【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
パソコン買い換えたいけどお金がない。
その日は班別自由行動の日。
場所はシネマ村。
数多くの時代劇が撮影されてきた、巨大で広大なセット群です。
東映映画村やスペイン村などを思い出しますね。
観光客も多く、そこでは時代劇の衣装が貸し出されてもいます。
いやですね、襲撃があったのですよ。
それを避けるために、シネマ村に駆け込んだのです。
そこで衣装を貸し出しているところで色々と衣装を借りまして、扮装しているわけですけれども。
正体がバレにくいように、とは無理でしょうから、せめて刹那さんには袴のある衣装をお願いしました。
神鳴流剣士は、その動きで分かるものなのだとか。
袴というのは、足の動きが見えにくい、剣術に特化した着物なのです。
それによって、少しでも有利に戦えればと思ったのですが、聞くところによりますと、最近の神鳴流ではあまり関係ないようですね。
含み足なんてことをやるのは、一般的な剣道くらいだとか。
瞬動術とか、色々とありますしね。
袴が通じるなら、20年前の大戦でも詠春さんは袴装備だったでしょう。
「やはり新撰組ですか……」
「似合うてるえ、せっくん」
「……は、はぁ……」
やはり剣術使いの美少年は新撰組ですかね。
原作通りですが、顔を赤くしているのが初々しくて可愛いのです。
「木乃香さんもぴったりですね」
「ネギちゃんも可愛いえ」
木乃香さんは大名の御姫様風の着物。
私は、なぜかあった、カエルの祟り神様の格好です。
精霊召喚の際は、白い蛇でもイメージしてみましょうかね。
ちなみにカエルの祟り神というのは、『東方Project』の『洩矢諏訪子』というキャラクターです。
幼女ながら黒幕系で、カエルとミシャグジ様という白い蛇を使役します。
あちらは金髪で、私は赤毛ですけれどもね。
まあ、姿だけです。
しばらくはそれで遊んでいる風に過ごしていましたが、私が密かに迎撃準備を始めたことで、刹那さんも近付いてくる異様な殺気に気付いたようです。
実は私、早く来ないかと待っていたのですよ。
この2人と来たら、私が一緒なのに指を絡めて手を繋いだりしているので、恥ずかしそうにする刹那さんが慣れてくると、次第に甘いの空気が漂い始めるのです。
原作以上にラブラブです。
もう、見ていてこちらが恥ずかしくなるくらいに。
修学旅行中に本契約まで行きそうな勢いですね。
「刹那先輩、なんでウチと付き
京都弁で現れたのは、月詠、でしたか。
原作では戦闘狂の殺人鬼でしたが、この平行世界ではヤンデレ的な雰囲気が加味されています。
格好は明治の洋風文化が入ってきた当時の貴婦人。
「このままやと私、手当たり次第斬ってしまいそうですー」
柔らかな口調で、言っている内容はとことん物騒。
原作でも大体こんな感じでしたが、これはここで始める気でしょうか。
こんな人も密集している中で。
あれ、今いきなり刹那先輩とか言っていましたけれども、接点があったのでしょうか?
「さすがに今ここで始めるのは――」
「今、ウチと先輩が――」
私の胸に容赦なく剣を突き立てようとして、その左腕を白い蛇――私が召喚した中位精霊に咥えられ、抑え込まれました。
「神鳴流にこんな程度が効くとでも――」
「“『
私は最初の白い蛇に月詠さんが対応する一瞬の間に、強烈な吹き下ろしの風で一般客をよろめかせ、最低限立ち回りができる空間を確保しました。
「助かる」
白い蛇はさっくりやられましたが、最低限の仕事はしたのでよしとしましょう。
後は戦闘モードに突入した刹那さんにお任せして、私は木乃香さんを連れて逃げます。
「木乃香さん、逃げますよ!」
「え、うん……!」
「誰やのん?その子。エライ先輩に入れ込んでるようやけど……」
「お嬢様は、俺が守る!」
後ろから声がかかりますが、無視です。
人通りを無視して街中で戦闘を始めるような人の言葉は、聞くだけ無駄です。
どうせ理論が破綻していて、どこかで感情論が挟まっているはずですから。
そして、自分の理論の破綻は絶対に認めないのです。
付き合うだけ時間の無駄と言えるでしょう。
いきなり斬り合いを始めた2人に、一般客が驚いて後ろに下がり、さらにスペースは広がります。
これで戦いに集中する限り、一般人が巻き込まれる心配はなさそうですね。
――“ネギ、そっちは大丈夫?”
