【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
「……」
光輝く少年アンディは、何も語らずに構えを取ります。
ラカンさんとナギも、対応して構えました。
「なるほど、すっげえ圧力だぜ……」
「『
「……」
ナギのそんな言葉に、アンディは黙って微笑みを返します。
語らないのではなく、この状態ではしゃべることができないのです。
全体的に時間率がずれますから、しゃべったとしましても、私達では聞き取ることができないのです。
倍速でキュルキュル言ってるようにしか聞こえません。
逆に、アンディには私達の声は、2分の1倍速の野太い遅れた声に聞こえるようです。
思考加速とも異なるこの特殊能力は、『時間伸長』と言っていい、前人未到の領域。
超鈴音さんの『
理論上は、ですけれどもね。
事実、フェイト少年はアンディの動きにある程度反応できていました。
戦闘についての、経験値が違うのですよ。
アンディは、本格戦闘はまだ私が用意したイベントと、『デュナミス』さんとの戦いのみ。
他は、自分が圧倒的に
言ってしまえば、ここまでやって初めて、ラカンさんと同等の領域に立つことができるのです。
ああ、勘違いしている人も多いかもしれませんが。
速度が『雷速瞬動』の秒速150kmを超えているわけではありません。
一応火力も上がっていますが、おそらく原作ネギ少年に比べますと、毛が生えた程度でしょう。
つまり、時の運次第で、今のアンディの方が負ける可能性があります。
ラカンさんを大きく上回っているわけでは、決してないのです。
開戦は、アンディからでした。
まずは『雷速瞬動』でナギに一撃を加えます。
もちろん、砂鉄を融かして弾頭にした、『パイルバンカー』です。
「ぐぉっ!?」
しかしさすが、ナギはきっちりガードしていました。
魔法障壁を分厚く展開していたのです。
それでも何割かはダメージが通って、吹き飛ばされていましたが。
ナギはマグマの海に落下しますが、ピンピンしているでしょう。
アンディが手を出してくれたおかげで私の詠唱が間に合いました。
ナギは私の詠唱に気付いていましたからね。
機先を制しての攻撃です。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
夢幻の里より来れ悪鬼、泉を飲乾し、山を投げ、ここに
『小さな百鬼夜行』、
そして
ナギがマグマに落ちて消える寸前に、魔力で出来たマグマが、私が召喚した最上位精霊に吸収されて消えました。
その下には、本来の闘技場に使用されていた岩盤が顔を覗かせます。
私が召喚した砂の最上位精霊は、特殊な作用を再現するのに成功したものです。
今のように属性自弾吸収をする際、1箇所に触れるだけですべて吸収してしまうことができるのですよ。
それを上位精霊に応用できないのが、目下の悩みですが。
デザインはお馴染み『東方Project』の登場人物、『
以前、上位精霊で召喚した『巨大鬼娘』を縮小した姿です。
『密と疎を操る程度の能力』という能力を持ち、ゲームでは皆の心を集めて、連日宴会を開かせていました。
『東方Project』のボスの中では、唯一目的を達した人物ともされています。
以前は紹介が半端でしたので、改めて紹介させていただきました。
もちろん、本人ではなく似姿だけです。
「おお、そいつが……」
「はい、私の最上位精霊です。
「へっ、そりゃいいな!」
さっきアンディに叩き落とされたのに、ピンピンしています。
「さすがにアレとやり合うには、もう2ヶ月はリハビリが要りそうだって思ってたとこだ。
リハビリ中同士、仲良くやろうじゃねえの!」
リハビリ完了すれば、『
魔力が2割も減っているというのに。
さすがは武力で『
最上位精霊召喚済みの今の状態でも、リハビリ中のナギを相手にどれくらいの勝算があるのか。
正直に言いますと、勝率は精々2割です。
経験の壁を越えるには、ナギは強過ぎました。
「“放て”」
初手は私から。
先程『鬼娘』に吸収させたマグマを圧縮して放ちます。
多少減衰しているとはいえ大魔法1発分、それに『鬼娘』の本体を構築する『砂』の性質を混ぜて着弾点を爆発させました。
いえ、砂で固めて放ち、着弾点で解放したと言うべきでしょうか。
もちろん、こんなものの直撃をもらうナギではありません。
飛び散ったマグマの雨をかいくぐって、『鬼娘』本体に攻撃を仕掛けます。
『土』属性の精霊の性質は物理干渉力と質量、防御力です。
『鬼娘』は、見た目は小さいですが、その体には超高圧縮の魔力が渦巻いており、鋼鉄のように重くて硬いのです。
