【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

13 / 129
5/31 くらいに投稿されてると思います。

感想が増えてくるとニヤニヤしてしまう。


012 割とマジでヤバかった

ニヤニヤしながらパソコンに向かっているメガネの人の背後から、私はモニタを眺めていました。

しかし、時折溜息を吐いています。

何か今の生活に不満でもあるのでしょうか?

 

「ふむ……」

「うわぁぁぁっ!!?」

 

どこへ出しても恥ずかしいコスプレをした長谷川さんのお宅です。

 

「なっ、どこから入ってきやがった!?」

「呼び鈴を何度か鳴らして声をかけたのですが、10分しても出て来られなかったので」

 

うろたえていますね。

ま、それだけ集中していたということでしょう。

 

「それで、玄関も鍵が開いていましたし、開けて声をかけても返事がありませんでしたので、何か不慮の事故でもあったのかと思いまして」

「ぐっ……!なんてことだ……先生に続いて2人目なんて……!」

「アンディはお子様なので、理解できていないと思いますよ」

「…………!」

 

顔を真っ赤にして唸っています。

どうせ、『じゃあお前はどうなんだよ!?』とか考えているのでしょう。

 

「そ、それで何の用だよ?」

「クラスに馴染めていないようだと、アンディから相談がありましたので」

「…………!」

 

また何か唸っています。

今度は、『あのガキ余計なことしやがって』とか思っているのでしょうね。

 

「あなたの症状は――」

「あ?」

「――対人赤面症か、対人恐怖症でしょうね」

 

終業式の後のアンディ正式就任記念パーティの時に、メガネを外されただけで、顔が真っ赤になって何も言えなくなってしまう症状は見ました。

大体原作通りです。

 

「……病院にでも行けってか?」

「いいえ、それが病気の可能性があるということを知っておくことが大切なのです。

病院へ行くのは、他の病気を併発してからでも遅くはありません」

 

こういうのは、知らされているのと知らされていないのとでは、かなり心の持ちようが違ってきますからね。

 

「ま、それはそれとしまして」

「あ?」

「コスプレ自撮りのテクニックについて、話し合いましょう」

「は?」

「私は、政治家専門のメイクさんのテクニックを幾らか知っていますので、それをお教えしましょう」

「え?」

「大丈夫です。伊達メガネさんはセンスが良い人なので」

「だっ、誰が伊達メガネだ!」

「えっ、違うのですか?」

 

原作では視力1.2だったはずですが。

 

「えー、いや、最初は伊達メガネだったんだがよ……」

 

私が聞き返しますと、急にトーンダウンします。

 

「あー、なるほど……薄暗い所でパソコンをやっている内に、目が悪くなってきたと……」

「……」

 

彼女は真っ赤なお顔でコクリと頷きました。

ここにも原作との違いが発生しているようです。

ということは、メガネを外すと目が33になるのでしょうか。

それはちょっと見てみたい気も……。

 

「まあとにかく、プロのテクニックですね」

「あー、うん。まあ、いいや……」

 

なんだか投げ遣りですが、とにかくアンディではできない、デリケートな女の子へのサポートをやらせていただきます。

こういう軽い精神障害は、趣味の合う子が近くにいることで、結構改善されるものなのですよ。

大人の言葉でどうにかできる類の話ではありません。

 

さて。

では、久し振りに前世に培ったプロのテクニックというものを、教え込みにかかりますか。

前世に身に付けた目的が、権力者に取り入るためでしたので、そこまで熱心に勉強したわけではありませんけれどね。

 

ちなみに、これは半分私の趣味です。

綺麗な子をより綺麗に着飾らせるのは、なんかいいじゃないですか?

 

 

 

 

 

 

 

エヴァさんの『別荘』内部。

 

「例の試練も終わったことだし、春休みを利用して、まずは1週間の雪山耐久をやってみるか」

「あー、アレですか……」

 

原作でエヴァさんに鍛えられた人は大体やったという、アレですね。

既に修行場は雪山、砂漠、高原などが増設されています。

 

「ま、確かに今のままでは色々と力不足ですからね」

「基礎力は十分だがな。詠唱アリでの瞬発力は下手をすると私以上だ」

 

春休みを利用してやることは、私自身の戦闘力強化です。

狂ったように基礎を積み重ねてきた私ですが、まだ色々と足りないところはあるのですよ。

 

