【ラスボス】外道幼女が行く、ネギま平行世界【逃げて】 作:ひろっさん
「こうして『オクラ式包囲陣』を展開するのも久し振りですねー」
「相変わらずの物量だよね。
いや、前より最大展開数が倍に増えてる気もしなくはないけど」
「最上位精霊の召喚に成功したことで、
以前はこの数は無理でしたし」
「あ、やっぱりそうなんだ?」
割と他愛のない会話をしているように見えますが、アンディは6体の上位精霊と108体の中位精霊に囲まれています。
それでもこの余裕ですよ。
1ヶ月前はこの半分で、お互いに悲鳴を上げていましたからね。
この1ヶ月、実戦を積んだりエヴァさんにしごかれたりで、アンディは別人のように強くなっていました。
『雷天大壮』が使用できるのが大きいようです。
ただ、まだ『雷天大壮2』や『敵弾吸収陣』は使用できないようで。
「さあ、いきますよ。
“ラ・テル・マ・キル・マギス、
『
詠唱の内容は、ケルト神話のゲイボルグそのものですね。
影の地の女王である女戦士スカサハは、クー・フーリンを養子にして戦士として育て上げ、同時に男として愛していたようです。
魔槍を与えたのも、愛がゆえという話ですが、肝心のクー・フーリンは別の女性と結婚してしまいます。
まあ、ケルトや北欧の神話には、そういうお話は珍しくもありませんが。
30の棘というのは、散弾的な解釈が主流です。
私が展開したのは、その15倍以上ですが。
500本を直径5メートルに密集させて射出するのです。
これは、エヴァさんが大回りでなければ避けられなかった密度。
「甘いよ!」
「“
白い雷と化し、雷の速度で雷の槍衾を抜けてきたアンディを、虹色の光が塗り潰しました。
彼我の距離は数メートル、思いっきり巻き込んでいます。
「“本物だと思いましたか?”」
『私』の姿から、白く色が抜け落ちました。
一方のアンディは、『マスタースパーク』を避け切れなかったものの、障壁を貼ることで直撃は避けたようです。
「なっ!?でも、今魔法使って……?」
「“最上位精霊による分身体使役、『
学園祭の時にアルさんが使用していた分身体と、ほぼ同じものですよ”」
アルさんは物質をすりぬける半実体化や透明化、瞬間移動までこなしていましたが、駆け出し最上位精霊使いとも言える今の私では、そこまではできません。
以前から練習はしていたのですが、最上位精霊の召喚に成功する前は、魔法を使用してなおここまでの密度を維持するのは困難でした。
ああ、もちろんですが、アルさんが最上位精霊を召喚できるというのも、学園祭の時の分身体がそうであるというのも、捏造設定ですので悪しからず。
「“デフォルトで自弾吸収、術者の最高ランクより1つ下の魔法が使用可能です。
ただ、相当に熟練していなければ、本体の使用可能な魔法が制限されてしまうという、デメリットも抱えています”」
「え、じゃあネギの本体を探せばいいんだ?」
「“そう簡単に発見させると思いますか?”」
「だよねー!」
私が大量の
木を隠すなら森の中、です。
「ボクだってそう簡単にはやられないよ!
そのために、色んな技を学んできたんだからね!」
そう言って、アンディは両手で印を組み、3体の分身体を生み出しました。
「“影分身ですか。そういえば、長瀬さんと同じ班でしたね”」
原作中では、この時点で忍術には手を出していなかったはずです。
卒業後、忍術に手を出したらしき描写はありましたが。
ただ、見たところ、やはり完成度はそこまで高くはない感じです。
『別荘』があったとはいえ、さすがに1ヶ月ではそこまで上達はしませんでしたか。
しかしそれは同時に、ある懸念を抱かせる材料となります。
つまり、『気配断ち』を使用できるのではないかということですね。
私も、6年間アンディ対策として鍛練を積み重ねてきたからこそ可能な『気配断ち』ですが、アンディがどの程度まで習得しているかは未知数です。
何せ、原作ネギ少年役ですからね。
私より下のレベルでなら習得している可能性があります。
「“ただ、私には『精霊解放』があるということをお忘れなく。
「うわっ!?」
上位精霊を高速で接近させての『精霊解放』です。
『烏天狗少女』でしたら、『雷速瞬動』ができない分身の方にも接近できますし、消し飛ばすには1体分で十分でしょう。
巨大な竜巻がアンディの分身を呑み込み、消滅させました。
解放した分の魔力の2割ほどは、私の姿を模した最上位精霊が吸収します。
「“『雷速瞬動』は、確かに厄介ですね。
逃げに回られては、捉え切ることができそうもありません”」
「これでも、頑張ったからね!」
「“ただ、意識の外側からの攻撃に対しては、速度は無意味です”」
「――!?」
「“
虹色の閃光を避けたところに、高威力の範囲魔法です。
