【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
赤とんぼの季節なのです。
身内同士での拳闘試合をテレビで見ました。
「なんとか
明日菜さんは複雑な表情です。
ほとんど交流がないとはいえ、一応は仲間同士ですからね。
「地方大会の決勝戦のようですね」
「それくらいじゃないと、こんな離れた場所でやらないっしょ」
「彼女らも、頑張っているようですね……」
それぞれ、感想を述べました。
「とはいえ、犬上小太郎のアレは少しまずいかもしれないね……」
フェイトさんだけは、真顔で呟きます。
「なによ、いちゃもん付ける気?」
「アスナ突っかかるね~」
チビ美空さんは置いておきまして。
「何がまずいとおっしゃるのですか?」
これはチビ高音さん。
「細かいことかもしれないけれどね」
彼は前置きをしてから、話します。
「あの4人の中で、最も強いのは犬上小太郎だろう。
京都で仲間になっていた時よりも、格段に強くなっている。
驚くべき成長だ。
だが今の試合、彼は本気を出していない。
だから、こうまで長引いたんだ」
「それの何が問題なの?」
フェイトさんが少しうんざりした顔になりました。
ですので、私が説明を引き継ぎます。
明日菜さんは馬鹿ですね、本当に。
「要するに、小太郎君は油断していたのですよ。
しかも、あまり良い油断の仕方ではありません。
そういう、見た目ほど余裕勝ちしていた試合ではないのですよ」
「さすがネギさんだね。正しい認識だ」
小太郎君の油断がもう少し深ければ、あるいはあとほんの少し
「何より」
「何より?」「え、まだ何かあんの?」
「エヴァさんが見ていれば、連続転移してでも首を絞めに行くくらい大激怒するでしょう」
「あ」「あー……」「それはありえますね」
容易に想像が付くことです。
「ジャック・ラカン氏は、大雑把なところがあるからね」
「その辺の教訓を与える意味でも、この試合の録画映像は永久保存しておきましょう」
「異議なし」『かしこまりましたわ』
「えー」「えー!?」「ウーン……」
唸る人、驚く人、考え込む人、それぞれですが、とにかく黒歴史にすることは確定です。
さあ、これをエヴァさんに見せた時、小太郎君がどうなるか。
今から楽しみなのですよ(黒笑)
さて。
これからすることですが、基本的に今までと変わりません。
逃避行を続けつつ、修業の毎日です。
私は引き続き、最上位精霊の術式の最適化と、新戦術の構築。
同時に『千の雷』も詠唱時間を短縮して、威力と魔力効率を上げていきます。
現状では25発で魔力切れを起こしますからね。
30は連続で撃てるようになっておきたいのです。
こうすることで、最上位精霊への
ちなみに、原作では拳闘の世界大会、『ナギ・スプリングフィールド杯』決勝の時点で、原作ネギ少年の限界数は5発だったそうです。
軽く5、6倍ですが、最上位精霊というのがとにかく魔力食いですので、同時ということになりますと、さすがに私も5、6発が限界になると思いますよ。
同時に、戦術も組み立てます。
最上位精霊は、AIを組むのも一苦労ですからね。
今の内に完成された戦術を整えておく必要があるのです。
また、明日菜さんも主戦力になり得ますから、『咸卦法』の運用効率を上げたり、神鳴流の技を連打できるように練習したり、色々と強化していただきます。
高音さんも同様です。
彼女の場合はえげつない戦術の構築と、魔力の運用効率の向上ですね。
私も油断すれば負けかねないほど強くなっていますし、後は戦術次第で大化けすると思います。
元々、原作からしても思い切りが良い人ですしね。
美空さんは基本的に瞬動術などによる走り込みです。
船の上だろうとも海の上だろうとも、ココネさんを肩車して縦横無尽に駆け回り、逃げ脚を鍛えます。
もちろん、嫌がらせ魔法、障壁破壊の矢なども練習しています。
そしてココネさん。
元々念話系能力が高く、普通は捕捉できない魔力の波長を感知できる特技の持ち主なのです。
これにつきましては原作準拠ですね。
ですので、現在は戦闘は捨てて、瞑想などで人間レーダー能力を伸ばしています。
戦闘を捨てているといいましても、魔力効率を上げる修行は普通に行っていますけれどもね。
将来的には従者の美空さん共々戦闘方面も伸ばす予定です。
まあ、そこまで私は見ませんけれども。
最後に佐倉さんです。
彼女は戦闘につきましてはほどほどですね。
現状でも、実戦では美空さんより少し弱いくらいですし。
代わりに、私やフェイト少年から色々と教わって、調査や治癒の魔法を重点的に、交渉技術など、魔法以外の技能についても鍛練を積んでいます。
元々秀才ですから、呑み込みが良いのですよ。
多分、高音さんよりも。
将来的には、役割分担をすることで良いコンビになるんじゃないでしょうか。
結構ビビリですが。
そしてXデー。
地球時間8月10日。
当然、それは大きなニュースとなり、
その10日前に、
これによって、『デュナミス』さん達を止めることができる勢力は、私達以外にいなくなったのです。
「ついに来たわね」
「あっちの計画が筒抜けってのも、変な感じですね」
「とにかく新オスティアへ向かいましょう」
私達は、各地で修業をしていた仲間達と合流すべく、オスティアへと向かいます。
堂々と、魔導飛行船で。
「今まで、『敵』が張ってるかもしれないってことで、空の移動は避けてたじゃない?
