【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
うちではレタス代わりに紫蘇で肉を巻いて食べます。
畑が紫蘇に侵食されつつありまして。
「どうして油断などしたのです?」
「わ、私は……」
「言い訳無用。
影使いとして、上位の技『黒衣の夜想曲』が使えることは、大停電の時から知っています。
どうとでも誤魔化せる少人数の前で、使うのを躊躇いましたか?
あれを使っていれば、少なくとも一瞬でやられるなどということはなかったかもしれません。
私が酷い目に遭うこともなかったかもしれません」
「むぅっ……!」
実際に最大の被害者に言われると、精神的にクるものがあるのでしょう。
「あなたの妹分の佐倉さんは、ちゃんと初撃を避けていましたよ?
彼女より上の実力だというのでしたら、あなたも避けられたはずなのです」
「うぅ……」
私はさらに畳みかけます。
「正義を標榜するのは結構です。
若い内は恥を掻き捨てればいいでしょう。
それを否定するつもりはありません。
しかし、自分の自滅に他人を巻き込むのは、正義でもなんでもありません。
『あの場にいない方が良かった』などと言われないように、きっちりと反省して、これからの精進に臨んでください。
私からは以上です」
「はい……」
高音さんはすっかり意気消沈していました。
どうしてこう、高音さんのような生真面目な正義馬鹿を見ると、いじめたくなるのでしょうかねぇ?
気の強そうな人であればあるほど、しょんぼりしている姿に高揚が走ります。
悪ぶったハーレム系男オリ主が、正義馬鹿イジメにハマる気持ちが分かる気がするのです。
彼らも、こうやって言葉の限りを尽くしてイジメ倒しながら、相手の人生も考慮せずに叩き潰すことにカタルシスを覚えていたのでしょう。
作者、カタルシスの意味があまりちゃんと分かっていませんけどね。
なんでも横文字にすればいいというものではないのです。
「すみません、遅れてしまいまして」
私は説教の余韻も冷めやらぬ内に、『
すると、さっき
こっちもデェトにしか見えないのは、言わないお約束なのです。
とはいえ、原作ではこの時の食事は『
洋菓子の補充作業中にチラチラと横目で見ていたのですが、
恋愛に関しましては、特に手を出さずとも順調に進んでいくみたいですね。
計画に恋愛は入れていませんけれども。
「そろそろヨ、ネギ娘」
そうしている内に、超さんのお迎えが来ました。
「あ、はい、行きます。
「お願いされました。大丈夫ですよ」
ああ、やはり五月さんは良いですね。
癒されるのです。
麻帆良武道会。
20年前に、おそらく魔法世界の大分裂戦争の影響で開催されなくなっていた、麻帆良学園祭最大の格闘大会です。
この大会が消えて以降、麻帆良祭には小さな格闘大会が乱立するようになりました。
しかし、参加者以外にあまり格闘技に興味のある人はおらず。
話題を集めるほど大規模な大会にできるような、財力のある人もおらず。
結局、小規模な格闘大会は小規模なまま、ずるずると今年まで続いてきたのです。
そんな乱立した格闘大会を買収して統合したのが、
『
優勝賞金は1千万!
事前に流しておいたよくない噂と共に、彼女は裏表問わず、広く参加者を集めたのでした。
超さんがド派手な異能バトルをということでしたので、私も参加します。
呪文詠唱は禁止ですが、私は無詠唱でも中位精霊くらいは召喚できるのです。
「あっ、ネギも参加するんだ?」
「ええ、優勝は無理でも、やれるところまでやってみようかと」
さっき『
確か、4周目でしたっけ。
「なんや、優勝は無理て、出るんやったら優勝狙わないかんやろ」
「私が砲台型ということを忘れましたかー?
