【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
5/28 ルビのミスを修正。
6/26 アンディが縋りついて
「少なくとも、知っている天井ではなさそうですね」
ロッジのような西洋風木造建築の家の中、私は目覚めました。
サラサラのシーツにふかふかのベッド。
寝返りをうってもそう簡単に落ちそうにない広さのベッドです。
いえ、これは私の肉体が小さくなっているということですか。
脳裏には、これまでのネギの人生について流れ込んできます。
従姉のネカネさんが親代わりとはいえ、両親のいないネギ少女は随分と寂しい幼少期を送ったようです。
それに加えて、原作から6年前の襲撃事件、その際に出会った父親の後姿。
悪魔の襲撃によって、ネカネさん以外の親しい人がすべていなくなり。
父親の背中を追い始めるわけです。
なんと言いますか、こと両親に関しては面倒臭い性格になるのも頷けますね。
原作で父親のことを出されるとブチ切れる描写があったのも、そのせいでしょう。
本人がいないのが惜しいところです。
いれば好きなだけ弄り倒せましたのに。
「ああ、ネギ、目を覚ましたのね!」
金髪の美少女が抱きついてきます。
どこのハリウッド女優かというくらいの美少女。
長く艶やかな金髪も綺麗で、肌もプルンプルンですべすべ。
絵に描いたような美少女。
そして、中学生くらいなのにおっぱいが大きいです。
左手の松葉杖が、今の時期を報せてくれました。
これはおそらく、石化の後遺症でしょう。
原作では、両足を石化されて、しかも砕けていましたから。
同じようなことがこの世界でも起きたに違いありません。
「うわーん、おねえちゃーん!(棒読み)」
とりあえず、子供らしく泣き真似をしておきます。
記憶を映されているとはいえ、映画の人物を見ているようで、実感が湧かないのですよ。
前世でも割とやりましたから、泣き真似は得意です。
その日はドタバタしていて、ネカネさんが何度か事情聴取に出て、待っている内に日が暮れました。
外ではおそらく、石化された村人達を運び出しているのでしょうね。
子供だから手伝わなくていいというのは、大変楽です。
その夜。
原作でもおそらくそうだったのでしょう。
私はネカネさんに抱かれて眠りにつきました。
子供の身では、人肌の温かさに安らぎを感じるようです。
原作でエヴァさんが言っていた、『精神は肉体に引き摺られる』というのは、要は生理現象でもあるのですよ。
生まれて間もない赤ちゃんを母親に抱かせる、カンガルーケアなどというものまで医療として認められているように、子供が母親と肌を接するというのは、子育てにとっても重要な意味を持ちます。
そして、成長期はやたらと体を動かしたくなり、その過程で様々な知識を得る、好奇心を持つわけです。
この好奇心というやつ、第一次成長期に脳で分泌する成分が原因で理性が薄くなるのが主な要因で、エヴァさんの行動がどこか子供っぽいのも、これが原因でしょう。
第二次成長期も、同じく脳内に分泌されるものが原因で、思考が桃色に偏りやすくなります。
性に興味を持ち始めるというやつですね。
で、第二次成長期が終わる頃には、そういう傾向は幾分か落ち着いてきます。
それでも30歳くらいになるまでは、何かにつけて性的な事象が原因で正気を失うということが起こるのです。
30歳まで童貞だと魔法使いになれるというのは、これが原因……かどうかは知りませんが。
とにかく、私がネカネさんに抱かれて眠ることに安らぎを感じるのは、それが原因なのです。
別に私の精神が子供だからとか、そういうことでは決してありません。
ないったらないのです。
それと。
今の内に目的について整理しておきましょう。
下っ端天使さんの話によりますと、この世界はどうやら『ネギま!』の原作とは若干違う世界のようですね。
なので、原作では長年に渡って用意され、破綻のない完全な術式だった『完全なる世界』に、不備があるようなのです。
そのため、『
なので、まずは何らかの形で『
その際、原作で幹部の人が言っていた通り、彼らにも
つまり、最低限彼ら幹部の1人を捻じ伏せるだけの力が必要になるということです。
私の転生特典は、『妖精さん召喚』。
『人類は衰退しました』という小説に出てくる、馬鹿ですが人類を遥かに凌ぐ超科学力を持った小人達を召喚する能力です。
それに加え、私自身も原作のネギ少年よりも若干、肉体的な強度や能力、才能といったものが強化されているそうです。
目的を完遂した後は寿命まで好きにして構わないそうですし、とにかく『
まずは、魔法関連の知識を出来るだけ多く手に入れましょう。
翌日。
「ネギィィィッ!!」
メルディアナ魔法学院の寮に下宿していて唯一難を逃れた私の幼馴染が、私の部屋にやってきました。
実は、お詫びしなければならないことがあります。
長々と地の文で説明したことに関連するのですが。
私、現実逃避していました。
実はですね……。
「ネギ!ボクのことわかる!?アンディだよ!」
「近い近い近い!近いですってば!」
あの
とにかく。
原作ではアンナ・ユーリエウナ・ココロウァという少女だったネギ少年の幼馴染は、性転換してアンディ・ユリウス・ココロウァという少年なってしまっているのです。
性転換と言いましても、手術したわけではありませんが。
性格も、毒が抜けて私にべったり。
1人で学生寮へ行く時は、私に縋りついて鳴いていたりもしたようです。
誤字にあらず、もうピーチクパーチクと、どちらが年上かわかりません。
で、私が動揺している原因ですが。
この子、超イケメンなのです。
紳士で女の子に優しく、綺麗好きで清潔で、
紅茶の淹れ方や料理にも興味があるとか。
その癖、これで非常に弄り甲斐のある子でして……まあ、原作のネギ君に近いのですよ。
天然ジゴロと言いますか。
そんな子が私にべったりですよ?
