【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
静かじゃない 部屋に染み入る 蝉の音
さて。
最上位精霊の魔改造を始めましょう。
「――と、思っていましたが……うーむ……」
私はボロボロになった呪符を見て唸りました。
これは妖精さんが魔改造した『
本来、こういう用途に使用する呪符は使い捨てで、精霊使いは呪符を大量に持っているものです。
符術と併用することもありますし。
それが、私の場合は妖精さんの魔改造のおかげで、呪符の使い回しができていました。
「これ以上、呪符そのものの強度を引き上げるとなりますと、特殊素材が必要になりますね……」
というか、今まで400枚150円程度のプリント用紙を使ってましたし。
さすがに上位精霊の場合は5回使用すると壊れてしまいますが。
それが1回で壊れるようになったというだけのお話ではあります。
「問題は、プリント用紙の残りが少なくなってきているということでしょうか。
こんなことでしたら、『小瓶』の容量をケチらずにもっと持ってくるのでした」
ぼやきますが、事態は改善しません。
残り枚数は72枚。
実験や鍛錬で消費することを考えますと、少々心許ない数字です。
「しょうがないですね……魔法世界でなんとか調達しましょうか……」
とりあえず、実験は続けることにしました。
一応、最上位精霊の性能について記しておきます。
超高密度に魔力を圧縮しているだけあって、上位精霊とは強度が桁違いでした。
その上。
中級魔法も普通に使用可能。
AIを積めば、フェイト少年とも互角以上の格闘が可能。
ついでに、属性によって特殊効果があり、それを引き出せれば『烏天狗少女』以上の速度を出すことも可能。
大魔法の直撃にも耐える。
召喚できればそれだけで最強クラスに並ぶことができるというのは、伊達ではありませんね。
大したチート性能なのです。
ただ、やはり召喚に少々時間がかかるのと、召喚中は本体、つまり私自身の魔法の使用に制限がかかるのがネックです。
上位精霊の時も最初はそうでしたから、鍛錬を積んでいけばその内に、召喚中にできることも増えていくでしょう。
というわけで、上位精霊では耐えられなかった『千の雷』の属性自弾吸収は、しばらくお預けですね。
「紙の生産地?」
食事後の休憩中、仮面姿のフェイト少年がそんなお話を振ってきました。
「そういえば、エリジウム大陸のケフィッススと言えば、上質なパピルス紙の産地ですわね」
子供な高音さんが言います。
ケフィッススというのは、原作で出てきた魔法世界の地図にもその名が記載されていた、辺境の大都市です。
リオデジャネイロとか、ケープタウンとか、そういう位置付けですね。
「そうなのですか?」
「精霊使いなのにご存知ないんですか?」
「エヴァさんの方針として、ああいう消耗品はなくても戦えるように鍛練を積むのが基本です。
それに、そこまで上質のものでなくとも、私には十分ですし」
「ただ、準備できる内は準備しておいた方が良い。
別に、ケフィッスス
「へー……」
確かに大都市は監視の目がある可能性が高いことを話しましたが、実は元老院はまだ私達が魔法世界にいるということには気付いていなかったりします。
ですので、今のように年齢詐称薬や仮面などで誤魔化している限りは、そこまで危険でもありません。
これにつきましては、マキナのハッキングで確認しました。
ついでに言いますと、私は魔法世界の地理にはそこまで明るくありません。
メガロメセンブリアを中心とした各地の情勢や、『敵』の動きが中心でした。
「確かに、一理ありますね……」
私はフェイト少年の言葉に
さすがは実戦を重点的に経験してきた人ですね。
準備は大切です。
そのために、私達は厳しい訓練を自分達に課しているのですから。
まあ、呪符に使用する紙の枚数が心許なくなってきたのも事実ですし。
「では、少し寄り道していきましょうか」
なんだか、いつの間にか私がリーダー格ですね。
フェイト少年はただの協力者ですので、一歩引いていますし。
私は意味不明なほど信頼されていますし。
ともあれ、ケフィッスス共和国首都ケフィッススの西、52キロの位置にあるケフィオ・タウンに向かうことが決まりました。
さて、そのケフィオ・タウンですが。
今、絶賛混乱中でした。
