【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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077 いろいろ研究中です

昼の厳しい修行が終わり、皆夕食後は湖で水浴びをしてから、泥のように眠りに就きます。

見張りはマキナや茶々丸さんに任せ、いざという時はラカンさんと、夜型のエヴァさんにお願いしていました。

 

皆が寝静まったのを見計らって、妖精さんグッズ『お目覚めコーヒー』の力で起きていた私は、皆を魔法で深い眠りに就かせます。

これは人に熟睡を促す魔法で、疲労回復効果もある、今の状況にはぴったりな魔法です。

今の、つまり密談をするには。

 

「さて、んじゃ行くか」

「はい」

 

私はラカンさんと一緒に、森の中に突き出る岩山の頂上へ行きました。

そこで、二つの月を見上げながら、2人で話します。

 

 

 

「エヴァから、お前さんの前世についてはある程度聞いた」

「そうですか……」

 

私が転生者であるということは、エヴァさんが話したそうです。

彼女が信用していたのでしたら、それについては文句は言いません。

 

「すまねえな、こっちの世界に巻き込んじまって……」

「それはもういいですよ。

下っ端天使さんに、転生特典もいただきましたし。

最悪だった人生をやり直せると考えれば、安いものです」

「大したもんだ」

 

ラカンさんは、持ってきていた徳利(とっくり)のお酒を器に入れ、1杯あおりました。

私はペットボトルにお茶です。

未成年ですから。

 

「それで、世界は救えそうかい?」

「五分五分、あるいは6:4でこちらが有利、と言ったところですね。

『鍵』のレプリカが『敵』の手に渡ったのが、最も痛い。

そのせいで、十分な時間が取れなくなりました」

「ってことは、ここでの修行は、時間稼ぎってことか?」

「はい。こちらで後50日ほど時間を稼げれば、私達の勝ちです」

 

私は頷きます。

これはアルさんとエヴァさん、それに超さんと、4人で相談して決めたことです。

 

「ここが見つかる可能性は?」

「麻帆良の学園長には、魔界へ行くと伝えてあります。

そのための伝手(つて)が、麻帆良学園にはありますからね」

「その裏をかいて魔法世界(ここ)かよ……可愛い顔して、えげつねえ性格してやがるぜ」

「敵を騙すには、まず味方から、なのです(キリッ」

 

筋肉達磨(ラカン)さんは声を上げて笑いました。

お酒臭いのです。

 

 

 

「そういや、転生特典ってのはなんなんだ?」

 

彼が聞いてきます。

 

「妖精さんの召喚です。

北欧神話に出てくる、黒い小人(ドヴェルグ)みたいなものですね。

わけのわからない技術力で、様々な道具を作ることができます。

直接魔法世界に解き放てば、色々な問題を解決できるのですけれどもね」

「なんか、すげえ便利そうだな」

「ただ、その妖精さんが召喚される元の異世界では、妖精さんが原因で人類が衰退してしまっているのです。

ですので、長いスパンで考えますと、結構危険な存在だったりもしますよ」

「衰退だって?」

「はい。端的に言って、人類が敗北を認めたということになります」

「なんで、それで衰退なんだ?」

 

当然の疑問ですね。

今も紛争が絶えない魔法世界人にとっては、人類が敗北を認めた=戦争で負けた、なのです。

 

「妖精さんが、割と簡単に飼い馴らせる種だからでしょうね。

魔法や機械が認識しませんから、解析は不可能。

まあ、解析できたところで、彼らの力を再現することはできないと思いますけれども。

要するに、人類が必死になって作ったものの最終到達点を、妖精さん達は遥かに短い期間で作ってしまうわけですね。

そんなことをされれば、やる気もなくなろうというものなのですよ」

「ウーム……イマイチピンと来ねえが……。

要するにネギちゃんみてえな小さい子が、適当にやってるだけで俺みたいなのを超えちまうって感じなのか?」

「大体その通りです」

「まあ確かに、そんなことになっちまったら、俺も引退だわな」

 

色々と難しい話をしましたが、ラカンさんも納得していただけたようです。

まあ、大体関係ない話なのですけれどもね。

 