本気で落としにかかっているとしか思えません。
ね?
現実逃避もしたくなるでしょう?
「今はちょっと静かにしていて下さいますか?
一昨日の今日でちょっと、気分が悪いのですよ」
「ああ、うん、ごめん……」
言い訳に使いましたが、気分が悪いのは本当です。
この辺も肉体に引き摺られている結果でしょうね。
子供の肉体には、襲撃の際の恐怖によるストレスはきつかったようなのです。
おかげで、昨日から熱が出ています。
「……それよりも、アンディの方が大変でしょう?
私は肉親が残りましたが……」
「……大丈夫、大丈夫だよ」
「本当に大丈夫なら――その化粧はなんです?」
「――っ」
アンディの端正な顔が歪みます。
私は見破れますよ。
体は子供でも、頭脳は大人ですから。
「子供が隠れて無理してんじゃねえなのです」
「うぐ……ひぐっ……」
そこからはもう、酷い有様でした。
こんなにボロボロに泣き崩れるアンディは、私の記憶にもありません。
何度も泣かしたことはあるようですけれどもね。
それから1ヶ月が過ぎました。
アンディはまたメルディアナの下宿先へ帰り、私達は生家を引き払って別の村に家を借りて移り住んでいます。
さすがに人のいなくなったゴーストタウンに住み続けることはできません。
で、私は森の方で遊んだり、ネカネさんから教わった魔法の練習をすることが多くなりました。
本当に基礎的なところですが、水筒や飴を持ち歩いて咽喉に気を遣いながら、効率よく何度も何度も反復練習を行います。
タクト状の杖に光や火を灯したり、そよ風を吹かせたり、本当に基礎的なところですね。
とにかく今は、狂ったように基礎を練習して、土台を固めることにします。
どうせですから、感謝の正拳突きに習って1日1万回を目指しましょうか。
魔法には無詠唱があるので早口スキルはそれほど重要ではありませんが、やはりあるとないとではある方がいいでしょう。
…………。
「“プラクテ・ビギナル、
失敗しました。
練り込む魔力が足りなかったようです。
といいますか、さすがに魔力切れでしょうか。
もう日が暮れ始めています。
そろそろ帰りましょう。
魔力がスッカラカンなので、道中は危険かもしれませんね。
明日は、この辺の安全性についても考えましょうか。
「やあ、お嬢さん、1人かな?」
帰ろうとしたところ、1人のダンディなヒゲメガネが声をかけてきました。
両手をポケットに突っ込んでいて、ゆったりとした足取りで歩いてきます。
「大声を出しますよ、変質者」
「ハハハ、これは手厳しいな。でも、本当に声は出るのかい?」
「……」
私は黙り込みました。
明日は安全性を考慮した練習をしようとして、早速これですか。
魔力もスッカラカン、飴を舐めながらとはいえ、1日中練習しっ放しだったので、咽喉も少し痛いです。
子供がよくここまで持ったとも思いますね。
「ずっと見ていたのですか?」
「いいや、最後の6回だけさ。
咳をしていたのでね、そろそろ家に帰した方がいいかと思って声をかけたのさ」
「今確かに抵抗できそうにありませんが、あまり無茶なことをすると、私は呼吸困難で死ぬかもしれませんよ?」
ロリコンと呼ばれる変質者には、割と人殺しに忌避感を持つ人が多いのです。
彼らはあくまで生きている少女が目当てですからね。
「田舎育ちの割に警戒心が強いなぁ……。
まあ、そういうことをするつもりはないよ。
君を酷い目に遭わせるわけにも、君を死なせるわけにもいかない。
僕にはそういう事情があるのさ」
「お名前は?」
「高畑・T・タカミチ。タカミチと呼んでくれるかな?」
「……わかりました、信用しましょう。タカミチ」
……別に、原作キャラの顔を忘れていたわけでは……ありません。
……ないったらないのです。
そう、練習のしすぎで疲れていたのが悪いのです。
明日から余裕がなくなるほどの練習は控えなければいけませんね。
本日の成果
光の初等魔法による鍛練結果
試行回数:231回
成功数:72回
ネギの現時点での限界が判明した!
原作キャラ、タカミチと出会った!
以上。
つづく