【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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7/29 にちゃんと投稿されてるとかウレシスギィ!


071 ひまつぶし麻雀

終業式が終わり、夏休みに入りました。

 

『別荘』内。

現在、別荘を出られる時間帯になるまでの時間待ちです。

内部で24時間経過しないと、外に出られませんからね。

ここしばらく、『別荘』には3日4日篭るのが当たり前になっていましたから、待ち時間が暇になるのは久し振りなのです。

 

なんでも、雪広あやか(ショタコン)さんが一度実家へ帰るそうです。

雪広財閥の本拠地は千葉県ですね。

麻帆良は埼玉県ですから、そこまで遠くありません。

雪広さんは、権力方面から原作ネギ少年(アンディ)をサポートするべく、本格的に政治家への道へ進むことを、ご家族に話してくると言っていました。

 

ひと悶着ありそうな予感はしますが。

ま、二男二女の家族構成で、あやかさんは末っ子。

もう1人猫可愛がりしていた弟がいましたが、交通事故で亡くしたそうです。

それ以来、いたいけな少年を見ると、衝動的に可愛がりたくなるとかなんとか。

特に原作ネギ少年(アンディ)は性格、容姿共にドストライクのようで。

アンディもアンディで真面目な(パーフェクト)英国紳士(・ジェントル)な上に、天然ジゴロ体質ですから、雪広さんが惚れないわけがありません。

 

ただ、こういうことに関しましては、案外趣味全開なこの選択は吉と出やすいように思います。

人生、何をどう足掻いても、自己満足以上を目指すことはできませんから。

正義感とか宗教観とか、そんなのは自己満足を補強するための小道具に過ぎないのです。

 

ならば、自分の趣味に邁進(まいしん)するのも一つの道なのですよ。

それが結果的に人の役に立つのならば、それは天職と言っていいでしょう。

 

1時間。

待ち時間の間に、私と雪広さんは、私が考案した政治家になるための計算能力を高める、特殊な修行メニューをやっていました。

30分もあれば十分に1サイクルできるのが、この特訓メニューの利点です。

 

麻雀(マージャン)ですが。

 

 

 

「しかし、どうして麻雀なのですか?」

 

尋ねてくるのは、高音さんです。

彼女は先に『別荘』に入っていて、今は修行の合間の休憩中でしたので、私が誘いました。

対面は妹分の佐倉さんです。

 

お2人とも、ほぼ初心者なのですが、さすがに元々の計算能力(スペック)が高く、ルールも覚えてそれなりに打てるようにはなっています。

 

「勝負強さを鍛えるためです」

 

私は言いました。

 

「牌効率の計算に相手の心理を深読みし、性格も考慮に入れて、運によって転がり込んできた牌をどう扱うか、牌を切るにしても、どういう順番で切るべきか、考える。

そうやって深く考え決断することは、人の上に立つのに必要なことなのです。

特に政治家、為政者の立場に立つのでしたら、理想の未来図を描くために、深く考えて未来を予測する能力は必要になりますからね」

 

出来もしない、地に足のつかない理想を並べ立てるのは、誰にでもできます。

しかし、現実に即した理想の形を考え、そこへ到達するための手順を決めるには、きちんと考えていかなければなりません。

 

(パイ)とは、情報ですわ」

 

雪広さんも言います。

 

「1つの情報から、その先を予測し、必要な手を打つ。

そういった判断力を鍛える意味でも、この手のボードゲーム、カードゲームは有効なのですわ」

 

まあ、作者の持論ですけどね。

ポーカーや麻雀、ブラックジャックなど、運が絡んで駆け引き要素の強いゲームは、人生や命がかかれば政治と何ら変わりがありません。

ゆえに、人を魅了するのです。

 

「ツモ、裏ドラが載って倍満です」

「アッ――!」「ひええっ!」「えーっ!?」

 

良いことを言ったからといって、遠慮はしません。

 

「ベタ下り雰囲気に見せて手を揃えていたまでは良かったのですが、差し込みが空振りになったのは痛かったですね」

「ええ……」

「え、差し込み……?」

「高い役で点数をごっそり持って行かれそうな時に、安そうな手の人にわざと振り込むことを、『差し込み』と言います。

今のように、8千点持って行かれるくらいでしたら、低い点数のマイナスで済ませるのも、駆け引きの1つなのですよ」

 

