【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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050 たまには負け戦にも挑みます

麻帆良武闘大会の本戦1回戦全試合が終了し、20分間の休憩となります。

 

「次、いよいよですね」

 

私はアルさんに声をかけました。

 

「フフフ、現時点での見せ技(・・・)がどの程度なのか、楽しみにしていますよ」

「まあ、呪文詠唱ができない時点で、それも半分なのですけれどもねー」

「おっと、そうでしたね」

「うふふ、ですが、ただでは負けませんよー」

「それは楽しみです」

 

お互いに次の試合を楽しむことを確認します。

 

私にとってこの大会、優勝することにそこまでの意味はありません。

条件が厳し過ぎますからね。

仲間達の試練を用意するのに都合がいいという、それだけのお話なのです。

 

「お前ら、仲いいな」

「おや、嫉妬ですか?」

「誰が貴様らになど嫉妬するんだ。割とマジで」

「だ、そうですよ、アル(クウネル)さん。

日頃の行いを見直してみてはいかがでしょう?」

「おやおや、フフフ」

 

私は自分のことを棚に上げます。

中々楽しいですね。

 

「例の地底図書室の件、私は行かなくていいのか?」

 

エヴァさんが聞いてきました。

 

「当事者に説明していただくのが一番と考えました」

「彼女、中々の大物ですね」

「そうだな。それには同意する」

「なんだか不愉快なところで同意があった模様です」

 

冗談は置いておきまして。

 

「私が説明するよりは、説得力があるでしょう?」

「自覚していたのか」

「爵位持ちの悪魔をお人好しと評する程度には、私も悪人ですからねー」

「おやおや、実際に悪魔に遭ったかのような物言いですね」

「実際に爵位持ちの悪魔が、部屋の隅で体育座りして泣いていたのは、私も見たことがある」

「おやまあ……」

 

アルさんが絶句していました。

 

「平時には極悪人、乱世には英雄というタイプだ。

神とやらも、なかなか良い人選をしたものだ」

「その話も聞きましたが、驚きましたよ。

私は本当にアンディ君の影武者にしておくつもりでしたからね」

「それをアンディ坊や本人に気付かれているようでは、詰めが甘いと言わざるを得んな」

 

エヴァさんも手厳しいですね。

そのミスのおかげで、今のこの状況があるわけですが。

まあ、私も狙わせる相手を間違えるというミスをしたことに変わりはないわけで。

 

アンディはなぜヘルマンさんが自分を狙ったのか、そこを疑問に思っています。

それを武闘大会終了後に教えてあげるのが、麻帆良学園祭最大のイベントとなるわけですね。

それが吉と出るか凶と出るか。

それは待ってのお楽しみ、なのです。

 

心配?

していませんよ。

そのために(嘘の)準備をしてきたのです。

 

さて。

いよいよ、私VSアルさんです。

現時点における全力を、他の皆に見せる時です。

 

 

 

『長らくお待たせしました。

それではこれより麻帆良武闘大会本戦トーナメント、第2回戦を開始いたします!』

 

朝倉さんのアナウンスが客席に響きます。

 

『まずは2回戦第9試合。

西側、我らがアイドル、麻帆良学園中等部3年生、飛び級の天才外道幼女。

ネギ・スプリングフィールド選手、入場です!』

 

中々面白い紹介をしますね。

私はビジネススマイルを振り撒きながら、15メートル四方の闘技場に入ります。

特に怒る要素はありませんよ。

すべて事実です。

まあ、事実でなかろうと、それはそれでいいのですけれども。

 

『続きまして東側、ふざけた名前ながら1回戦で見せた実力は本物!

謎のフード男、クウネル・サンダース選手、にゅうじょ――おわぁっ!?』

 

突如背後から現れたアルさんに、朝倉さんと背後霊(さよ)さんが驚いていました。

 

『いずれも1回戦、相手を圧倒しての勝利です!

この2人がぶつかって、果たして結果はどうなるのか!?

