【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
私ひろっさんは蚊が嫌いです。
他の虫はわりと平気ですが。
唐突ですが。
私は、学園長室を訪れました。
「この休みに、なんじゃな?」
「まずいことになりました」
「ホ?」
しかし、私にはそれをからかう余裕もありません。
私は懐から小瓶を取り出し、蓋を開いて『童話の地2』を取り出します。
「幻想空間内蔵型の
しかも上等なものじゃ」
「ええ、以前持っていたものは、超さんにプレゼントしました。
これはアルさんからいただいたものです」
説明の後、巻物を広げました。
「今、中にアルさんがいます。
そこで話しましょう。構いませんか?」
「フム……時間差はどの程度じゃ?」
「現在は12倍です」
「ええじゃろう」
『童話の地2』には、立派な庭付きの一戸建て住宅が入っています。
精神を取り込むだけの先代と違って、こちらは肉体の成長性を保持したまま、内部時間を操作できます。
エヴァさんが
ただし、あちらのような人造霊はいませんけれども。
「こりゃたまげたのう……」
リビングルームで、マキナに配られたお茶を飲みながら、学園長は呟きました。
アルさんは分身体ですが、エヴァさんも超さんも一緒にいるのです。
「超君は、学園祭が終われば未来に帰れんようになると聞いておったが、大丈夫かのう?」
「ご心配なく。学園祭最終日とは別の方法で帰れるようになたネ」
学園長の気遣いに、超さんは笑顔で答えます。
「それで、話とはなんじゃ?」
「
その結果、放置できない事実が判明したのです」
私は言いました。
「単刀直入に言いましょう。
「なんじゃと?」
白髪の老人は真剣な表情で聞き返してきます。
ここで大声を出さないのは、さすがと言えるかもしれません。
「『墓所の主』が作ったもので、本物のように権限の低い『鍵』に分裂させることはできません。
性能もグランドマスターキー並みと、最上位のものよりも幾らか劣るようです」
これはアルさん。
本体は『祭殿』の方にいます。
膨大な魔力のある環境でなければ、消耗が大きいようです。
「それでも、『アーウェルンクス』を稼働させるには十二分なようで、既に3体の『アーウェルンクス』の起動が超さんによって確認されました」
「なんと……!」
「まだ驚くのは早いぞ」
エヴァさんが言います。
「事態はおよそ最悪の方へ向かっている。
脅されたというのが本当のところのようだが、元老院が『悠久の風』を潰そうとしているのも、それが原因のようだ」
「なんということじゃ。ワシらは騙されておったのか……」
「敵方に、相当なやり手がいるのは確かなようです」
これは私。
本当に、今までとは比べ物にならない、特級の
少なくとも原作の
あるとすれば『デュナミス』という男性。
しかし、原作ではあっさりと『悠久の風』に抑え込まれていたところから、やはり脳味噌筋肉と言っていい程度の、要するに魔法脳だったはずです。
これはアルさんからも証言をいただきました。
つまり。
誰か、原作には出てきていない、
そう考えるべきでしょう。
「それで、ワシをこの密談の場に連れてきた理由は何じゃ?」
さすがに鋭いですね。
やはり、今の情報は
私も同感です。
むしろ広く魔法社会に知らしめれば、それだけで
曲がりなりにも、民主主義国家ですからね。
というわけで本題です。
「
それがナゼかは、元老院議長や大統領も知らされてないネ」
超さんが言いました。
まさしく、つい先ほど9回目のループから戻ってきた彼女が、それについてどう判断すればいいのか、私達に聞いてきたのです。
彼女、魔法については知らないことも結構あるので。
そういう意味で、アルさんやエヴァさんの意見は貴重なのですね。
「
エヴァさんが言います。
「
「両世界の繋がりを断つためではないと?」
「私達も、最初はそう考えました」
これはアルさん。
「シカシ、それにしては最上層部が知らされてないのはオカシイヨ。
そんな普通の、誰にでも分かることを秘密にはしないネ」
「それに、ほとんど交流がない状況なのに、わざわざ断ち切ることで、世界にそこまで大きな影響を与えるとは思えません」
「そうだ。だからこそ、先程の龍脈の話が出てくる」
ここから、アルさんが説明します。
「龍脈というのは、魔力の溜まり場でもあります。
そういう場所は、古来聖地とされたり、巨大な魔法施設が建造されたりする。
この麻帆良の世界樹のように。
それが、魔法世界では
魔法世界への転移には、莫大な魔力が消費される。
それを破壊すれば、当然魔力は解放され、龍脈に帰るでしょう。
