【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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6/26 くらいに投稿されてるといいと思います。

センスのいい台詞を作るのに、滅茶苦茶悩みます。

6/26 説明他、指摘されたことについて追加。
6/27 ×曹操猛徳→○曹操孟徳


038 宣誓、私が黒幕です

「アルさーん!起きてらっしゃいますかー?」

 

図書館島の深部、翼竜(ワイバーン)が守る扉の向こうに、彼はいます。

以前に一度来ましたので、魔法罠の類が生きていれば、アルさん、アルビレオ・イマが起きていないことが分かります。

 

翼竜(ワイバーン)はどうしたかって?

単純に囮の上位精霊に引き付けていただいています。

風精霊なら、翼竜相手に囮をさせるのも難しくありませんしね。

あれが上位竜種でなくて良かったのです。

 

上位竜種と下位竜種を隔てる壁はただ1つ、『竜の咆哮(ドラゴンハウリング)』が使えるかどうかに尽きます。

いわゆる、バインドボイスですね。

竜種の厄介な攻撃行動の1つですが、この世界の上位竜種は、この咆哮に魔力が載るのです。

そうすると、ただの大声に様々な厄介な効果が付与されます。

有名なところでは、障壁が弱いと金縛りに遭ってしまったり、恐怖で戦意喪失してしまったり。

 

そしてこの世界ではもう1つ、『破魔』の力が付与されるのです。

つまり、私が編む精霊程度なら、ひと吠えでかき消してしまうのですよ。

魔法世界人や妖怪、悪魔が消えるほど強烈なものではないのですけどね。

 

 

 

ともかく。

 

「魔法罠は眠っているようですね」

 

私は以前来たところで、罠の不発を確認します。

つまり、アルさんは起きているということなのです。

 

――“やれやれ、まさかワイバーンの門番(セキュリティ)を突破してくるとは”

 

念話が届きました。

 

――“君はネギちゃんですか。その魔力は覚えていますよ。ナギ(サウザンドマスター)の娘ですしね”

――“嘘でしょう(・・・・・)?あなたが知らないはずがありません”

――“何を、でしょうか?”

――“ナギの子供は、私ではなくアンディ(・・・・・・・・・)だということをです(・・・・・・・・・)

 

念話の間も、私は発信源に向けて歩いていきます。

 

――“……それは、エヴァンジェリンが?”

――“自分で辿り着きました。エヴァさんには、最後の確認をお願いしただけです”

 

しばし沈黙。

 

その間に相手の位置を特定した私は、アルさん、アルビレオ・イマの居室へ辿り着きました。

 

長方形に削り出した石を積み上げて作った壁。

私か近付くと、一部が開きます。

その先に、ゆったりとしたローブ姿の青年が立っていました。

 

原作のような、滝の前に突き出したテラスではなく、六畳一間の狭いリビング。

ただ、来客を迎えるのに適してはいないのでしょう。

物書き台とテーブル、椅子とソファがそれぞれ1つずつしかありません。

 

「はじめまして。

私はおそらくあなたに作られた、ネギ・スプリングフィールド――という名の何かです(・・・・・・・・・)

 

私は自己紹介します。

 

「私にとってはお久し振り、というところですが……」

 

アルさんは、あくまで落ち着いていました。

 

 

 

「なぜそこに辿り着いたのか、理由を聞かせていただいても?」

 

彼の問いに、私は返します。

 

「1つは、アンディの魔力です。

あれは、最初の魔法使いの娘アマテルの末裔、オスティア王家の魔力でしょう?

