【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
感想がほしい…。
「あうぅぅ……どうすればー……!」
旅館に帰ってくると、何やらアンディが悶えています。
「なんです、床を転げまわって。気持ち悪いですよ?」
「ひどっ!?」
久し振りにまともに会話した気がするかもしれませんが、気のせいです。
修学旅行初日の内容が濃すぎたせいでしょうね。
「あとそちら、影がチラチラしてるので、聞いているのがバレバレですよ?」
「えっ?」
「わわわっ!?」「まずっ!?」「ばれてる!?」
数人分の声と足音が響き、そして消え去りました。
「あ、あの、ネギ、あのね……」
人払いも完了したと思ったのか、アンディは私に、ぽつりぽつりと話し始めます。
「宮崎のどかさんが、ボクのこと、大好きだって……」
ついに告白しましたか。
私の計画にとってそこまで重要な人物ではないとはいえ、私は原作の彼女を大きく評価しています。
恋愛って、若い時分に真っ正面から悩んで告白するのって、とっても勇気が要ることなのですよ。
しかも、引っ込み思案で会話が得意ではない、奥手な方の彼女なら、周囲に圧されると、余計に委縮してしまう可能性があるのです。
さらに、周囲には明日菜さんや木乃香さんなど、良い関係になりそうな人は結構いるのです。
この平行世界では私という幼馴染もいますし。
そんな中で一歩抜きんでるというのは、中々できることではありません。
前世、死ぬまで独身だった私が言うのですから、間違いありませんよ。
エヴァさんも、ナギのことでからかわれると、今も恥ずかしそうにしますし。
そういう恋愛の恥じらいみたいなものは、何年生きても、そう慣れることができないのかもしれませんね。
「それで、ボク、どうしたらいいかわからなくって……」
「大いに悩むことです。
何事も中途半端はいけません。
受け売りですけれど」
大元が何なのかは知りませんが、確かRPG『FF8』のシド学園長のセリフです。
駄作だ何だのと言われていますが、単にゲームバランスが壊れているだけで、作品としては深く作り込まれた逸品なのです。
「うん……」
そのセリフと少し関係があることですが。
女の子は、気になる人の心の機微には敏感です。
半端に出した答えですと、その態度から分かってしまうことがあるのですよ。
なので、現実は恋愛ゲームのように、選択肢次第で好感度が上がるなどという単純なものではないのです。
分かりやすく言いますと、常に欄外に『選択せずに悩む』という選択肢が存在する感じです。
ま、作者がやったことがある恋愛ゲームは『
「ありがとうネギ、もっと考えてみるよ」
「いえいえ、どういたしまして」
アンディも上手く成長してくれればいいのですけれどもね。
「……いませんね」
私はお風呂場の岩の裏側をチェックしました。
昨日の襲撃対応を反省して、旅館の周辺には凶悪な魔法罠を設置しています。
外に通じる出入口に、自動で中位精霊を16体ほど召喚するようにセットしました。
刹那さんの『式神返し』の結界の外側です。
例の発信機は、気や魔力の波長を計測できるようになっていましたので、昨日の戦闘で発信機そのものが外れたとしても、術者を追跡できるようにできています。
その波長に反応するようにセットすれば、ピンポイントで迎撃できるわけですね。
「今日は夜通し私が起きている予定だからな。
そこまで気にすることもあるまい」
「やっぱり、エヴァちゃんも助けてくれるの?」
これは明日菜さん。
「旅館の周囲をうろついているだけさ。それで例の女は手出しを控える。
獲物を前に悪事を語り、あまつさえ不必要に相手を煽って失敗するなど、悪としては三流、小物だ」
エヴァさんは手厳しいですが、反論もできないでしょうね。
『まずは薬で意思を奪って、術でウチの操り人形にして、魔力タンクとして働いてもらおか』
どこの悪代官ですかと言いたくなるくらいに、時代劇的な悪役です。
木乃香さんを最後の盾にしてこのセリフですから、どうしようもありませんね。
機会があれば、二度と悪さができないように、トラウマを植え付けておきましょう。
今ではそれなりにいい仕事をしてくれる、カモさんのように――。
「クひひひひ……」
「おい、笑顔が真っ黒だぞ」
「おっと……」
お風呂から上がり、ロビーで火照った体を覚ましていると、やかましい人がやってきました。
「やっほー、ネギちゃん」
「何の用ですか、麻帆良中学のブン屋さん」
「あっはっはー!ネギちゃんってアンディ先生とどこまで進んでんの?」
