【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
モデルのないオリジナルだと、細かい設定まで考えないと世界観に深みが出ない…。
山ほど設定書いてもまだ足りない…。
ゴールデンウィーク前。
ヘルマンさんが現れました。
侯爵級の強力な悪魔で、『封魔の瓶』という魔法具に封じられた、6年前の襲撃事件の参加者です。
「これはあんまりではないかね?」
「苦情王はお帰り下さい」
捕まえました。
麻帆良結界に入るなり、麻帆良学園都市に重なるように作った巨大幻想空間に転送したのです。
転送した先は悪魔の力を封印する檻の中。
「しかし……なぜここまで正確に私の襲撃を予想できたのかね?」
「予想などしていませんよ」
「何?」
「単に、悪魔や妖怪と呼ばれる存在が放つ魔力を感知して、ここへ転送するように仕組んでおいただけです」
学園長にも許可を取りました。
麻帆良の
そもそも、ヘルマン事件は不確定要素が多く、計画に組み込むのが難しいイベントなのです。
フェイトか『本国』の都合に頼った計画など、立てるものではありませんからね。
「いや、そんな術は聞いたことがないが……。
麻帆良学園都市を丸ごと覆うだけでも、相当に規模が大きい。
本当にそんな範囲をすっぽり覆い、魔族や妖怪をピンポイントで捕まえる術など、存在するのかね?」
「それについて説明する義理はありませんよ」
私はにっこりと微笑んで質問を突っ撥ねます。
「とりあえず、フェイト・アーウェルンクスか『本国』元老院か、どちらかは分かりませんが、『感覚同調』は切ってしまいましょうか」
「ぬっ……!」
黒いローブの老紳士は、私の言葉に身構えました。
「無駄ですよ」
私は懐から陶器の小瓶を取り出して、白い粉を少量手の平に出し、フッ、と息を吹きかけてヘルマンさんの方に飛ばします。
人生をダメにする白い粉ではありませんのでご安心ください。
「むっ、これは――!」
粉が老紳士の身体にまとわりつくと同時に、人間の振りをするために使っていた幻術も含め、あらゆる魔法効果が解けました。
「その姿は記憶にありますね。
ベリアルを寄越さなかったことの方が、むしろ意外かもしれません」
「君は、6年前に故郷を壊滅に追い込んだ私を見ても、何も思わんのかね?」
彼の言うとおり、6年前に私の故郷を襲撃し、多くの戦える住民を石化させて壊滅させたのは、このヘルマンさんです。
「何を思えというのです?
例えば父を刺し殺したナイフがあったとして、そのナイフを憎めというのですか?
馬鹿馬鹿しい」
私は彼の疑問を平然と切って捨てました。
「それとも何ですか、下手人を割り出すために、拷問でもやれと?
それで得られた情報が、一体何の役に立つというのですか?
『本国』元老院なら、知らぬ存ぜぬで通せば終わりですよ。
それに、召喚師がそんな事情を知らないということも、十分考えられます」
「……」
「ああ、もしかして、伯爵級悪魔ともあろう人が、良心の呵責を覚えているとでも?
ご心配なく。
悪魔のあなたは知らないかもしれませんが――
私は唱えます。
「“召喚、『万物ゲーム機』”」
召喚したのは、タッチパネル式のA4サイズのタブレット。
それを、私は声に出しながら操作します。
「ジャンルは『モンスター育成ゲーム』。
対象選択は当然、ヘルマンさん。
ステータスは……ふむふむ、やはりありましたね。
ああ、なるほど、こうなるのですか……。
固有スキル『永久石化』を削除、と――」
「なっ、何っ!?」
実際の変化を感じ取ったのか、ヘルマンさんが驚愕の声を上げました。
「私に何をした!?」
「これは『万物ゲーム機』と言いまして、世の中のありとあらゆるものをゲーム化して操作することができるものです。
これを使うと、ヘルマンさんのような悪魔や妖怪を改造することもできるのですよ」
「ば、馬鹿な!?悪魔を改造だと!?
