【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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6/16 辺りに投稿されてると思われます。

今の社会に色々と物申したいことがある。
でも、誰も聞いてくれないんだろうなぁ。


028 終わりは大人の話

隠れ家としては大きな、少人数で寝泊まりする用のペンション。

3階建て、ロフト付き、大きな吹き抜けのある、敷地面積は狭い家。

それが私の印象でした。

 

最も目を惹くのは、吹き抜けの壁一面の本棚。

3階まで続いており、物凄い数の本が収まっています。

何より凄いのは、すのすべてが魔道書であり、名のある魔道書もちらほら見受けられるということです。

おそらく、ほとんど写本なのでしょうけど。

幾らか本物もあるかもしれません。

 

私達は、ナギの隠れ家を訪れていました。

 

 

 

――“さすがに今は『童話の地』を広げるわけにはいかんからな?”

――“あはは、わかってますってば”

 

私には大容量収納用魔法具があり、それを使えばここにある本を丸ごと麻帆良へ持って帰ることもできますが、さすがにアンディや他の皆さんもいる今は無理です。

一般人いませんけどね。

 

写本すら貴重な魔道書もあったりして、興味は惹かれますが。

この隠れ家の鍵は詠春さんからいただきましたので、また後で回収しに来ましょう。

 

「幾つかお話ししておきたいことがあります」

 

詠春さんは隠れ家の一室に認識阻害をかけて、私と話します。

 

「君は、『本国』では死んだことになっています」

「多分、そうだろうと思っていました」

 

私は特に慌てることなく答えました。

 

「私を『本国』から守るためですよね?」

「なんと、気付いていましたか……」

「『(セント)エルモの火』で死にかけたのは事実ですし、それがどういうものなのかも、エヴァさんから聞いています」

「エヴァンジェリンが?」

「彼女の『登校地獄』を解いたのは、私ですよ?

それなりに親交はあるのです」

 

それなりどころではありませんけれど。

教室ではほぼ毎日、エヴァさんとは念話で連絡を取り合っていますよ。

席も隣同士ですし。

 

「そうでしたか……しかし、よくあの力任せにかけられた呪いが解けましたね」

「整備のための停電で結界が解除される僅かな間に重なった満月の夜、私の致死量ギリギリの血を呑めば、儀式を成功させることができるようでしたので。

増血剤を用意して、血液を水増ししたのです」

「ああ、なるほど。そんな方法が……」

 

まあ、その増血剤が反則的な品だったのですが。

 

しかし。

今のカマかけに、詠春さんは引っ掛かりませんでしたね。

ということは、彼は例の件を知らされていないと考えてもいいようです。

それとも、単に西の長を長年やってきたゆえの演技力でしょうか。

 

とにかく、話を進めましょうか。

 

 

 

「今はサウザンドマスターのことを調べるだけでも、相当大きなリスクを伴います。

特に大戦後、その足跡を完全に追おうとすると、必ずどこかしらで妨害が入るようです」

 

特に、その妻の話となると、ということですね。

詠春さんも口には出しませんが。

 

「そのために、『本国』を丸ごと潰せるくらいの戦力を揃えて行こうと思っています」

「それは……アンディ君強化計画とやらの?」

「盗み聞きとは感心しませんよ?」

「いやぁ、申し訳ない」

 

まあ、いいですけどね。

あれは外向けの説明ですし。

 

「アンディだけではありません。

刹那さんや木乃香さんも、『本物』と勝負ができる程度には鍛えていただこうかと思っています」

「君は多くの人々を巻き込むのに、躊躇いというものがないようだね?」

「巻き込むというのでしたら、既に巻き込んでいるでしょう?

私が麻帆良に編入して、『(セント)エルモの火』を生き延び、さらにあの白い少年に知られてしまった時点で、危険区域から出ることができなくなってしまったのです」

「……なるほど、君はその歳で政治家というものを理解しているようだ」

 

それはまあ、前世は汚職政治家の娘で秘書でしたし。

レールの上を引き摺り回される人生なんて、二度とゴメンですけれどもね。

あんな人生を送るくらいなら、路上でストリップでもやった方がマシです。

 

「正直、君にはあまり危険なことはしてほしくなかったのですが……」

「守りに入れば、彼らは次に何をしてくるかわからないですからね」

 

戦争と違って、政治に絶対安全な防壁などは存在しません。

一定の防壁を維持するために、忙しく立ち回らなければならないのです。

そして防壁のない者は、攻勢に出なければ確実に潰されます。

私達には、他に選択肢など存在しないのです。

 

 

 

「そういえば、小太郎君はどう扱われるおつもりですか?」

 

私は尋ねます。

 

「どうも子供の感情を利用されただけのようですが、何らかの軽めの罰は下るでしょう。

その後は放免です。

とはいえ、彼は()族のはぐれ者のようですし、このまま関西呪術協会の所属にしてしまった方がいいのかもしれません」

 

そういえば、原作『ネギま!』でも、彼はあの歳で独り傭兵紛いのことをするなど、相当な苦労を重ねてきたようですね。

 

ちなみに、原作での千本鳥居での戦い、アンディは小太郎君の変則的な戦闘に苦戦したそうです。

事あるごとに中位精霊に追いかけさせていたので、目はいいのですがね。

アンディは根が素直すぎますし、変則的な戦闘は苦手なのかもしれません。

 

その後、お屋敷襲撃後に石化を解かれて私と分かれた後、やはり原作通りフェイトのところへ行くまでに『狗神』で攻撃されたようですが、高速詠唱で迎撃して、再戦イベントはなし。

私ほどではないにせよ、彼も1日1万回の呪文詠唱は達成していますから、ある程度の呪文短縮技術は鍛えています。

 

