【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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8/6 くらいに投稿されてるといいですね。

クーラー病になりそう。


079 ヤツが来た

私が引き篭もっていた巻物(スクロール)の中では、相坂さよ(ゆうれい)さんが私の世話をしてくれました。

あまりにも長い現実空間との時差に耐えられる人が、他にそれほどいなかったのです。

 

ラカンさんはなんとか、エヴァさんは『別荘』などで慣れてるとのことです。

やはり、長生きしてる人はこの手の時間操作には強いようです。

相坂さん、60年も地縛霊やってましたしね。

しばらく高級依り代人形に入っていましたが、巻物(スクロール)の中では生前の姿です。

幻術空間(ファンタズマゴリア)内蔵型の巻物(スクロール)は、基本的に精神体のみで入ることになりますからね。

幽霊な相坂さんの場合は、受肉しているかのように振る舞えるというわけです。

 

それで2年もお世話してくれたというのは、本当に頭が上がりません。

エヴァさんを始め、アンディや長谷川さんも入ってきたりはしたのですけれどもね。

特にアンディには聞かせられないお話がありましたから、エヴァさんが追い出していました。

一緒に追い出された長谷川さんは、私の様子を見て何かを感じ取っていたようですが。

 

まあ、それもこれも、後で聞いたお話なのです。

 

それよりも、私が立ち直ったお話から始めましょうか。

 

 

 

「天使は言いました『()HA()NA()SHI()しようZE()☆』と」

 

ある日、小柄な欧米系金髪少女が巻物(スクロール)に入ってきました。

修学旅行の際に色々とやってくれた子、(モノノケ)さんです。

ゲッツポーズを決めています。

 

「……」「……」

 

ポカーンでした。

私も、相坂さんも。

 

「ええっと、どちら様でしょうかー?」

 

相坂さんが尋ねます。

 

「あー、うん、君に聞かれるのはマズイね。

ちょっと出ててくれる?」

 

やけにはっちゃけた(モノノケ)さんは、パチンと指を鳴らしました。

すると、一瞬で相坂さんの姿が掻き消えます。

エヴァさんがちょくちょくやっていたのと同じく、巻物(スクロール)の外に強制退去させたのです。

 

「……」

 

私は警戒心を露わに睨みつけます。

しかし、2年もの間、ずっと怠惰に過ごしてきたせいか、頭が上手く回りません。

言葉が出てきません。

 

「私らにも、色々と事情もあるわけよ。

って、あ、そっか、認識阻害かけたまんまじゃ、わかんないわよね」

 

彼女は言って、何事かを呟きました。

 

すると、その姿がブレ、いえ、それは強力な認識阻害魔法の解除時のエフェクト。

要するに、私にそれが誰なのか、思い出せるように(・・・・・・・・)なったのです。

 

下っ端天使さん(・・・・・・・)……?」

「改めまして、お久しブリーフ!」

「審議拒否」

orz(オウフ)

 

 

 

「あー、えー……」

 

私は回らない頭に苦戦しつつ、尋ねるべきことを考えます。

 

「頭、回んないんでしょ?」

「ええ、まあ……」

「あんたの本体の方が、結構弱ってきてるからよ。

私が戻しといたんだけど、まだしばらく回復するまで時間がかかるわ」

「外では11日経過してるんでしたっけ」

「そ。そんだけ眠り続ければ、衰弱もするってもんよ」

 

睡眠にも体力が必要なのです。

ですので、何日も睡眠し続ければ、当然筋力が落ちていきます。

 

「リハビリがしんどいかもしれませんね……」

 

私はそんな呑気な事を言いました。

これも、頭が回っていないせいです。

 

「その辺は大丈夫よ。

10日分くらい、バナナの力で巻き戻したから」

「バナナって『タイムバナナ』ですか?」

「そ。ただの保険だったんだけど、用意しててよかったわ。

あんたの逃げ足が早過ぎて、見つけるのに今までかかったんだから」

 

すると、当然疑問が出てくるわけです。

 

「私がどうしてこの世界に降りてたのか、どうしてフェイトボーイと行動を共にしてたのか。

その辺が疑問よね?」

 

天使さんは私の疑問を先読みして、話を進めます。

 

 

 

「まず、あんたの転生の時に、神様(クソジジイ)が半端な情報しか寄越してなかった、ってことを話しとく必要があるわね」

 

彼女は私が寝ていたベッドの端に腰かけて、話し始めました。

 

「もう知ってると思うけど、ここは『ネギま!』原作(オリジナル)からかなり遠い、平行世界の辺境みたいなもんよ。

あんたが疑問に思ってたように、本来こんな、いち辺境が滅ぶのを救うために、わざわざ転生特典まで与えた転生者を投入したりはしないわ」

 

しかし、現実に放置はしていません。

 

「でもこれ、いわゆる『都市部』にまで影響がある話なのよ。

今の完全(コズモ・)なる世界(エンテレケイア)は完全に暴走状態でね、全世界再構築魔法(リライト)の術式の不備をさらに拡大して、この世界の地球や魔界はおろか、別の平行世界も滅ぼそうとしてるわ。

そこまで被害が拡大しちゃうと、私達神様サイドだってただじゃ済まない。

最悪、この平行世界を丸ごと『リセット』するって決断もありうるわ」

 