この闘技場では距離が近すぎるのですよー」
小太郎君には反論しておきました。
「あ、そっか、『烏天狗』とか『雲の巨人』がないと、辛いもんね」
「そういうことです」
私がエヴァさんから習っている体術は、主に相手の攻撃を
中国拳法で言えば、化勁といったところでしょうか。
そういう、距離を取るための技術が主なので、攻撃に関する決定打がないのです。
無詠唱オンリーなどという特殊な条件下でもなければ、それで十分なのですけれどね。
「まあ、ただで負けるの癪ですし、油断していると見れば、遠慮なくやらせていただきますよー?」
「うわぁ、どうしよう、勝てる自信なくなってきたんだけど……」
「確かにネギは強敵やな……」
「お前ら、情けないぞ」
「あ、エヴァさん」
学園祭を回っていたエヴァさんが合流しました。
不格好ながらヨチヨチ歩きのチャチャゼロさんも一緒です。
チャチャゼロさんはエヴァさんが最初に作った人形で、小さい体躯ながらも刃物を扱わせればピカイチなのです。
何気に魚の生け作りなんかもできるんですよ。
最初に作られ、何度も人間を殺させていたおかげで、妖怪化して自我を持っていますし。
経験も豊富で、エヴァさんからの魔力がなければ動くこともままならないという欠点がなければ、私達の中でもかなり上位に位置する使い手なのです。
なにぶん、古い時代の技術で作られた人形ですので、どう足掻いても表情が動かないのが、辻斬り的な言動に加えて恐いのですけどね。
「ネギも、私ほどではないにせよ、大きなハンデを背負っている。
接近戦用と言ってもいいこの大会のルールでは、ほとんど力を出せん。
この条件で負ければ、それは貴様らの油断でしかない。忘れるなよ?」
「は、はい」「お、おう」
2人とも、エヴァさんに威圧されて小さくなっています。
「ああ、そうそう、アンディ」
「えっ?」
「もし優勝しましたら、例の地底図書室で、本当のことをすべて話してあげましょう」
「――」
アンディは目を丸くして息を呑みました。
「ただし、優勝出来なければアンディの疑問に1つしか答えません。いいですか?」
「う、うん。わかったよ」
彼は少しうろたえながらも、頷きます。
――“そんな約束して大丈夫か?”
――“アルさんが来ますし、万一ということはあり得ません”
――“達成不可能と知って条件を出したのか。外道だな”
――“お褒めに与り光栄です。魔王様”
そんな念話でのやり取りがあったのを露ほども知らず、少年達は盛り上がっていました。
「よーし、やるぞー!」
「お、おう、なんや知らんけど、やる気になったんやったらええわ!」
その後、大体予定通り、
さて。
ルールは呪文詠唱と銃火器、刃物の使用禁止です。
ここは原作通りですね。
一応、私もあからさまな魔法は縛っていきます。
なので、精霊召喚の中でも使えるのはかなり限定されますね。
私としましては物凄いハンデです。
予選は各ブロックで2人勝ち抜けのバトルロイヤル。
私は誰とも一緒になりませんでした。
なので、強そうなのが残るまで、とにかく逃げ回ります。
というかぶっちゃけ、ガン逃げに回れば私を捕まえられる人はそうはいません。
意を消して、流れ弾を避けて歩き回っているだけでいいですからね。
さすがに長瀬さんや刹那さんには通じませんが、素人に毛が生えた程度である明日菜さんには割と通じます。
ま、要するに『本物』には通じないということですね。
「アレッ、まだ3人残ってんのか?」
「慶ちゃん、あの子だ!」
最後に残った2人は知り合いのようです。
顔や服装の特徴からしますと、大豪院ポチさんと山下慶一さんでしょうか。
絵柄的にイケメンは覚えにくいですが、変な顔の人は覚えやすくていいのです。
特に大豪院ポチさんは、その名前も相まって覚えやすいですね。
「どこかで紛れ込んだのかな?
とりあえず、あの子を場外に出して終わりにしよう」
油断して近付いてくる
真摯なのはいいのですけれども。
油断はいただけません。
この辺はやはり格闘家、と言ったところでしょうかね。
平時における心構えがまったくなっていないことがあるのです。
全員がそうとは言いませんが。
さて。
とりあえずは油断の代償を支払わせておきましょう。
『風花、風塵乱舞』。
無詠唱で使用できる魔法の内、殺傷力が低くて安全な部類の魔法です。
それを接触状態で放てばどうなるか。
この手の属性魔法というのは、魔力によって『風』という物質を作り出して使役する魔法なのです。
ゆえに、一点から大量に『風』を作り出すことも可能。
「え――?」
完全に油断していた
「ええええええええっ!?慶ちゃーん!?」
大豪院ポチさんが、予想だにしていなかった友人の脱落に頭を抱えて唖然としています。
『おおっと、何が起きたー!?
初っ端A
司会、実況は朝倉和美さん。
さすがの演技です。
彼女、この辺のことは大体知ってますからね。
大雑把に誤魔化すのは彼女の役目なのです。
本日の10割
麻帆良学園祭開催中!
麻帆良武道会エントリー、予選――山下慶一、吹き飛ばしによるリングアウト。
以上。
つづく
錬金術的な魔法システムは、原作コミックの話間に説明がありました。