【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
私とエヴァさん、1対1の模擬戦です。
現在、彼女の封印は解かれており、月齢は満月、麻帆良大結界の影響が及ばないように処置されている『別荘』内では、最強状態です。
それに私がどう対処するのか、それを見せようというのが、エヴァさんの意図でしょう。
「“ラ・テル・マ・キル・マギス”」
「“リク・ラク・ラ・ラック・ライラック”」
距離を取りながら、私達は同時に呪文詠唱を始めました。
「“『
私は『連射モード』でエヴァさんに牽制をかけます。
最速詠唱なら、私は
「チッ、“『
エヴァさんから反撃が来ますが、私は『連射モード』の魔法の矢で的確に自分に当たりそうなもののみを狙い打ちます。
エヴァさんが瞬動術を使ってきたその時が狙い目です。
彼女は虚空瞬動が使えるため、ほぼノーリスクで高速移動ができますが、攻撃を撃った瞬間はどうしても硬直が出ます。
その瞬間を狙い打てるかどうか。
そこにかかっているわけです。
もちろん、前提として回避が必要ですから、避け切れなければそのままやられてしまいかねません。
なので、私はエヴァさんが瞬動術を使う瞬間を、全神経を尖らせて警戒します。
「“術者の周囲を旋回せよ”」
私は連射で外れた魔法の矢に命じ、自分の周囲を守らせます。
今までの上位精霊は、数を相手にするか味方を支援する時にしか使用しません。
使用属性が固定されるなんて、冗談じゃないのです。
そして、言うまでもなくエヴァさんには通用しません。
「“
「“『
数も属性も同じ、魔法の矢の斉射。
私はエヴァさんが横に伸ばしたその白く細い手の指が、細かく動いたのを目に捉えました。
糸――!
エヴァさんは魔力の糸を自由自在に操作することができるのです。
「“『
少々慌てた感がありますが、魔法は発動しました。
いずれも無詠唱で使用可能ですので、『連射モード』を継続できます。
糸が突風に煽られ、私の周囲を周回していた『光の矢』に当たって千切られました。
そしてその瞬間、エヴァさんの姿が掻き消えます。
「――!」
とっさにステップを踏んで横に逃げます。
「“『
その回避を先読みして狙われ、冷気を伴った爆風が1人の少女を包みました。
が。
「ついに意を消したまま魔法が使えるようになったか!」
「攻撃魔法はまだ無理ですよ――!」
エヴァさんの魔法の直撃を食らったのは、私の姿をした
……今のは危なかったのです。
まさか魔力の糸を使って捕らえてまで、全力で当てに来るとは思いませんでした。
『気配断ち』を見破られていれば、そこでアウトでした。
表面的に余裕をかましていますが、心臓はバクバクです。
「“『
「ぬっ!」
私は距離を取りつつ、突風魔法の連打でエヴァさんの動きを一瞬封じました。
ちょっとした時間稼ぎには有効なのですが、連打中は当然、他の魔法を使用できません。
「“『
巨大な氷の塊をぶつけてきました。
私の幼い姿を塗り潰さんという、範囲攻撃。
「“
私はアンディが持っていたナギの杖を手元に引き寄せ、それに乗って回避します。
湖の上に直径5メートルがあろうかという氷塊が叩きつけられ、その衝撃で舞い上がった水煙のために、一瞬、お互いにその姿を見失いました。
これは、大型魔法の準備のための牽制です。
エヴァさんの大魔法に、対応して見せろという、彼女からのメッセージなのです。
私は懐から精霊召喚用の呪符を取り出しました。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
『風神少女』”」
最新型の『烏天狗少女』を召喚します。
葉団扇に真空の刃を纏わせた、殺傷力も高い高速仕様。
「“ラ・テル・マ・キル・マギス、
『
約2分間、猛烈な竜巻によって完全に防御し切る魔法です。
ですが、実際に展開はしません。
最近の研究によって、『雷の暴風』すらも防御し切ってしまうこの魔法をフル詠唱した方が、『雷の暴風』よりも
つまり、『烏天狗少女』の
実は、攻撃魔法というのは錬金術のような四大の物質創造でありつつ、同時に自然現象の影響を大きく受けるのです。
つまり、竜巻を横向きに撃つよりも、自然現象と同じく縦に展開した方が、効果も効率も高くなるのだとか。
これは独自設定ですが。
なので、横向きに撃つ『雷の暴風』よりも、『旋風風障壁』の方が威力が上なのです。
実は継続時間の関係で、『雷の暴風』よりも魔力消費は2倍ほどあるのですが。
「“
『こおるせかい』”」
「“回避ぃーっ”!!」
私は『烏天狗少女』の腰にしがみついて、エヴァさんの本気過ぎる極大魔法の効果範囲から離脱しました。
最新型『烏天狗少女』の移動速度は瞬動並ですので、一直線に飛ばせば100メートルを1秒で移動できます。
直系150フィートの範囲内が絶対零度に閉ざされ、巨大な氷塊が誕生しました。
氷柱封印魔法『こおるせかい』の方ですね。
あまり人死にを好しとしなかったエヴァさんが、好んで使用した派生魔法です。
「避けたか」
「死ぬかと思いましたよ!」
ひと言文句を言っておきます。
「“ラ・テル・マ・キル・マギス、
『
もう一発、『烏天狗少女』に
これで、大抵の攻撃は避けられるはずです。
「だが、お前自身はその速度についていけるのか?」
「くっ!」
私が詠唱していた隙に虚空瞬動で正面から接近し、蹴りで叩き落そうとしてきます。
『烏天狗少女』はAIの超反応で回避、私は慌てて精霊の足にしがみつきました。
「“
その置き土産に、あらかじめ遅延させておいた魔法の矢3本を叩き込みます。
「むっ――!
