【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
今書いてるオリジナル小説、4回目のリメイク中です。
私は木乃香さんの実家の屋敷の一室で目を覚まします。
「……」
「知らない天井とは言わないのか?」
「なんというボケ殺し……!」
傍にはエヴァさんと茶々丸さんがいました。
お茶を飲んでいます。
ついでに、アンディが私の手を取ったまま、布団の横で眠っています。
お布団がかけられているところから、ここで一晩明かしたようですね。
「良い香りですね」
「西の本部に置いてあるだけあって、質の良い玉露だ。飲むか?」
「お願いします」
私は茶々丸さんから湯呑を受け取って、ひと口啜りました。
程よい苦みと、鼻に抜ける香りがいいのです。
確かに高級品のようですね。
お茶というのは、蒸しているか発酵させているか、そういう処置によって、紅茶、緑茶、烏龍茶に分かれるのだそうです。
茶葉の原産はおそらく中国。
有名なお話で、古い中国ではお茶は薬として扱われていたそうです。
日本で国が成立したのはそれ以降、中国や朝鮮からは、多くの輸入品がありました。
おそらくお茶の木もそういった輸入品の一つだったのでしょう。
え、そんなウンチクは要らない、ですか。
紅茶の原産地の話は要らないですかそうですか。
仕方がありませんね。
それでは本編を進めましょう。
私はお茶を飲んで一息ついて、頭が働き出してから、エヴァさんに尋ねます。
「あの
「いや、何も」
「そうですか……」
彼らは私の秘密の1つも知っていると思ったのですが。
そこについて
「私が到着した時には、詠春は既にやられていた。
フェイトを神楽坂とそこの坊やが抑えようとしていたが、歯が立っていなかった。
木乃香の救出には刹那が成功していたがな」
「なるほど、つまり計画の進行は順調、ということですね?」
「大体な」
「け、計画……?」
そういえばアンディにつきっきりでしたね。
「アンディ強化計画ですよ。
父を探す旅に、ついてきてもらう予定ですからね。
この子なら、来るなと言っても来るでしょうし。
それならその旅に耐えられるように、強くなっていただく必要があるのです」
――“ものは言い様だな”
――“バカとハサミは使い様なのです”
私は悪びれることなく答えました。
「あの白い少年とその仲間達の動きが少々気になりますし、もう少し戦力が欲しいところですね」
「他の皆も巻き込むつもりなんで?」
「ええ、巻き込みますよ」
私は躊躇いなく頷きます。
「私を取り巻く環境は、日々悪化しています。
いつ『本国』との戦争になるか、予想がつきません。
そうなれば、私に近しい存在として、クラスの皆が狙われる危険があるのですよ」
「えーっ!?マジっすか!?」
「これが嘘ならどれだけ良かったことか……」
私は困った顔をして告げました。
実は、今言ったこと――私を取り巻く環境の悪化――は、真実です。
『
『本国』では今、『
何らかの記録用魔法具で私の生存している姿を映しておけば、それを『本国』へ送りつけるだけで、私は魔法世界で身動きが取れなくなってしまいます。
公の場に出ることができなくなってしまいます。
6年前の事情を知っていれば、それは至極簡単に辿り着くことができる、私の最大の弱点です。
私が最初にエヴァさんの懐に転がり込んだのも、それが一番の理由なのですから。
強大な権力者に私は存在しないと言われていますが、逆に私には公が存在せず、一生表舞台に立つことができない境遇なのですよ。
「それと小動物、
「ああ、そうッスね」
エヴァさんがカモさんに話を促します。
「仮契約……アンディの話ですか?」
「いえ、ネギ様の話ッス」
カモさんが、
そのカードには、近衛木乃香さんの羽織姿が描かれています。
成立カードですね。
原作と同様、強力な治療用アーティファクト『
「その……な、お前、解呪の儀式を完成させる前に倒れただろ?」
「……あれ?解呪は完成しなかったのですか?
てっきり、私が意識を失ったのは、魔力切れかと思っていましたが……」
でも、見ての通り、アンディは私の手を握って寝息を立てています。
多分ですが、私が起きるまで見ていようとして、眠ってしまったのでしょう。
布団をかけられていますが、私が被っていたものとは別です。
私が解呪を完成させられなかったのでしたら……ああ、それで、木乃香さんの
しかし、刹那さんと契約した際は、木乃香さんが主でしたよね?
アーティファクトは『剣の神・
木乃香さんからの魔力充填によって強化される、古代日本の神剣です。
本来は原作の後半で入手するアーティファクトで、剣士にとってはこの上なく強力なものです。
それは昨日の夕方、この屋敷で合流した際に確認しました。
では、この木乃香さんの
順当に考えれば、アンディかもしくは……。
「お前は、直前の戦いで上位精霊を使役しながら戦っていたんだろう?
しかもそれで、100体もの実体妖怪をほぼ1人で殲滅してのけた。
その時には既に、肉体が限界を超えていたんだ」
「すまねえ、ネギ様。他に選択肢がなかったんだ」
「つまり……私が木乃香さんと……キスを、したと……?」
私の心は零度を下回って冷えていきます。
「落ち着け、ネギ。欧米ではよく家族と挨拶代わりにキスをするだろう?
