彼らの前に立ちふさがるは、黒き竜を従う王者ジャック・アトラスだった。
俺のフィールドにはジャンク・デストロイヤーと伏せカード2枚。
なんだかんだでこの布陣を守り切れている。
円谷もミニリチュアル・グレートシャインの強力な効果で盤面はほとんど変わっていない。
ただ少しだけ疲れているようにも見える。
「大丈夫か? 連戦続きで疲れてんじゃないのか?」
「うるさい。僕の心配をするより自分の心配をしろ! お前もそんなに手札があるならシンクロ召喚するなりなんなりしたらどうだ」
「俺には俺なりの段取りがあるの!」
今の手札なら確かにスタダはだせないことはない。でも、そこからがつながらない。アクセルシンクロにつなげられるのか?
「レーシングデュエルはデュエルしていなかったとしても召喚はできる。スピードカウンターは消費するがな」
そうなのか。だからあいつ人と人のいない間にモンスター出してたのか。
「じゃあ、俺はスピードカウンターを一つ取り除いてスターダストシャオロンを召喚! スターダスト・シャオロンをリリースしてスターダスト・シンクロンを特殊召喚! スターダスト・シンクロンの効果発動! 「スターダスト・ドラゴン」と記された魔法・罠を手札に加える。俺は『光来する奇跡』を手札に加える。そのままそれを発動! 効果処理として俺は救世竜セイヴァー・ドラゴンをデッキトップに置く」
これで一応、セイヴァースタードラゴンを出す布陣にはできた。後は、相手と戦うことを想定するだけ。
デュエリストが見えたら即シンクロにつなげるしかない。
「そんな布陣で大丈夫か?」
「大丈夫だって。問題な......」
すると前の方から赤いバイクが煙をあげてこちらに向かってくる。あれって、赤馬零児の選んだDホイールじゃないのか?
「赤馬零児!?」
「君たちか......。すまない、私としたことが奇襲をうけるとは」
「何があったんだよ」
円谷が不躾に聞くと、彼はうつむきながら
「黒いDホイーラー。おそらく、君たちの戦っていたチーム5D'sのジャック・アトラスだ」
「おそらく? あなたって確か、ジャックを知ってますよね?」
「ああ。だが、私の持っているデータと違うモンスターを召喚していったため、未確定となった」
なるほど、赤馬零児のデータにないカード......。オリジナルのレッドデーモンズ・ドラゴンとかか? いや、少し名前が違うだけで未確定になるか?
「一体なんのカードだったんです?」
「確か、地縛神......という名のカードだった」
「地縛神? まさか、スカーレッド・ノヴァじゃ」
ジャック・アトラスは遊星のクリアマインドと並ぶ「バーニングソウル」を取得した。その礎となったといえるモンスター。彼がダークシグナーとなった今、地縛神をだすならそれしか考えられない。でも、この世界にも地縛神の魔の手が? いや、もっと違うものなのか?
「キミの方が私より情報源は豊富にありそうだ。このデュエル、キミに預ける。阿久津遊介」
「わかった。急ごう! 廉次郎」
「指図するな、わかっている!」
赤馬零児を背に俺たちはさらに前へ進んでいく。
するとそこには灰に近い銀のDホイールが、大きな円を描いたタイヤを履いたDホイールと戦っているのが見えた。
「ジャック・アトラスとエド・フェニックスがライディングデュエルを!?」
「エド・フェニックス、遊介をつれてきた。と言っても、今はそれどころじゃないな」
そこにはエド・フェニックスとジャック・アトラスがお互いのライフをかけて命がけの死闘を繰り広げていた。でもエドのライフだけは風前の灯火......。
「君たち、やっとボクの前に現れたか。キミから十代のことを聞くのは後だ。まずはこいつをどうにかする! 身を挺して教えてやろう。これが、彼の。ジャック・アトラスの地縛神の力というものだ!」
そういうと、エドはデッキからカードをドローした。
「ボクのターン! 僕は、魔法カード融合を使う! 手札のD-HERO ドグマガイとD-HERO Bloo-Dで融合! 父さんが遺してくれた最後のD! やはりこのカードがボクにとってのマイフェイバリットだ! カモン! DragoonD-END!」
エドのフィールドにはすでにデストロイフェニックスガイがいる。二体のエースが彼の目の前に並び立ち、地縛神を見つめる。やはりあの紅蓮の炎、スカーレッド・ノヴァに似てる。
「無駄なあがきを! スカーレッド・ノヴァが攻撃表示でいる限り、相手フィールドに特殊召喚されたモンスターを守備表示にし、効果も発動できない! 地縛神の前にひざまずくがいい!」
「デストロイフェニックスガイのモンスターエフェクト発動! 自分フィールドのカード1枚と相手カード1枚を破壊する! ボクはDragoonD-ENDと地縛神スカーレッド・ノヴァを破壊する! バトルだ。デストロイフェニックスガイでジャック・アトラスに直接攻撃!」
その瞬間、ジャックは不気味な笑みを浮かべた。なにか手だてがあるというのか?
