【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
畑のヒマワリが無事根付いたようです。
お化け屋敷は、原作より1日早く完成しました。
そこで何度かリハーサルが行われたのですが……。
「鳴滝の双子さん、どうして身を寄せ合って震えているのですか?」
いつもは元気な悪戯小学生双子が、揃ってコースの1つを指差しました。
3-Aのお化け屋敷には、コースが3つありまして。
1、あんまり怖くない、可愛いコース。
2、ちょっと怖くて、ちょっと可愛いコース。
3、気絶者を出すことに挑戦したコース。
――と、なっております。
鳴滝姉妹が指差したのは、もちろん3番目。
一番怖いコースです。
それはそうでしょう。
監修したのがこの私なのですから。
気絶者を出すことに挑戦したというのは、伊達ではありません。
薄暗い通路に
生徒による演技をそういうもので盛り上げる工夫をしてみたのです。
もちろん、学園祭中ずっとというわけにはいきませんが、相坂さん本人にも出演していただきます。
リハーサル時点では相坂さんが出演していましたので、判っていても鳴滝姉妹には刺激が強過ぎたのでしょう。
「ネギー!ネギー!たたたた、助けて、今、中でみんなが、みんながー!」
「ちょっ、落ち着――どこ触って――ひゃぁっ!?」
一番怖いのを体験したアンディに、私は出口で押し倒されました。
一応、お客さんの反応を見て、やり過ぎていればもう少しマイルドにするつもりでした。
クラスメイトからもトラウマ級だと言われましたので。
それでお客さんを待っていたら、身体強化で加速したアンディのタックルをまともに受けてしまったのです。
必死の形相の女の子に
単に、中の子が『本物が出た』と言って、お客さんに縋り付き、
ああ、背景を消して鏡に直接プリントしたのがまずかったでしょうか?
確かに額縁に飾られた鏡に幽霊が映っているようにしか見えません。
これに相坂さん本人が加われば、気絶は確実でしょう。
「何やってんのよ!このエロガキ~!」
「うひぃぃぃん!」
アンディは明日菜さんに頭を殴られました。
死ねばいいのに。
私のちっぱいを触った罪は万死に値します。
「あ、そうだ、ネギ」
「まだ揉み足りないというのですか、エロアンディ」
「ち、違うよ!」
頭にタンコブを作ったアンディが私に声をかけてきました。
「
と言って、彼は懐中時計を見せます。
例のアレですね。
私も何度か見せてもらったことがあります。
ただ残念ながら、私では起動できませんでした。
単に、世界樹の魔力がなければ動かないという、それだけの話ですが。
それにしても、普通に適当な理由を付けて、アンディに時計を渡すのですね。
原作『ネギま!』では、助けてもらったお礼ということになっていましたが。
「いつの間に超さんのハートを奪っていたというのでしょうか、この天然ジゴロめ」
「だ、だから違うって!」
「冗談ですよ」
涙目になっているアンディをからかうのも楽しいですが、あまりそればかりでは話が進みませんので、この辺にしておきましょう。
まだ胸を触られた仕返しは済んでいませんが。
「それで、その懐中時計がどうかしたのですか」
「ああ、ネギ様、ちょっとよく分からねえんですよ。
超科学の産物らしいんですが、マジックアイテムにも見えますし、使い方も……」
「確か、ネギって
それで、何か聞いてないかなって思ったんだ」
なるほど。
子供にしては賢いアンディならでは、と言ったところでしょうか。
「残念ながら、詳しいお話は聞いていません。
私が彼女らと親しくしているのも、『
超さんや葉加瀬さんのレベルの科学は、私ではわかりません」
私はロボット工学どころか高校レベルの物理から分かりません。
魔法なら6年間ずっと研究していましたし、エヴァさんからも教わっていますし、学者にも負けないほどの知識を蓄えているのですが……。
「そ、そっか……」
アンディは肩を落とし、そして周囲をチラチラと見回します。
そして溜息。
ここは3-Aの教室の前で、人目が多いですからね。
「ネギ、これとは別に、後で話があるんだけど……」
後で会う約束ということで、切り替えたようです。
「んー、そうですねえ。
では、格闘大会の後ということでどうです?」
「か、格闘大会?」
「ええそうです。出場するのでしょう?」
「う、うん」
アンディは素直に頷きました。
「場所は図書館島の地下。
以前アンディ達が『魔法の本』を求めて落ちた地底湖の入口で」
「えっ?なんでネギがそのことを……?」
「学園長先生から聞きました」
そのことで裏からサポートを頼まれたのですし。
断りましたけれども。
着替えのない状態での全裸フラグは勘弁願いたいのです。
「それでは、私はこれから『
一応、既に何人か気絶者が出ていまして、お客さんに縋りつく演技は中止しています。
それでも、出てきた人はガタガタ震えて、茫然自失状態でしたが。
見えてはいけないものが色々見える風に仕上げたのが、やり過ぎだったということでしょうか?
