【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
外部時間で麻帆良学園祭より1週間後。
色々と調査されていたマキナが帰ってきました。
「それで、どうでした?」
「いやー、さっぱり。
どう考えても物理法則を無視してるとしか考えられないよー」
葉加瀬聡美さんはうなだれます。
「魔法技術っていうのも大概だったけど、それでも魔力というエネルギーについては、なんとか扱うことができたの。
その結果が茶々丸なんだけどね……」
「さすがに、私自身も何がどうなったのか、さっぱりでしたし。
付喪神という、一個の魔法生命体と考えるのが妥当かもしれません」
『酷い言われようですわね。ゾクゾクいたしますわ』
隣で聞いていたマキナは、頬を紅潮させて息を荒くしていました。
「このうっとり系は結局治りませんでしたか……」
「人格にはあんまり手を付けらんないからしょうがないんだけどね……」
私達は2人して溜息を吐きます。
とりあえず、話題を変えましょう。
「あ、そうそう、
「はいはい」
葉加瀬さんは私にこう尋ねました。
「ネギちゃん、何かやったの?」
「はい?」
私は聞き返します。
「えーっと、なんて言えばいいのかな。
壊れた後の
「それがどうして私のせいだと?」
「まあ、違うかもしれないんだけどさ。
結局、原因が分からないのよ。
あの時のアンディ先生の魔法、浮遊装置の耐用電圧を遥かに超えてたのに、落下の途中で明らかに減速してたから」
「機械的なことでしたら、茶々丸さんかマキナでは?」
本気で覚えがありませんでした。
それはさすがに考えにくい。
しかし、当時の私は読者の皆様もご存知の通り、地下に篭っていました。
『無限ループ』の準備のために、皆を待っていたのです。
『あの時、確かに私はアクセスを試みましたが、スーツ自体が完全に機能停止しておりましたわ』
「すみません、本気でさっぱりです」
「うーん……?」
私達は共に首をひねりました。
しかし、後に意外な原因が判明したのです。
それは、教会の神父さんへの懺悔が流行った時のことでした。
春日美空さんが教室で、ここの教会の神父さんが色々とためになる話をしてくれるという、テキトーなことを言ったので、色んな人が相談に来るわけです。
そこで、私も様子を見に行きました。
「ねえねえ、神父さん神父さん」
「はいはい」
「美空さんが事件の表舞台に出て来ないようにしているのはどうしてなのでしょうか?」
「ブフォッ!?」
原作にもあったイベントですし、私は彼女の変装には普通に気付いていたのです。
そう、この懺悔室の対面にいるのは本物の神父さんではなく、色々な悩み話を聞いてクラスメイトをからかおうとしていた春日美空さん自身。
これは彼女の仕掛けたイタズラでした。
確かに最初から疑ってかからなければ、私も気付かなかったと思いますが。
特にボイスチェンジ魔法は、他人に似せようとすると結構な練習量が必要になるのです。
私は普通の魔法具を手に入れるのに、割とこの教会を利用していましたから、神父さんの声も覚えていました。
ボイスチェンジ魔法では、言葉のイントネーションまでは真似できないのに、本当に神父さんがそこにいるのかと勘違いしそうになったほどです。
「どうしてこう、イタズラ魔法
「ハハハ、どうしてでしょうかねー?」
「その情熱を他のところに使えば、もっと機動力を生かせると思うのです。
「いやー、正直、そこまでやんなくてもいいかなって……」
だんだん地が出てきました。
「矢面に立てとは言いませんよ?
