抜け、4色の中位精霊の球体が周囲に出現しました。
『
上位精霊によるものですが、それでも以前ラカンさんに見せたものよりも高いレベルの術式を使用しています。
どれくらいかというと、タカミチがそうと気付かなかったほどです。
「エヴァが師匠なら、幻術の
「“はい”」
私の姿を模した上位精霊は頷きました。
「おー、すげえな。俺、言われるまで気付かなかったわ」
「“脳筋対策は万全に整えておきたいですからね。
とはいえ、ラカンさんには以前見せたでしょう?”」
「確かに見たような気もする」
「“ボケが始まっているのですか?”」
「わははははっ!ボケが始まってるだってよ!」
ナギが大爆笑します。
「うっせえ!てめえからたたむぞ!」
「やるかオイ!?」
これはもう、アンディの準備の完成を待つつもりですね。
『
そして。
マグマから飛び出る、白く輝く少年の姿。
「“『夢幻のパーカッショニスト』、
ここからが、この戦いの本当の始まりです。
先代の英雄と、次代の英雄の――。
――神話の再現。
多分、これが一番強いと思います。
さらっとタカミチを実験台にしていますが、彼自身もこの手のイタズラには慣れています。
主にエヴァのせいで。
『雷神化』は二次創作オリジナルならではの
ただし、ネギ少女ではなくアンディに使わせることにしました。
ネギ少女、砲台型なので、こういう接近戦用技法は結構持て余すんですよ。
運動音痴ですし。