【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
センスのいい台詞を作るのに、滅茶苦茶悩みます。
6/26 説明他、指摘されたことについて追加。
6/27 ×曹操猛徳→○曹操孟徳
「アルさーん!起きてらっしゃいますかー?」
図書館島の深部、
以前に一度来ましたので、魔法罠の類が生きていれば、アルさん、アルビレオ・イマが起きていないことが分かります。
単純に囮の上位精霊に引き付けていただいています。
風精霊なら、翼竜相手に囮をさせるのも難しくありませんしね。
あれが上位竜種でなくて良かったのです。
上位竜種と下位竜種を隔てる壁はただ1つ、『
いわゆる、バインドボイスですね。
竜種の厄介な攻撃行動の1つですが、この世界の上位竜種は、この咆哮に魔力が載るのです。
そうすると、ただの大声に様々な厄介な効果が付与されます。
有名なところでは、障壁が弱いと金縛りに遭ってしまったり、恐怖で戦意喪失してしまったり。
そしてこの世界ではもう1つ、『破魔』の力が付与されるのです。
つまり、私が編む精霊程度なら、ひと吠えでかき消してしまうのですよ。
魔法世界人や妖怪、悪魔が消えるほど強烈なものではないのですけどね。
ともかく。
「魔法罠は眠っているようですね」
私は以前来たところで、罠の不発を確認します。
つまり、アルさんは起きているということなのです。
――“やれやれ、まさかワイバーンの
念話が届きました。
――“君はネギちゃんですか。その魔力は覚えていますよ。
――“
――“何を、でしょうか?”
――“ナギの子供は、
念話の間も、私は発信源に向けて歩いていきます。
――“……それは、エヴァンジェリンが?”
――“自分で辿り着きました。エヴァさんには、最後の確認をお願いしただけです”
しばし沈黙。
その間に相手の位置を特定した私は、アルさん、アルビレオ・イマの居室へ辿り着きました。
長方形に削り出した石を積み上げて作った壁。
私か近付くと、一部が開きます。
その先に、ゆったりとしたローブ姿の青年が立っていました。
原作のような、滝の前に突き出したテラスではなく、六畳一間の狭いリビング。
ただ、来客を迎えるのに適してはいないのでしょう。
物書き台とテーブル、椅子とソファがそれぞれ1つずつしかありません。
「はじめまして。
私はおそらくあなたに作られた、ネギ・スプリングフィールド――
私は自己紹介します。
「私にとってはお久し振り、というところですが……」
アルさんは、あくまで落ち着いていました。
「なぜそこに辿り着いたのか、理由を聞かせていただいても?」
彼の問いに、私は返します。
「1つは、アンディの魔力です。
あれは、最初の魔法使いの娘アマテルの末裔、オスティア王家の魔力でしょう?
そうでなければ、ネカネお姉ちゃんや私に
そうなのです。
それが、私がアンディに近寄るのを避ける理由の1つであり、アンディが私にべったりだった理由です。
6年前に意識がはっきりするまで、私はアンディに逆らうことができなかったのです。
生まれたばかりで右も左も分からないあの子は、私に聞けば何でも教えてくれるし何でも解決してくれるから、私にべったりだったのです。
それも、私が6年前まで、なんでもアンディのお願いを聞いていたからでしょうね。
ネカネお姉ちゃんもまた、そういう存在でした。
彼女の場合は、強制力にやられて、それに気付かないまま自分を納得させて、歪な精神状態のまま私とアンディの両方が仲良くなるように、面倒を見てくれています。
ただ、私はともかくネカネお姉ちゃんは、アンディに何かお願いをされると身を固くすることがあり、自分で気付かない内に拒否反応を出してしまっています。
おそらく、幼い頃からずっと強制力に晒され続け、体が勝手に反応することに疲れ始めているのでしょう。
アンディもそこには気付き始めていまして、それゆえに強制力を振り切ることができる私に、余計にべったりするようになったのです。
ああ、強制力というのはアンディの血筋によるもので、おそらくこの平行世界オリジナルのものです。
ネカネお姉ちゃんが作り物で、アンディに従うようにできていたとか、そういうことはありませんのであしからず。
「――というわけでして、ネカネお姉ちゃんのストレスを除去する方法が知りたいのが1つです」
「なるほど……それは想定していませんでした。
何か対処しなければなりませんね。
直接ウェールズへ行くのが手っ取り早いのですが……」
「外に出て大丈夫なのですか?」
「実体化しなければなんとかなります」
快い返事がいただけて、私もホッとしました。
「もう1つは、状況証拠ですね。
主に6年前の襲撃事件の」
「……やはりありましたか」
アルさんは予想していたという風に呟きます。
「ええ。その際、タカミチが調査に来ました。
しかし、タカミチは滞在した3週間で、事件の痕跡を消して、あの事件をなかったこととして処理したのです。
メルディアナ魔法学院の地下には、今も石化された村人達が保存されているのに……。
『本国』へすら結果を秘密にして、事件をもみ消したのだとしか考えられません」
「タカミチ君の判断は正しかったと思いますよ」
「
「そうかもしれませんね。
まさか4歳の子供がそこまで考えるとは、普通は思いもしないでしょうが」
