【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
7/11 アルビレオ・イマの台詞回りを修正。
麻帆良武道会終了後、例によって優勝者のアルさんは空間転移で逃げました。
なので、報道陣がこちらに詰めかけ、大変だったのですが……。
まあ、私達も逃げましたよ。
『
そろそろお昼時ですので、手伝いに入りたいのですが……。
『ちょっときぐるみ着てくるヨ』
と、超さんから
それでなくても、大盛況ですね。
そこかしこで『外道幼女』という言葉が飛び交っています。
言うまでもなく私のことでしょう。
あと、私とアンディの兄弟説などというのも飛び交っていました。
両方とも赤髪でイギリス人ですから、日本人には見分けがつかないのかもしれません。
私はアンディとはあんまり似てないのです。
美人だとはよく言われますが。
お昼過ぎになりましても、なかなかお客さんが減りません。
そろそろ、洋菓子の在庫もやばいのです。
作り増ししなければならないかもしれません。
『童話の地』が他人に知られるリスクは、可能な限り抑えておきたいのですけれど……。
あ。
ナギが姿を見せました。
いえ、あれは年齢詐称薬、見た目の年齢を変化させる幻術が込められた薬で成長した姿になった
どちらかというと影の薄い灰色髪のクラスメイト、和泉亜子さんと一緒です。
ああ、
割と良い雰囲気なだけに、結末が確定してしまっているのが不憫です。
ま、私が害を受けるわけではありませんので、別にいいのですけれども。
そうこうしている内に、ついに洋菓子の在庫がレッドゾーンに突入しました。
仕方がありません、倉庫に入って作り増ししましょう。
私も『
私は元悪徳政治屋ですが、それゆえに信用というものの大切さは誰よりもよく知っているのです。
お金がなくても、信用があれば人は食っていけるのですよ。
中々時間がかかりました。
作り増しもそうですが、客足が中々引かなかったのです。
やはり麻帆良武道会で私が色々と派手にやったのが響いているのでしょうか?
ある程度盛り上げる必要がありましたから、派手になるのは仕方がなかったのですけれどね。
とりあえず、明日、最終日の分も作り置きできました。
ようやく客足も引いてきましたし、さっきから待っているタカミチと大人アンディのところへ行きましょうか。
「少々お待たせしてしまったようですね」
きぐるみ姿の私が声をかけると、2人ともちょっとびっくりしていました。
「あ、告白対策……」
「ああ」
「それもあるのですけれど、なぜか私がいると、異常なほど客足が伸びるようなのです。
武道会で結構、派手にやりましたしね」
「ボクも大変だったよ」
アンディも苦笑しています。
「それでは、行こうか」
「ええ」「うん」
というわけで、移動です。
地底図書室への階段。
私とアンディはそれぞれ箒と杖で、タカミチは素のままで降りていきます。
「まさかネギもここに来たことがあったなんて……」
「魔法生徒として一人前になる試験がありましてね」
私は学園長に申しつけられた試験について話しました。
アンディの手伝いを断ったことから、3学期の期末試験が終わってすぐに、春日美空さんと一緒に5日ほどかけて、魔法なしで往復したこと。
途中でエヴァさんが幻術を仕掛けてきたことも。
「そういえば、ネギちゃんはエヴァと仲が良いんだってね?」
「ええ、懇意にさせていただいております」
タカミチからの質問にも、よどみなく答えます。
「高畑先生って、
アンディが聞きます。
「エヴァが15年間中学生をやっていたのは聞いたかい?」
「あ、はい」
「つまり、10年前のクラスメイトなのさ」
「えーっ!?」
「着きますよー?」
私達3人は、地底図書室に辿り着きました。
そこに、1人の男性が、いえ、隠す必要はありませんね。
クウネル・サンダースこと、アルビレオ・イマが待っていたのです。
「それでは、アンディの疑問に答えます」
私は宣言しました。
「アンディの疑問は、まず1つは、なぜヘルマン伯爵がアンディを狙ったのか」
アンディは黙って頷きました。
「それは、僕が英雄ナギの息子だから……だよね?」
「はい」
私は頷きます。
「それじゃあ、ネギは一体何者なの?」
「それを、彼に答えていただきましょう。
10年前の事件の、当事者です」
「10年前?」
アンディは首を傾げました。
「ええ」
アルさんは微笑を浮かべつつ頷きます。
10年前。
アンディは生まれて間もなく、ナギの故郷の友人、ココロウァ夫妻に預けられました。
隠蔽工作も行われ、アンディはココロウァ夫妻の1人息子として生まれたことになったのです。
その1年後、私は生まれました。
ナギの、2人目の子供です。
しかしそのすぐ後にイスタンブールで『敵』の奇襲に遭い、ナギは母と共に行方不明。
イスタンブールで生まれた私を預かったタカミチは、辛うじてナギの実家のスプリングフィールド家に私を託しました。
私はネギと名付けられて育てられ、隣に住んでいたアンディと、兄妹のように仲良く?育ったのです。
本当に血の繋がった兄妹なので、当然といえば当然なわけですね。
そして6年前。
襲撃事件の際、ナギは私を助けるために、私の前に姿を現し、無数の悪魔の軍勢をたった1人で討ち滅ぼしていったのです。
その事実を知っていたのは、村の中ではスタンお爺さんだけでした。
故郷の村そのものも、情報操作で存在しないことになっていましたからね。