小太郎君は撃墜失敗の直後に長瀬(かえで)さんに遭遇し、終わりまでずっと戦闘していたようです。

 

それを見ていた綾瀬夕映(ゆえ)さん曰く、素直で馬鹿で、よくあるバトル大好きな男の子だそうで。

人格的に原作とそう大差ないのでしたら、彼も戦力に組み込む方向で行きましょう。

 

「その小太郎君、罰の一環として麻帆良に派遣していただくわけにはいきませんか?」

「構いませんが、彼も戦力に組み込むのですか?」

「はい。同い年くらいの同性の友人は、アンディにとっても良い影響があると思いますので」

 

戦士としても良い素材ですからね。

とりあえず、何度か心を圧し折れば、甘さが抜けて格段に強くなるでしょう。

 

「ふむ……ではそうしましょう」

「ありがとうございます」

 

 

 

「次は『アーウェルンクス』ですが……。

フェイト・アーウェルンクスと名乗っていた以外は、何も分かっていません。

イスタンブールからの魔法研修生ということにはなっていますが、確認したところ、先方にそんな見習いはいないということです」

「金髪少女の方はどうなのです?」

 

私は尋ねます。

フェイトについては原作通りなのでいいとして、金髪緑ドレスの幼女は原作には登場しないため、気になっていたのです。

 

「そちらは、あの少年以上に影も形も分かりません。

突然京都に現れ、今回の件に参戦し、その後の足取りもまったく掴めませんでした」

「まさに『(モノノケ)』というわけですか……」

 

正体不明、神出鬼没。

 

「やはり、幻想空間系のアーティファクトは厄介ですね……」

「『北風の敷物』でしたか。

とりあえず、ノルウェーの民話『北風のくれたテーブルかけ』の類型だろうということはわかっていますが、アーティファクトである以上、そこから追いかけるのは難しいでしょう」

「となると、フェイトがあの敷物を持ち歩いていると考えた方がよさそうです」

「それもまた厄介な話ですが……」

 

ちなみに、『アーウェルンクス』という名前は、裏の世界でもほとんど知られていません。

20年前の大戦時には、『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』と繋がっていた『本国』によって隠され、それを追っていたナギの仲間達によって10年前に壊滅に追い込まれ、表舞台から姿を消しました。

そのナギが死んだとされた10年前に彼の仲間達も散り散りとなり、今ではほんの一部の人間しか知らない単語となったのです。

まあ、壊滅した振りをして『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』は隠れ、再起の機会を窺っているようですけれどもね。

 

そういうわけで、『アーウェルンクス』と名乗っていたにもかかわらず、事件が起こるまでは警戒されていなかったのでした。

どうにも間抜けな話ですねー。

 

「私が知る限り、『アーウェルンクス』の最も厄介な点は、例え倒しても、時間をかければ復活してしまうことです」

 

詠春さんは言いました。

 

ああ、そういえば原作でもそんなこと言ってましたっけ。

 

「一応、対抗策はありますが、簡単に用意できるものではありません」

「すぐに復活するわけではないのでしょう?」

「まあそうですが、彼らは主の忠実なる僕ですから、主人が倒された後でも、何度でも主人を蘇らせ、主人の願いを叶えようとする。

そういう非常に厄介な性質を持っているのです」

「……何らかの方法で封印するのが対抗策の1つ、というわけですか」

「そういうことです。簡単なことではありませんが」

 

ま、妖精さんグッズならどうとでもなるでしょう。

 

 

 

「ところで、魔法世界へはエヴァンジェリンも同行するのですか?」

 

詠春さんが尋ねます。

 

「いえ、彼女には麻帆良に残っていただきます」

「麻帆良に……?

しかし、呪いは解けているのでは?」

「こちらにも事情がありましてね。

簡単にエヴァンジェリンさんに頼るというわけにはいかないのです」

 

それだけは外せないのですよね。

最悪、エヴァンジェリンさんの存在の有無で、地球が滅ぶかどうかが決まりますし。

 

「では、私が……」

「ダメですよ。

私と一緒に向こうへ行けば、9割がた自動的に賞金首にされます。

それは『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』を撃破するなど、大きな功績がなければ解除されません。

それまでゲートの利用が政治的にできなくなるのです。

ことが終わるまで日本に帰ることができないとなりますと、西の長としてまずいでしょう?」

「それは……エヴァンジェリンが?」

「はい」

 

嘘です。

そのくらいのことは私でも予想できますからね。

原作以上に、『本国』は私を厳しく殺しにかかっているようですし。

 

「もしよければ詠春さん、お暇な時に麻帆良へ来て、刹那さんを鍛えてあげてくれませんか?」

「ふむ……それが無難ですか。

まったく……大人になるというのも、ままならぬものだ」

 

本音では、自分で『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』と戦い、倒したいのでしょう。

表向きにも裏向きにも、詠春さんにはしばらく大人しくしていていただきます。

私達が失敗した時に対処するための、大事な戦力の1人ですから。

 

人生とは、ままならぬことで一杯なのですよ。

 

 

 

と、いうことで、ここで修学旅行編は終了。

次は少し間が開いて、いよいよアンディを本格的に鍛える修行が始まります。

 

 

 

 




本日の成果

修学旅行編終了!
ナギの隠れ家の鍵を入手。
近衛詠春の協力を取り付けた。
アンディ強化計画が次の段階へ移行。

以上。

つづく



フェイトの行動やモノノケについて、大きな謎が残ります。
ちなみに、詠春が娘をネギの傍に置いたのは、その方が安全かもしれないからです。
実家に呼び戻したりすると関東と関西の亀裂になりますからね。
亀裂にしない方が、娘の味方は多くなるだろうという計算があります。
フェイト対策でも協力は必要ですし。

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