【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
図書館島地下、アルさんの住居に設置された幻想空間『祭殿』。
内部2階層は世界樹の膨大な魔力を貯蓄するために、2万冊もの魔道書が所蔵されている巨大な図書館であり、儀式場です。
ゆえに正式名称を『魔道書の祭殿』と言います。
現代の魔法技術では、これを作ることはできません。
魔道書それぞれが力場を発生し、それぞれ複雑に干渉し合っていますからね。
迂闊に本を動かせば、大爆発してしまいかねない危険な場所でもあります。
「……というわけで、今は明日菜さんが1週間の
「この間『咸卦法』を会得したばかりだというのに……
「いや、しかし、妖精さんの力とは凄まじいものですね」
「召喚主の私が言うのもアレなのですが、なかなかわけのわからないことをしてくれるでしょう?」
「
「あははは……」
アルさんにそこまで言わせるとは大したものです。
「……ところでどうです?ここでの生活は」
私は青年の姿をした
肩まである黒髪を束ねて2つのお下げにし、さらに頭の両サイドでお団子を作って中華風の髪飾りを着けた少女。
プロポーションは全体的に引き締まった印象。
そして、麻帆良学園中等部の制服。
私は彼女の名を口にしました。
「――
麻帆良学園祭の最終日、『
決まっています。
『タイムバナナ』の力を使って戻ってきたのですよ。
世界樹の魔力を必要としませんからね。
行き来は自由です。
犬が増えますが。
麻帆良学園祭の最終日の無限ループでも、13匹ほどの
てっきり1人1回につき1匹だと思っていましたので、10倍の数字が出てくると思っていたのですが。
さすがは妖精さん。
意味不明な親切さなのです。
私がプレゼントした初代『童話の地』に残っていた、妖精さん5千体の力で調整された『タイムバナナ』によって、彼女は現代に帰還しました。
ついでに、未来の諸問題も妖精さんの力で解決したようです。
正確には、この時代で開発中だった『
「ここにいると、かの世界で人類が衰退した理由がよく分かるヨ」
超さんが言いました。
「私達がガンバて発展させてる未来の科学技術でも、妖精さんの技術を解明できないネ。
可能な限り人死にを減らすいう観点でも、妖精さんの技術は飛び抜けてるヨ」
「妖精さんですからねえ」
「魔法技術の観点から見ましても、そうとしか説明できません」
アルさんも苦笑するしかないようです。
「まあ結局、使う側の問題でしょう。
悪用しようと思えば、いくらでも悪用できてしまいますからね」
「ネギ娘のようにカ?」
「あはははは」
私は乾いた笑い声を上げます。
否定はしません。
「そうそう、『
話題を反らしました。
アルさんには笑われていましたが。
「
今すぐにでも魔法世界に直接跳べるネ」
「それはいいですねー。
これで自由に魔法世界の情報を手に入れられるわけですね」
現状、超さんを除けば、雑誌かタカミチからの情報くらいしか、情報源がないのです。
いずれも情報操作は容易。
『本国』が私を殺しにかかっている以上、その情報を鵜呑みにするわけにもいきません。
「シカシ、ここまで変わてる平行世界だから、未来の情報もアテにならヌとは難儀な話ネ」
超さんが言います。
「私もある程度は知っていますが、所詮10年前の情報です。
これはアルさん。
彼も、私が疑問に思っていたフェイト少年の行動の謎について、答えを出すことができませんでした。
だからこそ、『敵』が予期しなかった方法で、情報を集める必要があるのです。
私が致命的な情報を持っていないと思い込んでいる今だからこそ、『敵』も大人しくしているのですからね。
あまり追い詰めて、背水の陣にしてしまうのは得策ではありません。
やる時は、逃げる暇も抵抗する暇もなく、一気にやってしまうのが
「ただ、『タイムバナナ』を使っていただきます。
万が一『アーウェルンクス』に出て来られますと、『
「正直、魔力の消費もほとんどなくなた『
私のお願いに超さんは頭を捻ります。
確かに『
「ふむ……確かに時間移動は脅威ですが、対抗できないこともありませんよ」
これはアルさん。
「ちょっとやってみましょうか――」
「――」
彼が意味深に呟くと同時に、ソファに座っていた超さんは『