ええい、アルに使った障壁破壊か!」
エヴァさんは障壁で受けてみて、その性質に眉をしかめました。
壊れた障壁を修復しなければ、私が相手では危険と判断したのでしょう。
たった3本で障壁すべてが破壊されたわけではありませんが、それが重なればダメージを通せるだけの薄さになってきますからね。
「“ラス・テル・マ・スキル・マギステル……”」
私はその間に次の準備を始めました。
「“
儀符『オーレリーズサン』”」
私は任意操作の上位精霊を召喚します。
一度アンディに不意打ちをかけたことがある、例の4つの球状中位精霊を持った『白黒魔法使い』です。
「フム、コンボが完成したか……」
「私だって頑張ってるんですよ!」
「知っているさ!」
「うひゃっ!」
エヴァさんが白く細い手で私の胸倉を掴もうとすると、それに反応した『烏天狗少女』が高速で回避しました。
私はまたあわててしがみつき、『白黒魔法使い』も退避させます。
「ベルトか何かで身体を固定したいところですね……」
「今度は酔うかもしれんがな」
とにかく『白黒魔法使い』を召喚したことで、私は魔法障壁の分厚いエヴァさんに対して、有効な攻撃手段を得ました。
「“『
追ってくるエヴァさんとドッグファイトを繰り広げつつ、私は牽制と『白黒魔法使い』への
「“『
光の矢が百本ほど
そろそろアンディとの模擬戦と併せて
このままではジリ貧ですが、なんとか百本分の光の矢を充填することに成功しました。
これが最後のチャンスです。
「“
私は『白黒魔法使い』の周囲を回る球状中位精霊に命じ、魔力を本体である『白黒魔法使い』に還元させました。
あれは防御力も攻撃力もない、ただの魔力タンクだったのです。
「来るかっ!」
「“『
「くっ!?」
大きいのが来ると思わせて、障壁破壊の矢を叩き込みます。
そのままで通じるだなどということは、さすがにないでしょう。
もちろん、その前の詠唱と動きはフェイント。
こちらが正規の詠唱です。
「“
膨大な光がエヴァさんの姿を塗り潰しました。
「残念――。
来ると分かっていれば、私も
その声が聞こえたのは、私の背後、耳元です。
エヴァさんの接近に反応した『烏天狗少女』が動く前に、彼女は上位精霊を攻撃するべく、右手に白く輝く相転移剣が展開されていました。
『烏天狗少女』の反応速度以上の速度で接近してきているのです。
「“『
「“竜巻『天孫降臨の道しるべ』”」
「な、に――!?」
私に迷いはありませんでした。
上位精霊は魔力の貯蓄量が高く、特別な術式を付与せずとも、魔力タンクとしても利用できるのです。
『白黒魔法使い』のように。
『烏天狗少女』がやられるのは確実。
ならば、その直前に魔力を引っ張り出してすべて風に変換してしまうのも、当然の帰結と言えるでしょう。
『風花、旋風風障壁』2発分、つまり『雷の暴風』4発分、その威力が至近距離で一気に解放され、巨大な竜巻となって私とエヴァさんを巻き込みます。
「ぬうぅっ!」
「くぅっ!」
エヴァさんの行方を目で追う余裕はありませんでした。
私はあおられながらも竜巻に対して縦方向、つまり上に向けて杖で飛び――。
「ぺみゅっ!?」
幻想空間の天井に勢いよくぶつかって気絶しました。
いやだって、ねえ?
そうそう簡単に横から抜けられるものではありませんよ。
安全地帯などという生易しいものはありません。
猛烈な風で煽られ、自分の位置すら定かでなくなった状況で、なんとか上を目指したのです。
竜巻の吹き上げる風に逆らわなければ、そんなに大きなダメージにはならないと考えていました。
だからこそ、まさかこんなに近くに天井があるとは、欠片も思わなかったのです。
本日の10割
修行中、模擬戦――ネギ、不注意による天井激突KO。
以上。
つづく
この小説オリジナル技法の中では役に立つ、目玉となる技法が出てきました。
これがネギ少女のもう一つの切り札となります。
詳しい説明はまた後で、本編で行う予定です。