そういった十代によって集められた決闘者たち。
彼らと共に今後の作戦会議を始める。
世界に危機が迫っている。その言葉は少し心に重く響いた。この世界がいびつに混じりあっている原因が、世界の危機につながっているのだとしたら世界をもとに戻していかないとな。
「とにかく、この話は放課後にしませんか? まだ授業ありますし」
「おう、いいぜ。じゃあ、放課後までのんびりしてるぜ」
「私も、その話聞かせてもらってもいいかしら? 十代」
「明日香も? まあ、いいけど」
俺は、その後赤馬と遊矢にその話をした。赤馬は前に自分が別の次元から来た人間だということを知っているし、この世界の危機ことを話せば力になってくれるかもしれない。遊矢はさっきのことも含めて話をしないといけない......。
こうして、放課後、明日香先生も仲間に入って赤馬零児、遊矢、遊星、エド、俺、そして十代さんが教室の一角で会議を始めた。
「で、世界に危機が迫ってるってどういうことです? 十代さん」
俺が首をかしげると、彼は机の上に座り始めた。
「俺が世界を旅していたとき、一瞬宇宙の波動が歪んだのを感じたんだ。それでいろんな次元の世界を見に行ったがなにもなかった」
「なにもないなら大丈夫ってことでしょ」
「いや、そうじゃなくて! この宇宙にはたくさんの世界があるだろ? ほら、マルチ......なんだっけ?」
すると、赤馬がメガネを直して答えた。
「マルチバース。この世には今の次元や常識とは異なる世界が存在するといういわゆる多次元宇宙論というもののことでしょうか」
「そうそう! それそれ! それが音もなく消えちまったんだ。そして、この世界が残った。だから俺がここに来たってわけ」
世界が、一つに? まるで超融合みたいだな。たしかにこの世界には、交わることのない遊戯王シリーズのキャラクターたちがいる。そして、俺や友崎も......。
「ちょっと待て! いきなりやってきてそんな話が信じられるわけがないだろ! それに十代、キミにはシティを暴れたという容疑がかかっている。それはどう説明するんだ」
それに関しては俺がデュエルしてるからなんとなくわかる。彼は十代と名乗る偽物だ。
「それは多分、別人だと思います。マルチバースの観点からするともしかしたらこの世界での十代かもしれませんが、俺は偽物だと思います」
「なぜそう言い切れる」
「だって、十代さんにはA・HEROなんてカード持ってませんよね?」
「なにそれ? 新たなヒーローモンスターってこと!? すげぇ! 久しぶりにワクワクするじゃねえか!」
十代さんは目を輝かせて俺にそれがどんなモンスターかしつこく聞いてきたが、この感じ昔の十代さんに戻ってる感じがしてうれしいな。
「ここはやはり、新たな槍を作る必要があるな。己の世界を取り戻すための
「ちょっと待て、零児! やるかどうかはみんなの意見で決めることだろ?」
遊矢が零児を引き留めると、いままで話に入らなかった遊星がボソッと言い始めた。
「別に俺は構わない。世界の危機ならより一層、俺たちの絆でその危機を乗り越えるべきだと思う」
「だよな! 遊星! 俺もそのつもりでユースケも誘ったんだしな!」
そういうと十代さんは遊星の肩に腕を回し、俺の方を見た。
「俺も、一番初めに赤馬に協力しますって言っちゃったし。十代さんに言われたらやるしかないかなぁって」
「生徒が巻き込まれるっていうなら、教師となった私も参加させてもらうわ! それでいいわよね。十代、それに零児くん」
「強力なデュエリストであれば歓迎します、天上院明日香先生。遊矢、お前はどうする」
「俺は......。やるよ。遊介がやるって言ってるのに俺だけが逃げるだなんて嫌だ!」
「あたりまえだ。この話を聞いて逃げる奴は決闘者じゃない。ボクも参加させてもらう! だが、世界の危機にあの偽十代が関わっていたとしたらそれはボクの
後はもう少し、ランサーズの人員を増やしたいな。もしかしたらズァークが復活するかもしれないし......。遊矢、絶対お前を二度と悪魔にはさせないからな。そうなったとしてもきっと俺たちが助けて見せる。彼を見つめていると、赤馬がメガネをまたカチャっと直して俺たちをまとめた。
「敵が何者なのか、どれほどの規模なのかは不明だ。だからこそ、私たちは慎重に決闘者選びをしなければならない。だが、この世界には我が社はなく、海馬コーポレーションという会社がこの街とアカデミアを管轄しているらしい。私はそこに話をつけてみる。では、失礼」
「零児くんの話が終わるまでは私たちは待機って感じかしら?」
明日香は腕を組む。いや、それだけじゃだめだ。
「俺たちは俺たちでできることをしましょう。俺たちだけじゃなくて、もう少し人員を......」
「そんなにいるかしら。強力なデュエリスト......。まぁ当たってみるわ」
「ボクも少しプロデュエリストに当たってみるよ」
他の人たちはちらほらと教室を出ていった。そういえば、遊矢に話をしなきゃ......。
「ところでさお前、何者? さっきからどす黒いものがダダ洩れなんだけど」
十代はまた、オッドアイ状態になって遊矢の腕をつかみ出ていこうとしているのを止めた。やっぱり彼にはわかるんだ......。
『気を付けるんだ、十代。彼はキミと同じ波動を感じる......』
突如として、女性の声が聞こえてきた。これはきっと、ユベルだろう。ユベルは精霊だから俺には見えないけど、声はなぜか聞こえてくる。俺だけ?