計画にとっても、私自身の戦闘力アップは欠かせません。

あらゆる予定をキャンセルした私は、春休みの残りをすべて修行に使う予定です。

 

アンディは今頃、雪広あやかさんのお宅で、弟代わりとなってちやほやされているのでしょうけれど。

 

 

 

そして雪山エリア。

 

「さすがにこれは厳しいのですが、ちょっと準備してきていいですか?」

「ダメだ」

「ですよねー……」

 

肌が痛くなるほどの寒さに思わず弱音が出ますが、やらないわけにはいきません。

 

 

 

初日。

 

この修業は3日目くらいまでが最大の山場です。

それを乗り越えれば、後は私の基礎力でどうにかできます。

 

とはいえ、服装は普通のワンピースにベストのみ。

手先も足先も凍えてほとんど感覚がありません。

発動体の杖も含め、魔法具関連から科学用品まで、全部エヴァさんに預けていますので。

 

自分の体への魔力供給は、エヴァさんに習いました。

『戦の歌』という魔法で、一般的な戦闘用の魔法です。

これが使えるか使えないかで、強さのランクがかなり変わると言われています。

これを杖なしで使えるようになることが、この修業の目的の1つですね。

究極技法(アルテマ・アート)と言われる『咸卦法』ほどではありませんが、あるとないとでは寒さへの耐久がかなり違ってきます。

 

「さあ、早くせんと、凍死してしまうぞ?」

 

さすがに前世の悪夢を見ることについてはどうにもできませんので、エヴァさんの付添アリですが。

 

「ええっと……とにかく、片っ端から試していくしかありませんね」

 

私は降り積もっている雪を掻き分けて小さな穴を掘り、その中に身を埋めて、吹雪と暴風を凌ぎ、そこで座禅を組んで精神を集中し始めます。

 

最初は力技。

魔力を操作する集中力を確保するために、ある程度の浪費も仕方がありません。

ドラゴンボールのように、魔力を放出すると周囲の雪が吹き飛びます。

 

「さすがに奴の娘なだけはある。大した魔力だ」

 

薄眼を開けると、エヴァさんはニヤニヤしていました。

 

「だが、それでは1時間と持つまい」

「……わかっていますってば」

 

私はひたすらに集中して莫大な魔力を制御し、魔法を発動させます。

毎日瞑想しているおかげで、集中力を高めるのも早くなっていますね。

 

「とにかく、第1の難関はクリアです」

 

さすがに肌寒いですが、肌が痛いほどの極寒からすれば、暖かく感じるくらいです。

 

「次はどうする?」

「余力がある内に洞窟を掘って、そこでもう一度です」

 

今は魔力浪費状態なので、より集中できる環境を作って、『戦の歌』を発動し直さなくてはなりません。

 

それが第二の難関です。

魔力の耐寒や肉体強化への、効率の良い割り振り方を、3日目くらいまでに見つけなければ、後の4日間は越えることができません。

 

「……なるほどな。最初は肉体強化に全振りしたのか」

「ええ、強風は冷気の倍近く体力を奪いますからね」

 

その分の肉体強化は洞窟を掘るのに使います

土と違って、空気の入れ替えを考えなくていいのは非常に助かりますね。

 

雪はふわふわした中に空気を含んでおり、同じ生き埋めでも、土と比べて生存率がかなり異なります。

つまり、入口を塞いでの密閉空間を作ることができるということなのですよ。

 

雪の斜面に穴を掘り、掻き出した雪で中から入り口を塞ぎます。

 

こうすることで、音も半減できますし、より集中力を高めることができる空間が出来上がるということなのです。

 

しかし――。

 

 

 

「……え……?」

 

私はベッドで目覚めました。

 

「ようやく起きたか」

 

ベッドの縁で、エヴァさんが椅子に座って本を読んでいます。

 

「えっと……」

「記憶がないか?」

「……はい」

 

本当に、状況が分かりません。

 

雪山で、エヴァさんに見てもらいながら修行していたのは覚えているのですが。

 

「お前はあの修行中、突然のたうち回り、苦しみ始めたんだ。

他者と隔絶した空間で眠る――。

以前、悪夢を見たという条件に酷似しているが……」

「あの……それでは……」

「魔力供給を続けたまま暴れ回ったおかげで、山が少し変形した。

それだけ暴れたせいか、お前は2日ほど眠り続けていたよ」

「そう、ですか……」

 

