【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
とはいえ、修業の疲れもあって、城に帰ってくるなりぶっ倒れていましたが。
その際に『影』で編んだ服が消えて全裸を晒し、騒ぎになったのはご愛嬌なのです。
「ネギさん!勝負ですわ!」
「えー?」
私は高音さんからの模擬戦の申し込みに、あまりやる気のない声で応えました。
ぶっちゃけ、雪広さんや千雨さんに魔法を教えるので忙しいので、あまり相手にしたくないのです。
「うぅぅ、アンディ先生と小太郎君はエヴァンジェリンさんに連れて行かれましたし、桜咲さんは神楽坂さんと……」
「逃げられたわけですか」
「うっ!」
指摘するとあからさまに凹みます。
色々と暑苦しい人ですからね。
頭カタイですし。
正義一辺倒の人生を考え直そうとはしているようですが、まだまだ以前の癖が残っています。
「私に挑むのは構いませんが、私が麻帆良武道会でやったことは理解していますよね?」
「ルールを逸脱したことは存じ上げております。
しかし、そういう戦い方を経験しておかなければいけないのも事実。
悪を相手にする以上は、綺麗な敵ばかりを選り好みできないことは、元より承知の上です」
「ふむ、ではお相手しましょう」
私は受けることにしました。
油断を持って戦場に臨むとどういう目に遭うのか、一応は理解しているようですし。
さらにその先を教えておきましょう。
「は、はじめっ!」
立会人は佐倉
観客は
『瞬動術』の一歩先にある、『縮地法』の前段階ですね。
『活歩』を覚えていますと、『瞬動術』もスムーズにできるようになるのです。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
彗星『ブレイジングスター』”」
「“『
私と高音さんは、同時に魔法を展開しました。
私が召喚したのはいつも使っている上位精霊、『白黒魔法使い』。
モデルは『東方Project』の『霧雨魔理沙』です。
魔女っ子らしい、とんがり帽子に黒い服、白いエプロン姿の元気な子で、『東方Project』を代表する主人公の1人です。
はい、例によって姿だけですね。
箒に乗っています。
高音さんが展開したのは、影で編んだ上位精霊です。
影というのは、属性として術者本人の分身という意味があり、それを使用しての影精霊召喚は、ひと言で言えば簡単に強くできる上位精霊。
同じ上位精霊でも、動きの精密さや防御力、パワーなどではあちらが上です。
ただし。
私が召喚する上位精霊はそれぞれ、様々な性質によって使い分けられており、それぞれの上位精霊を中核とした戦術も、歴史の中で確立しています。
「『
安定の『連射モード』。
「なっ!?くっ!」
マシンガンのような連打に、高音さんは出鼻を挫かれました。
エヴァさんは
「“術者周囲を旋回せよ”」
アンディの時と同じ戦法です。
外れた『光の矢』が戻ってきて私の周囲を周回し、推進限界が来れば爆発します。
その内幾らかは、隣に展開している光の上位精霊に吸収させました。
「“点火”」
その間に『連射モード』を解除、『白黒魔法使い』のAIを起動します。
十数発の『光の矢』を吸収させましたので、スピードも攻撃力もそれなりのものとなっています。
「“
『
今度は普通に魔法の矢を撃ちました。
私は6年間毎日続けた、感謝の1万回呪文詠唱のおかげで詠唱速度、『手続き』の速度がとんでもなかったりします。
麻帆良に来た時から、これだけを鍛えていれば『本物』と渡り合える武器になるとまで言われましたし。
「ぐぅっ!?」
3桁に上ろうという『光の矢』で
本気でなかったとはいえ、あのフェイトのバカみたいな多重障壁を2枚でも破壊した、『障壁破壊』の術式を組み込んである、最新型です。
それに、『白黒魔法使い』はAIが単純な分、速度と攻撃力に全振りしたモデル。
避けられないからと防御すれば、
「もう一発!
“
『
私は『白黒魔法使い』が方向転換して突進するのに合わせて、もう一度多量の『光の矢』を放ちました。
「ほらほら、対処しなければ、攻撃はどんどん重くなりますよー?」
「そんなこと、言われても――!