とりあえず看板に『トラウマ級』という注意書きを入れておいて、我こそはという人に挑んでいただく方向にして、初日は様子を見ましょう。
私はしばらく、宣言通り『
一応、屋台の手伝いが世界樹パトロールの一環になるようにもしてはいます。
簡単に説明しますと、噂で人を誘導し、各魔力溜まりから外れた位置に置いている、お料理研究会の屋台近辺に人を集めているのです。
全部は無理でしょうけれど、何割かは噂に流されて屋台近辺に集まってきて、そこで告白しています。
私が仕掛けた誤認結界の効果もあるでしょうけどね。
ただ計算外だったのは、カフェテラスが桃色の空気に包まれていることでしょうか。
その空気に当てられて、ウェイトレスをやっている茶々丸さんや古菲さん、超さんにセクハラを働こうという不届き者が出てきたりしまして、少々難儀なことになったのです。
「私達の屋台だけに集めなくて良かったですね」
「うぅー、ごめんなさい、もうやりません……」
私が一度給仕を買って出た時は、そこかしこから手が伸びてきてトラウマになりそうでした。
自業自得なのですけれども。
ああ、現在は料理を作る方に手が回らなくなりつつありまして、私と超さんが
なんとか葉加瀬さんから、茶々丸さんの妹さん達を借りて給仕をしていただいているというところですね。
お昼のラッシュが終わりましたら、誤認結界の方は外してしまいましょうか。
これでは身動きが取れません。
午後。
私はきぐるみに着替え、世界樹パトロールに出ました。
いわゆる危険地帯での告白阻止の任務ですね。
私が独断で仕掛けた誤認結界を解除しましたので、告白やキスをしようというカップルがそこかしこにいます。
「げっ、ネギちゃん……!」
しばらく見回っていますと、
一番背の高い、色黒の美人さんがシャークティさん。
麻帆良学園に所属する魔法先生の1人。
キリスト教の一派、
具体的には、発動体にもなる十字架を操って魔法の補助とする、
ありていに言えば、ファンネル使いといったところでしょうか。
接近しては十字架による隙間のない攻撃があり、距離を取れば十字架の補助による強力な大魔法が使えるという、苦手な距離のない手練です。
弱点は、高速戦闘が苦手ということでしょう。
つまり、実力が一定より上がってくると、砲台としてしか役に立たないということですね。
オールマイティなキャラの、典型的な弱点と言えます。
ちなみに、シャークティさんにつきましては大体オリジナル設定です。
十字架が武器っぽいこと以外は、原作では出てきませんからね。
その次に、3-Aクラスメイトの春日美空さん。
陸上部でもあり、簡単な魔法なら大体使えますが、特筆すべきは逃げ足と悪戯魔法です。
やはりプロテスタント系の術式ですが、一般的な実用魔法に比べて、対個人用幻術などの、簡単で悪戯に利用できる魔法の習熟度が半端ではありません。
最後の、色黒半眼なおチビさんは、ココネ・ファティマ・ローザさんです。
原作では、借り物の肉体で旧世界へ来ている、魔法世界人ということでしたが。
特技としまして、テレパシーのような能力を持っているそうです。
思念感知能力が非常に高いということですね。
これは以前、魔法生徒としての試験の際に聞きました。
「あら、逃げ足の人ではありませんか」
「ちょっ!どんな覚え方して――へぶっ!?」
私のセリフにツッコミを入れた美空さんが、シャークティさんに頭を叩かれます。
「静かにしなさい。あなたも煽らないように。
パトロール中だということを忘れてはいけませんよ?」
「は、はい、シスターシャークティ……」
「そうですね。今は告白阻止の方に力を注ぎましょう」
私はしれっと話題をパトロールに戻しました。
「それでは、私は反対側を見回ってきます」
「ネギさん。今反対側に弐集院先生がいます。
もし手に余るようでしたら、先生の力を借りると良いでしょう」
「わかりました、ありがとうございます」
ニッコリ笑顔でお礼を述べて、その場を去ります。
「中身ときぐるみが噛み合ってない……」
美空さんの呟きは聞かなかったことにしました。
私だって気にしているのです。
本日の成果
麻帆良学園祭開始!
お化け屋敷恐怖度調整。
アンディに真実(偽)を伝えるフラグを建てた。
告白阻止パトロール中!
以上。
つづく
学園祭中は大体きぐるみで活動します。