【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】   作:ひろっさん

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089 仲間の試合をテレビ観戦します

ケフィッスス呪符紙(パピルス)を入手しました。

老竜(エルダードラゴン)退治のお礼とか、そういうわけではありません。

普通に店で買いました。

町に来た時は、草紙(パピルス)は高騰していたのですが、退治されていると確認された4日目には、値も下がって普通に買えるようになりました。

 

1枚1千ドラクマとか、高過ぎるのです。

元の値段が1枚2百ドラクマでしたから、5倍になっていたという計算ですね。

 

ただ、さすがは高級品なだけありまして、耐久力も高いですし、魔力効率というよりも出力の上限が上がるという、嬉しい性能です。

最上位精霊の初召喚時に説明した通り、魔力の出力向上というのは、長い鍛練が必要な要素なのです。

戦闘においての重要性は言うまでもありません。

それが僅かとはいえ引き上げられるからこそ、ケフィッスス呪符紙(パピルス)は高級品なのでしょう。

 

「あまり派手に買い込むわけにもいきませんから、とりあえず私と高音さんの50枚ずつで2万ドラクマですね」

「2万ドラクマって、どういう金額なの?」

「日本円で100万円相当だね」

 

フェイト少年は明日菜さんの問いに答えます。

実はこのドラクマという単位、設定はあるのですが、換算用の計算式がありません。

というのも、魔法世界と日本とでは、あまりに価値観が違い過ぎるからです。

 

日本では飲料水は無料(タダ)同然で手に入ります。

しかし、それ以外の国では、日本のような何もしなくても飲める水というのが、非常に貴重なのです。

自動車や飛行船なども、旧世界ではガソリンで動かすのが普通ですが、魔法世界では魔力で動かすのです。

よって、燃料費の高騰などという、無資源国日本ならではの経済事情がありません。

このように、モノによって価値にバラツキがあり、そのために正確な換算式を作ることができないということです。

 

一応、この平行世界では独自設定(オリジナル)で1ドラクマ≒50円とさせていただきます。

イチイチ細かいものにまで値段を設定するというのは面倒臭いですからね。

 

「100万円!?」

 

チビ明日菜さんは驚きました。

 

「こんな紙切れなのに、1枚1万円もするの!?」

「精霊使いにとっては重要な品ですよ。

ネギさんクラスになりますと、これ1枚で軍艦と交換できるほどの戦力になります。

空中戦艦や鬼神兵などの大型兵器にも使用されていますし、2倍3倍でも買い求める人は後を絶ちませんわ」

 

説明するチビ高音さんは、渡されたケフィッスス呪符紙(パピルス)に頬ずりしていました。

よっぽど欲しかったんでしょうね。

 

「あくまで呪符用高級紙のお値段ですよ。

低級紙は200枚で100ドラクマ、日本円にして5千円、1枚25円ですね」

「それも結構高いわね……」

 

実は高級和紙もそのくらいします。

刹那さんが式神に使用している低級呪符紙は、大体1枚1000円ほど。

こちらも結構値が張るのです。

魔法の系統がかなり違いますから、一概にどちらが高級品とは言えませんが。

まあ、こういう魔術系の品物でも、日本製のものはかなり品質が良いのですけれどもね。

 

「いやー、魔術系の高級品なんてこんなもんッスよ。

妖怪退治とか、結構命懸けになることも多いって話だし」

 

これはチビ美空さん。

 

「確かに、魔法具は総じて高価ですよね。

命懸けの戦いの時には、高級品で固めておきたいものですし」

 

チビ佐倉さんの言葉に、私は思わず視線を反らしました。

 

私が今まで使用してきた呪符用の紙は、400枚150円のプリント用紙なのですが……。

さすがにそんなことは言えません。

ほぼ修行用にしか使っていないのですけれども。

 

というか高音さん、その高級呪符紙、魔法世界でしか使用できないということを忘れていませんか?

 

というわけで呪符紙の調達も終えて、私達はケフィオ・タウンを離れます。

5日ほど滞在していましたから、結構長居になってしまったのです。

 

 

 

 

 

 

 

私達はさらに南へ下り、南端の港町から海を越えて、廬遮那(ルシャナ)という国へ向かいました。

名前の響きで分かるように、仏教系の国です。

 

この国は20年前の『大分裂戦争』の際も中立を保っていましたが、元からヘラス帝国からは距離があり、戦火は及んでいません。

人口はそれなりですが、国全体に博愛主義が浸透しており、組織されている軍隊も最低限の守備に限定されているという、平和な国です。

 

もちろん、捏造設定(オリジナル)ですが。

まあ、そんなところでトラブルがあるわけもなく。

 