あのタカミチの行動は、アルさんが黒幕ということではなかったようです。
「タカミチといえば、彼は6年前、アンディに会わなかったのですよ」
「そうなのですか?」
「多分、過剰に意識していたのでしょうね。
外道な手段を使ってまで守り抜こうとしていた子供のことを」
「なるほど……彼もそちらの方面はまだまだのようですね」
僅かな
タカミチは、あの時アンディに会うべきだったのですよ。
『悠久の風』のエースという、高い実力の持ち主による安心感があれば、アンディがその後、私にべったりすることもなかったかもしれないのです。
『本国』からの追及を避けるために、あえて私と接触して囮にするまでのことを、する必要はなかったのです。
「二つ目のお願いは、アンディに話す真実の擦り合わせです」
「君は囮にされたことに、何も思うところはないのかな?」
「ああ、それについて説明しなければなりませんか……」
私は溜息を吐きます。
「私のこの肉体は、6年前以前のいつかの段階で、一度死んでいるのです」
「知っています。異界の神に願って、『アーウェルンクス』に近い存在として蘇らせたのは私ですから」
やはりそうでしたか。
まあ、そんなことをしようと思うのは、アルさんくらいしかいないと思いますけどね。
ここで既に原作と違っているのです。
ちなみに覚えておいてください。
6年前
どの時期にナギがやられた決戦があったのか、今の私は知りませんからね。
「その際、私の魂は本来の持ち主とは別に、異世界から憑依させられたのです。
その異世界というのが、この世界の物語、少し先の未来が漫画となって売られている平行世界なのですよ。
当然、アリカ元女王のことも知っています」
「なんとまあ……」
珍しく、本当に驚いている様子でした。
原作でこんな表情は見たことがありませんね。
「憑依といいますか、転生する直前に、天使の人に『魔法世界リライト』の術式に不備があり、このままでは地球や魔界まで連鎖崩壊すると言われました。
それを解決するために、私はアンディや皆の強化計画を進めているところなのです」
「……ほう……それは……確かにまずい、ですね……」
また珍しく、彼は考え込みます。
「もし私の言葉を疑うのでしたら、記憶を見る魔法を使っていただいても構いませんよ。
エヴァさんに信用していただくために、最初に記憶をすべて見せましたし」
「それはまた、思い切ったことをしましたね」
「8割方信用していただけると思っての行動です」
「もし失敗していれば、どうしていましたか?」
「その時は、私1人で本丸に特攻をかけるだけなのです。
しかしそれでは、魔法世界の崩壊という、根本的な原因の解決は難しかったでしょう。
最悪、魔法世界を見捨てる選択をしていたかもしれません」
エヴァさんからの信頼を得られるかどうかは、本当に賭けでした。
「術式の不備を直すか、『
「そのための強化計画です。
切り札はないこともないのですが、それを使ってしまいますと、世界にどんな歪みが発生するか、見当もつきません。
世界を救うために人類を衰退させてしまうことになりますと、何をしているのかわからなくなってしまいますからね」
私の切り札の1つは、現在1万体を数えるようになった妖精さん達を、一斉に世の中に解き放つことです。
世の中から理不尽な死が消え去り、一時的に大発展するでしょう。
しかし、その後はどうにもならない衰退の未来が待っているのみ。
いずれ『人類は衰退しました』の世界観に近付くことになるのです。
「それで、アンディや他の皆を成長させて、『
『本丸』は後で対処しましょう。
時間さえあれば、『本丸』への対処も難しいお話ではありません」
「ふむ……」
アルビレオ・イマは考え込みます。
「今のところ、アンディは自分の出自に疑問を持ち始めています。
これを利用して、これから
「……フフフフフフフ」
彼は笑いました。
私が言ったのは、アンディに今話すべき真実について調整を行い、隠すべきは隠しておこうというものです。
当然、嘘を織り交ぜながら。
適度に悩みを持続し、あの子の精神的な成長を促進させるために調整した偽りの真実を、アルさんから話してもらおうというのです。
当然、本当の真実を織り交ぜながら。
自分の出生について真実を知りたがっている子供に、嘘を教えるわけですね。
相手を苦しめ、悩ませるために、いたいけな少年に嘘を信じ込ませるのです。
アンディだけではありません、なかなかハイスペックな3-Aの皆をも、騙し通す必要があります。
そのために、何千年と生きる魔道書の精霊アルビレオ・イマと、前世で悪徳政治屋をやっていた私が組むのですよ。
「私も相当な悪党だと思っていましたが、どうしてどうして。
あなたもなかなかの悪党のようですね」
「前世の前世は曹操孟徳でしたので」
私は悪びれることなく冗談で返しました。
本日の成果
麻帆良学園祭準備中(裏)!
アルビレオ・イマと接触、口裏合わせを開始。
以上。
つづく
はい、アンディ=ネギ少年です。
『桜通りの吸血鬼』編で、なぜ一度アンディの血に変える必要があったのか、その答えです。
立ち位置だけでなく、血縁的にもネギ少年そのものです。
『本国』が原作より黒いって設定なので、名前から変えられていました。
ネギ少女は、その妹の死体を元に作られたゴーレムっぽいものです。
存在そのものが悪の側なんですよ。