私は質問者の佐倉さんに答えました。

 

「麻雀って、奥が深いんですね……」

「相手のハッタリを読めるようになれば一人前です。

戦闘でも、当たり前のようにフェイントを駆使するでしょう?」

「確かに……」

 

戦闘におけるフェイントを卑怯と敬遠する人もいますけどね。

そんなことを言いたいのでしたら、相撲やプロレスでもやればいいのです。

世の中、勝てば官軍、負ければ賊軍なのですからね。

 

 

 

「さあ、最終局(オーラス)です。

私が点数で最も高い。

私が安目をアガればそれで終わり。

ただし、親がアガれば何度でも続けることができるルールです。

次の親は最も点数の低い佐倉愛衣(メイ)さん。

つまり、彼女がアガりを連発するほど、他の2人も有利になっていきます。

後は……わかりますね?」

「わ、私ですか~!?」

 

控え目な性格の佐倉さんは、重圧を受けて涙目です。

 

「メイ、落ち着きなさい。安くてもアガり続ければいいんです」

「私達が徹底的にサポートしますわ!」

「あ、初手(ダブル)リーチなのです」

「えーっ!?」「なんでですのー!?」「ひーっ!?」

 

ただし、ハッタリ(ノーテンリーチ)です。

卑怯と言いたければ言えばいいのです。

手心を加えては、彼女達のためになりません。

 

ここからの対応で、伸びる人と伸びない人が決まります。

具体的には、私のハッタリを見抜けるかどうかで、政治に入り込んでいけるかどうかが決まるのです。

 

 

 

「あわわわわ……」

 

佐倉愛衣(メイ)さんはできるだけ私に振り込まないように、降り気味です。

完全にどうすればいいのか、わからなくなってしまっているようですね。

私に振り込んでも、アガれなくても終わりなのですから、当然かもしれません。

 

これはダメですね。

人の上に立つべきではありません。

その基礎能力(スペック)の高さを生かし、助手的な役割に終始するのがいいでしょう。

責任を持たせてはいけない、真面目ながら決断力のないタイプです。

 

「ムムム……」

 

こちらは高音・D・グッドマン(ぬげおんな)さん。

私と佐倉さんの捨て牌をチラチラ見つつ、色々と考えを巡らせているようです。

頭が煮えつつありますね。

今までの戦闘訓練で、最後まで諦めない癖が付いているようです。

が、私の初手(ダブル)リーチがハッタリである可能性は、頭から抜け落ちているようです。

 

この人も真面目で、あまり重い責任は持たせられませんが、これからの経験次第で伸びる可能性があります。

ただ、政治家向きではありませんね。

中間管理職が精々でしょう。

 

「くっ……まずいですわね……」

 

最後に雪広あやか(ショタコン)さん。

今のところ、私の薫陶を最も大きく受けている人でもあります。

他の2人が完全に視野狭窄に陥ってしまっている現況を見て、状況の悪さを感じ取っていました。

 

ただ、配牌がよろしくないようで。

危険牌がポロポロ出てきます。

いえ。

逆に私にとっては嫌な(ツキ)方なのです。

危険牌が並ぶほど、私のハッタリ(ノーテンリーチ)が露見する確率が高くなってきますからね。

 

「ムム……」

 

長く悩んだ後、彼女はとんでもないことをやらかしました。

 

「カン、ですわ!」

 

カンとは、4枚組に揃った状態で鳴くことを言います。

鳴きルールの中でも少々特殊で、ドラ表示牌が1つ増えるという処理があったりもします。

 

麻雀は3枚ずつの牌で役を作るのが基本ですから、4枚で鳴きますと、牌が1つ少なくなって、その分を山牌から引きます。

これを嶺上(リンシャン)(パイ)と言い、この牌でツモアガりすると、『嶺上(リンシャン)開花(カイホウ)』という役が付くのです。

狙ってできることではありません。

カン自体、そうそう何度もできることではありませんしね。

 

おそらく、危険牌=まだ切られていない牌を処理し切れなくなっての、苦し紛れのカンでしょう。

しかし。

嶺上(リンシャン)(パイ)を見た瞬間、雪広さんの表情が変わりました。

 