おそらく、前世のことがフラッシュバックしたのが原因と思われますが……。

 

「いや」

「?」

「前世のことだけが原因とも思えん。

何か別の物を抱えている可能性がある」

「別の物?」

「幻術で見せてやろう」

 

エヴァさんは呪文を詠唱し、その時の私らしき映像を虚空に出現させます。

 

「これは……?」

 

苦しむ私の映像。

エヴァさんが言った通り悶え、のたうち回っています。

 

魔力が青い色を持って、私の周囲で燃えているのが見えました。

それは雪を融かすどころか水蒸気爆発さえ起こし、雪崩を誘発、さらには永久凍土の地面まで融かし、赤い溶岩に変えました。

相当な熱量です。

 

私はこんな炎は出せないはずです。

得意属性は『光』と『風』。

『雷』の属性も扱うことはできますが、逆に言えばそこまでなのです。

『光』と『風』、さらには『雷』に特化するために、他の属性はほとんど練習していませんでしたから。

 

「暴走による魔力の炎ではない」

「え?」

「暴走によるものなら、術者であるお前の体が火傷を負うはずがないからな」

「火傷?」

 

私は自分の体を見て、火傷の痕があるのを見つけました。

もうほぼ治っていますが。

 

「酷く衰弱もしていたし、放っておけば死んでいただろう。

妖精に依頼して薬草をもらわなければ、私1人では治せなかった」

「薬草……ですか?」

「そうだ。飲み薬のくせに馬鹿らしいほど強力なものだ。

その火傷痕も、しばらくすれば治るだろう」

 

ありえない超科学の産物。

妖精さんグッズ。

その威力のおかげで、私は命拾いしたようです。

 

 

 

「……やはり、これしか考えられん」

 

数時間後、5冊目の本を見ていたエヴァさんは、そう呟いて私にある事実を告げます。

 

「『(セント)エルモの火』――。

中世に流行った、隠密潜伏型の厄介な呪いだ。

解呪は難しくないが、隠密性が高く、一度発動すれば魔力の高さにかかわらず、まず死ぬ。

公爵級の悪魔ベリアルの得意技だ。

私も一度やられたことがある。

闇の魔法(マギア・エレベア)』で不死化していなければ、死んでいただろう」

 

つまり……。

6年前、突然現れて私を救った(ナギ)の後を追っていた際、石化の悪魔ヘルマンの他に、もう1体別の悪魔がいたのです。

しかも、公爵級の悪魔。

 

この世界の『本国』は、そんなものまで召喚して、(ネギ)を殺そうとしたのです。

 

「おそらく、今まで『本国』が手を出してこなかったのも、その呪いがあったせいだろうな」

 

今生きていても、いずれ呪いが発動し、死に至る。

『本国』は、かなり本気で私を殺しに来ているようですね。

 

ちなみに表に伝わる『(セント)エルモの火』は、青くて熱のない火で、触れると病気になって死ぬと言われています。

魔法の存在が知られている裏社会では、聖人エルモを暗殺したとして知られている呪いです。

それゆえに禁呪指定されていますが、そもそも人間では使用できず、ベリアルという公爵級の悪魔固有の魔法という始末。

 

表と裏で真実が異なるというのはよくあることですが、今もこういう勘違いをされたままの情報というのは珍しいようです。

 

「簡単なことだ。

ベリアルほどの悪魔を召喚できる者などまずいないからな。

(セント)エルモの火』自体が、伝承の中にしかない架空の魔法とされることもあるということだ。

()()()()()()()、今回のように暗殺にも利用しやすい。

本当のことを知らなければ、尻尾を掴めないからな」

 

エヴァさんは吐き捨てました。

 

ま、そういうことなのでしょう。

また、私が『本国』を潰す理由が増えたようです。

 

ちなみに、解呪してからの再挑戦で、1週間の雪山耐久は達成できました。

 

 

 

 




本日の成果

長谷川千雨と趣味友人となった!
コスプレ技術向上。
HP閲覧数上昇。

雪山耐久修行!
6年前から潜伏していた呪いが発覚。
解呪には成功。
再挑戦にて雪山耐久の修行達成!

以上。

つづく



雪山耐久の話です。
普通の修行話でも良かったんですが、それだと面白くなかったので、暗殺要素を追加してみました。
原作以上に元老院が黒いという設定ですし。
魔法による暗殺ならこういうのもあるかと思い、呪いという形にしてみました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。