それは私やアンディのお仕事です」
「あんまり目立ちたくないんスよ。
責任がどうたらで面倒臭いし」
「しかし、事件は否応なくあなたを巻き込むでしょう。
実は私は、『本国』から4回くらい暗殺されかけたことがあるのです」
「へ……?」
「私がなかなか暗殺できないとなれば、『本国』は次に、私に近しい人間に手を出してくるでしょうね。
近い内に『本国』へ行く予定とか、ありませんか?」
「……」
幻術が解けて、美空さんの真っ青な顔が出てきます。
いいですね、その表情。
ゾクゾクするのです。
「まあ、『
「えっ、アレってそのために?」
「ええ。ありとあらゆるところへ侵入し、あるいは脱出する力です。
うふふ、他に類を見ない逃げ足、期待していますよ?」
「イィィィヤァァァァァッ!!」
まあ、弄るのはこの辺にしておきましょうか。
ココネさんも怯えていますし。
「ところで、学園祭の最終日、どうでした?」
「え、何?」
「先程も言ったでしょう?私は暗殺されかけたことがあるのです。
学園祭の最終日、変な人がいたりしませんでしたか?」
私が尋ねると、彼女は首をひねりました。
「変な人は見かけなかったかな……。
ああ、そうそう、変って言えばさ、妙にプロペラ関係のにドクロマークが多かったのよ」
既に、取繕うこともしません。
まあ、当然でしょう。
「プロペラ?」
「そう、エアコンの室外機とか、イベントで使ってる扇風機とか、飛行機部のレシプロ飛行機とか。
爆弾仕掛けるにしても、もうちょっとマシなところにすると思うんだけど……。
おかげで、結構忙しかったのよ」
「あー……そういうことでしたか……謎が解けました」
「へ?」
つまり。
「
「ああ、うん。さっちゃんが屋台の飛行装置で受け止めようとしてたけど、結構ヤバかったんだって?」
頷きます。
「おそらく、人死が出ないように、春日さんがドクロを壊したプロペラが、勝手に動いて上昇気流を作り出したのではないでしょうか?」
「え、マジで?」
「そうとしか考えられません。
私も、全く予想していない部分で役に立ったようですね」
「それじゃあ、解☆決(横ピース)も無駄じゃなかったんだ?」
「クスクス、なんです、それ?」
なんて、私はすっとぼけましたが、マスクを着けて『ドリル型オートリペアー』を使用した際の副作用で、怪盗っぽい変なポーズを決める強制力が働くのです。
「中々良い働きをしたようですので、ご褒美に『
「何コレ、催涙スプレー?」
「ちょっと凶悪なものですから、使用には細心の注意を払ってください。
説明書をお渡ししておきます」
「あ、うん、アリガト」
これで、比類なき
彼女はこれで、比喩抜きでありとあらゆる要塞から脱出することが可能となるでしょう。
「そうそう、そろそろシスター・シャークティが来ますから、このイタズラは止めた方がいいですよ?」
「了解ッス!」
素直な子は好きです。
『……ということは、結局御主人様の仕業だったということですのね』
「そういうことになりますね」
帰り道、私はマキナと話していました。
「結局、葉加瀬さんに話すのは最後になりそうなのです」
『友人に真実を言えず煩悶する御主人様、萌え、ですわ』
「ふんぬ」
私はマキナに腹パンチを入れます。
『あふん』
「どうしてそう、悲鳴までキモイのです?」
『デフォルトです』
私は深々と溜息を吐きました。
とにかく、これからはマキナを修行に取り込めるのです。
12回もアンディ達を敗北に追い込んだその力を味方にできるのです。
まあ……あれが本気だったというわけではありませんけれども。
本気のマキナには、誰にも勝てません。
その本気を引き出すのは私次第ですが、マキナとコンビでしたら負けない自信はあります。
『そういえば、妹達の様子はどうなのですか?』
「魂が生じている素体はないそうです」
私は答えます。
妹達、というのは、学園祭最終日にイベントで破壊されたロボット達の残骸です。
いわゆる、茶々丸さんの妹に当たる女性型ロボット達ですね。
高度な技術によるロボット兵器ですので、即日すべて回収されました。
現在、麻帆良内の各大学で研究のために数体が貸し出されており、残りは解体されている最中です。
私は葉加瀬さんにお願いしまして、その内の3体を譲っていただきました。
いえ、1体で良かったのですけれどね。
私が魔力を込めて契約したことで、マキナが誕生したという風に受け取られている節があり、是非とも古いのから20体ほどどうぞと言われました。
それを完全には断り切れず、とりあえず3体ということになったのです。
「とりあえず、1体は相坂さんの素体として改造していただきます。
元々その予定でしたし。
残りはノープランなのですけれども……」
『葉加瀬さんの押しの強さには驚きましたわ』
「まったくなのです」
こうして、今日も計画は推進されていくのでした。
本日の成果
麻帆良学園祭の事後報告。
以上。
つづく
学園祭でひっそりと活躍してた妖精さんグッズのお話でした。
ここで、無限ループのリスクも浮き彫りとなります。
何度も敵味方、そして自分の死を体験する危険があるということですね。
まあ、タイムバナナでしたら自分が死ぬのを体験することはありませんが。
そういう風にセッティングしないと、死ぬと戻ってこないので。