それでは第9試合~、Fight(ファイト)!』

 

 

 

開幕。

アルさんの重力魔法が炸裂しました。

1人の少女がべしゃりと潰れます。

しかし、彼は浮かない表情。

 

「ム――!」

「――まずはご挨拶」

 

私は彼の背後(・・)から声をかけます。

 

そして、無詠唱の『光の矢』を1本、拳に載せて叩き込みました。

逆側の手で障壁破壊をしかけましたので、無防備なところに強烈な一撃を入れることができます。

普通程度の魔法使いならこれでKOです。

 

もちろん潰れたのは、私に似せた姿の中位精霊です。

観客は、アルさんが明後日の方向に攻撃を仕掛けたように見えたでしょう。

非常にシュールな光景だったに違いありません。

彼は手応えの違いから、気付いた様子でしたけれども。

 

試合の開始が勝負の開始ではないのです。

特に自分より遥か上の実力者が相手なら、相手の想像の上を行かなければ、勝負にすらなりません。

 

フード男(アル)さんは派手に吹き飛びますが、私は構わずに次の準備を始めます。

床に置いておいたバケツを引っ繰り返しますと、無数のカエルがピョコピョコ。

すべて、試合前に召喚しておいた下位精霊です。

 

それらは無秩序に飛び跳ねているように見せながら、闘技場一杯に一般人にはわからない魔法円を描き始めます。

効果は当然、分身体の解除。

 

今のアルさんは魔法による分身体ですから、魔法を解除すれば当然、消えてしまいます。

 

「ほほう、これはさすがに看過できませんねぇ」

 

何事もなく舞台に戻ってきたアルさんが呟きました。

さすがにわかったようですね。

この大きくて複雑な魔法円は、長ったらしい詠唱を全カットするための補助です。

完成すれば、私は無詠唱で分身体を消去できるのです。

 

「出来るだけ短縮はしましたが、完成まで5分かかります。

それまで精一杯邪魔させていただきますよ」

 

私は宣言し、牽制の『雷の矢』を放ちました。

 

「素晴らしい」

 

アルさんは楽しげに、『魔法の矢』を片手で弾きます。

その一瞬に隙があるとは思えませんが、瞬動で接近しました。

 

四つん這い瞬動で、方向転換の際に反対側に中位精霊を飛ばし、鏡のように同じ動作をさせて、両側から攻撃を仕掛けます。

最初と同じ、障壁破壊と『魔法の矢』を載せたパンチの連撃。

 

ま、見切られますよね。

 

「こちらで――!?」

 

――と、見せかけての、アルさんからの反撃の掌底を取っての投げ。

完全に投げるまではできませんが、上体が崩れれば上等です。

打撃は届きませんが、無詠唱の魔法の矢を2発叩き込みました。

両方とも防がれましたが。

 

「虚と見せて実、実と見せて虚。

駆け引きの基本です。

私は元政治屋ですよー?」

「これは恐れ入りました。

さすがはエヴァが鍛えただけはありますね」

 

私は無詠唱では決定打が足りず、時間稼ぎしかできません。

なら、その時間稼ぎで決定打に足る状況を作ってやればいいのです。

 

魔法円を描くのなら、256匹召喚した下位精霊のカエルで十分。

後は、私が時間稼ぎできるかどうか。

絶えず攻撃を仕掛けつつも、相手からの決定打を食らう隙を晒さない。

私に求められるのはその辺の、おそらくはギリギリのバランス感覚です。

小太郎君は無理に攻めたことで、手痛い反撃(カウンター)をもらいましたからね。

 

「それでは、先に下位精霊の一掃から行いましょうか。

消されるのは嫌ですのでね」

「隙ありー、です」

「――と、見せかけて攻撃す――!」

「改めて――隙ありです」

 

私が行ったのは、リスクの高い方法です。

 

相手がわざと隙を晒して攻撃を誘ったのに合わせて飛び込み、一歩手前で止まって中位精霊の囮を先行させたのです。

これによってアルさんの攻撃を誘発させ、囮が吹き飛ばされた際に見せた隙に『魔法の矢』を3本叩き込みました。

 

どうして

このような真似が出来るのか。

簡単なことで、私はあらかじめ中位精霊を召喚し、それに重なって動いていたのです。

『魔法の矢』も体で隠すように展開していますから、その背後に停止していればアルさんの攻撃で中位精霊が消えた後、すぐに攻撃できるという仕組みです。

 