生半可な物理攻撃ではダメージが通りません。
が――。
ナギの拳を防御した『鬼娘』はガードを弾かれ、一歩二歩とたたらを踏みます。
本調子ではないリハビリ中とはいえ、そこは
常識が通じません。
「“霧符『
私は命じました。
局所的な砂嵐を発生させて、相手を引き寄せる、最上位精霊専用の魔法です。
砂は『鬼娘』を構築している砂を用いています。
「ぬおっ!」
ナギは砂の嵐に引き寄せられて、一瞬バランスを崩しました。
咄嗟に引き寄せられるままに前に飛んだのは、さすがです。
「“中パン”」
その一瞬を逃さずに『鬼娘』は拳を叩き込みます。
「フッ!」
ナギはそれをガード。
この『鬼娘』、実は任意操作です。
結局、AIは間に合いませんでした。
いえ、コマンド命令方式ではありますが、バランサーAIっぽいものは搭載しているのです。
そのおかげで戦えているのですよ。
運動音痴の私では、バランスを取れずに転倒させてしまいますからね。
3D格闘ゲーム方式でしたら、運動音痴な私もある程度は対応できます。
「“ナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォ
ナギッナギッナギッフゥハァナギッゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴー
ハァーテンショウヒャクレツケン”」
これは私が開発した魔法言語で、指示内容は『不規則に動きつつ敵に反撃の機会を与えずに叩きのめせ』です。
冗談ですが。
オリジナルの魔法言語なんて開発するほど、私は魔法について博識ではありませんよ。
所詮、魔法には6年くらいしか接していないのですから。
「うおっ、きめえっ!?」
『鬼娘』の変態的な動きに、ナギは思わず叫びました。
それでもきっちり攻撃を防いでいるのはさすが……というか、これは多分魔力の流れみたいなのを読んでいるのでしょうね。
この『鬼娘』は、自身を構成する砂を放出したり、吸収したりして速度を出しています。
つまり、ほんの少しの動きでも、使用されている術式は結構大掛かりなのです。
まあ、だからこそ、広範囲な属性自弾吸収などという真似が可能なのですが。
要するに、砂を放出というのは、自分の体を分離して操作しているということなのです。
『呪いの藁人形』なんて、他人の肉体の一部を通じて本体に影響を及ぼしますからね。
魔法的な存在でしたら、その逆も可能というわけです。
原作でも、『デュナミス』さんが最終戦闘形態で、自分の体の一部を切り離して操作していました。
魔法生物的な存在なら、ああいうことが可能なのですよ。
ただし、今はあらかじめ体表に付着させておいた砂を勢いよく飛ばすことによる、ロケット式の移動をしているだけです。
本当に『鬼娘』の本体を切り離しているわけではないのですよ。
本体切り離しができれば、自分の体を分解して敵の攻撃を回避する、などという真似ができるようになります。
しかしそれには、また高度な術式の開発が必要なのです。
ですから、砂の噴出で反動を得るために、大掛かりな術式を使用しているというわけです。
要するに、大型のロケットブースターですね。
その動きが分かる人には、ブースターポッドの向きで移動先がバレバレになるのです。
ナギが『鬼娘』の動きを魔力の流れで見切っているのは、そのブースターポッドに当たる術式を読まれているということなのです。
ところが、見切っていることと仕留められることは話が別です。
最上位精霊には、人間の弱点が通用しませんから。
通常はその分軟らかいのですが、『土』属性の最上位精霊は硬いのです。
つまり、ダメージが通りにくいのです。
それでも、結構いいところまで削られていました。
アンディの『雷神化』の限界、3分まで持つかどうか、微妙なラインでした。
私からも援護していましたけれども。
主に、『砂の矢』とかで。
なので、ナギが無傷とか、そういうことはありません。
大きな魔法も使わせませんでしたし。
というわけで、次話は戦いの結末です。
原作フェイトの回想でナギが罠にかかって大魔法食らったりする話から、ナギの強さを推測しています。
そこから、罠にかからなければ『人形』2体程度なら同時に相手にできると結論付けました。
原作ネギ少年の最終形態を相手にも、割と普通に勝つほどの強さです。
ちょっと底が見えないですね。
なので、魔力容量が2割減っても、リハビリ完了すれば雷神アンディに勝てるかもしれないくらいに設定してあります。
バケモノですね。