展開している上位精霊が、ちょっとしたファンネル扱いですよ。
その癖、味方撃ちを気にせずとも構いません。
本体を巻き込まないようにだけ、気を付けていればいいでしょう。
『雷の暴風』は防がれましたが、アンディの足を止めることには成功しました。
自分が放った魔法の中を突っ切って敵に接近するなどという真似も可能です。
普通は技後硬直とか色々な事情から、そういうことはできないのですけれどもね。
そして、超圧縮された魔力の塊ですから、ただのパンチでも相当な威力が出ます。
「ぐふっ!」
私の
ある程度は魔法障壁で軽減されましたが、結構いい手応えです。
ここが『
『雷の暴風』と同時に攻撃が入りましたから、
が。
蹴りを入れた足を掴まれます。
「へへ、隙あり。
“
『千の雷』のエネルギーを一点に集中させ、体当たりと共に放つ、『雷天大壮』状態限定の必殺技です。
蹴られた高位分身体の足を掴んでの、ゼロ距離。
これはいくら最上位精霊とはいえ、やられてしまうかもしれません。
アンディの身を切らせて骨を断つ、起死回生の大博打でした。
これを使用すると、『雷天大壮』が解けてしまいますからね。
要するに、近付いてくるのを待っていたのです。
「“甘い!”」
私は障壁を配置して、芯をズラします。
完全に防ぐことは無理でも、ダメージを軽減し、
というわけで、遠慮なくやらせていただきます。
「“
『精霊解放』の大盤振る舞いです。
高位魔法使い程度でしたら、灰も残りません。
ですが、今のアンディなら、この連打でも耐えてくるでしょう。
ちなみに『精霊解放』の合言葉は、すべて『東方Project』のスペルカードです。
知らない人はこれを機に調べてみると良いでしょう。
まあ、これだけやったのなら、勝ちますよ。
最上位精霊には、無条件で自弾吸収能力が付くのです。
上記3つの『精霊解放』には、
とはいえ、少々追い詰められていたのも事実でした。
今の私では、最上位精霊をそう何度も召喚できないのです。
もしもここで最上位精霊がやられ、なおかつアンディが余力を残していれば、さすがに『雷天大壮』を破る手段がなくなってしまいます。
「『巻物』の中じゃなかったら、何度か死んでたかな?」
「どうでしょうね。
痛みはあれどもダメージ感がそれほどないのは、
内部で3時間程度の模擬戦を行った私達は、外で軽く体を動かします。
あまり長時間『巻物』を使っていると、特に私の場合はまた、乖離症状が出てきてしまう危険がありますからね。
「『雷天大壮』は破格の大技ですが、フェイトさんクラスになりますと、それだけでは勝てないかもしれません」
「うん、
『今のままでは時間稼ぎが精々だ』って」
アンディは八卦拳の型を練習しながら、頷きました。
「やはりエヴァさんは隙がありませんねー。
それで、何か案はあるのですか?」
「『
ほら、ネギもよく属性自弾吸収ってやってるでしょ?」
「ええ。あらかじめ精霊の方に、属性に合わせた術式を組み込んでおいて、それを
「うん、それで肝心の問題なんだけど、『雷速瞬動』と『雷化』とか、その他諸々で、『千の雷』1つじゃ一杯一杯なんだ」
要するに、術式を積み過ぎて、容量が足りなくなっているということなのです。
私も以前、中位精霊に速度上昇の術式をガン積みして、強度と攻撃力を犠牲にしていたことがありますが、それと似たようなものですね。
「そこで」
アンディは言いました。
「『千の雷』をもう1つ装填してみればどうかと思って、色々試してる」
『雷天大壮2』のフラグが、すでに出来上がっていたようです。
「実はまだまだ実験段階で、模擬戦でも使えないような有様なんだけどね」
赤毛の少年は、はにかみました。
こうしていると可愛いですね。
ラッキースケベ体質でなければ、禁断の恋に目覚めていたかもしれません。
ええ。
やられましたよ。
「クシュン」
「――!」
「ご、ゴメ――っ!」
「死ぬがよいのです!」
露出した胸元を抑えて、私はアンディの股間を蹴り上げます。
悶絶して倒れ伏しますが、無視して吹っ飛んだ服を回収します。
その時。
「やっほー!やってるー?てかヤッてるー!?」
早乙女ハルナさんが部屋に入ってきました。
背後に
目的はアンディでしょうか?
「えー……うん。私も混ぜ――!?」
「“
飛び込んできたところを、突風障壁で弾きました。
「まったく、何をどう考えればそんな結論に達するというのですか!」
「いえ、割と見た目はそんな感じなのですが……」
「はわわわわ……」
ま、大体いつも通りということですね。
本日の10割
修行中。
模擬戦後、脱がされた報復――アンディへ金的。
以上。
つづく
復調すればまだネギ少女の方が強いという話でした。
実力差が縮まっているのは確かなんですけどね。
ガンバレアンディ。