「『魔法の矢』を3本とも障壁破壊に特化させるとは、中々やりますね」

「単に威力を追求するより効果的でしょう?アルさん」

 

『魔法の矢』も一種の精霊使役ですからね。

威力を落とせば障壁破壊や結界破壊に特化させることができるのは道理です。

この世界には、実際にそういう種類の『魔法の矢』があるのですよ。

原作に出ていませんから、当然独自設定(オリジナル)ですが。

 

ただ、障壁破壊に特化させると、威力が死ぬと同時に展開が1本当たりかなり遅くなってしまいますので、最大でも3本が限界です。

 

ちなみに、なぜそうまでして障壁破壊を優先しているかと言いますと。

アルさんはどこまで行っても魔法使いですので、常に魔法障壁を展開しているのです。

それはもう、物凄い魔法障壁です。

それを剥がさなければ、まともにダメージも与えられないくらいなのです。

フェイト並みと言っても過言ではありません。

 

逆に言いますと、その魔法障壁を全部剥がされますと、後は接触して魔法解除を叩き込むだけの非常に脆い存在になり下がってしまいます。

つまり、障壁を1枚剥がすたびに、アルさんはもう一度障壁を貼り直さなければならないわけですね。

そのたびに、攻撃の手が止まるわけです。

それによって時間稼ぎができるというわけですよ。

 

薄氷の上を行くような細い勝機ですが、今の私にとってはそれが唯一です。

しかし。

 

「これは困りました、こちらも大技で攻めるしかありませんね」

 

一切合財を破壊する、全範囲攻撃。

それが私の戦術を崩す唯一の方法です。

それをされてしまいますと、私は舞台の外へ逃げなくてはなりませんし、魔法円を描いているカエル達も所詮は下位精霊、魔法攻撃を受けると為す術もなく消滅してしまいます。

 

「それが唯一の懸念だったのです」

 

私はにやりと笑います。

それへの対策があると見せることで、彼の大技を誘います。

これが私にとっての最大の賭けでした。

 

地力に任せてゴリ押しされると、私にはどうしようもなかったのです。

 

「よろしい。それでは、行きますよ」

 

アルさんが大技の構えを取りました。

ほぼノータイムで空に無数の重力魔法が展開される予兆を感じます。

この規模の大技がノータイムで出てくるとは、凄まじいの一言ですね。

 

その瞬間、私は瞬動で彼の懐に飛び込みました。

技後硬直。

それを待っていたのです。

 

「――!?」

「“抑制『スーパーエゴ』”」

 

 

 

一体、誰がアルさんの魔法を問答無用で解除できる高等魔法を、無詠唱で使用できるだなどと言ったのですか?

 

無理ですよ。

できません。

少なくとも私には(・・・・・・・・)不可能です(・・・・・)

なまじ、色々な手合いを経験しているだけに、アルさんは私にもそれが出来るのだと勘違いしたのです。

先にも言った通り、私は無詠唱魔法が苦手なのですから。

無詠唱で儀式魔法だなんて真似が、出来るわけがありません。

 

最初から私は、カエルの形の(・・・・・・)魔法の矢(・・・・)』を展開していたのです。

 

魔法の矢も、精霊使役の一種ですからね。

無理をすれば、あんな形で無数に展開しておくことも、不可能ではないのです。

当然、呪符などによる補助は必要ですけれども。

 

256

本もの、現段階の呪文詠唱あり(・・・・・・)での私の最大数が一気に集束し、アルさんの胸に接触している私の右腕を通して、彼の分身体に叩き込まれました。

接触状態では、障壁が十全な力を発揮しません。

ほぼそのままの威力が叩き込まれることになります。

 

そして同時に、既に発動していた重力魔法が、私を圧し潰しました。

 

 

 

 




本日の10割

麻帆良学園祭開催中!
麻帆良武道会第2回戦第9試合――全体重力魔法によりネギ敗北。
予定通りの敗北。

以上。

つづく



魔法生徒だから一度だけは許される、ド派手な反則です。
まあ、勝てないんですが。

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