ナギの故郷も、『本国』の情報操作で別の町ということになっているのです。
「そして」
タカミチは言います。
「今、ネギちゃんは、魔法世界では死んだことになっている。
これ以上の攻撃をかわすための、情報操作が行われたのさ」
「そうだったんだ……」
アンディは納得したようでした。
「お兄ちゃんの割に、今も妹にべったりですけれどね」
「うっ……」
「まあ、ヘルマン伯爵がアンディ君を狙ったというのは、確認のためでしょうね」
これはアルさん。
私と口調が被っていてわかり辛いですが。
「確認?」
「最も近しい者を襲撃することで、ネギちゃんを誘い出そうとしたのさ」
「あっ、じゃああの時……!」
ヘルマンさんの襲撃時、私も皆と一緒に捕まっていたのです。
「あれは身代わり人形ですよ。ヘルマン伯爵も気付いていました。
アンディを焚きつけるために、あえて人形に戻さなかったのでしょう」
もちろん嘘です。
神鳴流剣士の目を誤魔化せる身代わり人形なんて、存在しません。
ヘルマンさんが私の下で動いていたからこそ通じる嘘ですね。
「とにかく、『敵』をこのまま放置しておくこともできませんし、行方不明となった父を探しに行きたいという想いもあります。
アンディ兄さんには、少なくとも
「うん、わかったよ!一緒に父さんを探そう、ネギ!」
「はい、それではまずは、目の前の問題から片付けましょう」
「あうぅぅっ!」
一片の疑いも抱いていない様子です。
タカミチ、視線を逸らさないでください。
そういうところがまだまだ甘いというのです。
で。
私達3人はアルさんに見送られながら、地底図書室から出ました。
そこでそれぞれ分かれて、私とタカミチは地底にとんぼ返りです。
「君は、とてもナギの娘には見えないなぁ。
詐欺師の才能があるよ」
「前世はロキでしたので」
ロキとは、北欧神話の悪神ロキです。
他人を騙すことについては天下一で、様々な悪事を働いては、罰を持ち前のペテンで乗り切ったと言われています。
「さて、真実はどこまで知っているんだい?」
「すべて」
私は簡潔に答えました。
「タカミチの行動や態度から、私が死体から作り出された人形で、『本国』に対する囮だったことはわかりました」
「えーっ!そんなに早くから疑ってたのかい!?」
タカミチは愕然とします。
「6年前に最初に会った時、アンディに会って行かなかったというのが引っ掛かっていたのですよ。
故郷の村を更地にして、そこに村があった痕跡をなくすという大仕事の割に、3週間ほど私の修行を見ていきましたよね?
あれは、私がナギの娘であることを、調査に来たスパイに印象付けるために行ったことです。
だから意図してアンディには会わなかった。
いえ、アンディを避け、囮の私との親密さを際立たせた。
違いますか?」
「……ハハハ、参ったなぁ。まさか君に見抜かれていたとは……」
「タカミチは詐欺師には向きませんね。
ブリーシンガメルでもなければ、政治の場には立てないでしょう」
「ハハハ、これは手厳しい」
ブリーシンガメルとは、見る者を魅了する魔法のネックレスです。
北欧神話で、筋肉ムキムキの雷神トールが女装した際に使用し、相手を騙し通したことで有名です。
「アルさんからは、私が
「そんなに……!」
「『本国』が敵だと知っていれば、6年前の襲撃事件と絡めてナギの妻が誰かを推測することは、そう難しくありません。
クルト・ゲーゲルさん、旗色が悪いそうですね?」
「本国の情報誌か――!」
世界各地の魔法学校には、魔法世界の情報が載っている雑誌が置いてあったりするのです。
表の情報ですので、そこまで深い内容ではありませんけれども。
「ま、私は特に何か思うところはありませんね。
正義を標榜していながら、中身は真っ黒だった。
歴史を見ればよくあることじゃないですか。
そんなことにイチイチ腹を立ててはいられませんよ」
「……すまない」
ま、私もタカミチに色々と酷い隠し事がありますし、そう強くは言えないのも事実です。
私はこの世界の基準では、どう足掻こうと正義にはなれない存在なのですからね。
地底図書室から出ると、日がかなり傾いていました。
結構話し込んでしまったようです。
「ああ、そうだ、ネギちゃん。超君のことなんだが……。
どうやら今年は本格的にやらかすようなんだ」
「申し訳ないのですが、最終日は私も表に出られないのです」
「表に出られない?」
「魔力が満ちている状況を利用して、アルさんに肉体を調整していただく予定なのですよ」
「そっ――そうか、それは仕方ないな」
もちろん、嘘っ八です。
アルさんにそんな技術はありません。
『
こうでも言いませんと、超さんに近い魔法使いの私には、常に監視が付くことになってしまうのですよ。
そして、こういうことを言ったまま信じてしまうから、タカミチは政治の場に立てないのです。
「私は夕食時期まで、学園祭を見て回ります」
「そうか、僕もそろそろ行こう。それじゃあ気を付けて」
「はい」
こうして、一つのイベントが終わりました。
本日の成果
麻帆良学園祭開催中!
アンディに真実(偽)を伝えた。
タカミチとも裏の話をした。
以上。
つづく
まだ謎は全部は明らかになってません。
ちなみに、ネギ少女が魔法的な意味でアンディと血縁ではありません。
作り直された際にそういうことになってしまっています。
だから、『桜通の吸血鬼』の際、呪いを解くのに一度アンディの血にする必要があったんです。