【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
ベープは偉大。
「えー!本物のジャック・ラカンさん!?」
「有名なの?あの筋肉達磨」
「ジャック・ラカンといえば、『千の刃の男』という二つ名で知られている、『
20年前の大戦で世界を救った英雄ですよ!」
「というか、ネギちゃんの持ってる写真に載ってたですよ?」
安心と信頼のボケボケな明日菜さんでした。
「そ、そのラカンさんが、どうしてここに?」
「いやな、なんかまずいことになってるって聞いてよー」
朝食後ですので、皆さんテーブルに向っていました。
「こんなでも元『赤き翼』のメンバーだからな。
監視が付き、もし賞金でもかけられれば、負けることはないにせよ、少々面倒なことになる」
「ったく、
彼は理解したようです。
次に考えられる
それによって、私達かそれに通じる誰かを炙り出そうとするでしょう。
そのために手っ取り早いのは、20年前の大戦の英雄であるジャック・ラカンさんを、賞金首にしてしまうこと。
しかし、これにはある条件が必要です。
それは、
例えば、このエリジウム大陸などはちょうどいいでしょうね。
なぜならば、賞金を懸けるとほぼ同時に元老院に乗り込まれでもしますと、元も子もないからです。
メガロメセンブリア元老院は、
賞金はただちに取り下げられ、ヘラス帝国は遺憾の意を示して終わりです。
脅されていない元老院議員が承認せず、議長が失脚するだけに終わることが目に見えていれば、実行はしないでしょう。
そのため、ラカンさんが行方知れずという情報は、最高の時間稼ぎとなるのです。
彼がどこをうろついているかで、戦争の行く末が大きく変化しますからね。
20年前、帝国の戦線を傾けた実績は伊達ではありません。
そうそう、私達が行方不明なのも、戦争回避に一躍買っています。
私達の耳に届かなければ、戦争も意味がありませんからね。
私達がどういう状態でいるのか。
それが分からなければ、彼らが嫌う『人間』の犠牲も、ただ増えていくだけ。
20年前と違って、
戦乱に乗じて『リライト』で魔法世界人を魔力に還元するやり方は、今回はリスクが大き過ぎますから、採用はしないでしょう。
そうやって、有効な手を打てずに時間ばかりが流れ、私達は準備を完了させるのです。
ああ、元老院議長の背後に
彼らが死に物狂いになれば、何が起きるかわかりません。
敵を背水の陣にしてしまわないことも、重要な戦術です。
「……ま、そういうわけで、私達を鍛えていただけませんか?」
私はラカンさんにお願いしました。
「じゃあ、1人頭1万ドラクマで」
「ちょっ!?」「金取るのかよ!」
「マキナ」
『はい』
私は
「は……」
「え……?」
「お願いしたいのは前衛組、アンディ、刹那さん、長瀬さん、古菲さん、小太郎君の5人です。
案外安かったですね。
それではお願いしますよ?『千の刃の英雄』さん」
「ぬ……」
「くっくっく、諦めた方がいいぞ?
政治方面のネギの手腕は、
「ジジイって、麻帆良のか?マジかよ……」
天下のジャック・ラカンが頭を抱えるというレアな姿に、皆がポカーンとしていました。
「しっかし……まあ、教えてくれて助かったのも事実だしな。
いいぜ、やってやる。
俺の稽古はキツいかもしれねえが、逃げるんじゃねえぞ?」
観念していただけたようです。
彼の場合、理屈を放り出して逃げることも考えられましたので、実はこの交渉、ドキドキものでした。
「さて……」
エヴァさんが朝食休みを終えて、パラソルから出てきます。
ちょうど、私が相手をしていた高音さんが、いつものように脱げたところでした。
防御力は高いのですが、性格的な詰めの甘さのせいで私には届いていません。
「そろそろ、『千の雷』を仕上げるか」
「そうですね。
「それはそれで、やられるとかなり厳しいんだがな……。
普通、9つも遅延詠唱を用意すれば、
「修行の成果です(キリッ」
「殴りたい、この笑顔」
「酷いのですー(棒読み)」
「予想以上にウザイな」
ま、冗談はこの辺にしておきましょう。
「それでは、場所を選びましょう」
「さすがにここでぶっ放すわけにはいかんな、確かに」
目を向ければ、ラカンさんが前衛組と、湖の上で激しくやり合っているのが見えます。
古菲さん、水の上を歩けるようになったんですね……。
アレ、かなり難しかったと思うのですが。
『千の雷』
広範囲殲滅魔法、大魔法とも呼ばれる、
その威力はまさに最終兵器。
大体、核爆弾に次ぐ威力を持つ爆弾、
『雷の暴風』や『雷の斧』は、加減すれば一般人でも命は助かりますが、こちらは魔力や気による保護がなければ確実に即死します。
他の追随を許さない威力。
それがこのクラスの魔法です。
ああ、原作で有名だからって、『千の雷』だけが広域殲滅魔法ってわけではありませんよ。
以前、模擬戦の際にエヴァさんが私に向けて使った『凍る世界』も、広域殲滅魔法です。
そうそう、勘違いしている人もいるかもしれませんから言っておきますが、私が昨日使用した、現行で最大『雷の斧』9発分の『
理由は、『精霊解放』があくまで裏技だからですね。
懐に入れば十分な威力を出せますが、それではミサイルでしかありません。
少し離れるだけで、威力は激減してしまいます。
その点、『千の雷』は最大威力が出る範囲が扱いやすく、結果的に攻撃としての性能が高いということなのです。
そして。
一万回の呪文詠唱を20分で終わらせられる私の魔力効率でも、
原作ネギ少年でも、最終決戦時には今の私と同数だと思います。
原作でも扱いが難しいと言われているだけあって、
こんなの、相当に大きな魔力容量を持っていなければ、やっていられませんよ。
その、遅延詠唱による魔力効率の低下を改善するためにも、一発が大きい『千の雷』は私にとっては最適でした。
キャンプから離れた岩山。
私はエヴァさんと一緒に乗っていた箒から降りました。
「あの辺がいいな」
「はい」
私は親指の皮膚を自分で噛み切って、滴る血で魔法円を描きます。
「“
音が消えました。
補助魔法陣による照準補助と集束補助がなければ、まともに威力が出ないという、今の状況はまさしく未完成と言えます。
ギェエエエエッ!!
私はエヴァさんが指差したところ、つまり岩山の上に当てたのですが、どうやらそこには
悲鳴を上げながらのたうち回り、しばらくすると息絶えました。
そんなに大きなサイズではありませんでしたから、不完全な『千の雷』でも一撃だったようです。
「ふむ、威力だけは十分だな」
「あそこに
「何かまずかったか?」
「食糧にするのに、皆を呼んで来ないといけないではないですか」
「お、おう……」
とりあえず、鱗を剥がして焼き加減を見てから、エヴァさんの『凍る世界』で冷凍していただきました。
本日の10割
魔法世界での修行中!
――蛇竜、『千の雷』の直撃による即死。
以上。
つづく
現状でもネギ少女がラカン戦前の原作ネギ少年クラスな件について。
そりゃまあ、転校当初から『別荘』で頑張って修行してましたし。