「この世界も、そんな風に衰退する危険があります。

ですから、私は妖精さんをこの世界に解き放つ気はありません。

せっかく崩壊を食い止めたのに、何百年か後の衰退を確定させてしまっては、何をやっているか分かりませんからね」

「あー、なるほどなー。確かにそいつぁ言えてる」

「ラカンさんも、このことは他言無用に願いますよ。

クラスメイトにも秘密にしていることですから」

「わーったよ」

 

お酒を飲みながらのぶっきらぼうな返事ですが、とりあえず理解していただけたようです。

 

「さて、そろそろコーヒーも切れる時間ですし、戻りましょうか」

「コーヒー?」

「妖精さんの便利グッズの1つ、『お目覚めコーヒー』です。

私、夜更かしはダメなのですよ」

「あー、なるほどな」

 

まあ、結局テントに入る直前に効果が切れて、寝落ちしてしまうわけですけれども。

ここが熱帯でなければ、風邪を引いていたかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝食は、山菜のカニ味噌汁と魚の素焼きと目玉焼きです。

食材の幾らかは、麻帆良のスーパーから買い込んでいます。

『敵』に察知される恐れがありますから、補充はできませんが。

 

日本の(ジャパニーズ)万能(パーフェクト)調味料(スパイス)MISO(みそ)SHOUYU(しょうゆ)を大量に持ち込んだのは正解でした。

日本は、保存食から量販品の調味料まで、無駄に品質が高いのです。

世界文化遺産に認定されるわけなのですよ。

 

特に高級料亭などの和食は、本気度が違います。

米粒に大きさのムラがないか、割れがないかだの、気にするところが細か過ぎです。

盛り付けも――知ってます?世界の料理の中で、食材を一つ一つ形や向きを揃えて綺麗に並べるのって、和食くらいなのですよ。

飾り包丁なんて、食べるのが惜しいくらいの芸術作品ですしね。

 

――コホン。

取り乱しました。

 

魔法世界に持ち込んだもののお話ですね。

 

服は体操着を中心に修行用とパジャマ、そして普段着を数着。

皆さんの武器、杖、仮契約カード、アイデアノート、携帯電話など。

携帯電話の充電用に、手回し充電器と太陽光蓄電器。

特に長谷川千雨さんの『力の王笏』による電子精霊の使役には、周辺に電子機器が必須ですから。

 

「色々と考えてるわねー。あ、カレー粉……」

 

早乙女ハルナ(ヘンタイメガネ)さんが、荷物の中に非常用の調味料(スパイス)を発見しました。

 

「傭兵さんの日記に、カレー粉を取り上げるという刑罰があるというお話を聞いたことがあります。

もしも料理ができない環境になった時のための、備えですね」

 

私はナイフで、昨日仕留めた蛇竜(ワイアーム)を解体して入手したお肉をスライスしながら言います。

タコ糸と釣り針で吊るし、乾し肉にするためです。

 

「なんか、もうネギちゃんに頼ってていい気がしてきたわ」

「今回は緊急事態だったからですよ。

私は基本的に、おんぶに抱っこされるのは嫌いです」

「えー」

 

ちなみに、私がいつも稽古を付けている高音さんは、やっぱり半裸で倒れ伏しています。

さすがに下着は着けるようになり、『(ローリー)の鎧(カ・ウンブラエ)』で防御力を落とさずに、なおかつ気絶しても全裸にならない服装を模索しているようです。

結局、勝ちを拾えなければ意味はないのですが。

いえ、元々強くなる素養のあった人ですし、成長はしているのですけれどもね。

私が持っている手札には、まだまだ対応し切れていないということです。

 

今、エヴァさんはアンディに『千の雷』を教えています。

やはり、戦力アップのためには、原作ネギ少年(アンディ)に『千の雷』は必須でしょうし。

 

『闇の魔法』まで教えるかどうかは、エヴァさんやラカンさんに任せておきます。

あの子、現時点で『闇の魔法』未習得時の原作ネギ少年よりも、確実に強いですからね。

私がカスタム中位精霊で事あるごとにイジメ倒してきたせいもあるでしょうけれども。

 

 

 

「フー……」

 

張りつめた空気の中、体操着の金髪褐色肌の少女が構えを取ります。

元は一般人だったとはいえ、メキメキ実力を付けており、今では一撃の威力で前衛組トップクラスを誇っています。

 