そして数メートル離れた場所に瞬間移動します。
傍から見ていて全然わからなかったのですが。
どうやら、アルさんが何かを仕掛けたようです。
超さんがそれに気付いて、『
いえ……。
「ほら、『気配断ち』を組み合わせれば、隙を突くことは難しくないでしょう?」
「ヌ……!」
超さんが座っていたソファの後ろに移動したアルさんが手に持つのは、彼女の髪留め、ボンボンの1つです。
ばさり、と黒く艶やかな髪が下ろされました。
これは、彼がその気になれば、超さんの背中の『
「私が警戒していたのは、『風のアーウェルンクス』だったのですけれども……」
私は苦笑しつつ呟きます。
原作情報を持っている私は、最終決戦時に出てきた5番目の人のことも知っているわけです。
雷速で駆け回るアレが相手では、さすがに『
まさかアルさんが『気配断ち』をこのレベルで習得しているとは思いませんでした。
「この手の武術は世界中にありますよ。
日本の忍術だけの専売特許ではありません。
最近は裏でも敬遠傾向にありますが、それでもまったくないわけではありませんからね」
「長瀬さんの忍術でも、結構秘奥儀っぽいのですけれどねー」
「それはまあ、そうそう簡単にできることでもありませんし。
全力でやって失敗すれば無防備なところを晒すだけですし、やはりあまり好まれてはいません。
彼女の技は大変素晴らしいものでしたが、やはり『気配断ち』は半分で、『縮地法』に比重が大きい印象でした」
仕組み的には、試合前に本体が『気配断ち』をした状態で影分身を置いておき、試合開始と同時に本体はアルさんの死角に移動していたということのようです。
『気配断ち』と『縮地法』のバランスの完成度が、アルさんの虚を突く原因となった感じですね。
この技術が原作に存在するのかどうかはわかりません。
しかし――。
「もしかして、『アーウェルンクス』もインストールできたりするのですか?」
私は聞きました。
アルさんは首を振ります。
「いえ、そういう話は聞きません。
何より魔法障壁を解除しない彼らが、この手の技術に手を出すとは思えませんね。
ただ、この『気配断ち』だけの話ではありません。
意識の隙間を突く攻撃なら、無意識に展開している障壁以外に防ぐ方法がない。
それを実感していただきたかった、というのが私の意図です」
「なるほどネ……」
彼にボンボンを返してもらった超さんは納得したようです。
「ああ、あと、バナナを使うのにはもう一つ理由があります」
「理由?」
「ええ」
私は言いました。
「情報の徹底的な遮断なのですよ。
「理由を聞いてもいいかナ?」
ま、彼女なら聞いてくるでしょうね。
幾つか理由を考えて、絞り切れなかった、といったところでしょう。
「今、『本国』元老院では、私にこれ以上手を出すべきかどうか、大論争が繰り広げられているのです。
そんな中、神出鬼没、正体不明、彼らの組織力ですら影も踏めないような人物が出現すれば、間違いなく『悠久の風』が何か仕掛けてきたのだと勘違いされるのです。
後は……わかりますね?」
「戦争カ」
私は頷きます。
「バナナの方は、平行世界を発生させないネ。
何らかの方法で『占い』に出ることもない。
なるほど、理に適てるヨ」
この平行世界だけかもしれませんが、占いの魔法には、幾つもある平行世界の1つの未来情景を映し出すものがあるのです。
平行世界の未来とはいえ、それはこの世界でも起こるかもしれない。
その確率は7割と言われています。
結構難しい魔法なのですが、何十年もやっているベテランの占い師でしたら大抵使用できると、エヴァさんから聞きました。
まあ、要するに、私が以前超さんを騙すのに使った『占い』という文言は、まったくのデタラメではないということです。
相手を騙すコツは、限りなく嘘を少なくすることなのです。
ええまあ、占い云々は独自設定ですが。
「結局、そのバナナの準備に2週間ほどかかりますから、夏休みに入ってからになりますねー」
「了解ヨ」
こうして、
期末テスト?
5教科満点でしたが何か?
本日の成果
超鈴音の帰還!
魔法世界の情報取得作戦開始。
以上。
つづく
色々と考えはしたんですが、アルビレオ・イマとネギ少女の口調の差別化って難しいですね。
なので、ネギ少女の口調には「なのです」を多めに入れてみました。