 

 

3日後、再びの船旅はアル・ジャミーラへ。

オスティアの南の島国です。

 

「お、これってコタ君じゃね?」

「えっ、ウソウソ、マジで?」

 

そこのホテルで長旅の疲れを癒していたところ、テレビに拳闘チームC班の姿が映っていました。

 

「なるほど、そういうことになったのか……」

 

フェイトさんが呟きます。

 

拳闘試合は2対2のタッグマッチが原則です。

ですので、2人1組でチームが組まれるわけですね。

 

まず、小太郎(ちびいぬ)君と古菲(きんくろカンフー)さん。

実戦を重ねて鍛えたいという願いを持っていたのは、このお2人です。

ですので、この組み合わせは予想の範疇でした。

ちなみに、双方大人バージョンです。

 

その対戦相手は、(タマキ)さんと(ホムラ)さん。

確かに、竜人族と精霊化技能の持ち主。

お2人とも、決して弱くはありません。

こちらも、双方大人バージョン。

いずれも美男美女ですね。

 

おそらく調(シラベー)さんは種族的に問題があり過ぎるために、出場を見送ったのでしょう。

彼女は、原作でも出てきた通り、森の賢者(ドルイド)系の有角人種です。

その角は高価な霊薬の材料となるため、故郷の村ごと乱獲され、滅ぼされました。

彼女はその最後の生き残りです。

バレれば、賞金稼ぎの格好の的になってしまいます。

拳闘どころではなくなるのですよ。

 

「これはなかなか、面白い展開になりましたね……」

 

私は口許(くちもと)に笑みを浮かべて呟きました。

 

 

 

何がどうなったのか、という質問は野暮というものでしょう。

拳闘大会への参加は、やり方さえ知っていれば個人でも可能なのです。

当然ながら、1つの拳闘団から2チーム出場することも可能です。

その両方が強かった場合、地方大会の決勝でぶつかることは十分考えられます。

 

そういえば、今は原作では魔法世界に入る前です。

その時期にグラニクスでどんな拳闘試合が繰り広げられていたのかは、原作にも描写がありませんでした。

拳闘の世界大会、『ナギ・スプリングフィールド杯』の約1ヶ月前です。

それに合わせた地方大会があっても、一応おかしくはありません。

 

「これって、何がどうなったの?」

 

チビ明日菜さんが訊いてきました。

 

「別に、特別なことではないでしょう」

 

チビ高音さんが言います。

 

「拳闘チームで、実戦を積んで強くなりたいという想いを持っていたのが、小太郎さんと(クー)さんだけではなかったということです」

「ま、そういうことでしょうね」

 

私は頷きました。

 

「テレビ越しだけど、両方とも相当に鍛練を積んでいることは見て取れるね」

「小太郎君、大丈夫なんでしょうか?」

 

チビ佐倉さんが呟きます。

 

「え、何が?」

「だって、あの子、女の子と戦うのが苦手なんですよ?」

 

チビ美空さんが聞き返すと、チビ佐倉さんは答えました。

 

「確かに、表情が硬く見えるわね……」

 

テレビ越しなのに、チビ明日菜さんの2.3の視力が光ります。

色々とおかしいんですよね。明日菜さんの基礎能力は。

フェイト少年曰く、『『人形』ならあんなもの』だそうですが。

 

 

 

試合が始まります。

小太郎君&古菲さんVS(ホムラ)さん&(タマキ)さん。

時間無制限タッグマッチ。

 

試合開始と同時に、小太郎君達が炎の爆発に巻き込まれました。

 

「ああっ!?」「何今のっ!?」「えーっ!?」

(ホムラ)さんだね」

 

皆さんが驚く中、フェイト少年が冷静に分析します。

 

「彼女は『炎精霊化』という技法を習得している。

それを応用すれば、視線の先にある空間を『火』で満たすこともできる」

「それが、傍から見ればあんな風に見えるわけですね」

 

私も動じません。

 

しかし、試合はさらに動きます。

(タマキ)さんが竜に変化を始めたのです。

巨大な尻尾で、爆炎から飛び出してきた小太郎君の『狗神』を叩き落としました。

 

次いで、大地を踏みしめる轟音と共に飛び出してきたのは、古菲(カンフー)さん。

瞬動術で、そこそこの間合いを一気に詰めます。

狙いは……。

今、小太郎君の『狗神』を薙ぎ払った、尻尾。

 

巨大化した尻尾が一撃され、(ドラゴン)の巨体へと変化した(タマキ)さんの体ごと、数メートル吹き飛びます。

さらに、ここから『虚空瞬動』で追撃。

吹き飛んでいる本体に、鉄山靠(てつざんこう)が入りかけますが、辛うじて(タマキ)さんは腕でガード。

しかし、その防御が弾かれます。

 