――“アンディは早く西の長に接触を!”
――“今、もうすぐ本部だよ”
――“あの白い少年の姿がこちらに見えました!”
――“ええっ!?”
――“早く連絡してください!”
――“う、うん、わかったよ!”
魔法的なラインが繋がっていると、こういう時に便利ですね。
いや、エヴァさんから念話の訓練は一通り受けたのですが。
まだ1キロメートル以上離れると、ラインがなければ念話が届かないことがあるのです。
ラインというのは、お互いに血を呑ませるなどの儀式を行っているということです。
システム的には、占い魔法を組み込んで、魔法使いに元々備わっているEPS系能力を拡大するというものですね。
占い魔法には、特定の個人に対する情報を取得するものがありまして、応用すれば念話もできます。
もちろん、独自設定ですが。
白い少年は転移魔法で追ってきているようで、人込みの少ない場所に、天ヶ崎
つまり、どこかに隠れる、狭い場所へ行く、というのは、逆効果。
原作のネギ少年があっさり追い詰められていたのは、こういうことだったようですね。
どこへ隠れようとも追い詰められるというのでしたら――。
――
「ふー……」
私はあえて疲れたフリをして、茶屋のベンチに腰掛けます。
人通りが多い上に、路地からも離れているので、あの少年がここに来るまでには時間が稼げるでしょう。
「……」
木乃香さんは、少し顔が青いようです。
「疲れたでしょう、チョコバナナです」
私は麻帆良から持参してきていたおやつを木乃香さんに渡します。
「なあ、ネギちゃん……」
「はい?」
「せっくん、大丈夫やろか?」
「ま、そう簡単に負けはしないでしょう。
な・ぜ・か、いつもより気合いが入っているようでしたし」
「え……」
木乃香さんは顔を赤くしました。
刹那さんがテンション上げ目な理由。
それは一つしかありません。
お嬢様、つまり木乃香さんを守るためだからこそ、気合いが入っているのです。
「……うん」
木乃香さんは、意を決したように、チョコバナナの半切れを口に放り込みました。
それを確認してから、私もそれに続きます。
おっと、書置きを残しておく必要がありますね。
事前に用意しておきましたので、抜かりはありません。
茶屋のベンチに書置きを置いて、私達は姿を消します。
それこそ、フッ、と。煙のように。
不思議な強制力が働き、バナナの皮に足を取られて滑って転びます。
座ったまま足を取られて転倒という、
「ひゃぁっ!?」
「っと――」
この転倒に危険はありませんので、私はすぐに起き上がって影の位置を確認しました。
約15°、およそ1時間、時間が進んでいます。
腕時計を確認するのは無意味ですし、柱時計は付近にはありませんでした。
「成功なのです」
「え、ネギちゃん?」
「木乃香さん、追手を撒きましたから、衣裳を返してから木乃香さんの実家の方へ行きましょう。
桜咲さんも、そこで待っているはずです」
「え、う、うん……」
木乃香さんは、戸惑いながらも頷きました。
では、今回使用した
『人類は衰退しました』に出てくる、様々な『妖精さんグッズ』の中で、妖精さんが主人公の少女を使って何度も実験を行い、完成させた、破格の逸品。
それが『タイムバナナ』なのです。
効果はその名の通り、
作中では、ある一定の時間へと飛ぶように固定されていましたが、私は一律で1時間先に飛ぶように、妖精さん達に設定していただきました。
それがあのチョコバナナの真相です。
敵さん方は、突然消えた私達に周囲を探し回り、そして追跡を諦めざるを得なかったはずです。
実力的に距離で逃げられないのなら、時間を飛ばして逃げればいいのですから。
今回の成果
修学旅行イベント3日目進行中!
桜咲刹那と近衛木乃香の親密度がUP。
『タイムバナナ』お披露目。
以上。
つづく
『タイムバナナ』は原作中でも何度も妖精さんが調整していました。
だからこういうセッティングも可能ということにしています。