それと一緒だ、最初の一回に数えなくてもいいじゃないか、なあカモ!?」
「うぇ、オレっち!?いや、あの、その……」
うふふふふ、私のファーストキスが……ファーストキスが……。
どうせなら刹那さんが良かったのです……。
アレあれ?どうして私は彼女持ちのリア充となんて……。
「う、うぅん……」
馬鹿騒ぎをしている間に、アンディが目を覚ましました。
なので、一旦怒りは引っ込めます。
「ネギ、ネギぃ……」
「はいはい、私はここにいますよ」
ずっと握られていたアンディの手を、私は優しく握り返しました。
「……ネ、ネギ!?」
どうやら、寝惚け状態から覚醒したようです。
「う、うわぁぁぁん!ネギッ、ネギィィィッ!!」
「ひゃっ!?ちょっ、落ち着きなさい、わひゃ、どこ触って、このっ……!」
「へぶっ」
拳骨をアンディの頭頂部に落として、私は彼の腕から脱出しました。
慌てて着崩れた浴衣を直します。
「お邪魔、でしたか?」
そこへやってきたのは、西の長、近衛
後ろ手に真っ赤な顔の刹那さん(♂)の腕を掴んでいます。
さらにその後ろには、木乃香さんが。
「い、いえ、お気になさらずに!どうぞ入って下さい!」
私はいつになく慌てて、腰の辺りにへばりついていたアンディを蹴り剥がし、急いでお布団を畳みました。
「この度は、色々と助けられてしまいました。
関西呪術協会の長として、感謝します」
「いえ、私も肝心なところで敵の幻想空間に捕まっていましたし……」
「しかし、君が『アーウェルンクス』の名を伝え、さらにエヴァンジェリンの封印を解いていなければ、関西呪術協会は壊滅し、さらなる大惨事が起きていたでしょう」
偉い人に頭を下げられた時、とりあえず恐縮しておくといいです。
その方がお互いに良い感情を抱いていられますから。
そんな心無い恐縮を見せながら、私は一通りの説明を受けました。
今回の事件の顛末はこうです。
詠春さんは最初の不意打ちを回避することに成功した後、フェイトと矛先を交えながら、他の者には退避を呼び掛けていました。
その内に、一度フェイトの姿を見失ってしまったのです。
そうやって探し回っている内に、フェイトは屋敷の人々を石化させ、木乃香さんを誘拐していきました。
木乃香さん誘拐の際、明日菜さんとアンディもそこにいたらしく、戦闘になったのですが、まったく歯が立たずに、2人とも石化魔法を食らって、アンディが直撃を受けて石にされたのです。
明日菜さんは、魔力無効化能力のおかげで服以外は無事でした。
その騒ぎを聞きつけた詠春さんと刹那さんが駆けつけるも、フェイトには転移で逃げられ、そこから追跡が始まります。
そして追跡の最中、屋敷の近辺に封印されていた実体妖怪が召喚され、戦闘になり、詠春さんは最初300体いた妖怪軍団の半分ほどを片付けて、先にフェイトを追いました。
しかし、池の上の祭壇近くではフェイトに動きを抑えられ、木乃香さんを取り戻せずに、『リョウメンスクナ』が召喚されてしまいます。
フェイトと『リョウメンスクナ』の2対1となり、さすがにこれには勝てず、フェイトの石化を食らって池の底に沈められたそうです。
アンディの補足では、詠春さんがやられた直後に到着し、油断したフェイトを出し抜いて魔法で捕縛するも、明日菜さん召喚後も『リョウメンスクナ』には手も足も出ず。
そこに『健脚ドリンク』で加速した刹那さんも合流し、アンディと明日菜さんがフェイトを抑えている隙に、刹那さんが木乃香さんを救出することに成功したのです。
しかしその戦闘で、アンディが手の先に石化のカス当たりをもらったようで。
そのすぐ後に満を持してのエヴァさん登場、というわけなのでした。
詠春さんがいた分、原作とは微妙に異なりますが、大筋では一緒です。
「いやはや申し訳ない。
私があの少年を抑え切れていれば……」
1人娘が友人の娘と仮のパートナー契約。
このややこしい状況を作った原因に自分の不甲斐無さがあるだけに、悔しい想いを隠しきれないようです。
「しかし、こうなってしまったのは仕方がありません。
そこで、これからは刹那君を君の護衛にも付けようと思っています」
「それで連れてきたのですか」
「一度
「お、長……」
「今回、刹那君も頑張りましたから、烏族へは私の方から言っておきましょう。
いいね、木乃香、刹那君?」
「は、はい……」
「せっくんやネギちゃんと一緒やねんね。嬉しいわー」
そのやりとりを聞いて、エヴァさんがたまらず吹き出しました。
「クックック、お前も立派に人の親をやるようになったじゃないか」
「余計な御世話だよ」
そう、これは刹那さんを逃がさないための方便なのです。
1人娘もその気で唇まで奪っておきながら、逃げるなどということをさせないために、私という理由を追加して外堀を埋めようというのですね。
ま、ある程度は仲良くなっておいた方がいいので、私としても助かりますが。
その後。
やっぱり民宿に送っていた身代わりの式神は、暴走していたようです。
そのことを知らせに来た明日菜さんと朝倉さんのおかげで、会合は一時お開きとなり、午後改めて京都の観光地の方で合流することになりました。
修学旅行編は、まだもうちっとだけ続くのじゃよ。
本日の顛末
近衛木乃香との仮契約が発覚!
以上。
つづく
この時点では、まだフェイト・アーウェルンクスの扱いは決まっていませんでした。
完全な敵にするか、味方への含みを持たせるか、悩んでいましたね。