【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
2日後、拳闘チームB班が合流しました。
「見たわよー、グラニクス大会の決勝戦」
「えー、ホンマかー!?」
「マジマジ、竜族なんて超強いのに、一歩も退いてなかったじゃん」
「ハハハ、見られとったんかー。こりゃ思たよりハズいなー」
「ハハハ」「ハハハ」「ハハハ」
明日菜さんと早乙女さんがおだてると、小太郎君はすぐに調子に乗ります。
やはり良くない傾向ですね。
「20秒で勝てる相手に3分もグダっておいて、自慢できることではありませんよ?」
「いや、それなんやけどなー……」
「言い訳は後ろの御仁にお願いします」
「うっ――!?」「ひぃっ!?」
小太郎君の背後には、般若の表情のエヴァさん。
既に試合の映像は見せてあります。
「ちょっと待ってくれ」
そこで、なぜか止めに入ったのはラカンさん。
「止めるのか貴様!
大体、貴様がついておきながら、あの体たらくは何だ!?」
「それについちゃ全面的に俺が悪いんだ」
食ってかかる金髪幼女に、神妙な様子の筋肉達磨という、奇妙な構図です。
「実はよ、あの試合の当日、いつも通り稽古してたら、力が入り過ぎちまってな……」
「あの試合な、俺、記憶がないねん。
最初っから最後まで。
試合の映像見ても、思い出せれへん。
多分、意識が飛んでても、攻撃されたから反撃してたんやと思うんやけど……」
「それで、試合の後に吐血しながらぶっ倒れちまってな。
いやー、あん時は焦ったぜ……」
「……」「……」
私達は唖然とします。
まさかまさかの裏事情でした。
そういえば、常に攻撃を受けてから、攻撃を仕掛けた人に反撃してましたっけ。
戦術も何も滅茶苦茶だったのはそのせいですか……。
「せやから、あんま勝ったっていう実感ないねん。
そんなんを誉められても、どういう顔してええかわからんねや」
小太郎君は苦虫を噛み潰したような顔で言いました。
「というか、そんな状態の小太郎君を拳闘試合に出したのですか?」
「いや、実際勝ったんだし、良いじゃねえか」
「お仕置きとしまして、最上位精霊のAI調整の的にさせていただきます」
「え、最上位精霊はさすがにちょっと痛い――」
「それを断るなら、私の『
「えー?」
「良いですね。仮想マリスさんにもってこいですし。
皆で見学させていただきましょう。
今回はラカンさんに非があるわけですから、拒否権はありません」
「マジかよ……」
というわけで、まさかの模擬戦カードが急遽決まりました。
自業自得なのです。
「一体、何が始まるんです?」
「
「簡単に説明すると、ジャック・ラカンが意識のない犬上小太郎を無理矢理拳闘試合に出場させたので、そのお仕置きです」
説明するのは、角の生えた希少亜人種、
髪が長く、大人っぽい雰囲気の少女で、糸目が特徴の人です。
原作ではバイオリンで音波攻撃をやっていました。
背が高い印象があります。
「やっぱりこうなったわね」
「決勝をぶち壊した、当然」
特に感慨もない様子の金髪ツインテールの
「お2人は、ラカンさんがやらかしたことについて、ご存知のようですね」
「試合開始時に、すでに様子がおかしかったわ。
女の方を速攻で倒して様子を見ようって思ってたんだけど、軽い反撃が来て戸惑ってるうちに、1人本気な女の方にやられて、後はなし崩しね」
「理由は試合の後に聞いた。
代役は許されているし、代役がいないこともなかった」
「なるほど。無理をさせる必要もなかったということですね。
――本当にやることが無茶苦茶です」
言っている間に、模擬戦は始まります。
ルールは、的役のラカンさんが受けるか避けるかに徹し、反撃についてはNGということになりました。
それに対して、エヴァさんは『
まあ、そう簡単には死なないでしょうし、殺して死ぬような人でもありませんので、死にはしないでしょう。
死ななきゃ安いのです。
「“
『
『
原作の最終盤に行われた模擬戦で出てきた、エヴァさんの本家『
『
それらの数多くの二つ名の由来となった技法です。
古来、ヨーロッパは寒い地方です。
それゆえに太陽は善なるものと捉えられてきました。
逆に、氷の神というのはほとんど存在せず、氷属性は大抵怪物か悪魔、神の敵です。
エジプトやサウジアラビアなどのアラブ地域では、この関係が逆転しますので、調べてみると面白いかもしれませんね。
主にヨーロッパにいたエヴァさんが世間から追い回され、巨額の賞金をかけられたのも、得意属性が無関係ではないと考えられます。
最終的には暗黒大陸、つまりアフリカの奥地、一般人が迷い込んだりしない地域にお城を構えて、吸血鬼狩りだけを相手にしていたようです。
そうなるまでに御世話になったのが、この『氷の女王』というわけですね。
そのアフリカの奥地に構えていたというのが、今回の魔法世界行きの際に持ち込んだ、ジャングルエリアこと『レーベンスシュルト城』です。