その際、
「その魔力で何かしようとしておるというのじゃな?」
学園長は尋ねました。
「最後まで聞け」
「まあまあ――膨大な魔力を集めるとはいえ、それにはある程度の時間がかかるでしょう。
向こうの世界でおよそ2ヶ月程度。
その間に何か儀式をやろうとすれば、その動きは民衆に伝わり、ヘラス帝国の横槍が入るはずです」
エヴァさんをなだめて続けるのはアルさん。
「当然ですよねー。
覇権的な意味でも、ヘラス帝国がメセンブリーナ連合の好きなようにさせるわけがありません」
これは私。
「ですが、旧オスティアならどうなのです?」
「確か、魔力消失現象によって、不毛の地となっておる。
確かに、『敵』が利用するには持って来いじゃのう」
俯いて考え込む学園長に、アルさんが言いました。
トドメのひと言です。
「
「――!!」
白髪のお爺さんは両目をカッと開き、驚愕したという顔でアルさんを見ました。
「まさか、
ええまあ、そういうことです。
結構重大なネタバレなのですが、旧オスティア王宮にある
こんな、嫌なところだけは原作準拠なのですよね。
一応説明しておきます。
原作では、ネギ少年ととっても愉快な仲間達が魔法世界へ旅行に行く際、偶然にフェイト達
後で、それが旧オスティア王宮にある
その後、『始まりの魔法使い』の末裔である明日菜さんが誘拐されたりして、先程アルさんが言った『
本来は『アーウェルンクス』を稼働させるのに、その『
そして、最終盤のネタバレですが。
敵の親玉である『
その封印を解くのに、封印を施した本人かその肉親の血肉と魂が、必要になるのです。
現在、『
その現在の肉体が、ナギ本人なのです。
さらにナギ自身が、意識のある内に自分ごと『
安いお涙頂戴の
え、漢字が違うって?
そんなことはどうだっていいのです。
以上の情報から、原作で愉快過ぎるネギ少年達との遭遇がなければどうしていたのか。
ネギ少年達が魔法世界へ来る前に、フェイト達が動いていた場合、彼らは次にどうするつもりだったのか。
それがこの世界で実現しようとしているのです。
要するに原作での彼らは、旧オスティアの
そうすると、麻帆良側は戦力的には非常に不安定になります。
奇襲でしたら、フェイト達が明日菜さん1人を拉致することも十分に可能です。
そして『
改めて、今度はネギ少年を拉致するために強襲をかけ、親玉である『
そこまで来るとゲームオーバーです。
『ブラックボックス』のような反則的な力がなければ、どうしようもありません。
さらにこの平行世界では。
このまま予定通り
なぜならば、私達が魔法世界へ行くという情報は、渡航申請を通じて元老院議長へ、さらに
カモがネギを背負ってやってくるのが分かっているわけですから、後は網を張って捕まえるだけなのです。
つまり、渡航した先で『アーウェルンクス』4体プラス『デュナミス』さんとの戦闘になるわけですね。
エヴァさんを連れて行く予定はありませんでしたし、まず勝てません。
あえなく捕縛され、そのままゲームオーバーでしょう。
それでなくとも、オスティア=麻帆良の直通回廊を作られてしまうのはよろしくありません。
「そこでどうするか、というのが、今ここで解決しなければならん課題だ」
エヴァさんが言いました。
まさしくその通りです。
「策でしたら、あります」
私は提案します。
「そのために
「ネギちゃんにそう呼ばれると、何やら背筋に寒気がするワイ」
失敬な。
「簡単なことですよ。
今から私達は行方不明になりますから、その情報を『本国』に流してほしいのです」
実に簡単なことです。
麻帆良の首脳陣が慌てて私達を探し回ることで、その情報を受け取った
最大のキーパーソンが行方知れずになってしまうわけですから。
作戦が続けられなくなってしまうのは自明の理です。
ただし、これは超さんの調査による情報があってこそだということは、覚えておいてください。
他の小説の転生主のようなパワープレイ以外では、これしか方法がありません。
「しかし、どこへ逃げると言うんじゃ?」
「オイ、ジジイ、普通、そんなこと聞くか?」
エヴァさんが責めます。
そういう情報を持っていれば、何らかの方法で引き出される可能性が出てきますからね。
ですが、私は答えます。
「ザジさんにご協力願います」
本日の経過
不測の事態発生!
ゲームオーバー回避のため、逃避行開始。
以上。
つづく
ここからどうするか、色々と悩んでエンディングまで作りました。
場所をどうするかというのも悩みの一つです。
心がけたのは、ネギ少女らしく方針を決定することです。
後は…わかりますね?