病巣を取り除くために、周囲の細胞ごと切除する、というお話ですね。

というか、最初は『完全なる世界』の術式の不備を教えて、全世界再構築魔法(リライト)の行使を止めるというお話だったのですが。

これ、完全にわざと術式を改造してるっていうお話ではないですか。

 

「でも、『リセット』で全部丸く収まるのかっていうと、そーでもないんだこれが。

結局、問題を先延ばしにするってだけで、こーゆーことが起こった平行世界じゃあ、また似たようなことが起きたりするのよー。

実際、この平行世界は一度『リセット』されてるしー。

しかも、英雄特性持ちで特典付きの転生者を投入した上でねー。

本来、そういう情報は私のとこに降りてきてなきゃいけねーんだけどー。

そういうヤバい平行世界だってことは、最初に言わなきゃいけないしー。

私だってあんな半端な転生特典にゃしなかったっつーの」

 

後半はどちらかというと、愚痴でしたね。

なにかの手違いで、本来与えられているはずの戦力が与えられていない状態だということのようです。

だからこそ、彼女が自分で地上に降りてきたのかもしれません。

 

「だからさー、今から転生特典は弄れないんだけど、本来話しちゃいけないことを話す許可はもぎ取ってきたわ」

「え?」

「あんた自身も分かってんでしょ?

今のあんたにゃ、前世で自分が死んだ後、どうなったかって情報が必要なんだって」

 

そうかもしれません。

結局私は、自分が前世でやり残した心残りのために、前に進めなくなっていた。

そう考えることもできるのです。

 

自分のことだろうって?

そうそう簡単に、自分の心の奥底まで理解出来たりはしませんよ。

前世も含めて、所詮は30後半です。

精神的にはまだまだ若いのですからね。

 

 

 

「結論から言うと、あんたの婚約者ってことになってたクズ男が起点になって、全部ぶっ壊れたわ」

 

下っ端天使さんは言いました。

 

「ああ、予想は付いてると思うけど、あんたを殺したのはそのクズ男だからね。

本当はあんたの死体の痕跡も消す準備をしてたみたいだけど、オヤジさんの件での事情聴取に呼び出そうとしてた警察が異変――あんたが逃げたってことに気付いて駆けつけてきて、お見事にバッティング」

 

そういえば、据え置き型の電話も鳴っていましたっけ。

何十回と鳴っていましたから、多分クズ男からだろうと思って音量を切って無視していました。

その中に警察からの呼び出しが混じっていたようです。

 

「死体の痕跡を消す掃除屋もろとも捕まって、殺人と死体遺棄未遂の現行犯で牢屋へ直行。

その後に余罪を追及してたら、あんたがネットに書き込んだ情報と自白内容がぴったり一致。

後はさあ大変ってね。

裁判で裁かれる前に敵方のボスは手を打って助かったけど、国民からの大バッシングよ。

マスコミが入手した情報ならもみ消せるけど、ネットに広がった情報はとてもじゃないけど消せなかったってわけ。

次の選挙でお金に物を言わせてたけど、その甲斐もなく全☆滅。

選挙管理委員会の買収も拒否されるわ、散々の結果ね」

 

実名入りでしたし。

大体狙い通りの効果を発揮したようです。

ネット掲示板利用者の個人情報特定能力は、非組織的とはいえ侮れません。

いえ、非組織的だからこそ、誰にも止めることができないのです。

 

「国会権力の防壁を失ったせいで、警察のメスが入って、財産のほとんどは差し押さえられるわ、この騒動で潰し切れなかった敵対派閥が勢いを盛り返して、最大野党にまで膨らむわ、税務省からの監視はチョー厳しくなるわ……。

あれで再起できたら奇跡ってとこまで落ちてるわよ。

当然、オヤジさんが刑務所に避難させてたご友人は、やり直し裁判の後にほぼ無罪確定で釈放済み。

党から賠償金も出てるわね。

ほとんどオヤジさんの財産だけど」

「私は、罪を償うことが、出来たのですか……?」

 

私の声は震えていました。

 

「私から見ても、罪を打ち消して余りあると思うわね。

特に国民からの支持は絶大よ。

財界と政界の癒着で出来ていた闇を、その人生を賭して取り払った大英雄、ってね」

「ありが……ござ……」

 

後はもう、言葉になりませんでした。

やはり、下っ端天使さんの言うとおりだったのです。

 

私は、心の底でずっと、前世にやらかしてしまったことを、気にしていたのでしょう。

それを、前世ではほとんど感じる機会のなかった、人の温もりで誤魔化していたのです。

それがなくなれば悪夢を見るというのは、誤魔化せない状態になるから。

今回のように意識的に前世の記憶と向き合うのと、根本では同じだったのです。

 

こんなのは、後になってから分かることなのですよ。

渦中の人は、案外全体のことが見えていなかったりするのです。

 

まあ、天使さんのお話は続くのですけれどもね。

続きは次話(ウェブ)で。

 

 

 

 




本日の経過

天使と合流。
前世のその後の情報を入手。

以上。

つづく



この話だけで5,6回書き直しました。
続きで悩む時は、大体最初から書き直すことが多いですね。
重要な設定があったりすると消したときに思い出すのが面倒ですから、一応残してありますが。
その残した部分、ここだけで全体の8割くらいを占めます。

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