便宜上、『別荘』と呼んでいましたが、スパやプールが完備している初期のものとは別です。
「ま、珍しいもんが見れただけでも、よしとするか……」
対するラカンさんは、すでに諦めムード。
まあ、ルールがルールですし。
さて。
解説しておきましょう。
「あれが、
「私も見るのは初めてです。
凍結させた範囲内では、中級以下の魔法が撃ち放題。
しかも技後硬直なしという、チート性能だそうです」
今も眼下では湖が氷に閉ざされていき、氷結の範囲が拡大しているのがわかります。
「なんという凄まじい魔力……」
刹那さんが呟きました。
『斬魔剣・弐之太刀』を詠春さんから教わっていて、現時点で実戦で使用可能な程度には、修行も進んでいるそうです。
原作から考えますと、明らかに強化されていますからね、
この1ヶ月で実戦を積み、さらに強化されているのが見て取れます。
強さとは何かとか、悩むようにもなっていますが。
少ない頭で色々と考えているようですね。
真面目な人ですし、悩みは早々尽きたりしないのでしょう。
「アンディ坊主も、あんなことできるアルか?」
これは口調から分かる通り
「一応、『千の雷』を『術式装填』できるようにはなってますけど、まだ『アーウェルンクス』を相手にするには問題があって、それを解決するのに苦戦しているところです」
「へー……」「ホー……」
アンディの説明に古菲さんと明日菜さんが感心していました。
ということは、『雷天大壮』については習得済みということでしょうか。
ここからは原作情報を作者なりに解釈した内容です。
『
この場合は、術者の肉体と魔力と属性です。
魔力と属性の部分を合わせて魔法と呼ぶこともあるかもしれませんが、それは本来、肉体とは融け合いません。
それを、闇属性の魔力に溶かして肉体と融合させるのです。
もちろん、そんな状態を長く続ければ、肉体が闇属性に溶けてしまい、魔力と融合したまま戻らなくなる危険があります。
ですから、ある程度で留めるか、もしくは闇に溶けて機能しなくなった肉体の部分を、自分で補填する必要が出てくるのです。
それが、原作で散々言われていた、『
『ネギま!』世界の魔法は、錬金系、魔力から様々な物質を創造するのが基本ですからね。
自分の肉体すらも、創り出すことが可能なのです。
それが進行し、あり得ないはずの肉体の部位を創り出し、戦闘の武器として尖鋭化する。
それが『魔物化』です。
この『魔物化』、肉体が魔力で出来ている状態ですから、感情に左右されて人外の怪物と化しやすいようです。
そして、この状態で殺人など、それまでの価値観を大きく揺るがす、要するに自分を見失うような精神ダメージを受けると、そのまま自分の姿を見失ってしまいます。
原作で『堕ちる』と言われていたのは、これです。
さらに補填が進行し、また自分の肉体が完全に魔力製に置き換わり、それを制御できる状態になりますと、『不死化』となります。
いずれにせよ膨大な魔力が前提となりますが、そうなった者を殺すのは非常に難しいと言わざるを得ないでしょう。
いずれも術者は自身の感情をフラットに保つことが求められ、その精神性が問われます。
そうしなければ、自分の姿を失って消滅してしまいますからね。
ただ、その見返りは大きく、自分の肉体に属性による効果を付与できたり、術式を仕込んで様々な付加効果を追加したりできます。
エヴァさんの『氷の女王』も、原作ネギ少年の『雷天大壮』も、そうやって属性と追加の効果を付与し、安定するように調整したものとなります。
また、『闇』に魔法を溶かすという技術を応用することで、魔法同士を融合させることも可能です。
これも原作に出てきましたね。
メリットだけ聞いていれば、相当高い
最上位精霊が霞むくらいには、あちらも
「戦術的に解析しますと……」
私は言いました。
「典型的な物量攻撃型ですね。
防御は不死身の肉体に任せ、殲滅力に特化したスタイルです」
擬似的な闘技場となっている湖上では、エヴァさんの氷の竜巻『闇の吹雪』が十数本、ラカンさんを呑み込みます。
これでも割と平然と耐えている彼も、『バグキャラ』の異名を納得させる程度には凄まじいですね。
「スゴイ……」
皆、最初は死んだだのやり過ぎだのと騒いでいましたが、時間を経るにつれ、言葉数が少なくなっていき、今では黙って模擬戦の様子を真剣に見つめていました。
ただし。
「もしかすると、彼女ではマリスには勝てないかもしれない」
「え――?」
私が振り向いた先にいたのは――。
そう呟きを漏らしたのは――。
白い少年、フェイトさんでした。
もしかすると、私は『リセット』を引き起こした
本日のお仕置き
ジャック・ラカン、稽古中に弟子に怪我をさせ、なおかつそのまま試合に出場させたため。
以上。
つづく
フェイト少年の最後のセリフは、完全に見切り発車です。
この時点でマリスがどういう風に強いのかは、決めていませんでした。