「墓地の地縛神スカーレッド・ノヴァの効果発動! このカードの効果以外で破壊され墓地に行ったターンのバトルフェイズに発動する! このカードを墓地から特殊召喚する! 墓地より蘇れ、魂の叫びが! 我が震える魂の鼓動が贄となり、紅蓮の炎となり、今悪魔に宿らん! 復活せよ、地縛神 スカーレッドノヴァ!」
悪魔の笑いがレーン上に響き渡る。そして炎がジャック・アトラスを包み込む。その炎は彼の胸の中にしまわれる。
「そして、忘れるな。スカーレッドノヴァは自身の効果で蘇生したとき、相手に1000ポイントの効果ダメージを与える! 紅蓮の魔人の業火に焼かれて灰になるがいい! アブソリュート・バーニング!」
エドのライフは完全にスカーレッド・ノヴァの効果ダメージ圏内! これじゃ、負けるじゃないか!
「うわぁあああああああああ!」
「エド!!」
「確か、ユースケとか言ったな? ボクが負け戦をすると思っていたのか? ボクは効果ダメージを受けた瞬間! 地獄の扉越し銃を発動させてもらった! お前にも効果ダメージを与える!」
「フィールド魔法『地縛神殿』の効果発動! 自分フィールドに『地縛神』が存在する限り、相手が与える効果ダメージはすべて回復する効果とする! 神の前に小細工は通用しない! 力こそが絶対であり正義なのだ! 敗者は散れ!」
「相手にはライフポイントのダメージを小細工といいながら、自分だって使って勝ってるじゃないか」
「神の怒りに触れた貴様らが悪い。さあ、次はだれが犠牲の舞台に立つ!」
「くそっ、何もできなかったのか......。阿久津遊介! こうなったらおまえしかいない! お前がこいつを倒すんだ! ボクの敵を取るんだ!」
なんで俺ばっかり目を付けられるんだ? 今はただのアカデミア生徒だろ? 何が彼らの心を動かしているんだ? だがそれは廉次郎も同じように思っているらしい。
「どいつもこいつも僕を無視するな! 僕だってデュエリストだ! 地縛神といえど、モンスターカード。 なにか、弱点はあるはずだ! それを僕が証明してみせる! ジャック・アトラス、あんたにはターンは渡さない! 僕が先にドローする」
乱入ペナルティがないだけいいものの、普通こういうのって向こうのターンじゃない? でも結局ドローしちゃってるし......。
「僕は、手札から永続魔法『ミニチュアル・サンセット』を発動! このカードの発動処理として『ミニチュアル』魔法・罠カード1枚をデッキから選択し裏側表示でセットする。僕がセットするのはミニチュアルパニック! バトルだ! ミニチュアル・サンセットを破壊し、グレートシャインの効果発動! このターンこのカードはプレイヤーにダイレクトアタックできる! さらに、『ミニチュアル・サンセット』の効果発動! このカードがカードの効果で破壊されたとき、自分フィールドのモンスターはそのレベル×100攻撃力アップする! 攻撃力4000で直接攻撃ッ! ギガンティウム光線!」
よし、ミニリチュアル・グレートシャインは自身の効果で直接攻撃するときは相手の効果の対象にならない。いかなる効果だったとしても相手に大ダメージを与えられる!
「無駄なあがきを! 地縛神殿の効果により地縛神がある限り直接攻撃による戦闘ダメージは発生されない! 神を愚弄するような攻撃は神殿の加護により守られる! 貴様が攻撃できるモンスターはその1体のみのようだな」
「くっ、ターンエンド......」
まじかよ......。このターンで地縛神殿と地縛神をどうにかしないといけないのかよ。いやでも、待てよ。効果破壊したらアウトなら普通に戦闘で殴ればいいのか。神殿の効果は基本ダメージ回避だからモンスターは破壊できる。なら、俺のターンであのカードをやれるかもしれない!
ジャック・アトラスと戦うことになった遊介。
彼の希望は「セイヴァースター・ドラゴン」で地縛神を倒すこと。
だが、さらなる脅威が二人を襲う!
次回、遊戯王ARC-if「廉次郎散る」
デュエルスタンバイ!
登場するオリカの召喚口上で良いと思ったものを教えてください。
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地縛神スカーレッドノヴァ
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ミニリチュアル・グレートシュバルツ
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レッドデーモンズドラゴンフレアデス