そうでなければ、ネカネお姉ちゃんや私に強制力(・・・)を働かせることなどできませんものね」

 

そうなのです。

それが、私がアンディに近寄るのを避ける理由の1つであり、アンディが私にべったりだった理由です。

6年前に意識がはっきりするまで、私はアンディに逆らうことができなかったのです。

生まれたばかりで右も左も分からないあの子は、私に聞けば何でも教えてくれるし何でも解決してくれるから、私にべったりだったのです。

それも、私が6年前まで、なんでもアンディのお願いを聞いていたからでしょうね。

 

ネカネお姉ちゃんもまた、そういう存在でした。

彼女の場合は、強制力にやられて、それに気付かないまま自分を納得させて、歪な精神状態のまま私とアンディの両方が仲良くなるように、面倒を見てくれています。

ただ、私はともかくネカネお姉ちゃんは、アンディに何かお願いをされると身を固くすることがあり、自分で気付かない内に拒否反応を出してしまっています。

おそらく、幼い頃からずっと強制力に晒され続け、体が勝手に反応することに疲れ始めているのでしょう。

 

アンディもそこには気付き始めていまして、それゆえに強制力を振り切ることができる私に、余計にべったりするようになったのです。

 

ああ、強制力というのはアンディの血筋によるもので、おそらくこの平行世界オリジナルのものです。

ネカネお姉ちゃんが作り物で、アンディに従うようにできていたとか、そういうことはありませんのであしからず。

 

「――というわけでして、ネカネお姉ちゃんのストレスを除去する方法が知りたいのが1つです」

「なるほど……それは想定していませんでした。

何か対処しなければなりませんね。

直接ウェールズへ行くのが手っ取り早いのですが……」

「外に出て大丈夫なのですか?」

「実体化しなければなんとかなります」

 

快い返事がいただけて、私もホッとしました。

 

 

 

「もう1つは、状況証拠ですね。

主に6年前の襲撃事件の」

「……やはりありましたか」

 

アルさんは予想していたという風に呟きます。

 

「ええ。その際、タカミチが調査に来ました。

しかし、タカミチは滞在した3週間で、事件の痕跡を消して、あの事件をなかったこととして処理したのです。

メルディアナ魔法学院の地下には、今も石化された村人達が保存されているのに……。

『本国』へすら結果を秘密にして、事件をもみ消したのだとしか考えられません」

「タカミチ君の判断は正しかったと思いますよ」

(ネギ)の記憶を改竄しなかったことを除けば、ですよね?」

「そうかもしれませんね。

まさか4歳の子供がそこまで考えるとは、普通は思いもしないでしょうが」

 

あのタカミチの行動は、アルさんが黒幕ということではなかったようです。

 

「タカミチといえば、彼は6年前、アンディに会わなかったのですよ」

「そうなのですか?」

「多分、過剰に意識していたのでしょうね。

本物のナギの子供(・・・・・・・・)のことを。

外道な手段を使ってまで守り抜こうとしていた子供のことを」

「なるほど……彼もそちらの方面はまだまだのようですね」

 

僅かな(ほころ)びでしたが、それは私にとっては十分な真実への道標だったわけです。

タカミチは、あの時アンディに会うべきだったのですよ。

『悠久の風』のエースという、高い実力の持ち主による安心感があれば、アンディがその後、私にべったりすることもなかったかもしれないのです。

 

『本国』からの追及を避けるために、あえて私と接触して囮にするまでのことを、する必要はなかったのです。

 

 

 

「二つ目のお願いは、アンディに話す真実の擦り合わせです」

「君は囮にされたことに、何も思うところはないのかな?」

「ああ、それについて説明しなければなりませんか……」

 

私は溜息を吐きます。

 

「私のこの肉体は、6年前以前のいつかの段階で、一度死んでいるのです」

「知っています。異界の神に願って、『アーウェルンクス』に近い存在として蘇らせたのは私ですから」

 

やはりそうでしたか。

まあ、そんなことをしようと思うのは、アルさんくらいしかいないと思いますけどね。

ここで既に原作と違っているのです。

 

ちなみに覚えておいてください。

6年前以前(・・)です。

どの時期にナギがやられた決戦があったのか、今の私は知りませんからね。

 

「その際、私の魂は本来の持ち主とは別に、異世界から憑依させられたのです。

その異世界というのが、この世界の物語、少し先の未来が漫画となって売られている平行世界なのですよ。

当然、アリカ元女王のことも知っています」

「なんとまあ……」

 

