【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
たった3分間ながら、神話級に内容が濃い戦いとなった、アンディの成人試験。
結果発表です。
私達の勝ちです。
いえ、3分間で、決着がつかなかったのですよ。
色々と新しい技術もフルで投入していたのですけれども。
その1つが、『パイルバンカー』の連打で出来た隙に叩き込む、『雷神槍、
原作にも出てきた、『雷の投擲』と『千の雷』を融合させた魔法です。
魔法の槍で敵を串刺しにして、内側から『千の雷』を食らわせるという、相手を選ばなければ原形を留めないレベルの威力を誇ります。
外側から『千の雷』に10発耐えたと言いましても、それは気による防御があってこそ。
内側からの雷撃には、気による防御がほとんど通用しません。
接触状態からの魔法なら障壁を半分以上無視できるのと同じ理屈です。
気による防御も魔法による障壁も、結局は接触状態からの攻撃を想定していないのです。
障壁には、手を突っ込めば、そこを通り道にして内側に魔法を撃つことができるという、欠点があるのです。
気による防御でも、気の放出によって遠くからの攻撃をある程度軽減するという仕組みですから、接触状態からの攻撃には弱い。
『雷神槍、
そんな『雷神槍、
それまでにも20発くらい『パイルバンカー』を撃ち込みましたし、アンディが今の魔力で出来ることの限界を、3分間に凝縮したのです。
しかしさすがに、ラカンさんもボロボロで、立っているのが限界でした。
アンディも、ほぼ魔力を使い果たして、立っているのもやっとでした。
まさしく原作通り。
その後も、体の動く限りと殴り合っていました。
最終的に、その勝負は
後は私とナギの戦いでしたが……。
最後に残った私が勝者となったのです。
彼の名誉のために言っておきますと、戦いを続ければ、負けていたのは私でした。
最初から、ナギは
いやあ、理論上可能とは知っていましたが、3分間に1001本の『魔法の矢』を18セット、1発ずつにこだわらなければ、分間6000本以上の『魔法の矢』が撃てるものなのですねえ……。
最上位精霊もいつ消滅してもおかしくないほどでしたし、術者自身にダメージこそありませんが、あと上位精霊を1体程度が限界でしたよ。
まあ、譲っていただいたとはいえ、勝ちは勝ちなのです。
拳闘世界大会は無事閉幕。
私とアンディは控室にて、ラカンさんとナギの訪問を受けていました。
「あの、自前で最上位精霊を召喚ってのは、嬢ちゃんのアイデアなのか?」
「いえ、言い出したのはアンディです」
私は首を横に振ります。
「元々、ネギには『術式兵装』用に調整してもらってたんですよ。
ラカンさんを倒すにはどうしても火力が必要だから、その部分を『敵弾吸収陣』で最上位精霊を吸収することで補おうかと……。
でも、2人して準備してたら、絶対に妨害されちゃうし……。
結局、どちらかが前に出て、時間稼ぎをする必要が出てきたんです」
「それで、メインで戦うのはアンディですから、アンディが最上位精霊を召喚できるようになれば、後は私が時間を稼げばいいということになったのですね」
私は苦笑します。
まさか、前衛が全力で戦うための時間稼ぎを後衛の私がするとは、夢にも思いませんでした。
「あと、アンディには言っていませんでしたが、『敵弾吸収陣』で『ラカンインパクト』辺りを吸収するというアイデアを、私は考えていました」
「えっ」
アンディが驚きます。
「こちらも条件は厳しいのですけれどもね。
ラカンさんに、『ラカンインパクト』を撃たせる状況を作らなければなりませんから」
「俺の力を吸収すりゃ、確かに俺に効くわな」
「な~るほど、そりゃ確実だ」
「えぇー?」
アンディは唸りますが、原作と違って重大な問題がありました。
「まあ、準決勝でエナさんとフェイトさんを相手に『敵弾吸収陣』を見せましたし、『ラカンインパクト』を撃たせる状況を作るのは、おそらく限りなく不可能に近かったでしょう」
そういうことです。
原作でラカンさんが気持よく引っ掛かったのは、初見だったからなのですよ。
原作ネギ少年の手札が知られていれば、また違った結果になったはずなのです。
『たられば』の話は、未来に活かせなければ無意味ですけれどもね。
しばらく話していると、『
「いやー、スゴイ試合だったわねー!」
「まさしくチートキャラ対バグキャラの戦いだったな」
「いやマジで、なんであのアンディのスピードを半分くらい防げてるのよ?」
「それが見えてたあんたが言っちゃおしまいだっつーの!」
明日菜さんに的確なツッコミを入れる
「ネギちゃんと
「最後、あれってどっちが勝ってたの?」
「あのまま続けていれば、私の魔力が先に尽きていたでしょうね」
「いやいやそんなことねえよ。俺も身体ガッタガタだったし」
「バグキャラ2号は黙っていて下さい。
そのガタガタな身体でも、私は魔力消費度外視で押し留めるので精一杯だったのですよ?」
「バグキャラ2号……」
「チートキャラってなんなんでしょうね?」
実戦であそこまで魔法を乱打したのって、多分私が初めてだと思います。
『魔法の矢』は、『砂』と『闇』を織り交ぜて2万本以上、『地を裂く爆流』などの中級魔法で視界を塞ぎ、最上位精霊で攻撃。
さらに、球体の『土』属性中位精霊を600体ほど上空から落下させ、徹底的に足止めして、結局それでも『引き裂く大地』を撃つ隙が見当たりませんでした。
『精霊解放』は使わなかったじゃないかって?