“『
おそらく苦し紛れでしょう。
高音さんは影属性の中位精霊、『影法師』を16体編み上げ、私に差し向けてきました。
「“
『
「“
『
199本の『光の矢』と、16体の『影法師』
雪山修行の成果でしょうか、様々な魔法の同時展開です。
私もできますが、高位とされる魔法使いにも、できない人がちらほらいるとか。
カモさん情報ですが。
さすがに物量において負けていましたが、
突進は『黒衣の夜想曲』による絶対物理防御で防いでいます。
『白黒魔法使い』は障壁破壊を組み込んである分、燃費が悪かったりするのですよ。
ですので、
「ほほう」
私は自然に笑みを零します。
人が成長するのを見るのは、結構いいものですね。
エヴァさんがなんだかんだ言ってアンディに稽古を付けている気持が分かったような気がしました。
「うわ、黒っ!」
失敬な。
まあ、よく使う戦術が破られそうになっているからと言って、負けたりはしませんよ。
所詮は基礎戦術なのです。
「では、根比べです。
“『
毎日続けていることですし、上位精霊を維持しつつでも1万発は撃てます。
あまりこういう、物量でのゴリ押しはやりたくないのですけれどね。
結局、私が障壁破壊の矢を混ぜたところで、高音さんは対応し切れなくなり、あえなく全裸を晒したのでした。
「すみません、お姉様のワガママに付き合わせてしまったようで……」
気絶した高音さんにガウンを着せて横たえてから、佐倉さんは私に頭を下げました。
「いえいえ、私のあのコンボに初見で対応するとは思いませんでした。
気絶すると脱げるという問題を解決してから、アンディや小太郎君と一緒にエヴァさんの特訓に組み込んでもいいかもしれませんね」
私は素直に称賛します。
ちなみにあのコンボ、属性自弾吸収を組み込んだ上位精霊を使う際の、基本コンボです。
今まで、格上にしか破られたことがありませんから、とりあえずアンディと小太郎君には、この基本コンボを破ることを目標にさせています。
「エヴァさん、と言いますと、エヴァンジェリンさんですよね?」
「そうですね。『
特に隠すことでもありませんし、私は彼女の質問に頷いておきました。
「なんだか、思ったより可愛らしくて、怖くない人ですよね?」
「うーん……警戒心の強い人ではありますけれどね」
私は肩を竦めます。
「ただプライドが高いだけの傲慢な人でしたら、
「えっ?」
「病歴学、というものをご存知ですか?」
「し、知りません」
まあ、当然知らないですよね。
「病歴学って、歴史上の人物を医学の観点から分析するっていう、学問ですかー?」
「聞いておいてなんですが、まさか知ってるとは思いませんでした……」
「伊達に本屋なんて呼ばれてないですよ」
「へうぅ~」
夕映さんが親友を自慢しました。
本人は恥ずかしそうですが。
「ともかく、病歴学の観点で彼女を見れば、彼女が
「怯えている……?」
「事実と真実を取り違えれば、正義と悪を間違えますよ?
ということです。
後は自分で考えて下さい。
あまり言っていますと、エヴァさんに怒られてしまいますからね」
「は、はぁ……」
私はフラグが完成する前に、そそくさとその場を後にします。
本日の成果
修行中。
高音・D・グッドマンの成長ぶりを確認。
以上。
つづく
本編では投げっ放しなのでここで説明します。
私自身、病歴学についてそこまで詳しいわけではないのですが。
エヴァが生まれた当時、吸血鬼というのは恐ろしいもので、人類の敵でした。
キリスト教圏の教育を受けた人が、ある日突然吸血鬼になったわけです。
そんな子が本能的に求めるのは人の温もりですね。
しかし自分は吸血鬼。
歳を取らない事実に気付かれれば、原作でも言っていた通り魔女狩りに遭って焼かれます。
そうやって裏切られ続けてきたわけですから、今度は人の温もりというものに及び腰になります。
それからは隠遁生活で、それこそ殺伐とした殺し合いの時代。
荒れもしますよ。
そういう変遷を経て、今の彼女がいるわけです。
まあつまり、また裏切られるのではないかと、ビクビクしていると考えるのは…穿ち過ぎでしょうかね?