「え、なんなんですか? 急に」
「えーと遊矢、彼は遊城十代。説明が難しいんだけど、簡単に言うと、彼にはデュエルモンスターの精霊が宿っててその力で色々わかっちゃう感じなんだ」
「デュエルモンスターの精霊? そんなものある......。う、うわぁ!? モンスター? でも、ソリッドヴィジョンなんてどこにもないし......」
「お前、ユベルが見えてんのかよ! 驚かせるつもりはなかったんだが、すまねえな。ユベルも別に悪気があるわけじゃねえんだけど、ちょっとこいつ過保護でさ」
過保護とかいう次元じゃないでしょ......。
「は、はあ」
「それで、この遊矢ってのは何者なの? ほんとに味方にして大丈夫なの?」
これは記憶のない遊矢より、俺が話した方がいいかもしれない。
「それは、俺から話します。遊矢も、心して聞いてほしい。君は、かつて世界を滅ぼしてしまった決闘者の生まれ変わりなんだ。デュエルモンスターの怒りの声に飲まれ、神の力と同等の力を手に入れてしまった悲しき人。それがズァーク、キミなんだ」
あれ、こんな話だっけ? なんか違うような気もするけど......。
「俺が、世界を......!? そんな、嘘だ。何かの冗談だろ? だって俺はみんなを笑顔にするためにデュエルを」
「彼もまた、同じだった。でも、人の刺激欲求とモンスターの怒りによって彼は狂ってしまった。だから遊矢、怒りや悲しみに捕らわれないで君自身の心の闇に打ち勝ってほしいんだ」
でも、またなんで彼の中にズァークがいるんだ? いや、でもユートが彼の中にいるから最終回のタイミングとは別のタイミングで来たのか?
「俺自身の、心の闇?」
「誰にだって間違いくらいあるさ。俺も間違いばかり起こして友達を、仲間を傷つけてしまった。そして愛した人さえも......。でも、それを乗り越えて受け入れて前に進まなくちゃいけない......。 俺はデュエルを通して、アカデミアを通してそれを学んだんだ」
たしかに十代の壮絶な人生の歩みから考えると説得力が違う。
「もしかして、レーシングデュエルのとき記憶を失ったときって俺が怒りに飲み込まれていたから?」
「まぁ、多分。君のもう一人の人格として現れているのかわからないけど、ユートが君に代わって俺とデュエルしていたんだ」
「ユート......。なんだか、聞きなじみのある名前だ」
そらそうだろうよ。彼がどれだけ、キミの中にいたのか......。とにかく、遊矢とは話ができた。きっと、気を付けてはくれるだろう。
「ま、お前の力がどれだけなのか知らねえけどさ、困ったときは力になるぜ。遊矢」
「......。ありがとう、ございます」
そういったと同時に十代は、遊矢を解放した。遊矢は少し肩を落としながら廊下を歩いて行った。
「あいつ、大丈夫かぁ?」
「......」
正直、わからない。でも、俺たちがいる限り悪夢は繰り返させたくはない。
十代さんは俺の肩を叩き、教室を出た。考えすぎても仕方ない。俺も廊下にでるとそこには廉次郎が窓にもたれかかっていた。
誰の心にも闇はある。遊介たちはその闇を打ち払うことができるのだろうか。
心の闇を払うため、己の憧れを超えるため、遊介は新たなデッキを創ることを決意する。そして、彼の前にまた一人心の闇に取りつかれた人間が現れる......。
次回、遊戯王ARC-if「開発! 新たな力!」
登場するオリカの召喚口上で良いと思ったものを教えてください。
-
幼獣ベーゼ
-
グレート・フォース
-
アルカトラズ・デストピア・デーモン
-
グレートVX
-
アーク・トライブ・マジシャン