それなのになんで今回は飛行船なの?」
「こうなっては、最早
さすがに彼らも、『デュナミス』の計画に気付くだろうからな」
「気付かなかったらどーすんの?」
「はっきり言ってしまいましょう。
「そんなっ!」
私は続けて言いました。
「そうしなければ、計画の根幹である
「どうして、そんなことを今頃言うのよ!」
「そうです!助けられたかもしれないのに!」
明日菜さんと高音さんが責めてきます。
「助けていれば、『デュナミス』なら『虐殺』に踏み切っただろう。
気付かせないことができなければ、極力混乱させる。
テロリストの
どちらが多くの命を救えるか、考えるまでもない」
フェイト少年は冷酷に告げました。
「ですが、助けました」
「は?」「え?」「え、ええっと……?」「いや、無理だろう?」
私の言葉に皆さんが戸惑っています。
中々良い表情をしますね。
「ちょっと
私はニッコリと、とびっきりの笑顔をして見せました。
「うわ、黒っ!」
失敬な。
「今度は何をやってくれたっての?」
「そうですねえ。合流してからお話しますよ。
長いお話になりますので、そう何度も説明するのは面倒臭いですし」
これは本音です。
計画の全貌を話すことになりますからね。
下手をすると1日がかりになってしまうかもしれません。
「僕としても、色々と聞きたいことはある。
今聞きたいのは、『デュナミス』が『虐殺』を始めるのかどうかだ」
当然、気になるところですよね。
可能な限り人死を減らす、そのために元老院首脳部殺害の可能性について黙っていたのですから。
それを私が手を回して壊してしまった可能性があるのです。
「大丈夫です」
私はフェイト少年だけでなく、皆に対して言い切ります。
「『虐殺』など、私の計画に重大な影響が出るようなトラブルがあった場合、何らかの方法で連絡が来ることになっていますが、まだ来ていません。
また、予定通りの日時に
これは、『敵』が私達の動きに気付いていないことを意味しています」
「それは、例の『隠し玉』かい?」
「はい」
私は頷きました。
「それって、結局死人は出てないってこと?」
「少なくとも、元老院首脳の方々は生きているはずです。
『デュナミス』さん達が行った非道を暴露する、大切な証人ですからね。
ただし、それが彼ら自身にとって幸運かどうかは、彼ら次第です」
「……」「……」「……」「……」
政治家にとって信用と信頼は命より重いものです。
それを忘れて脅しに屈したのだとすれば、その報いは受けるべきなのです。
人の血税を吸い上げて生きる寄生虫は、権力の後ろ盾を失った瞬間、クズに戻ります。
塵は塵に、灰は灰に、屑は屑に。
それが政界の摂理です。
ならば、せめて後腐れなく、この世から消えていただきましょう。
すべての罪を償った上で。
「ま、ともかく今はオスティアです。
ある程度待つことになるかもしれませんが、そこは我慢してください」
個室の窓から外を眺めますと、浮遊島の姿が見えてきました。
国土を構成する大半の浮遊島が大地に落下し、滅んだウェスペルタティア王国。
落下を免れた数少ない浮遊島の中で最大級であり、王家の所有する離宮があったこの島こそが、かつてのウェスペルタティア王国首都オスティアの名を冠する、『新オスティア』なのです。
同時にそこは、血塗られた謀略の地でもありました。
王国の滅亡と引き換えに世界を救った女王が、メセンブリーナへの難民の受け入れや支援を求め、それと引き換えにすべての責任を押し付けられての処刑が決定したのが、この島なのです。
現在はメガロメセンブリアの信託統治領。
20年前に起きた『災厄の女王』の真実を知る人は、ほとんどいません。
まあ、今は『デュナミス』さんに集中しましょう。
本日の経過
魔法世界側の転移門破壊事件発生!
計画通り。
以上。
つづく
この辺、いくつか話を抜いてもよかったかもしれません。
最近は、小説を書いてると話を引き伸ばそうという心理が働くんですよ。