さらに追撃、といったところで、(ホムラ)さんによる援護が入りました。

視線による空間爆破。

(タマキ)さんを少し巻き込みましたが、あのままでは(タマキ)さんはKOされていたでしょう。

良い判断です。

 

「今のって……」

「今のは、瞬動の『抜き』と発勁の震脚を同時にやったのか……」

「いわゆる、『瞬動勁』ですね」

 

これはラカンさん曰く、神鳴流の剣術のような、一つの流派の基礎となる技になりうる、汎用性と応用性に満ちた技だそうです。

これを完成させるだけで、下位竜種くらいなら軽く倒せるようになると言っていました。

今、竜化した(タマキ)さんは、現実に倒されかけていましたね。

『虚空瞬動』も使っていましたし、完成したのでしょうか?

 

ちなみに魔法使いにとっても、とても恐い技ですよ。

『虚空瞬動』で密着状態になり、そこから純粋物理攻撃である発勁が撃たれるわけですから。

原作にもある通り、密着状態では魔法障壁の防御力が半分以下になってしまいます。

つまり、痛みなどですぐに意識が飛んでしまう私では、一撃で失神してしまうかもしれません。

もし耐えることができたとしましても、続く追撃でダウンは必至でしょうね。

精霊囮(デコイ)などで回避する以外に、方法がありません。

 

 

 

試合は続きます。

 

今度は小太郎君が仕掛けました。

まずは無数の『狗神』を飛ばします。

これは牽制ですね。

50体くらいいますが。

 

そして竜化した(タマキ)さんへ、高めた気の一撃を加えます。

『狗音爆砕拳』と言ってましたっけ、彼のは我流ですから、命名も中二っぽいのです。

それは置いておきまして。

 

腕のガードの上から強引にいきますが、今度は(タマキ)さんの防御は崩れません。

同時に『狗神』の群れを(ホムラ)さんの空間発火が薙ぎ払い、その隙に古菲(クーフェイ)さんが体勢を立て直します。

小太郎君の攻撃そのものが牽制打だったようですね。

 

その後、小太郎君は(タマキ)さんを重点的に攻め、古菲(クーフェイ)さんは(ホムラ)さんという形になりました。

竜化した(タマキ)さんは耐久力と攻撃力、何より制圧力が高く、自由にさせておくことができません。

ただし、(ホムラ)さんは炎精霊化しており、物理攻撃が通用するようには見えません。

 

私の懸念は的中し、炎の塊となった(ホムラ)さんは、古菲(クーフェイ)さんの攻撃を受けても平然としていました。

さらに、それをいいことに、(ホムラ)さんは古菲(クーフェイ)さんを無視し、小太郎君に攻撃を集中させます。

 

その結果、2人の攻撃を受け切れなくなった小太郎君は、竜化した(タマキ)さんの張り手を受けて、壁に叩きつけられました。

いえ、足から着地しています。

そして獣化。

ようやくエンジンがかかってきたというところでしょうか。

 

ついでに、フリーだった古菲(クーフェイ)さんが『瞬動勁』で(タマキ)さんを攻撃、最初のように対応して(ホムラ)さんが撃ち落とそうとします。

その一瞬を狙ったかのように、獣化した小太郎君が(ホムラ)さんに急接近し、『狗神』を至近距離から叩き込みました。

さすがに炎精霊化していても、これは効きます。

 

(ホムラ)さんはノーガードで『狗神』を受けつつ援護を優先しますが。

ダメージを受けて狙いを付けるのが遅れた一瞬で、小太郎君の手で視界を塞がれました。

 

(タマキ)さんも古菲(クーフェイ)さんの危険性をその身で認識していたため、横殴り(フック)で逸らそうとします。

が、古菲(クーフェイ)さんが懐に飛び込むのが一瞬早かったのです。

『瞬動勁』とは、そういう技ですしね。

 

結局、『瞬動勁』の連打が決まって、(タマキ)さんがダウン。

都合、小太郎君と(ホムラ)さんの一騎打ちとなりましたが、獣化した小太郎君の速度を捉えることができず、影を纏った当て身を食らって、(ホムラ)さんもダウン。

そのまま20カウントKOとなりました。

 

解説につきましては、次話とさせていただきます。

 

 

 

 




本日の経過

アル・ジャミーラにて拳闘地方大会の模様を観戦!

以上。

つづく



小太郎君の表情が硬いと言った明日菜の言葉は、結構後に証明されます。

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