珍しく、本当に驚いている様子でした。

原作でこんな表情は見たことがありませんね。

 

「憑依といいますか、転生する直前に、天使の人に『魔法世界リライト』の術式に不備があり、このままでは地球や魔界まで連鎖崩壊すると言われました。

それを解決するために、私はアンディや皆の強化計画を進めているところなのです」

「……ほう……それは……確かにまずい、ですね……」

 

また珍しく、彼は考え込みます。

 

「もし私の言葉を疑うのでしたら、記憶を見る魔法を使っていただいても構いませんよ。

エヴァさんに信用していただくために、最初に記憶をすべて見せましたし」

「それはまた、思い切ったことをしましたね」

「8割方信用していただけると思っての行動です」

「もし失敗していれば、どうしていましたか?」

「その時は、私1人で本丸に特攻をかけるだけなのです。

しかしそれでは、魔法世界の崩壊という、根本的な原因の解決は難しかったでしょう。

最悪、魔法世界を見捨てる選択をしていたかもしれません」

 

エヴァさんからの信頼を得られるかどうかは、本当に賭けでした。

 

「術式の不備を直すか、『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』を止める手立てに心当たりはあるのですか?」

「そのための強化計画です。

切り札はないこともないのですが、それを使ってしまいますと、世界にどんな歪みが発生するか、見当もつきません。

世界を救うために人類を衰退させてしまうことになりますと、何をしているのかわからなくなってしまいますからね」

 

私の切り札の1つは、現在1万体を数えるようになった妖精さん達を、一斉に世の中に解き放つことです。

世の中から理不尽な死が消え去り、一時的に大発展するでしょう。

しかし、その後はどうにもならない衰退の未来が待っているのみ。

いずれ『人類は衰退しました』の世界観に近付くことになるのです。

 

「それで、アンディや他の皆を成長させて、『完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)』を止めるために戦力を整える必要があるのです。

『本丸』は後で対処しましょう。

時間さえあれば、『本丸』への対処も難しいお話ではありません」

「ふむ……」

 

アルビレオ・イマは考え込みます。

 

「今のところ、アンディは自分の出自に疑問を持ち始めています。

これを利用して、これから擦り合わせる(・・・・・・)真実を教えるために、今アルさんと話し合っておきたいのです」

「……フフフフフフフ」

 

彼は笑いました。

 

私が言ったのは、アンディに今話すべき真実について調整を行い、隠すべきは隠しておこうというものです。

当然、嘘を織り交ぜながら。

適度に悩みを持続し、あの子の精神的な成長を促進させるために調整した偽りの真実を、アルさんから話してもらおうというのです。

当然、本当の真実を織り交ぜながら。

 

自分の出生について真実を知りたがっている子供に、嘘を教えるわけですね。

相手を苦しめ、悩ませるために、いたいけな少年に嘘を信じ込ませるのです。

アンディだけではありません、なかなかハイスペックな3-Aの皆をも、騙し通す必要があります。

 

そのために、何千年と生きる魔道書の精霊アルビレオ・イマと、前世で悪徳政治屋をやっていた私が組むのですよ。

 

「私も相当な悪党だと思っていましたが、どうしてどうして。

あなたもなかなかの悪党のようですね」

「前世の前世は曹操孟徳でしたので」

 

私は悪びれることなく冗談で返しました。

 

 

 

 




本日の成果

麻帆良学園祭準備中(裏)!
アルビレオ・イマと接触、口裏合わせを開始。

以上。

つづく



はい、アンディ=ネギ少年です。
『桜通りの吸血鬼』編で、なぜ一度アンディの血に変える必要があったのか、その答えです。
立ち位置だけでなく、血縁的にもネギ少年そのものです。
『本国』が原作より黒いって設定なので、名前から変えられていました。
ネギ少女は、その妹の死体を元に作られたゴーレムっぽいものです。
存在そのものが悪の側なんですよ。

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