慌てて皆の捨て牌をチェックします。

そして顎に手を当て、考え込み。

 

「やはり、その可能性が最も高そうですわね……」

 

呟き、自分の牌を見直して、打ちました。

それは、まだ出ていない=危険牌。

 

「……」

 

私はにやりと笑います。

どうやら、私の初手(ダブル)リーチがハッタリである可能性に思い至ったようです。

安易に4巡分の安全を確保しに行かなかったことが、吉と出ましたね。

 

その後。

雪広さんは危険牌でも遠慮なく切ってくるようになりました。

佐倉さんなどは、青い顔です。

高音さんは、そこにメッセージ性があるとまでは考えたようですが、打ち方は変えず。

 

そして……。

 

「ツモ、ですわ!」

「ええっ!?」

 

最後まで気付かなかった佐倉さんが、びっくりしています。

 

「しかし、点数はそれほどではありませんね。

裏ドラが載れば、大逆転ですが……」

「載りますよ」

 

私は言いました。

論理的ではないかもしれませんが、奇妙な確信があったのです。

そして麻雀とは、その直感を計算とともに重視するゲームでもあります。

 

(ツキ)が全力で雪広(いいんちょ)さんを応援していました。

だからこその、このアガりです」

 

果たして。

 

裏ドラは8つ乗りました。

4つ(カン)ドラが2つです。

 

ま、雪広さんが遠慮なく危険牌を捨ててきた時点で、負けを認めても良かったのですよ。

まさか、数え役満が出るとは思いませんでしたが。

 

倍満は24000点。

役満は32000点。

私と雪広さんの点差は、さすがにそこまでは開いていませんでした。

というか、4つ(カン)ドラが載るだけで逆転だったのです。

 

少々時間はかかったものの、私のハッタリ(ノーテンリーチ)を見抜いて、なおかつ強運の持ち主でもある。

為政者としての、人の上に立つ資質は十分以上です。

 

「ネギさんの手を見せていただいても?」

「はい。雪広(いいんちょ)さんの予想通りですよ」

 

私は牌を倒して自分の手を見せました。

 

「えっ、これって……?」

「揃っていないのにリーチをかけたんですか?」

「ノーテンリーチで皆に千点ずつ、3千点の支払です。

マナー的にはあまりよくないのですけれどもね。

ルール的には、罰金を支払うだけの軽い反則です」

「そんな……」

 

佐倉さんは、あからさまに残念そうな顔です。

 

「はっきりとその可能性に気付いていたのは、雪広さんだけでしたね。

だからこそ、遠慮なく手を揃えに走ることができたのです。

高音さんは違和感を持っていたようですが、その正体までは分からない様子でした」

「本当に、最後にやってくれましたわね。

私達を試しましたのね?」

 

雪広さんは苦笑いを浮かべました。

 

「はい」

 

私はにっこりと笑います。

 

「私のハッタリ(ノーテンリーチ)に気付いた後、黙って手作りに走ったのも良かったと思います。

下手なことを言いましても、今度は混乱していた佐倉さんがミスをする可能性がありましたからね」

「はう……」

 

佐倉さん、雪広さんの役満ツモアガりのおかげで、最後はトびました。

点数がマイナスになったのです。

 

「高音さんも佐倉さんも、追い詰められた人はもっと酷い反則を仕掛けてくることがありますから、十分に気を付けてください。

世の中は、未だに勝てば官軍なのです。

負ければ、綺麗な戦いをしていた事実さえもなかったことになります。

死人に口なし、歴史はそうやって作られてきました」

「……肝に銘じておきます」

 

高音さんは私に頭を下げました。

 

彼女達は8月の初め、つまり十日後に『本国』から、麻帆良の親善大使として招かれています。

その十日後、私達3-Aのメンバーが『本国』へ向かう予定なのです。

 

私達が行った時に、人質として捕まっていないように、教訓を与えておかなければなりません。

それは、雪広さんが進路を親に話す以上に、重要なことでした。

 

 

 

 




本日の成果

修行中。
麻雀を通じて『本国』の危険性を伝える。

以上。

つづく



確か、これ書いてるときは、久し振りに麻雀動画を見ていたと思います。
なくていい話といえばなくていい話ですが。

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