彼我の距離は20メートル程度で、私が防御し切れません。
しかもその状態でナギを倒し切れる確率はゼロに近いですし。
何よりアンディとラカンさんの戦いに水を差すことになります。
やっていれば99%敗北していたというのもありますし。
要するに2割の勝率を取ったに過ぎないのですよ。
まあ最後、ナギが退いていなければやるつもりでしたが。
『全☆滅』か、ナギだけが立っているという状況になったでしょうね。
『フフフ、なかなか楽しそうではないか』
私がナギの胸をボコボコ殴っていると、後ろから聞いた声がしました。
ええ、例の『
その不意打ちに一瞬吹き出しそうになりましたが、微笑みで誤魔化します。
妖精さん、良い仕事をしやがるのですよ。
不意打ちでこの顔はきついのです。
どうしてこんなところにベストを尽くしたのでしょうか?
「お金でも無心に来ましたか?」
優勝賞金の100万ドラクマは、一応アンディに預けられています。
「大丈夫ですよー」
エナさんが笑顔で言いました。
「準決勝までで実力は示せましたし、今後は傭兵や賞金稼ぎで稼ぎますー」
「ああ、2段構えでしたか」
『正直、今回の大会に君らが出てくるとは予想していなかったがな。
これからは、『デュナミス』がやらかした後始末をしつつ、しばらくは真っ当に稼がせてもらうとしよう』
「今度からは商売敵ってわけだ」
ラカンさんは言います。
「何言ってんだ、楽隠居してるくせに」
これはナギ。
「おう、それなんだがな」
ラカンさんは話しました。
「今、クルトとリカードが、前元老院の首脳部を取り調べてんだが……。
どうも今の紛争地域のほとんどが、連中の仕掛けだって話でな。
その中にゃ『
「お、オイオイ、マジでか?」
割と真剣なお話でした。
「僕達も含め、皆が騙されていたんだ。
ある程度は仕方がないさ」
これはフェイト少年。
「破滅主義者は、やることが面倒臭いのですよね……」
私は呟きます。
本当に、嫌な置き土産ばかりですよ。
こうして、アンディは一人前として認められ、無事に母アリカの話を教えてもらうことができたのでした。
原作からは時期がずれ込みましたが、『拳闘大会編』はこれにて終幕となります。
ちなみに。
母アリカは大体原作通り、前元老院首脳部の策略によって、国土の大半と引き換えに世界を救い、自身は投獄され、処刑となりました。
その処刑のタイミングでナギが颯爽と現れて救出したのも、原作通りです。
その後、ナギと結婚しアンディと
当時から母アリカには何度も暗殺者の追手が差し向けられ、当時の元老院は完全に敵対状態だったそうです。
そのあまりにもの執拗な攻撃に対し、母アリカの情報を徹底的に隠し、『
非情なようですが、こうでもしなければアンディを守り通すことは難しかったでしょう。
『悠久の風』と『赤き翼』の遺産、アンディと明日菜さんは、幸せになる義務があるのです。
なにしろ、そのために万単位の人が死にましたからね。
それと、関係ない話ですが。
闘技場に貼られていた、観客席や市街地を防護する魔法障壁のことです。
『
『雷神槍、
控室に戻ってから、おかしいと思っていたのですよ。
一応、お礼を言っておきました。
以上です。
反省点として、ラカンを強くし過ぎたかもしれません。
『巨人ころし』は一発でよかったかなぁ、と…。