町には大慌ての人々が行き交い、完全武装した兵士達がピリピリした雰囲気で町中を警備しています。
元々、ケフィッスス共和国にとっても、ケフィッスス
その産地に厳重な警備を置くことは、そんなに異常なことでもありませんが。
「何か、異常事態が発生しているようですわね」
ちび高音さんが呟きます。
見れば分かりますが。
「とりあえず、皆で情報を集めましょう。
ココネさんと美空さんは宿の方をお願いします」
「……(コクリ)」「オッケー」
大人ココネさんとチビ美空さんが頷きます。
「集合時間と場所は?」
「時間は日が沈む時、場所はこの辺、町の入り口付近にしましょう」
明日菜さんの問いに私は答え、そして私達は散開しました。
ちなみに、なぜ町の広場にしなかったのかというと。
そこに警備兵が展開する可能性があったからです。
町の入り口付近でしたら、待ち合わせをするだけの隙間ができますが、広場は中央に展開されますと、反対側が見えません。
町がそういう構造だということでご了承ください。
時間ですが、すでに夕暮れ時ですので、遠くから顔が判別できる程度の明るさの内に活動するのが鉄則です。
あと1時間ほどということですね。
と、いうわけで1時間後。
出揃った情報はこうでした。
そのせいでパピルス草の世話ができなくなり、それを重く見たケフィッスス共和国が軍を派遣しました。
しかし。
そのために討伐軍が蹴散らされ、多数の負傷者が出ている模様です。
情報が錯綜しており、死者が出ているかどうかは分かっていませんが……。
「
宿にてフェイト少年は言いました。
「
ここまで来ると、普通はあまり人を襲わなくなる。
竜語魔法で周辺の魔力を吸収することで、肉体を維持できるからね。
しかし、
理由は、他の竜種に比べて、残忍で劣等感が強いからだ。
だから、縄張りに入ってきた人間などは、交渉の余地もなく食い殺される」
「と、いうことは……」
情報が錯綜して、まともな話を聞くことができなかったというのは。
それはつまり。
「壊滅した、ということですか……」
「おそらく」
フェイト少年は頷きます。
壊滅というのは、軍隊用語で、部隊としての体を保てなくなるほどの損害を出したことを意味します。
「そんな……」「最悪です……」
「そんなにヤバイの?」
「軍艦にお出まし願うクラスの相手ですわ」
チビ明日菜さんの質問に、チビ高音さんが端的に答えました。
「ていうか、もしかしてここもヤバくない?
ヴァルカン事件の時って、都市一つが半壊したんでしょ?」
これは青ざめた顔のチビ美空さん。
ヴァルカン事件というのは、30年前に起こった出来事で、ヴァルカンという都市が蛇竜の
常駐していた艦隊が蹴散らされ、メガロメセンブリアから応援が駆けつけたときには、すでに都市の重要拠点が壊滅していたとか。
「さて、どうする?
この状態では、ケフィッスス
もし手に入っても、かなりの高値を吹っ掛けられるだろう。
かといって、さすがに
その様子が元老院に伝われば、間違いなく
「その前にこれを放っておきますと、後で余計に厄介なことになりそうなのです」
私は言いました。
「厄介なこと?」
「私の仲間への信用にかかわります」
「そんなことのために、敵に見つかる危険を冒すと?」
「見つかったその時は、使い勝手の良くない逃避先に引き篭もりましょう。
私の信用が落ちて、皆さんの意見が分裂してしまうことの方が、この場合は危険です」
私は政治家ですから、信用というものを大切にするのです。
というか、政治家は基本的に他人がいなければ何もできない人間の屑ですから、お金よりも命よりも信用こそを大切にしなければならないのです。
それを十分に知らないまま政治家になる人も、かなりいるようですけれどもね。
「……フム、一理ある。
思考停止的に正義を謳っていないのが君らしい」
フェイトさんは唸りました。
「場所はすでに分かっています。
表立って行動するわけにはいきませんから、夜の内に倒してしまいますよ。
もし見られていれば、私達が賞金首だから表立って活動できないのだと言ってください。
現状、似たようなものですしね」
「了解した」「了解!」「わかりました」
というわけで、私達は
本日の経過
ケフィオ老竜事件に介入決定!
以上。
つづく
捏造イベントです。
ヴァルカン事件とか、いろんな設定を捏造していますので、ご注意ください。