ICレコーダーをこちらに向けて、聞いてくるのは
私も言った通り、麻帆良中学報道部所属で、いつもカメラやICレコーダー、メモ帳などを持ち歩く、新聞記者です。
「まほら」新聞という、麻帆良学園都市内の記事を新聞にするサークルの記者さんでもあります。
善悪のバランスを取ろうとする人で、中道報道を心がける、珍しく良い記者さんです。
情報収集能力という意味で、私の計画に加えてもいい感じの人ではありますね。
「アンディとはただの幼馴染ですよ。関係で言えば友人です。
浅くても付き合いが長いせいで、他の人よりラッキースケベイベントが多いのは確かですが」
「じゃあ、別に先生のことは何とも思ってないってこと?」
「はい。なので、アンディが宮崎のどかさんの告白にどう応えようと、干渉する気はまったくありません。
ああ、アンディがあまりに不誠実な対応をした場合は、それなりのお仕置きをするつもりではありますね」
「うーん……アンディ先生の恋路はハードル高そうねえ……」
「アンディの私への好意は、まだ恋愛の領域ではないのです。
私を落としたいなら、『おしめ』が取れてからきやがれなのですよ」
「おおう、これは手厳しいねえ……」
そう言っておかなければ、この後のイベントにも差し支えますしね。
それと。
どんなイケメンも、6年も一緒に過ごしていれば飽きます。
諺の『ブスは3日で慣れて、美人は3日で飽きる』は、性別が逆でも通用するのです。
「ところで話は変わるんだけど……」
朝倉さんは1枚の写真を私に見せます。
即プリントアウトできる、プリント機能付きのデジカメですね。
それが手の平サイズまで小型化しているとは……、考えるまでもなく超さんか葉加瀬さんの作品のようです。
で、映っていたのは、アンディが箒で飛んでいる写真でした。
ああ、同郷ということで私の方にも疑いがかかったのですか。
面倒な。
「アンディ先生が魔法使いってことは、幼馴染のネギちゃんはどうなのかなー?」
ニヤニヤした笑顔で聞いてきます。
私もにっこりと微笑み返します。
「私は割とドロドロした立場にいる人間なので、迂闊にスクープしない方がいいと思いますよ?」
「え?」
「私の真実が明るみに出ると、下手をすると魔法使いの集団と戦争になると言っているのです。ガチの殺し合いです」
「マジで?」
「マジですとも。既に、私の故郷は全滅し、私も死んだことになっています」
「……」
朝倉さんは顔面蒼白になりました。
少し脅かし過ぎましたかね。
「なーんて、こともあるかもしれませんね」
「え、今の、嘘?」
「はい」
すべて真実です。残念ながら。
『
そうなるように、学園長やタカミチが細工しているというお話ですし。
既に述べたとおり、故郷の村も大量の悪魔によって、生存者が3名しかいません。
私の周囲は十分以上に危険に満ちているのです。
「なぁーんだ、脅かさないでよ……」
「ですが、魔法の業界にも政争は存在しますから、巻き込まれないようには注意してくださいね?」
「あ、うん、そこはわかった」
「あと、魔法使いは一般社会に魔法を秘匿しなければならない、という法律があるのです。
このまま朝倉さんが魔法を世間にバラしてしまいますと、アンディも私も牢屋行き、ということになるかもしれません」
「そうなの?」
「それは本当です。少なくとも、3、4年は帰って来ることができず、帰ってこれたとしましても、監視が付くでしょうね」
「あー……それはマズイかなぁ……」
ご理解いただけたようです。
これは話術の1つです。
最初にガツンと衝撃を与えてスクープに対する熱を冷やし、それから必要な情報を与えます。
記者というのは、というよりも人間というのは、感情的に熱くなったままですと、ろくな記事が書けないものなのです。
最近は、それをチェックもせずに表に出す上司も多いようですけどね。
昔は世論操作のためにも、最低限チェックはされていたはずなのですが。
――“そこなオコジョさーん”
――“へっ!?アッシは何もしてませんぜ?”
――“いえ、アンディにも得になる計画があるのですが、やってみませんか?”
――“へぇ?”
というか、そこの通路の陰で何かやっているのはバレているのですが。
どうしてこう、小動物なのに潜伏能力が低いのでしょうね?
――“それに気付くのはネギ様くらいですぜ?”
――“余計な御世話です”
そして、私は次のイベントのために、目の前の
本日の成果
修学旅行2日目イベント進行中。
以上。
つづく
嘘を言い慣れているネギ少女でした。
次はいよいよあのイベントです。