神の力を宿すとでもいうのか!?」
「残念、もっと酷い存在の産物です」
人畜無害そうな妖精さん達が創ったと知れば、どんな顔をするでしょうかね。
そういう意味では酷いのかもしれません。
「さすがにパラメータは高いですね。
私が召喚した上位精霊とは段違いです。
せっかくですし、削除した固有スキルの代わりに何か入れましょうか。
……いいのがありますね。
『○玉皮伸ばし』、『変態仮面』、『セクシーコマンドー』……」
「え、いや、待っ、やめて、お願い、何でも――」
「コレ
「アッ――!」
こうして悪魔は更生し、悪さをしなくなりましたとさ。
泣いて喜んでいたようですし、これで一件落着でしょう。
めでたしめでたし。
一応、解説しておきますね。
麻帆良学園都市をすっぽり覆う幻想空間というのは
『
『
『事象の狭間』とは、深いところへ行くとその存在がほどけてしまう危険な空間で、『人類は衰退しました』の原作でも相当危険な場所として描かれていました。
『
油断している悪魔が相手なら、壁越しにでも吸い込むことができます。
やけに範囲が狭いじゃないかって?
それはそうですよ。
その性質上、幽霊や魔法世界人や半魔族も一緒くたに吸い込んでしまいますから。
試していませんが、
ちなみに、ヘルマンさんの位置を特定したのは、エヴァさんが探知結界を張っていたからです。
次に、檻はエヴァさん謹製の封魔陣の上にあるだけの、何の変哲もない鉄の檻です。
格子の太さが直径5センチくらいありますが。
悪魔とはいえ、魔法で身体強化でもしなければ、この鉄格子を破ることはできないそうですので。
ヘルマンさんにかけられていた魔法の効果を一瞬で打ち消した白い粉は、出雲大社で作られている、儀式用のお塩です。
それに私の解呪の魔法を載せて、吹きかけました。
このお塩は100g1瓶3万円もする高価なもので、入手経路もかなり限られています。
私は
引き換えに何度か麻帆良学園の警備をやることになりましたが。
こういうのは、ネタが分かると案外なんでもないものなのですよ。
ともかく、これで『本国』と『
迂闊に攻撃を仕掛ければヘルマンさんの二の舞になるということを、『感覚同調』を通じて伝えましたからね。
『感覚同調』とは、召喚術師がよく使う魔法で、召喚した悪魔や使い魔と感覚を同調させる際に使用します。
使用条件も術式も、結構難しかったはずです。
確か、仮契約に近い契約の儀式が必要だったと思いますが。
どうして知っているかって?
勉強しましたから。
その辺の、情報収集に便利そうな魔法についての知識は、大体網羅しています。
実際使用できるかどうかは別なのですけれど。
「――以上が現在の経過です」
私はエヴァさんにヘルマンさんの捕獲を伝えました。
「お前、伯爵級の悪魔が隅っこで体育座りして泣いてるのなんて、600年生きてきた私も初めて見たぞ?」
「自分がどれだけのお人好しかを、その身をもって教えてあげただけですよ」
「悪魔をお人好しと評してしまうのが、お前のお前らしいところかも知れんがな……」
「お褒めに預かり光栄です」
エヴァさんは遠見の水晶を見て呆れていましたが、その内に色々と諦めたように溜息をつきます。
「で、こいつはどうする気だ?」
「悪さをしようという元気もなくなったようですので、ゴールデンウィーク明けくらいにアンディと小太郎君にぶつけてみようと思います」
「勢い余って送還してしまうかも知れんぞ?」
「その時はその時ですよ。
元々戦力としては不安定過ぎますし。
もし生き残れれば、ザジさんにお任せするのもいいかもしれません」
「……さらなる屈辱を与えようと言っていたら、さすがの私も止めたかも知れん」
クラスメイトの色黒無口少女、ザジ・レイニーデイさんは、魔界の王女様なのです。
魔族としましては、ヘルマンさんよりも位が高いのですよ。
なので、彼も喜んで従うことでしょう。
「今後の見通しも立ったところで、そろそろ寮に戻りますか」
「コイツはこのままにしておくのか?」
「ええ」
私は躊躇いなく頷きました。
そろそろ夜も更けて参りましたので、眠いのですよ。
なので、今日はとっとと寝ます。
どう改造してぶつけるかは、また明日考えましょう。
本日の成果
伯爵級悪魔ヘルマン捕獲成功!
ヘルマンを一時的に使い魔にすることに成功した。
話には出て来なかったが、スライムも捕獲している。
以上。
つづく
ネギ少女が絶好調です。
原作に登場したのは『万物ゲーム機』だけで、『幻掃除機』はオリジナルです。
白い粉は魔法に使用する高価な塩で、妖精さんは関係ありません。