彼女が得意とする八極拳は、一撃の威力を追求した拳法で、その威力は世界でも有数。

ただ、中国拳法というのは、一派だけを窮めるなどということはしません。

メインとなる拳法に加え、他の様々な流派に手を出すのが普通です。

当てたり回避したり、逸らしたりする技術も、十分以上なわけですね。

 

後は、気の習熟度を上げていくだけ。

そのために、心を落ち着けて体からエネルギーを絞り出すために、毎朝瞑想をさせていたのですが。

 

限界まで気を高めると、ラカンさんにもダメージが入るレベルになるそうです。

 

隙は長瀬さんの忍術が作ってくれます。

とはいえ、ラカンさんも本気ではありませんし、両手がふさがる程度ですが。

 

中国拳法による歩法『活歩』を、瞬動術でさらに加速した瞬間移動で踏み込みます。

本来、瞬動術や縮地法は、気配を見せずに移動するのが最上とされていますが。

 

ドンッ、と大地を揺るがす重低音は、瞬動術の抜け際であり、同時に踏み込みでもあります。

つまり、抜け際に気付いた時には、既に攻撃が繰り出されている。

これが今、彼女が練習している技でした。

 

()っ!」

「ぬぅんっ!」

 

ただ、瞬動術が普通に見切れるラカンさんが相手では、気で防御されてしまいます。

 

 

 

「もうちょい『抜き』は派手でもいいぜ。

それよか、瞬動の速度を上げる方を優先した方がいいな」

「フムフム、なるほどアル」

 

強い人には素直な古菲(クーフェイ)さんです。

 

「龍宮君はもういいのー?」

「マナトは関係ないアル!」

 

早乙女さんにからかわれ、顔を真っ赤にしています。

 

「そうですよねー。

これはどちらかといえば、彼を手に入れるための修行みたいな感じですしー」

 

私もからかいます。

 

「ぬうぅぅ~!」

「お、面白そうな話だな?詳しく聞かせろよ」

「オッサン何ノッてるアルかーっ!?」

 

ラカンさんが乗ってきました。

 

古菲(クーフェイ)さん、実は好きな人がいましてね。

その人を振り向かせるために、事あるごとに勝負を挑んでいるのですよ。

でも、結局今まで一度も勝てていません」

「ぬがーっ!!」

 

顔を真っ赤にした金髪褐色肌少女が、私に掴みかかってきます。

羞恥が限界を突破したのでしょう。

油断はできませんが、割と隙だらけです。

 

「ほい」

「なーっ!?」

 

私は突進してきた彼女の手を引っ張り、バランスを崩させて投げました。

思いっきり空振りした古菲さんは、そのまま勢い余って湖に突っ込みます。

 

合気柔術の真髄は、相手の力を利用して相手を投げることにあります。

それでも、古菲さんの心が乱れていなければ、こうも容易くとれなかったのでしょうね。

 

「お、ネギ娘、それはもしや……」

「はい」

 

長瀬さんに指摘され、『私』の姿がブレました。

乳白色に色が抜け落ち、引き換えにカラフルな7つの球体が周囲に浮かびます。

 

「おお、なんか魔力と気配が一致しねえと思ってたら、精霊囮(デコイ)だったのか」

「“さすがにバレてましたか”」

 

声もブレます。

 

「えーっ!?このネギちゃん、偽物だったのー!?」

「これは驚きでござるなー。まさか影分身にも劣らぬ密度とは……」

「“高級な精霊囮(デコイ)の実験なのです”」

「偽物だったんなら、prpr(ペロペロ)してもいい?」

「“ダメです”」

「えー、ケチー」

 

安心と信頼の変態オタク(パルパル)さんでした。

 

「こりゃすげえ搦め手だな……。

目指してるとこがナギの野郎と正反対じゃねえのか?」

「“性格的なところもありますし、師匠もエヴァさんですからね”」

「あー、なるほどなー」

 

納得しやがったのです。

筋肉ムキムキマッチョマンの変態さんのくせに。

 

いずれ『千の雷』の的にしてやりたいと思います。

 

 

 

 




本日の経過

魔法世界にて修行中。

以上。

つづく



古菲はラカンに修行をつけられて、新しい技を覚えます。
相撲で言うところの『ぶちかまし』を中国拳法風にアレンジしたもので、言うなれば射程距離の長い突進ですね。
これがどう活躍するかは未知数ですが。
主人公が無関係なオリジナル技があってもいいでしょう。

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